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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X01
管理番号 1251559 
審判番号 不服2010-23144 
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-13 
確定日 2012-01-10 
事件の表示 商願2009- 35526拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「和漢コラーゲン」の文字を書してなり、第1類「コラーゲン」を指定商品として、平成21年5月14日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、中国伝来の漢方を、独自に発展させた日本の漢方のことで、おもに草根・木皮など天然由来の成分を使うことで、美容や健康によいと一般に認識されている『和漢』の文字に、本願の指定商品である『コラーゲン』の文字を結合してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の品質を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審において通知した審尋
請求人に対して、平成23年8月26日付けで通知した審尋の内容は、次のとおりである。
1 本願商標は、「和漢コラーゲン」の文字よりなり、その指定商品は、第1類「コラーゲン」である。
ところで、第1類は、主として、工業用、科学用、及び農業用の化学品(他の類に属する商品の製造に用いるものを含む。)を含む類であり、工業用等の各種原材料を対象とする類である。そうとすると、本願の指定商品は上記のとおり、「コラーゲン」であり、コラーゲンは、いわゆる 健康食品や化粧品等の原材料として用いることも多いから、本願商標について検討する際には、その需要者である健康食品、化粧品等の製造、販売者を基準に検討するべきである。
そこで、本願商標についてみるに本願商標は、「和漢」及び「コラーゲン」の文字からなるものと容易に理解されるものであるところ、上記視点に立って検討するに、「和漢」については、以下の事実が認められる。
(1)「和漢薬」について
「和漢薬」の項に「西洋医方に対し和漢の医方(漢方)で用いられる薬物。また、日本および東アジア地域に産出する生薬。」(広辞苑第六版)との記載。
(2)「和漢」について
ア 「大正製薬株式会社」のホームページに「18種も摂れる、おいしい贅沢青汁。」の見出しのもと「高麗人参、ウコン、杜仲葉など15種の和漢素材など」との記載(http://www.taisho-direct.jp/products/hm/20130.html)。
イ 「amazon.co.jp」のホームページに「高麗人参+2種の和漢素材 60粒 約30日分」「製品の特徴:毎日を健康に過ごしたい、良い巡りを保ちたい方にお薦めのサプリメント。」との記載(http://www.amazon.co.jp/MASON-NATURAL-%E9%AB%98%E9%BA%97%E4%BA%BA%E5%8F%82-2%E7%A8%AE%E3%81%AE%E5%92%8C%E6%BC%A2%E7%B4%A0%E6%9D%90-%E7%B4%8430%E6%97%A5%E5%88%86/dp/B0013JYIXC/ref=pd_rhf_p_t_1)。
ウ 「株式会社 ワイドウッド」のホームページに「新製品 No.2 麗姿シリーズ『プレミアムクリーム 凛(りん)』 」の見出しのもと「霊芝の入った『麗姿化粧品』から 肌のキメを整え、引き締めるプレミアムな美肌クリームが誕生しました。キメ・ハリ・保湿にすぐれた力を発揮する和漢素材を厳選しました。」との記載(http://www.widewood.com/new-2011-7-28.html)。
エ 「株式会社ヘルスネット」のホームページに「和漢薬房」の見出しのもと「和漢サプリ」「総合栄養補給(凍結粉砕製品) 120粒」との記載(http://www.wakanyakubo.jp/products/list.php?category_id=15)。
オ 同じく、「株式会社ヘルスネット」のホームページに「和漢薬房」の見出しのもと「和漢サプリ>素肌美人」「コラーゲンGT」「“カラダの中から素肌美人”」「コラーゲン」「杜仲葉」「高麗人参」「美容食品<90粒>」との記載(http://www.wakanyakubo.jp/products/list.php?category_id=16)。
カ 「株式会社広貫堂」のホームページに「健康食品」の見出しのもと「和漢ハーブサプリメント」「特徴 日本人の体質に合わせた和漢素材から生まれたサプリメントです。」との記載(http://www.koukandou.co.jp/product/p_list/detail.php?pcode=102)。
キ 「株式会社ウェブシャーク」のホームページに「和漢エキス配合! 『miesul(ミースル)乳液』」の見出しのもと「和漢エキスの力が日本人に合った『魅せ肌』をつくります!」との記載(http://www.store-mix.com/ko-bai/product.php?pid=1448617)。
ク 「大正製薬株式会社」のホームページに「からだの元気のためのサプリメント『和漢の活力』 通販限定で新発売」の見出しのもと「製品区分 栄養補助食品 名称 和漢エキス加工食品 原材料 和漢エキス末(和漢エキス・・・ 」との記載(http://www.taisho.co.jp/company/release/2009/2009110901.html)。
ケ 「楽天」のホームページに「魔女テレビで驚きの結果が出たアキョウのサプリ!和漢コラーゲンで潤い美人に!」の項に「【アキョウ】濃縮アキョウサプリ 和漢コラーゲンサプリ」「■店舗情報■/会社名:有限会社サプリジャパン」との記載(http://item.rakuten.co.jp/vitabas/t01754/)。
コ 「リプサ本店」と称するホームページの「壮髪(そうはつ)【1ヶ月分】白髪が気になる方に!和漢コラーゲンの力」の項に「壮髪(黒髪サプリ)『1ヶ月分』【和漢コラーゲンのアキョウ配合】」「※黒髪に大切な成分であるコラーゲン、カルシウム、鉄分、アミノ酸19種類、天然ミネラル27種類含有。」との記載(http://sv21.wadax.ne.jp/~suply1-com/product_info.php/products_id/1666)。
サ 「美 マリオン」の見出しのもと、「資生堂が、『フューチャーソリューショントータルクリーム』を発売。肌に潤いを与えるヒアルロン酸の生成を促進する新開発成分『ハイドロインフュージョンコンプレックス』と、和漢植物エキスなどが入った、コラーゲンの生成に働きかける成分『INFコンプレックス』を配合。」との記事(2002.11.06 朝日新聞東京夕刊 7頁)。
シ 「クラシエHP、植物エキス配合のオールインワン化粧水発売」の見出しのもと、「化粧水にはハチミツと海洋性コラーゲン、美容液にはバラ、ベニハナ、ザクロ花の各エキスを、乳液にはカカオ脂をそれぞれ保湿成分として配合した。同ブランドは和漢植物エキスを有効成分にしている化粧品で、これまでに化粧水、乳液など5品でシリーズ構成。」との記事(2008.08.14 化学工業日報 5頁)。
ス 「注目の一品/日東メディカル-サプリメント『優美参』」の見出しのもと、「日東メディカルは純粋培養のおたねニンジン(朝鮮ニンジン)を主成分としたサプリメント『優美参(ゆうびじん)』を発売した。おたねニンジンのほか、ショウガやサンショウの和漢植物、ローヤルゼリー、コラーゲンなどを配合し、飲みやすいソフトカプセルにした。」との記事(2009.03.16 日刊工業新聞 16頁)。
セ 「商品ニューフェース=セブン&アイ向けクリーム-コーセー」の見出しのもと、「コーセーは、セブン&アイ・ホールディングスの化粧品プライベートブランド(PB)『潤肌粋(じゅんきすい)』から『うるおいリフトBBクリーム』を11月1日発売。美容液から化粧下地まで1本で五つの効果を持つのが特徴。保湿効果の高い和漢植物に加え、ヒアルロン酸やコラーゲンを配合し、日焼け止め効果もある。」との記事(2010.10.27 静岡新聞朝刊 6頁)。
ソ 「体温1度上げ美肌 広貫堂が入浴剤=富山」の見出しのもと、「広貫堂(富山市)は、体温を1度上げてホルモンバランスを整え、3段階で美肌につなげるという和漢ハーブ入り入浴剤『姫肌』シリーズ3種類をネット通販限定で発売した。ステップ1の『姫肌とろみリッチ』はトウガラシやショウガのエキスにミネラル塩、脂肪分解酵素『リパーゼ』を配合。ステップ2『姫肌すっきりクリア』で角質や毛穴の汚れを取り、ステップ3『姫肌うっとりセレブ』がコラーゲンやヒアルロン酸の力で、肌にうるおいを与えるというもの。」との記事(2011.05.27 読売新聞東京朝刊 28頁)。
タ 「自社栽培楮で美容マスク 土佐市・三昭紙業 肌に密着 保水性も」の見出しのもと、「土佐楮(こうぞ)の再興に取り組んでいる三昭紙業(土佐市北地、森沢正博社長)が、自社の楮を使ったフェースシート『りぐる夢美肌マスク』を開発。県内で販売を始めた。(中略)新商品は独自の不織布3層シートで、肌に触れる1層目に楮を、2層目に繊維の短いパルプを使っている。化粧成分はコラーゲンやヒアルロン酸、セラミド、和漢植物エキスや海洋深層水を加えた。」との記事(2011.07.27 高知新聞朝刊 7頁)。
2 以上によれば、健康食品や化粧品等の分野では、「和漢」の文字が和漢薬に由来する原材料であることを表すものとして使用されており、また、和漢と原材料等を組み合わせた「和漢○○」として「和漢素材」「和漢サプリ」「和漢ハーブサプリメント」「和漢エキス」「和漢植物」「和漢ハーブ」の各文字及び「和漢コラーゲン」の文字についても普通に使用されているものと認められる。
そうとすると、「和漢コラーゲン」の文字は、健康食品や化粧品等を取り扱う業界において、「日本の漢方で天然由来の成分のコラーゲン」程の意味合いを認識させるに止まるものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標の「和漢コラーゲン」の文字は、その指定商品「コラーゲン」に使用しても、その取引者、需要者は、「日本の漢方で天然由来の成分のコラーゲン」であるとの商品の品質、原材料(成分)を表示したものと認識するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を有しないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

第4 審尋に対する請求人の回答(要点)
審尋で指摘された(2)のケ及びコの「和漢コラーゲン」は出願人の商品を紹介したページであり、指摘の事項は当たらない。
また、「和漢」の文字は、「日本と中国、?の歴史」「和文と漢文」「和学と漢学」という程度の意味しかなく、本願商標の「和漢コラーゲン」という商標からは「日本と中国のコラーゲン」といった程の意味しか認識できず、特定商品の品質を表しているとはいえず、本願の「和漢コラーゲン」は全体をもって造語的な商標である。
仮に、「和漢」が「和漢薬に由来する原料であることを表す」としても、本願の指定商品「コラーゲン」は、第1類の原料としてのコラーゲン自体を指定商品としており、本願の指定商品との関係で、「和漢薬に由来する原料であることを表す」は考えられないから、「和漢」なる語が、当該指定商品の品質を表すことはなく、直接的に何ら関連性を有していない。
商標法第3条1項第3号は、「その商品の・・・」とあるように、指定商品との関係で、単にその商品の品質、原材料を表示する場合には、この登録を認めない趣旨であるが、本願の指定商品である第1類「コラーゲン」と、審判官が指摘した健康食品等に関する第29類等の分野は明らかに商品が異なっており、この明らかに異なる分野における事実に基づいて、これを普通に用いられていると認定することは、明らかに失当である。
さらに、上記のことは、第1類「コラーゲンフル」、「海の恵みのコラーゲン」及び第33類「和漢焼酎」の商標が登録されている審決例を見ても明らかである。
その他、インターネットの検索エンジンを使って「和漢コラーゲン」を検索しても、出願人が使用しているのみで、その他に一般的に使用されている事実もない。

第5 当審の判断
1 本願商標についてした上記第3の審尋は、妥当であって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)本願は、第1類の原料としてのコラーゲン自体を指定商品とするものであり、指摘された健康食品等に関する分野は明らかに商品が異なっており、この明らかに異なる事実に基づいて、本願商標を普通に用いられていると認定することは、失当である旨主張している。
しかしながら、本願指定商品である「コラーゲン」は、化粧品や健康食品等の原材料として使用されるものであるから、その需要者はこれらの化粧品や健康食品等の製造者である。
そして、商標が商標法第3条第1項第3号に該当するかどうかは、その商品の取引者及び需要者の認識によるから、本願商標について、その需要者である化粧品や健康食品の製造者の認識に基づいて判断すべきである。
(2)「和漢コラーゲン」は出願人の商品を紹介したページである。また、インターネットの検索エンジンを使って「和漢コラーゲン」を検索しても、出願人が使用しているのみで、その他に一般的に使用されている事実もない旨及び「和漢」の文字は、「日本と中国」等の意味しかなく、本願商標の「和漢コラーゲン」という商標からは「日本と中国のコラーゲン」といった程の意味しか認識できず、本願商標は全体をもって造語的な商標である旨主張している。
しかしながら、本願指定商品の需要者の認識に基づいて判断すべきものであり、本願商標が、その指定商品の取引者、需要者の間で、当該商品の品質、原材料(成分)を表示するものとして認識されることは、上記第3の認定のとおりである。
(3)「和漢」及び「コラーゲン」の文字を含む過去の登録例、審決例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号等に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それら過去の登録例、審決例をもって本願商標の登録の適否についての判断基準とするのは、必ずしも適切でない。
(4)したがって、請求人の上記主張はいずれも採用することができない。
3 むすび
以上のとおり、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-11-16 
結審通知日 2011-11-17 
審決日 2011-11-29 
出願番号 商願2009-35526(T2009-35526) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小俣 克巳
小畑 恵一
商標の称呼 ワカンコラーゲン、ワカン 
代理人 粕川 敏夫 

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