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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y10
管理番号 1251599 
審判番号 取消2009-300900 
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-08-07 
確定日 2012-01-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4974391号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4974391号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4974391号商標(以下「本件商標」という。)は、「TINY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年1月28日に登録出願、第10類「歯科用インプラント及びその部品又は付属品,その他の歯科用機械器具」を指定商品として、同18年7月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、本件審判請求の日前3年間以上継続して、商標権者又はその使用権者の何れによっても使用されてはいない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、登録を取り消されるべきである。
(2)弁駁
ア 答弁書「理由」の(1)及び(2)に記載の事実は、本件商標の使用の有無とは何ら直接的関係を有するものでない。
イ 答弁書「理由」の(3)において、被請求人は、「同社の製品が日本にも輸入され、販売されている。」と述べ、その証拠とする乙第11号証は、被請求人自身のホームページではなく、第三者が運営するオンライン歯科教育サイトの「製品紹介」欄中の被請求人製品の紹介ページである。
そもそもこのサイトは英米向けのサイト(URL:dental.com)(甲第2号証の1)であり、このサイトを中心に幾つかの関連サイトを展開しており、その一つに日本語サイト(URL:dental.jp)(甲第2号証の2)があるが、名ばかりでその記事は英語のままである。
また、上記英米向けサイトには、被請求人の製品紹介欄がある(URL:dental.com/bti)(甲第2号証の3)が、乙第11号証は、同サイトの日本語サイトヘの転記(URL:dental.jp/bti)(甲第2号証の4)にすぎなく、その製品紹介は日本語サイトといえども英語である。
さらに、乙第11号証は、当該製品紹介ページの一部をプリントしたにすぎない。同ページの全てを確認すると理解できるように(甲第2号証の4)、同製品に関するお問合せ先は被請求人の米国関連企業「BTI of North America」である。このような証拠のみをもってしては、被請求人製品の日本への輸出・販売実績は何ら証明されていない。
そして、上記サイトには本件商標の使用に係る商品は何ら紹介されていない(甲第2号証の3、甲第2号証の4)。
ウ 同じく、答弁書「理由」の(3)において、被請求人は、「本件商標を付した『歯科用インプラント』も近い将来日本に輸入され、(後略)」と述べている。すなわち、本件商標を付した歯科用インプラントが日本に輸入されたことはかつて一度もないことを自ら認めている。
また、被請求人は、「近い将来日本に輸入され販売されるための準備が進められている」と述べるものの、準備作業が如何なるものなのか、あるいは、どの程度進展しているのか等に関する具体的な説明は何もない。単に、パンフレット等やスライドについて言及するだけである。
そして、被請求人は日本においてパンフレット・カタログ等を配布し、スライドを上映したと述べているが、その時期や場所等に関する言及はないばかりか、その裏付けとして拳げている乙第12号証に係る証拠物件を提出していないし、如何なる証拠物件を用意しようとしているのか、具体的に説明していない。
エ 同じく、答弁書「理由」(3)において、被請求人は、「自己のホームページにPRGF欄があり、これには本件商標が付された歯科用インプラント欄もあり、これを日本の歯科医師等が閲覧していると推認できる。」と述べているが、請求人が調査した限りでは、被請求人のホームページは、スペイン語及び英語で記載され、アメリカ合衆国のドメイン名(bti-implant.us)に基づくものであり(甲第3号証)、このホームページは日本向けのものではない。仮りに日本の歯科医師が当該ホームページを閲覧することがあったとしても、外国のホームページを見たにすぎず、かかる事情をもって、本件商標の使用に係る商品の日本国内における宣伝がされたとはいえない。
また、被請求人のホームページが2007年(平成19年)に作成されていたことを裏付ける証拠は何もないし、仮に同ホームページが同年に作成されたとしても、このことをもって、平成21年8月24日以前から本件商標を付した歯科用インプラントに関する記述がホームページに掲載されていたことにはならない。ホームページにおいて記事の追加削除は日常的に行われている。
オ 被請求人は、答弁書「理由」(4)において、答弁書「理由」(1)ないし(3)の記述を根拠に、本件商標が本件審判請求前3年以内に日本国内において、商標権者自身により歯科用プラントについて使用されていたことは明らかと主張するが、答弁書の各記述をもってしては、かかる使用事実は何ら説明されていない。また、裏付けとなる証拠も提出されていない。

3 被請求人の主張
被請求人は、本審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、また、平成22年4月20日提出の上申書において、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)答弁の理由
ア 被請求人は、本件商標に係る指定商品中「歯科用インプラント」について、本件商標または本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、審判の請求登録日前3年以内に使用している。
イ 被請求人は、スペインを母国とする多国籍企業であり、「歯科用インプラント」の設計及び製造を主たる業務の1つとする(乙第1号証)。そして、同社のエデュアルド アニチュア博士によって研究開発されたPRGF(Plasma Rich in Growth Factors)システム(日本では「再生歯科医療法」と呼ばれている。)は、歯槽骨再生法の画期的な医療技術として世界的に受け入れられている(乙第2号証)。従来の歯科インプラント治療では、顎の骨が足りないと、インプラントを埋め込むことが不可能であったが、PRGFによって顎の骨を再生させることによって、インプラント治療が可能となったのである(乙第3号証)。
被請求人は、PRGFを世界に普及させるために、スペインを始め、世界各国において、PRGFの研修会を開催してきた(乙第4号証)。この研修に参加した日本の歯科医師や歯科用機械器具取引業者も少なくない(乙第4号証ないし乙第6号証)。最近では、スペインで研修を終えた日本の歯科医師や医師が講師となって、日本でもPRGFの研修が行われるようになった(乙第7号証、乙第8号証)。スペイン政府もPRGFの医学への貢献性に着目し、日本で開催されるPRGFの研修を積極的に支援しており、スペイン大使館での研修も行われている(乙第9号証)。これらの普及活動の結果として、日本においても、PRGFにより、インプラント治療を施している歯科医院が増えている(乙第10号証)。
ウ このような状況下において、被請求人の製造販売する「歯科用インプラント」は、PRGFを開発したアニチュア博士の所属する企業によって製造されたインプラントとして、日本にも輸入され、販売されている(乙第11号証)。
本件商標を付した「歯科用インプラント」も近い将来日本に輸入され、販売されるための準備が進められており、その一環として、平成21年8月24日以前より現在に至るまで、PRGF研修会において、日本の歯科医師、歯科用機械器具取引業者等に対し、本件商標を付した「歯科用インプラント」に関するパンフレット、カタログ等が配布され、また、本件商標を付した「歯科用インプラント」に関するスライドが上映され、その広告活動が活発に行われている(乙第12号証)。
これらは、「商品に関する広告に標章を付して展示し、若しくは頒布する」行為(商標法第2条第3項第8号)であるから、標章の「使用」に該当するものである。
また、被請求人のホームページには、PRGFに関するページがあり(乙第13号証)。これによるインプラント治療を施している又は施そうと計画している日本の歯科医師、これに関連の歯科用機械器具取引業者等にとって、最新の情報源として、常にアクセスの対象とされているものと推認できる。
そして、被請求人のホームページ中の製品に関するページには、被請求人により製造された「歯科用インプラント」がすべて掲載されており、本件商標が付された「歯科用インプラント」もこの中に含まれている(乙第14号証)。したがって、PRGF関するページにアクセスした日本の関係者の多くは、本件商標が付された「歯科用インプラント」を閲覧しているものと推認できる。
そして、さらに、被請求人のホームページは、2007年(平成19年)に作成されたものであるから(乙第13号証)、日本のPRGF関係者の多くは、平成21年8月24日以前から、既に被請求人によって製造され(乙第15号証)、本件商標が付された「歯科用インプラント」を閲覧していたものと推認できる。
そうとするならば、PRGFの伝播及びPRGFによるインプラント治療の普及と相まって、平成21年8月24日以前から、本件商標が付された「歯科用インプラント」につき、日本の歯科医師や歯科用機械器具取引業者等から一定の信頼・信用を獲得していたものと推認できる。
これは、「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)であるから、標章の「使用」に該当するものである。
エ かくして、これら乙各号証により、本件商標が本件審判の登録前3年以内に日本国内において、商標権者である被請求人によって、その請求に係る指定商品中「歯科用インプラント」について使用されていたことは明らかである。
(2)上申の内容
乙第12号証及び乙第15号証の提出につき、猶予を求めていたが同日付の証拠方法提出書にて提出する。
乙第12号証の1は、被請求人が、本件審判請求登録日である平成21年8月24日以前に、本件商標を付した「歯科用インプラント」につき、日本の歯科医師や歯科用機械器具取引業者を対象に広告宣伝活動をしていたことを証明する供述書であって、その広告宣伝活動の場所はスペインであるが、対象者には日本人の歯科医師や歯科用機械器具取引業者が含まれており、これにより、日本で保護されるべき被請求人の業務上の信用が本件商標に化体したものと推認される。
乙第12号証の2及び3は、上記広告宣伝活動の際に配布された、共に英文のパンフレットであるが、「歯科用インプラント」は、歯科医師や歯科用機械器具取引業者等の少数の専門家に販売されるものであって、かつ、彼らは職業柄常に英語に接していることからすると、この頒布は彼らに対する通常の広告宣伝手段であるものと推認される。
乙第15号証は、本件審判請求登録日である平成21年8月24日以前に、本件商標を付した「歯科用インプラント」が製造されていたことを証明するものであり、同様の事実は乙第12号証の2のパンフレットの背表紙に「08、09」との西暦年度が表記されていることからも、証明される。

4 当審の判断
被請求人は、本件商標が本件審判請求の登録前3年(平成18(2006)年8月24日ないし同21(2009)年8月23日)以内に日本国内において、商標権者(被請求人)によって、その請求に係る指定商品中、「歯科用インプラント」について使用している旨主張して、乙第1号証ないし乙第15号証を提出しているので、これによりその使用事実を証明し得たものかについて検討する。
(1)商標権者(被請求人)のホームページ、パンフレット
ア ホームページ情報
(ア)乙第1号証は、英語表記による商標権者のホームページ中の自社紹介ページ(写)及びその翻訳文とする2葉であり、その翻訳文によれば、商標権者は、「歯科用インプラント」等の設計、製造において最先端にある生物医学及び生物工学分野での多国籍企業であることなどの会社概要の記載が認められる。
しかしながら、その記載において、「歯科用インプラント」ほかの取消し請求に係る商品について、本件商標を使用している事実は見出すことはできない。
(イ)乙第13号証は、同上のホームページ中のPRGF紹介ページ(写)とする1葉であり、PRGF(再生歯科医療)に関するページとみられる。
しかしながら、上記(ア)と同様に、その記載において「歯科用インプラント」ほかの取消し請求に係る商品についての本件商標の使用を見出すことはできない。
(ウ)乙第14号証は、同上のホームページ中の自社製品紹介ページ(写)とする1葉であり、歯科用インプラント製品に関するページとみられ、「TINY Implants narrow platform」の表示の下に、5個の歯科用インプラントと思しき写真とサイズなどの記載が認められる。
(エ)小括
以上の商標権者(被請求人)のホームページ(写)は、その掲載言語が英語表示であって、その体裁からして日本国内で開設しているとはいい難いものであり、わが国の需要者に向けてされているものとは認められない。さらに、それぞれのページは、インターネット上に掲載されていた時期やプリントした日時は不明である。
してみれば、たとえ当該ホームページ中の製品に関するページ(乙第14号証)に、本件商標が付された「歯科用インプラント」が掲載されているとしても、かかるホームページによっては、要証期間内に日本国内において、商標権者によって当該商品に本件商標の使用がされていたことを証明したものとはいうことができない。
イ パンフレット(カタログ)
(ア)乙第12号証の2は、本件商標を付した「歯科用インプラント」を一部に掲載するパンフレット(写)2008及び2009年用(作成年月日不明)とする7葉であり、「SURGICAL-PROSTHETIC CATALOG」を表題とし、表紙や各ページに本件商標と社会通念上同一といえる商標が、歯科用インプラントの写真やその解説、規格等とともに掲載されていること、さらに、裏表紙には商標権者と支店の表示及び背表紙に「’08」及び「’09」の表示などがされていることが認められ、これが商標権者の歯科用インプラント製品に関する英文カタログの抜粋ということはできる。
しかしながら、当該カタログは、商標権者(被請求人)自らのものであるにもかかわらず「(作成年月日不明)」とするものであって、その掲載言語が英語表示であること、また、87ページ及び101ページの下段には、「**Some Products are not yet available for the US market」の表示があること、その他、そのカタログの体裁や支店の営業地からして、わが国の需要者に向けて作成したものとは認められないばかりか、わが国での頒布状況は不明である。
(イ)乙第12号証の3は、本件商標を付した「歯科用インプラント」を一部に掲載するパンフレット(写)(作成年月日不明)とする6葉であり、「TINY IMPLANT」を表題とし、これを含め各ページに本件商標と社会通念上同一といえる標章が、歯科用インプラントの写真やその解説、規格等とともに掲載されていること、また、6葉目には「BTI of North America」の支店の表示の下に、商標権者と他の支店の表示の掲載などがされているものであって、当該支店に係る歯科用インプラント製品に関する英文カタログと認めて差し支えないものである。
しかしながら、当該カタログの作成は、商標権者の支店によるにもかかわらず、上記(ア)と同様に「(作成年月日不明)」とするものであって、その要証期間内での使用は認められないものである。また、その掲載言語は英語表示であり、裏表紙の本店や支店表示をしてある箇所には「BTI of North America」を冒頭に表示しており、その営業地やカタログ体裁からしても、わが国の需要者に向けて作成したものとは認められないし、わが国での頒布状況は不明である。
(ウ)小括
以上の商標権者又は支店によるカタログ(写)は、その掲載言語が英語表示であって、その体裁や支店表示などからして、わが国の需要者に向けて作成したものとは認められない。また、その作成年月日や配布時期は不明である。
してみれば、たとえ当該カタログ(写)に、本件商標が付された「歯科用インプラント」が掲載されているとしても、かかるカタログによっては、要証期間内に日本国内において、商標権者によって当該商品に本件商標の使用がされていたことを証明したものとはいうことができない。
(2)PRGFシステム日本協会及び関係者などのホームページ、陳述書等
ア PRGFシステム日本協会(以下「PRGF協会」という。)及び関係歯科医院などのホームページ情報
(ア)乙第2号証は、「PRGF協会」のホームページ中のPRGF紹介ページ(写)とする1葉であり、「PRGFとは」の見出しの下、該システムの説明及びPRGF System講習会ご案内の見出しとインプラントの写真などが掲載されている。
(イ)乙第3号証は、「加藤歯科クリニック」(以下「加藤歯科」という。)のホームページ中のPRGF紹介ページ(写)とする1葉であり、「再生歯科医療」の見出しの下、再生歯科医療(PRGF)を取り入れたインプラント治療に関しての説明が掲載されている。
(ウ)乙第4号証は、「佐藤歯材株式会社」(以下「佐藤歯材」という。)のホームページ中の海外トピックスページ(写)とする5葉であり、5葉目の矢印を付した箇所に「2007年9月28-29日に第6回インターナショナル・シンポジュウムガがスペインのビルバオで開催され、・・・」の記事ほか、日本人歯科医師や衛生士などが海外でのデンタルショーやPRGF研修、PRGFに関してのシンポジュームに参加したことなどが掲載されている。
(エ)乙第5号証は、「佐藤歯科医院」(以下「佐藤歯科」という。)のホームページ中のPRGF紹介ページ(写)とする2葉であり、PRGF治療に関する説明などが掲載されている。
(オ)乙第6号証は、「塚原デンタルクリニック」(以下「塚原歯科」という。)のスペインにおけるPRGF研修会参加報告記事(写)とする2葉であり、インプラント治療に関してのスペイン学会報告や2010年1月17日に開催されたスペイン大使館でのPRGFシステムの第1回ユーザーシンポジウムに関しての記事などが掲載されている。
(カ)乙第7号証は、「PRGF協会」のホームページ中のPRGF Systemの研修会の案内ページ(写)とする4葉であり、PRGFシステムに関することなどを講義内容とするほか、塚原歯科や、佐藤歯科、加藤歯科、亀の井歯科の院長などが講師として掲載されている。
(キ)乙第8号証は、「PRGF協会」のホームページ中のトップページ(写)とする1葉であり、「2010年 スペインBTI社 セミナーへのお誘い」や、PRGF講習会ご案内の見出しとインプラントの写真、新着情報などが掲載されている。
(ク)乙第9号証は、「PRGF協会」のホームページ中のトピックページ(写)とする1葉であり、「2010.01.17 第1回ユーザーシンポジウムがスペイン大使館にて開催されました。」との見出しとそれに関する説明、及び「PRGF System講習会」ご案内の見出しとインプラントの写真などが掲載されている。
(ケ)乙第10号証は、「PRGF協会」のホームページ中のPRGFを採用する歯科医院紹介ページ(写)とする4葉であり、当協会理事の歯科医院として、塚原歯科や、佐藤歯科、加藤歯科、亀の井歯科ほか、PRGF Systemの再生治療を行っている日本各地の歯科医院の紹介、及び「PRGF System講習会ご案内」の見出しとインプラントの写真などが掲載されている。
(コ)小括
以上のPRGF協会、これに関連するといえる歯科医院及び歯材会社の各ホームページ(写)は、再生歯科医療(PRGF)に関する説明やその講習会、該システムを採用する歯科医院紹介などの掲載であって、これらが「歯科用インプラント」の広告とは認められないばかりか、いずれのページにも本件商標の表示やその使用に係る商品についての情報は見出せない。
してみれば、上記乙第2号証ないし乙第10号証の各ホームページ(写)によっては、要証期間内に日本国内において、商標権者による本件商標が付された「歯科用インプラント」の使用を証明したものとはいうことができない。
イ 歯科医師及び歯材会社による陳述書
(ア)乙第12号証の1は、歯科医師による供述書(写)とする3葉であり、前出の亀の井歯科の亀井秀一郎、加藤歯科の加藤嘉哉及び佐藤歯科の院長「佐藤文昭」と同じ氏名になる者のそれぞれによる陳述書を表題とするものであって、これには商標権者の本店所在地であるスペインにおいてのPRGFシステムに係る研修会に要証期間を前後して数回にわたり参加したことを前提として、同社より配布されたカタログ、パンフレット若しくは同研修会の講義を通じて、・・・商標「TINY」を付した「インプラント」が同社より製造・販売されていることを知り、以来、同製品の日本での発売を待望している旨述べているものである。
してみると、どの時期に開催された研修において、かつ、如何なる資料や講義において知り得た情報であるかを検討するまでもなく、これらの陳述内容は、いずれもスペイン国内の研修会においての商取引の状況を概略的に述べるに止まり、わが国での商取引を事柄とするものではないから、当該陳述書3葉からは、商標権者による日本国内においての本件商標の使用事実を証明し得ないものである。
(イ)乙第15号証は、歯科用機械器具取引業者による供述書(写)とする1葉であり、前出の佐藤歯材の植木正祐による陳述書であって、商標権者が開設する英文ホームページを通じて、同社のインプラントに関する情報を、平成20年始め頃より収集しており、その結果、・・・商標「TINY」を付した「インプラント」が同社より製造・販売されていることは、同社が開催するPRGFシステムの研修会において配布されるパンフレット等を通じてだけでなく、同ホームページを通じても知っていた旨述べている。
しかしながら、上述のPRGFシステムの研修会の開催された時期や場所については、具体的に述べるものでもなく、如何なる資料や講義において知り得た情報であるかその事実を裏付ける証拠の提出はないから、該陳述書を高く評価することはできない。
そして、商標権者(被請求人)のホームページは、わが国の需要者に向けてされていたものとは認められないものであり、また、商標権者又は支店によるカタログ(写)も同様にわが国の需要者に向けて作成したものとは認められないこと上記(1)で認定したとおりであるから、当該陳述書によっては、要証期間内に日本国内において、商標権者による本件商標が付された「歯科用インプラント」の使用を証明したものとはいうことができない。
(3)第三者によるホームページ情報
乙第11号証は、「dentalxp」と称するオンライン歯科教育サイト中の被請求人の販売品目紹介ページ(写)とする3葉であり、このページの掲載情報には、本件商標の表示やその使用に係る商品は見出せない。
してみれば、当該販売品目紹介ページによっては、要証期間内に日本国内において、商標権者による本件商標が付された「歯科用インプラント」についての使用を証明したものとはいうことができない。
そして、当該ホームページ(乙第11号証)は、専ら英語で表示され、部分的に日本語による掲載もされてはいるが、その開設者や開設の目的、時期などは不明であるのみならず、これに上記の商標権者、PRGF協会、及びその関係者などのホームページ(乙第1号証ないし乙第10号証)のPRGFシステムによるインプラント治療に係る状況などを加えみても、当該ホームページによっては、要証期間内における商標権者(被請求人)の製造販売する「歯科用インプラント」が日本にも輸入され、販売されているとの事実を証明し得るものとするのは困難である。
(4)むすび
以上のとおり、乙第12号証の2、同3及び乙第14号証によれば、商標権者が商標「TINY」を付した「歯科用インプラント」を製造・販売している事実は認め得るとしても、いずれもその体裁からして、わが国の需要者に向けて作成されたものではないし、かつ、わが国における頒布状況やインターネットへの掲載時期等が不明であるから、かかる証拠をもっては、本件商標の日本国内での使用事実を立証するものとはいうことができない。
その他の乙各号証からは、PRGF(再生歯科医療)に関する掲載以上に、本件商標を「歯科用インプラント」ほか、取消し請求に係る指定商品のいずれかついて使用していることは証明されないし、被請求人からは、本件商標が付された「歯科用インプラント」についての医療用具製造に係る承認書や、わが国での商取引における取引書類などを提出するところがない。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、取消し請求に係る商品については使用されていなかったものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-06-28 
結審通知日 2011-06-30 
審決日 2011-08-30 
出願番号 商願2005-6458(T2005-6458) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y10)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野口 美代子酒井 福造 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2006-07-28 
登録番号 商標登録第4974391号(T4974391) 
商標の称呼 タイニー、ティニー 
代理人 鈴木 礼至 
代理人 安島 清 
代理人 小林 久夫 
代理人 村上 健次 
代理人 木村 三朗 
代理人 大村 昇 
代理人 高梨 範夫 

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