• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X1635
審判 全部申立て  登録を維持 X1635
管理番号 1248153 
異議申立番号 異議2011-900160 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-05-09 
確定日 2011-11-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5388611号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5388611号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5388611号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成22年9月24日に登録出願され、第16類「印刷物」及び第35類「インターネットによる広告,広告,広告に関する情報の提供,商品の展示即売会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,クーポン券の発行・清算及び管理並びにこれらに関する情報の提供,ポイントカードの発行・清算及び管理並びにこれらに関する情報の提供,ポイントカードの発行・清算の代行,ポイントカードの利用に関する情報の提供,販売促進のためのポイントの発行・清算及び管理並びにこれらに関する情報の提供,販売促進のためのポイントの発行・清算の代行,販売促進のためのポイントの利用に関する情報の提供,トレーディングスタンプの発行及びこれに関する情報の提供,経営の診断又は経営に関する助言並びにこれらに関する情報の提供,市場調査及び分析並びにこれらに関する情報の提供,商品の通信販売に関する情報の提供,商品の販売に関する情報の提供,商品の売買契約の媒介又は取次ぎ並びにこれらに関する情報の提供,ホテルの事業の管理,文書又は磁気テープのファイリング,通信販売に関する事務処理の代行,広告用具の貸与,広告用具の貸与に関する指導及び助言,広告用具の貸与に関する情報の提供,ウェブサイト上の広告スペースの貸与」を指定商品及び指定役務として、同年12月16日に登録査定、同23年2月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
なお、以下の登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。
(1)国際登録第1034295号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、2010年3月10日に欧州連合においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2010年(平成22年)5月12日に国際商標登録出願(事後指定)、第9類「Magnetic charge cards and credit cards, computer software.」、第16類「Printed matter, cheques, plastic cards for charge cards and credit cards (non-magnetic); writing materials and office requisites (except furniture); teaching materials (except apparatus).」、第35類「Advertising, namely marketing of merchant's goods and services abroad through distribution of printed matter and discount cards; business management, business administration.」及び第36類「Financial services, namely arranging and providing for the refund of value-added tax for tourists.」を指定商品及び指定役務として、平成23年11月4日に設定登録されたものである。
(2)登録第4398038号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、平成10年2月16日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」及び第36類「旅行者に対する付加価値税の払戻しに関する税務代理,両替,預金の受入れ,外国為替取引」を指定商品及び指定役務として、同12年7月7日に設定登録、その後、同23年1月11日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1は、いずれの商標においても要部である「TAX FREE」の部分は共通するので、いずれの商標においても「タックスフリー」の称呼及び「免税」の観念が生じる。
よって、外観、称呼及び観念の判断要素の総合的に考察した場合、本件商標は、引用商標に類似する。
また、本件指定役務は、引用商標1の指定役務と同一又はこれらに類似する役務である。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当するものである。
(2)引用商標の周知著名性について
ア 引用商標の世界的な周知著名性について
申立人は、1980年に設立され、30年以上にもわたり、ヨーロッパを中心に海外ショッピングの際の付加価値税(VAT:Value Added Tax)の払い戻しサービス(以下「使用役務」という。)を中心に事業展開し、拡大し続けている。ハウスマークである引用商標は、現在40か国以上にある申立人の加盟店である、27万店舗の百貨店、アウトレット、ブランドショップなど、世界220か所の空港内のVATの払い戻しカウンター、60か所のカスタマーサービスセンターのウインドー等のステッカーや看板、包装袋、サイン書類に表示されている。また、毎年旅行者向けの4500万部のガイドブック、400万部以上のショップカタログには、引用商標が表示されている(甲第4号証)。2010年に社名を「グローバルリファンド」から「グローバルブルーホールディングス」に変更したのに伴い、引用商標2のロゴに変更されているが、引用商標のコンセプトには変わりはなく、引用商標は「TAX FREEマーク」として世界的に周知著名性であることは顕著な事実である。
イ 引用商標の日本での周知著名性について
引用商標は、年間1600万人を超える日本人海外旅行者のうち、申立人の加盟店等のある40か国に旅行するかなりの人数がその旅行国で申立人のサービスを受け、その際に引用商標に接し、引用商標は日本で周知になっているものである。さらに、成田空港や関空にも申立人サービスカウンターがあり、また、三越伊勢丹と業務提携し、この点でも引用商標の我が国での周知性は増している。
(3)本件商標の出所の混同のおそれについて
上記(2)のとおり、引用商標は、世界的な著名商標であり、また、日本でも周知性を獲得している商標であるから、本件商標と引用商標の役務の関連性の程度、需要者の共通性といった要素、事情を総合的に勘案した場合、引用商標に類似の本件商標が本件の指定商品及び指定役務に使用された場合、これに接する需要者は申立人の引用商標を想起し、役務の類似の範囲を超えて、需要者は申立人と何等かの関係がある者の提供する役務であるかのごとく誤認し、役務の出所について混同が生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

4 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否(商標法第8条第1項を含む。)について
ア 本件商標と引用商標について
(ア)本件商標について
本件商標は、黒色二重線の輪郭線内の黄色塗りの円内に、筆書体で「免税」の漢字とその下に左から右に下に向かって赤塗りの半弧を描く矢印図形内に白塗りゴチック体の「TAX FREE」の欧文字を書した構成からなるものである。
そして、その構成中に「租税の納付義務を免除すること」の意味を有する「免税」の文字及び「免税」を意味する「TAX FREE」の文字(いずれも、広辞苑第六版)を有するところ、該文字は、その指定商品及び指定役務との関係では、該商品が免税品であること、あるいは該役務が免税品に関連する役務であることを認識させるにとどまるものであるから、独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分である。
そうとすれば、本件商標は、その構成中の文字部分から商品及び役務の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきであって、構成全体をもって自他商品又は自他役務の識別標識として、取引に資されるものということができる。
(イ)引用商標1について
引用商標1は、縦長長方形内の上部正方形内に青色で濃淡を施した15の尖端を円形状に配した図形とその下に青色でゴシック体の「Global Blue」の文字を書し、さらにその下部に白抜きの「TAX FREE」の文字を書した構成からなるところ、その構成中の「TAX FREE」の文字は、その指定商品及び指定役務との関係では、該商品が免税品であること、あるいは該役務が免税品に関連する役務であることを認識させるにとどまるものであるから、独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分である。
そうとすれば、引用商標1は、その構成中の「TAX FREE」の文字部分から商品及び役務の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきであって、「Global Blue」の文字を含む構成全体をもって自他商品又は自他役務の識別標識として、取引に資されるものということができる。
(ウ)引用商標2について
引用商標2は、正方形の周囲を幅太の青色と灰色の二重線の矢印図形でその正方形の右側上部から右側下部までを取り囲むように描き、その正方形内に大きく顕著に「TAX」及び「FREE」の文字を併記し、その下に小さく「SHOPPING」の文字を書した構成からなるものであるところ、その構成中看者の注意をひく、大きく顕著に書された「TAX」及び「FREE」の文字部分からは、上記(イ)と同様の理由により、独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分である。
そうとすれば、引用商標2は、その構成文字中「TAX」及び「FREE」の文字部分から商品及び役務の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきであって、「SHOPPING」の文字を含む構成全体をもって自他商品又は自他役務の識別標識として、取引に資されるものということができる。
イ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標と引用商標1との類否について
上記アのとおり、本件商標と引用商標1は、その構成文字中の「TAX FREE」の文字部分から、独立した商品及び役務の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきである。
そうとすれば、本件商標と引用商標1とは、その構成中の「TAX FREE」の文字部分が要部であるとし、該文字部分より「タックスフリー」の称呼及び「免税」の観念を生ずることを前提に、本件商標と引用商標1とが類似の商標であるとする申立人の主張は、採用できない。
その他、本件商標と引用商標1とが類似する商標であるとすべき理由は見いだせない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、それぞれの指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもなく、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものではない。
(イ)本件商標と引用商標2との類否について
上記アのとおり、本件商標と引用商標2は、その構成文字中の「TAX FREE」の文字部分から、独立した商品及び役務の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきである。
そうとすれば、本件商標と引用商標2とは、その構成中の「TAX FREE」の文字部分が要部であるとし、該文字部分より「タックスフリー」の称呼及び「免税」の観念を生ずることを前提に本件商標と引用商標2とが類似の商標であるとする申立人の主張は、採用できない。
その他、本件商標と引用商標2とが類似する商標であるとすべき理由は見いだせない。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、非類似の商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、30年以上にわたり海外で買い物をした旅行者等に対し、使用役務を提供しており、現在世界40か国以上で、約27万店舗が申立人のサービスに加盟していることが認められる(甲4の21枚目)。
そして、申立人は、2010年2月の社名変更される前までの間、使用役務に引用商標2を使用し、社名変更後は、引用商標1を使用していることが認められる(甲4の2枚目、10枚目、20枚目)。また、我が国では、成田・関西両国際空港で使用役務を提供していることが認められる(甲4の12枚目)。さらに、2011年6月から三越伊勢丹グループと業務提携し、該グループのクレジット会員に向けタックスフリーショッピングに優遇レートを適用していることが認められる(甲4の20枚目)。
しかしながら、取引者、需要者間において、引用商標2は、本件商標の登録出願時には既に使用されていないものであり、また、引用商標1は、申立人の使用役務に係る出所を表示するものとしてある程度知られていたとしても、申立人は、我が国における使用役務の顧客・利用者数、加盟店数、事業実績、宣伝広告の状況等に関する証拠の提出もなく、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、周知著名なものとまでは認められない。
イ 誤認混同のおそれについて
上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない別異の商標であり、かつ、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国において周知著名なものであったとは認められないから、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用したとしても、これに接する需要者が申立人の引用商標を想起又は連想して、該商品及び役務を申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかの如く、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標1


(3)引用商標2


(注)上記(1)ないし(3)の商標の色彩について原本を参照されたい。

異議決定日 2011-11-18 
出願番号 商願2010-74655(T2010-74655) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X1635)
T 1 651・ 4- Y (X1635)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 丈晴鈴木 斎 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 田中 亨子
小川 きみえ
登録日 2011-02-04 
登録番号 商標登録第5388611号(T5388611) 
権利者 株式会社ジェイティービー
商標の称呼 メンゼー、タックスフリー 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 渡邊 隆 
代理人 網野 友康 
代理人 田中 彰彦 
代理人 豊崎 玲子 
代理人 志賀 正武 
代理人 石井 茂樹 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ