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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X182425
審判 全部申立て  登録を維持 X182425
審判 全部申立て  登録を維持 X182425
管理番号 1250052 
異議申立番号 異議2010-900412 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-12-22 
確定日 2012-01-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5356474号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5356474号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5356474号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年6月10日に登録出願され、第18類「スーツケース用ベルト,ポーチ,巾着袋,その他のかばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,携帯用化粧道具入れ,傘,皮革」、第24類「ビーチタオル,バスタオル,スポーツタオル,その他のタオル,手ぬぐい,ハンカチ,その他の布製身の回り品,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,織物製トイレットシートカバー,織物製いすカバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,布製ラベル」及び第25類「シャツ,バンダナ,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年9月8日に登録査定、同月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第7号について
本件商標の商標権者は、東京都墨田区押上に建設中の電波塔の名称である「東京スカイツリー」の事業主体である登録異議申立人「東武鉄道株式会社」及び登録異議申立人「東武タワースカイツリー株式会社」(以下両者を合わせて「申立人ら」という。)と何ら関係のない一私人であり、事業主体の許諾がないにもかかわらず、「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状を本件商標の一部(中央)に用いた巧妙な模倣による商標を出願し、商標登録されている。
また、「東京スカイツリー」は電波塔及び観光施設としての公益的な役割を有するとともに、その特徴的な外形形状は、デザイン発表日(2006年11月24日)以降マスコミ報道等により連日話題が取り上げられ、著名の域にある(甲第5-1号証ないし同第12号証等)。
以上のとおり、本件商標の商標権者は「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状や著名性、公益性を知って本件商標を登録出願したものと推認される。
本件商標は、「東京スカイツリー」の著名性にあやかろうとする意図があり、他人の名声名誉にただ乗りする行為により出願されたものである。「東京スカイツリー」の事業主体と無関係の第三者に登録を認めることは、一般的道徳観念に反して公正な競業秩序を害するとともに、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、著名な「東京スカイツリー」の完成図の形状(以下「引用標章」という。)を有して構成されていることから、需要者をして著名な「東京スカイツリー」を直感的に想起させるものである。
すなわち、引用標章の著名性や公益性、事業主体である申立人らの事業展開を勘案すると、「東京スカイツリー」の事業主体と何ら関係のない一私人である商標登録出願人が本件商標の付された商品等を使用した場合、その商品が「『東京スカイツリー』の事業主体」または「『東京スカイツリー』の事業主体と組織的又は経済的に何らかの関連のある者」の事業に係る商品であるかの如く需要者に認識され、出所混同を生じるおそれがある。
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品等と出所混同を生じるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
引用標章は多数の雑誌、全国紙及び業界紙に記されている周知・著名な標章である。
引用標章の事業主体等と何ら関係のない本件商標の商標権者が、他人の周知・著名な引用標章と類似する本件商標を使用する行為は、引用標章の著名性や公益性、化体した信用に不当にフリーライドしようとするものと言うべきであり、商標法第4条第1項第19号の「不正の目的をもって使用する」行為に該当する。
以上のとおり、他人の著名な引用標章と類似する本件商標を不正の目的をもって使用する行為に該当し、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(3)むすび
上述のとおり、本件商標は、商標法第第4条第1項第7号、同15号及び同19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)本件商標と引用標章との類似性について
本願商標の構成は、別掲1のとおり、図形と文字の組み合わせよりなるところ、構成中に描かれている図形は、円弧上の大地に高いビルや低いビルを放射状に表し、中央には高いビルの5倍ほど大きい高い塔を垂直に配し、その右側には鉄橋があり、その上空には花火3つが表され、星が塔の周辺及び空全体に散在し、三日月が右上空に配された風景を抽象的に黒くシルエット風に描き、都会の風景をまとまりよく描いてなるものであり、その図形部分において塔の部分のみが強く印象に残るものともいうことができない。
これに対し、引用標章は、別掲2のとおりの構成からなるところ、これよりは一義的に特段の称呼及び観念を生じないというのが相当と解し得る。なお、申立人らの主張及び提出に係る証拠を勘案し、それらを参酌するとの前提に立つときには、「トウキョウスカイツリー」の称呼及び「東京スカイツリー」の観念を生ずる場合があることを否定するものではない。
そこで、本件商標と引用標章とを対比すると、両者は、それぞれの上記外観上の特徴において明らかな差異があることから、それぞれを時と処を別にして観察しても、外観上判然と区別し得るものであり、称呼及び観念のいずれの点においても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(2)商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号については、同号の趣旨からすれば、当該商標の構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字、図形である場合など、その商標を使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反する場合、他の法律によって当該商標の使用等が禁止されている場合、当該商標ないしその使用が特定の国若しくはその国民を侮辱し又は一般に国際信義に反するものである場合がこの規定に該当することは明らかであるが、それ以外にも、特定の商標の使用者と一定の取引関係その他特別の関係にある者が、その関係を通じて知り得た相手方使用の当該商標を剽窃したと認めるべき事情があるなど、当該商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合も、この規定に該当すると解するのが相当である(知的財産高裁平成16年(行ケ)第7号、平成16年12月21日判決参照)。
これを本件についてみれば、本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字、図形からなるものではないし、その使用が他の法律等によって禁止されているものでもなく、特定の国民を侮辱したり国際信義に反するものでもない。
そして、前記(1)で認定したとおり、本件商標は、引用標章とは非類似の商標であり、本件商標が直ちに引用標章に化体した名声・名誉等にただ乗りし、不正の利益を得るために使用する目的で本件商標を出願し、登録を受けたものということはできず、本件商標権者の行為が、直ちに信義則に反するものともいえず、たとえ本件商標権者が引用標章及び申立人らの存在を知りながら本件商標を登録出願したものであるとしても、本件商標が引用標章を剽窃したものであることを窺わせるような事実はなく、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるものともいえない。
してみれば、本件商標は、一般的道徳観念に反して公正な競業秩序を害するとともに、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
前記(1)の認定のとおり、本件商標は、引用標章とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうとすると、本件商標は、その指定商品に使用したとしても、これに接する需要者をして、申立人らまたは引用標章を想起させるとは認められず、当該商品を申立人らまたは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
前記認定のとおり、本件商標と引用標章とは、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標であるばかりでなく、申立人らの提出の証拠を徴するに、商標権者が不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる証拠の提出もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用標章「東京スカイツリー」の完成図の形状)



異議決定日 2011-12-22 
出願番号 商願2010-46118(T2010-46118) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X182425)
T 1 651・ 22- Y (X182425)
T 1 651・ 222- Y (X182425)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 丈晴半田 正人 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
前山 るり子
登録日 2010-09-24 
登録番号 商標登録第5356474号(T5356474) 
権利者 株式会社バンガード
商標の称呼 グリーティングフロムトーキョージャパン、グリーティングフロムトーキョー、グリーティングフロム 
代理人 藁科 孝雄 
代理人 山川 雅男 
代理人 川岡 秀男 
代理人 藁科 孝雄 

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