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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X33
審判 一部申立て  登録を維持 X33
審判 一部申立て  登録を維持 X33
審判 一部申立て  登録を維持 X33
管理番号 1248193 
異議申立番号 異議2011-900333 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-09-10 
確定日 2011-12-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5417996号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5417996号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5417996号商標(以下「本件商標」という。)は,「芋かなた」の文字を標準文字で表してなり,平成23年1月12日に登録出願,第33類「芋焼酎,芋焼酎を加味したリキュール・サワー,芋焼酎を加味した果実酒,芋を使用した中国酒,芋を使用した薬味酒」を指定商品として,同年5月17日に登録査定,同年6月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4383125号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおり,「かなた」の平仮名を表してなり,平成11年4月1日に登録出願,第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として,平成12年5月19日に設定登録,その後,商標権の存続期間の更新登録がなされ,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は,本件商標はその指定商品中「芋焼酎」について商標法第4条第1項第11号及び同第10号に該当するから取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,文字全体を一体的に把握し得るものである。しかしながら,漢字の「芋」の部分と「かなた」の文字間には,強いて考慮すべき密接な連結性はなく,また,特段の意味,観念を生じさせるものともいえない。
そして,本件商標は,指定商品「芋焼酎」との関係で,「芋」の文字は,商品の原材料表示として自他商品の識別力は弱い。そうとすれば,一般需要者は,「かなた」の部分をより強い識別性をもって本件商標を把握するものである。
これに対し,引用商標は,やや特徴的な筆書き体で「かなた」のひらがなを一連に表示したものである。「かなた」の文字は,他に同音異義語がほとんどないこともあり,通常は,漢字「彼方」を直感し,これには,「遠く離れた方。あちらの方。あなた。むこう。」等の意味を有している(広辞苑)。
そして,引用商標からは「カナタ」の一連の称呼を生じさせることは明白である。
このように,引用商標は,観念上「遠く離れた方」等の意味を有し,「カナタ」の称呼を生ずるものである。
以上より,強い識別性をもって把握される「かなた」の文字部分を有する本件商標と,「かなた」の文字からなる引用商標とは,称呼及び観念において類似し,彼此混同を免れない類似の商標である。
したがって,本件商標と引用商標とは,「カナタ」の称呼及び観念を共通にする類似の商標であり,また,その指定商品も同一又は類似のものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は,平成13年1月4日以来,商品「米焼酎」について,九州各県ばかりでなく全国的にも広く使用し今日に至っており,少なくとも本件商標の出願時である平成23年2月3日の時点では,申立人の商品である米焼酎を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものである。
したがって,本件商標は,他人の業務に係る商品として需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって,その商品またはこれらに類似する商品について使用するものであることは,明らかである。
(3)結び
本件商標は,その指定商品中,第33類「芋焼酎」について,商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して登録されたものであるから,商標法第43条の3第2項の規定により登録を取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は,前記1のとおり,「芋かなた」の文字からなるところ,構成各文字は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔をもって一体的にまとまりよく表されているものである。
そして,「芋」の文字部分は,「サトイモ・ヤマノイモ・ジャガイモ・サツマイモなどの総称。」( 広辞苑第六版)等を意味する語であるとしても,「芋かなた」と一連一体に表した本件商標に係る構成においては,特定の商品の品質等を具体的に表示したものと直ちに理解させるものともいい難いところであるから,むしろ構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
また,本件商標は,その構成文字から生ずる「イモカナタ」の称呼も冗長なものでなく,他に,「かなた」の文字部分のみが分離・抽出され,取引に供されるとみるべき格別の理由は見いだせない。
そうとすれば,本件商標は,その構成全体をもって一体のものと理解,把握されるものであり,構成文字全体に相応して「イモカナタ」の称呼のみを生じ,特定の観念は生じないものである。
してみれば,本件商標は,その構成中の「かなた」の文字部分が要部であることを前提にして,そのうえで,本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するものとする申立人の主張は,採用することができない。
その他,本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は見いだせない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人は,引用商標が「米焼酎」について使用される商標として需要者の間に広く認識されていたものであると主張し,甲第6号証ないし甲第26号証を提出している。
甲第6号証ないし甲第11号証及び甲第24号証ないし甲第26号証は,2003年(平成15年)ないし2011年(同23年)に発行された各種雑誌等に掲載された「焼酎」等の商品を紹介したページ(写し)又はカタログ(一部,写し)であり,甲第22号証は,「@舎ひとよし」の見出しによるインターネットホームページであるところ,これらによれば,本件商標を付した商品「米焼酎」が紹介され又は販売されていることが認められる。
そして,甲第20号証は,2007年(平成19年)1月31日付けの新聞記事,甲第21号証は,申立人のインターネットホームページ,甲第23号証は,楽天市場のインターネットショッピングモールの商品掲載情報(Copyright(c)1997-2011 Rakuten,Inc.・・との記載がある。)であるところ,これらによれば,本件商標を付した申立人の商品「米焼酎」が広告され又は販売されていることが認められる。
しかしながら,各種雑誌や楽天市場のインターネットショッピングモール等への掲載は,他の多くの商品と共に掲載されたものであって,新聞記事については,1紙に1回掲載されたことが確認できるのみである。
また,甲第12号証は,米焼酎「かなた」の売上本数,売上高推移表であるところ,2002年(平成14年)をピークに,その後徐々に下降していることがうかがえるものであり,本件商標の登録出願時に近い平成22年には,売上本数79,108本,売上金額,¥83,063,400との記載があり,売上金額は,日本全国で販売される「焼酎」の年間売上高(参考:「2010年 焼酎メーカー売上高ランキング50社」http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s110802_80.pdf#search='焼酎メーカー売上高ランキング')と比べ,決して高いものとはいうことができない。
さらに,甲第13号証は,720ml入り米焼酎「かなた」製品用の空びん納入の本数を証明する書面であるところ,2002年(平成14年)をピークに,その後徐々に下降していることがうかがえるものである。
その他,甲第14号証は,「かなた」の文字が表示された瓶及び包装用箱の写真,甲第15号証は,商品パンフレットを印刷したことの証明書であるが,3回にわたる納品があったものの,その合計は,9,000部であること,甲第16号証は,「かなたテーブルテント」の印刷,納品が,5,000枚であること,甲第17号証は,「かなたA4チラシ」の印刷,納品が,10,000枚であることを証明するものであるが,これらの部(枚)数は決して多いものということができない。
甲第18号証及び甲第19号証は,平成23年8月19日付けの合資会社大和一酒造元の代表社員及び同年8月22日付けの深野酒造株式会社の代表取締役による,申立人が製造販売している「かなた」の商標を付した米しょうちゅうの周知性について証明する旨の証明書であるが,該「証明書」は,各証明者がいかなる根拠に基づいてその旨を証明したものであるかが明らかではなく,該「証明書」をもって,引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者および需要者において広く認識されていることを証明するに足る証拠と認めることはできない。
他に,引用商標の我が国における使用開始時期,使用地域,営業の規模(店舗数,営業地域等),広告宣伝の方法,回数及び内容等を証する書面が提出されていないことから,確認することはできない。
そうとすれば,申立人提出に係る証拠によっては,本件商標の登録出願時及び査定時において,引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されているとまでは認めることができない。
さらに,本件商標と引用商標とは,前記(1)のとおり十分に区別し得る別異の商標であるから,商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,申立人の引用商標を想起,連想させるものではないというのが相当である。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号に違反してされたものではない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 <引用商標>




異議決定日 2011-12-02 
出願番号 商願2011-1235(T2011-1235) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (X33)
T 1 652・ 262- Y (X33)
T 1 652・ 25- Y (X33)
T 1 652・ 261- Y (X33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今田 三男 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小川 きみえ
田中 亨子
登録日 2011-06-10 
登録番号 商標登録第5417996号(T5417996) 
権利者 オエノンホールディングス株式会社
商標の称呼 イモカナタ、カナタ 
代理人 穴見 健策 

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