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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 X36
審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 X36
管理番号 1249993 
審判番号 不服2010-21579 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-27 
確定日 2012-01-24 
事件の表示 商願2009- 94362拒絶査定不服審判事件についてした,平成23年5月19日にした審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成23年(行ケ)第10205号,平成23年11月30日判決言渡)があったので,さらに審理の上,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,「けんしんスマートカードローン」の文字を横書きしてなり,第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入のあっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等精算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,企業の信用に関する調査,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与」を指定役務として,平成21年12月14日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,その商標権は,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3307914号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成4年7月31日に特例商標登録出願,第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替」を指定役務とし,同9年5月16日に特例商標及び重複商標として設定登録,その後,同19年5月11日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(2)登録第3307915号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成4年7月31日に特例商標登録出願,第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替」を指定役務とし,同9年5月16日に特例商標及び重複商標として設定登録,その後,同19年5月11日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(3)登録第3317525号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成4年9月5日に特例商標登録出願,第36類「預金の受入れ及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,国債証券・地方証券若しくは政府保証債権の引受け,国債証券・地方証券若しくは政府保証債権の募集又は売出しの取扱い」を指定役務とし,同9年5月30日に特例商標及び重複商標として設定登録,その後,同19年8月24日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(4)登録第3322259号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲4のとおりの構成からなり,平成4年8月3日に特例商標登録出願,第36類「 預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付及び手形の割引,内国為替取引,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり」を指定役務とし,同9年6月13日に特例商標及び重複商標として設定登録され,その後,同19年6月22日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(5)登録第3343670号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲5のとおりの構成からなり,平成4年9月30日に特例商標登録出願,第36類「預金の受入れ及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の精算」を指定役務とし,同9年9月5日に特例商標及び重複商標として設定登録,その後,同19年12月28日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(6)登録第3343671号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲6のとおりの構成からなり,平成4年9月30日に特例商標登録出願,第36類「預金の受入れ及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の精算」を指定役務とし,同9年9月5日に特例商標及び重複商標として設定登録,その後,同19年12月28日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(7)登録第4096392号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲6のとおりの構成からなり,平成4年9月30日に商標登録出願,第36類「有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引,有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,金融に関する情報の提供,年金に関する情報の提供,生命保険に関する情報の提供,損害保険に関する情報の提供,税金に関する情報の提供,財務に関する情報の提供,生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理,建物の管理,建物の貸与,建物の売買,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸与,土地の売買,建物又は土地の情報の提供,企業の信用に関する調査」を指定役務として,同9年12月26日に設定登録,その後,同20年3月25日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
なお,引用商標1ないし7を一括していうときには,単に「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,「けんしんスマートカードローン」の文字を横書きしてなるものであるところ,「けんしん」の文字部分が平仮名で,「スマートカードローン」の文字部分が片仮名で表記されているものの,各文字が,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で表記されており,全体がまとまった印象を与えている。
また,本願商標の構成文字中「カードローン」部分は,クレジットカードなどを利用した融資を意味し(自由国民社発行「現代用語の基礎知識(2011年1月1日発行)」),資金の貸付けを含む指定役務に使用された場合には,その役務の普通名称を表示するものと理解される。また,「スマート」部分は,賢い,頭のよい,体型がよい,質が高いなどを意味する語であると理解される(株式会社集英社発行「imidas 現代人のカタカナ語・欧文略語辞典(2006年4月30日第1刷発行)」及びフリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」)。他方,「けんしん」部分は,資金の貸付け等を行う取引者,需要者においては,「県信用組合」の略称と理解される場合があることを否定することはできないものの,平仮名で表記されており,一義的に理解される語とまではいえない。
そうすると,本願商標は,「けんしん」,「スマート」,「カードローン」のいずれかが,出所識別標識としての機能を有する特徴部分であるということはできず,取引者,需要者は,一体のものとして認識,理解するものと解され,平仮名で表記された「けんしん」部分のみが役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認めることはできない。
したがって,本願商標からは,一体として「ケンシンスマートカードローン」の称呼のみが生じる。また,本願商標の「カードローン」部分は,上記のとおり,取引者,需要者にとって,クレジットカードなどを利用した融資との観念が生じ,「スマート」部分は,賢い,頭のよい,体型がよい,質が高いなどの観念が生ずるが,「けんしん」部分は,一義的な観念を生じるとまではいえない。
(2)引用商標について
引用商標1,4,6及び7は,別掲1,4及び6のとおり,それぞれが,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で,「けんしん」の文字を横書きした外観を有している。また,引用商標2は,別掲2のとおり,横長の矩形において,右4分の3の部分が赤色に,左4分の1部分が白色に塗り分けられ,赤色の部分には,白抜きの文字により,「けんしん」の文字が横書きされ,白色の部分には,赤色で描かれた半円(底面を下にした場合に円弧の右側にわずかに切り欠きがある)を2個上下に組み合わせて円形になるように表記した図形が配置された外観を有している。さらに,引用商標3は,別掲3のとおり,赤色で縦長の楕円形の中に,白抜きの文字により,「けんしん」の文字を縦書きした外観を有し,引用商標5は,別掲5のとおり,青色で横長の楕円形の中に,白抜きの文字により,「けんしん」の文字を横書きした外観を有している。
上記引用商標は,いずれも「ケンシン」の称呼が生じ,資金の貸付け等を行う取引者,需要者においては,「県信用組合」の略称であるとの観念を生じることを否定できないものの,平仮名で表記されていることから,一義的な観念を生じるとまではいえない。
(3)取引の実情等について
当審における職権調査によれば,県信用組合は,組合員により構成される協同組合組織の金融機関であり,その営業活動は,県内に限られており,同一県内に複数の県信用組合が存在しない。少なくとも,「秋田県信用組合」,「福島県商工信用組合」,「茨城県信用組合」(請求人),「新潟縣信用組合」,「長野県信用組合」,「富山県信用組合」,「愛知県中央信用組合」,「滋賀県信用組合」,「兵庫県信用組合」,「広島県信用組合」,「香川県信用組合」,「熊本県信用組合」,「大分県信用組合」は,略称として,「けんしん」ないし「ケンシン」を使用している。また,引用商標について,「新潟縣信用組合」,「長野県信用組合」,「富山県信用組合」及び「滋賀県信用組合」は,それぞれ「けんしん」関連の商標について特例商標,重複商標として商標登録を受けている。
(4)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は,「けんしんスマートカードローン」の文字を横書きしてなるものであるが,各文字が,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で表記されており,全体がまとまった印象を与えているのに対し,引用商標は,「けんしん」の文字を横書き又は縦書きしたもの,あるいはこれと図形を組み合わせたものであり,両商標は,外観において,相違する。
そして,本願商標は,「ケンシンスマートカードローン」との称呼が生じるのに対し,引用商標は,「ケンシン」との称呼が生じ,両者は,類似するとまではいえない。
また,本願商標の「カードローン」部分は,取引者,需要者にとって,クレジットカードなどを利用した融資との観念が生じ,「スマート」部分は,賢い,頭のよい,体型がよい,質が高いなどの観念が生ずるが,「けんしん」部分は,一義的な観念を生じるとまではいえないのに対し,引用商標も一義的な観念を生じるとまではいえず(もっとも,「県信用組合」の略称であるとの観念を生じることを否定するものではない。),両商標は,観念において,同一ではなく,類似するとまではいえない。
さらに,取引の実情について,県信用組合は,組合員により構成される協同組合組織の金融機関であり,その営業活動は,県内に限られていること,同一県内に複数の県信用組合が存在しないこと等を総合考慮するならば,取引者,需要者が,その役務の出所について,混同を来すことは想定できない。
以上によれば,本願商標と引用商標とは外観,称呼において相違し,観念が類似するとまではいえず,取引の実情等を考慮しても,本願商標がその指定役務に使用された場合に,引用商標との間で役務の出所に誤認混同を生じさせるおそれはないから,両商標は,類似しない。
(5)結び
したがって,本願商標の構成中,「けんしん」の文字部分も独立して自他役務の識別標識としての機能を有するとし,本願商標と引用商標が「ケンシン」の称呼を共通にする類似の商標であるとして,本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当でなく,取消しを免れない。
その他,政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
引用商標1



別掲2
引用商標2(色彩については原本参照のこと)



別掲3
引用商標3(色彩については原本参照のこと)



別掲4
引用商標4



別掲5
引用商標5(色彩については原本参照のこと)



別掲6
引用商標6及び7



審理終結日 2011-04-26 
結審通知日 2011-04-27 
審決日 2011-05-19 
出願番号 商願2009-94362(T2009-94362) 
審決分類 T 1 8・ 262- WY (X36)
T 1 8・ 261- WY (X36)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池田 光治平澤 芳行吉田 昌史 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 森山 啓
田中 亨子
商標の称呼 ケンシンスマートカードローン、ケンシンスマートカード、ケンシンスマート、ケンシン、スマートカードローン、スマートカード 
代理人 中川 邦雄 

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