• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) X28
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) X28
管理番号 1250041 
異議申立番号 異議2010-900409 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-12-09 
確定日 2011-12-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5356207号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5356207号商標の指定商品中「釣針」についての商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5356207号商標(以下「本件商標」という。)は、「HINERI」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年6月2日に登録出願され、第28類「釣り具」を指定商品として、平成22年8月12日に登録査定、同年9月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、「HINERI」の文字よりなるものであり、「ひねり」または「ヒネリ」の音をローマ字化したものと直ちに認識できるものである。
しかして、商品「釣針」を取り扱う業界及び需要者においては、「ひねり」または「ヒネリ」は、釣針の針先を正面にして見たときに針先を左右いずれかにねじってある形状のものを「ひねり」と称し、カタログやホームページなどにおいて「ひねり」または「ヒネリ」と広く使用されている事実がある(甲2ないし甲10)。
したがって、本件商標は、上記形状の釣針に使用するときは、その品質表示と認識されるものであるから、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、前記以外の「釣針」に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その指定商品中「釣針」についての登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成23年8月19日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。

(1)釣針における「ひねり」の語の使用状況について
釣り具を取り扱う業界においては、釣針の形状について、針先から胴を見た場合、先曲がりから針先までの立ち上がり針軸を右側にひねった形状をしているものを「ひねり」と称しており(甲2(株式会社オーナーばりウェブサイト),甲10(はり秀株式会社ウェブサイト))、ひねり加工をした釣針の効果は、魚が針がかりしたときに針がより深く魚肉を捉えながら刺りやすくすることにあると考えられる(甲2)。
そして、「ひねり」の語が、上記釣針の形状を表示するものとして以下のように使用されている。
ア 昭和62(1987)年2月株式会社土肥富(商号変更前も含む。登録異議申立人、以下「申立人」という。)作成の商品カタログ「釣針・サルカン・ルアー」には釣針の図とともに「海津ヒネリ」「チヌヒネリ」の表示がされている(甲3)。
イ 平成13(2001)年1月申立人作成の商品カタログ「EAGLE FISHING HOOKS CATALOG」の9866磯丸、9541改良太刀魚及び4315三徳針の各項には釣針の図とともに「ひねり」の表示がされている(甲4)。
ウ 平成14(2002)年6月申立人作成の商品カタログ「JUST HOOKS」のNo.9866磯丸及びNo.9491改良太刀魚の各項には釣針の図とともに「ひねり」の表示がされている(甲5)。
エ 平成19(2007)年6月申立人作成の商品カタログ「JUST HOOKS FISHING TACKLE CATALOG」のNo.9866磯丸、No.9943浦島針及びNo.9944浦島針ケン付の各項には釣針の図とともに「ひねり」の表示がされている(甲6)。
オ 平成13(2001)年1月株式会社がまかつ作成の商品カタログ「gamakatsu Fishing Gear Collection 2001」の秋田袖12003、改良チップ12165、ニジマス12033、マス12032、投専用キス12278、ふかせチヌ66704、同66705、アブミ12201、細地チヌ12275、同12287、海津12229、磯釣12214、磯尼12215、伊豆メジナ12212、オクトバス12220、舞鯛(イガミ)12282及びケン付舞鯛(イガミ)12283の各項には釣針の図とともに「ヒネリ」の表示がされている(甲7)。
カ 平成14(2002)年1月森源釣漁具株式会社作成の商品カタログ「2002 MORIGEN FISHING TACKLE CATALOGUE」のEV-2エボリューション サーモン、EV-4エボリューション ボンバーキス、EV-6エボリューション ボンバーカレイ、EV-7エボリューション ヒラメ親針専用、EV-12エボリューション フカセラージリング、634チヌ極細、624チヌ、626胴打ちチヌ、824海津、532サーフキス、534カレイ(キス)、739小アジネムリ、713太軸丸セイゴ、714丸セイゴ、729ケン付丸セイゴ及び374ネムリセイゴの各項には釣針の図とともに「ひねり」の表示がされ、また813伊勢尼の項には「1号?12号太地ヒネリ付アリ」の表示がなされている(甲8)。
キ タイガー針のウェブサイトの釣針各部位の名称のイケ先の形状に「ヒネリ」がそれを表す絵記号と共に表示されている(甲9)。
以上の事実によれば、本件商標の登録査定時には、釣り具を取り扱う業界においては、「ひねり(ヒネリ)」の語は、針先から胴を見た場合、先曲がりから針先までの立ち上がり針軸を右側にひねった形状をしている釣針を表すものとして広く認識され、使用されていることが認められる。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本件商標は、「HINERI」の欧文字よりなるところ、該文字は、「ひねり(ヒネリ)」の文字をローマ字により表したものと容易に認識されるものである。
そして、前記のとおり、本件商標の登録査定時には、釣り具を取り扱う業界において、「ひねり(ヒネリ)」の語が、針先から胴を見た場合、先曲がりから針先までの立ち上がり針軸を右側にひねった形状をしている釣針を表すものとして広く認識され、使用されていることが認められるから、本件商標をその指定商品中の「ひねり加工をした釣針」に使用するときは、自他商品の識別力を有せず、単に商品の品質又は形状を表すにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の「釣針」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

4 商標権者の意見
本件商標について、前記3の取消理由を通知し、相当な期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断
本件商標は、上記3で述べたとおりの取消理由があるものと認められる。
したがって、本件商標は、その指定商品中「釣針」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-11-02 
出願番号 商願2009-40762(T2009-40762) 
審決分類 T 1 652・ 272- Z (X28)
T 1 652・ 13- Z (X28)
最終処分 取消  
前審関与審査官 半田 正人高橋 厚子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2010-09-24 
登録番号 商標登録第5356207号(T5356207) 
権利者 株式会社モーリス
商標の称呼 ヒネリ 
代理人 藤田 邦彦 
代理人 藤田 典彦 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ