• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない X1435
管理番号 1253530 
審判番号 不服2011-8913 
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-26 
確定日 2012-02-17 
事件の表示 商願2010-62761拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第14類「キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」及び第35類「キーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝石箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,記念カップの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,記念たての小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,貴金属製靴飾りの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、平成22年8月9日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『ダブリュー』の片仮名を横書きしてなるところ、欧文字の音を片仮名表記することは広く行われているから、欧文字『W』の音を片仮名で表記したものと直ちに認識される。そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、欧文字『W』が商品の記号・符号等として一般に採択、使用されている。そうとすると、商品の記号・符号等として一般に使用されている欧文字『W』の音を片仮名で表記したにすぎない本願商標は、未だ極めて簡単で、かつ、ありふれた標章の域を脱していない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号について
本願商標は、別掲の構成のとおり、欧文字「W」の音を片仮名をもって「ダブリュー」と表したものであるところ、その片仮名の表記方法も何ら図案化されているものとも認められず、ごく普通に用いられる方法で表したものである。
しかして、欧文字の一文字は、それ自体簡単な構成の標章であり、商品の等級、品番あるいは役務の質等を表す記号、符号として取引上一般に使用されるものであるというのは、社会通念に照らし明らかである。そして、請求人も審判請求の理由中で「欧文字1文字に関しては出所表示識別機能を有する商標として使用する場合にはまさに御認定の通りとなることは出願人も承知」と述べ、この点について争っていない。
次に、欧文字「W」を「ダブリュー」と表記することについて、我が国における代表的な国語辞典を参照すると、以下のとおりである。
ア 広辞苑第六版(株式会社岩波書店発行)においては、「ダブリュー【W・w】」の見出しのもと、最初の語義に、「アルファベットの二三番目の文字。」との記載があり、その他「ダブリュー-エッチ-オー【WHO】」、「ダブリュー-エフ-ティー-ユー【WFTU】」、「ダブリュー-シー【WC】」、「ダブリュー-ダブリュー-エフ【WWF】」及び「ダブリュー-ティー-オー【WTO】」の見出しがあるが、欧文字「W」の音は、いずれも「ダブリュー」の片仮名をもって表している。
イ 大辞泉増補・新装版(株式会社小学館発行)においては、「ダブリュー【W・w】」の見出しのもと、最初の語義に、「英語のアルファベットの第二三字。」との記載があり、その他に前記の見出し中に「-エッチ-オー【WHO】」、「-エフ-ティー-ユー【WFTU】」、「-シー【WC】」、「-せんしょくたい【W染色体】」、「-ダブリュー-エフ【WWF】」、「-ティー-オー【WTO】」及び「-ピー-アイ【WPI】」の小見出しがあるが、欧文字「W」の音は、いずれも「ダブリュー」の片仮名をもって表している。
ウ 大辞林第三版(株式会社三省堂発行)においては、「ダブリュー【W・w】」の見出しのもと、最初の語義に、「英語のアルファベットの第二三字。」との記載があり、その他に前記の見出し中に「-エッチ オー【WHO】」、「-エム オー【WMO】」、「-シー【WC】」、「-ダブリュー エフ【WWF】」、「-ダブリュー ダブリュー【WWW】」及び「-ティー オー【WTO】」の小見出しがあるが、欧文字「W」の音は、いずれも「ダブリュー」の片仮名をもって表している。
以上からすると、本願商標と同一の構成に係る「ダブリュー」は、欧文字「W」の音を表すものとして、我が国において一般に広く認識されているものということができる。
してみれば、欧文字「W」の音を本願商標と同一の構成に係る「ダブリュー」で表すことは、最も自然な表記であるから、取引者、需要者が本願商標「ダブリュー」を看取するときは、直ちに欧文字「W」を認識するものというべきである。
そうとすれば、本願商標をその指定商品及び指定役務について使用した場合、取引者、需要者は、これを単に商品の規格、品番あるいは役務の質を表示するための記号、符号として、通常用いられる欧文字の一類型である「W」の音を片仮名で表したものと理解するにとどまり、当該商品又は役務の出所識別標識として認識することはないというべきである。
したがって、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ず、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、欧文字「W」を殊更片仮名表記として表記の文字数を増やしていること、更に「W」の読み方も例えばダブルやダブリュ等数種類の呼び方から特定の一つを選定して「ダブリュー」として表記していることから本願商標は、特殊表記であり「極めて簡単かつありふれた標章のみ」には該当しない。特に欧文字1文字とは異なる片仮名表記であり、充分に特別顕著性を有する旨主張する。
しかしながら、前記(1)アないしウのとおり、欧文字「W」の音を「ダブリュー」と表記するのが、我が国において最も自然なものということができる。しかして、請求人の主張するように、欧文字「W」に、ダブルないしダブリュの数種類の呼び方がなされることがあるとしても、それ故に前記の認定は左右されるものではないというべきである。さらに、本願商標の表記自体も、前記(1)のとおり、普通に用いられる方法で表されたものである。
そうすると、本願商標「ダブリュー」は、欧文字「W」の音を片仮名で普通に用いられる方法で表してなるというのが自然であり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標というべきである。
イ 請求人は、前記アの主張を立証するものとして商標登録の事例を具体的に挙示する。
しかしながら、請求人の挙げる事例は、本願商標とは構成態様が相違するものであって、本願商標の審理に適切であるということはできない上、そもそも、本願商標が商標法の所定の登録要件との関係において、商標登録を受けることができるか否かに係る本件の審理において、他の商標登録の事例によって、その審理が拘束され、判断が左右されるものではなく、本件の判断は、個別かつ具体的になされるべきものである。
ウ 請求人は、原審の説示に係る事情は、片仮名からなる本願商標が、特別顕著性を有しない理由になるものではない旨主張する。
しかしながら、本件の審理は、原審の説示が適切であるか否かを判断するものではなく、本願商標が商標法の所定の登録要件との関係において、商標登録を受けることができるものであるか否かの判断をなすものである。しかして、本願商標については、前記(1)のとおりに判断をするものである。
エ 請求人は、本願商標は、片仮名5文字から構成されるから、欧文字一文字(W)とは、外観上も全く異なるばかりでなく、特に看者の認識も全く異なる旨主張する。
しかしながら、本件の争点は、本願商標が自他商品ないし自他役務識別力を有するか否かであって、片仮名5文字から構成される標章と欧文字一文字からなる標章の外観上の相違ないし当該相違に関する看者の認識の相違が争点となるものではない。
以上のとおり、前記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)結語
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)


審理終結日 2011-12-13 
結審通知日 2011-12-16 
審決日 2011-12-28 
出願番号 商願2010-62761(T2010-62761) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (X1435)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 悠源手塚 義明 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 前山 るり子
内田 直樹
商標の称呼 ダブリュー 
代理人 旦 武尚 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ