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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1248108 
審判番号 取消2010-301155 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-10-29 
確定日 2011-11-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4966299号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4966299号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字で「SWITCH.」と書してなり、平成17年10月19日に登録出願、第9類「眼鏡」を指定商品として、平成18年6月30日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成22年11月17日にされた。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙各号証について
(ア)乙第1号証は、商品を示す写真とのことであるが、ここには、文字が付された時期は明らかでなく、乙第1号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者が登録商標を使用したことを直接的に証明するものではない。
(イ)乙第2号証の1及び2は、商品の工場発注書とのことである。乙第2号証の1からは、2010年10月14日付けで、株式会社ソールトリック(以下「ソールトリック」という。)が富華光学工業有限公司に対し、品番「SWITCH.021」に係る商品を発注したことがうかがえる。また、乙第2号証の2からは、2010年10月14日付けで、ソールトリックがTELECO ENTERPRISE CO.,LTDに対し、品番「SWITCH.015」に係る商品を発注したことがうかがえる。
被請求人は、答弁の理由(1)アにおいて、乙第2号証の1及び2には「有限会社スウィッチ」が表示されていると主張するが、工場発注書1及び2は、ソールトリックが発注者であることから、ソールトリックの取引書類であって、商標権者の取引書類ではない。いわんや取引書類であって、商標の使用を証明するものではない。
したがって、乙第2号証の1及び2は、商標権者が登録商標の使用をしたことを証明するものではない。
(ウ)乙第3号証は、商品の値札を示す写真とのことである。そして、被請求人は、答弁の理由(1)ウにおいて、乙第3号証には登録商標が記載されていると主張する。
値札の表面には、「S」の文字を他の文字より大きく表した白抜きの「SWITCH.」の文字と、「S」の文字部分の周囲は円形状に、その他の文字部分の周囲は略長方形状に白抜きの線で囲んでなる図形部分とを結合した標章が表示されている。しかしながら、当該標章は、標準文字からなる登録商標と同一ではなく、登録商標と社会通念上同一とも認められない。
したがって、値札の表面に表示された標章の使用は、登録商標の使用とは認められない。
値札の裏面の下方には、電話番号とともに「SWITCH.」の文字の表示がある。当該表示は、電話番号を併記していることから明らかなように、値札が付された商品に関する問い合わせ等の連絡先を表示するものである。すなわち、商標権者の名称の略称を普通に表示したものであり、値札が付された商品を識別するものではない。
したがって、当該表示は、商号としての使用であるとしても、商標として使用されたものとはいえない。
したがって、値札の裏面に表示された「SWITCH.」は商標であるとはいえず、乙第4号証の1ないし乙第9号証の2は、指定商品についての登録商標の使用を証明するものとはいえない。
(エ)乙第10号証の1は、商品販売広告用のホームページとのことである。そして、矢印で示された先には「Copyright(C)2010 SWITCH.All Rights Reserved.」と表示されている。
被請求人は、答弁の理由(1)ウにおいて、乙第10号証の1には登録商標が記載されていると主張する。
しかしながら、「Copyright(C)2010 SWITCH.All Rights Reserved.」は、「当該ホームページ上の全ての著作権はSWITCH.が保有している」旨を表示するものであり、ここでは「SWITCH.」の文字は、明らかに商標権者の商号を表示するものであり、商品について使用するものではない。
したがって、当該箇所の「SWITCH.」の文字は商標ではない。
また、乙第10号証の1には、「S」の文字を他の文字より大きく表した白抜きの「SWITCH.」の文字部分と、「S」の文字の周囲は円形状に、その他の文字部分の周囲は、略長方形状に白抜きの線で囲んでなる図形部分とを結合した標章が表示されている。
しかしながら、当該標章は、標準文字からなる登録商標と同一ではなく、登録商標と社会通念上同一とも認められない。
したがって、当該標章の使用は、登録商標の使用とは認められない。
以上から、乙第10号証の2は、指定商品についての登録商標の使用を証明するものとはいえない。
(オ)乙第11号証の1はカタログ写しとのことである。当該カタログの表紙には、「S」の文字を他の文字より大きく書した「SWITCH.」が表示されている。当該表示は、「S」の文字を他の文字より大きく書してなり、登録商標と同一ではない。また、登録商標と社会通念上同一とも認められない。さらに、当該表示は、表紙に使用されているものであって、カタログに掲載された個々の商品について使用されていない。
したがって、当該表示は、商標権者の商号として表示されたものにすぎず、商標として使用されたものとはいえない。
加えて、乙第11号証の1ないし5には、当該カタログが展示若しくは頒布されたことが証明されていない。
したがって、乙第11号証の1ないし5は、商標権者が指定商品について登録商標を使用したことを証明するものではない。
(カ)乙第12号証の1は、商品宣伝広告用粗品である眼鏡のクリーナークロスとのことである。当該眼鏡のクリーナークロスには、「S」の文字を他の文字より大きく表した白抜きの「SWITCH.」の文字部分と、「S」の文字の周囲は円形状に、その他の文字部分の周囲は、略長方形状に白抜きの線で囲んでなる図形部分とを結合した標章が表示されている。
しかしながら、当該標章は、標準文字からなる登録商標と同一ではなく、登録商標と社会通念上同一とも認められない。
したがって、当該標章の使用は、登録商標の使用とは認められない。
(キ)乙第13号証の1は、本件商標権者の名刺を示す写真とのことである。当該名刺には、「S」の文字を他の文字より大きく表した白抜きの「SWITCH.」の文字部分と、「S」の文字の周囲は円形状に、その他の文字部分の周囲は、略長方形状に白抜きの線で囲んでなる図形部分とを結合した標章が表示されている。
しかしながら、当該標章は、標準文字からなる登録商標と同一ではなく、登録商標と社会通念上同一とも認められない。また、名刺に標章が表示されていることは、指定商品「眼鏡」と何ら関係がない。
したがって、乙第13号証の1及び2は、登録商標の使用を証明するものではない。
(ク)乙第14号証の1は、本件商標権者に係るメンバーズカードを示す写真とのことである。当該メンバーズカードには、「S」の文字を他の文字より大きく表した白抜きの「SWITCH.」の文字部分と、「S」の文字の周囲は円形状に、その他の文字部分の周囲は、略長方形状に白抜きの線で囲んでなる図形部分とを結合した標章が表示されている。
しかしながら、当該標章は、標準文字からなる登録商標と同一ではなく、登録商標と社会通念上同一とも認められない。また、当該メンバーズカードには、商標権者がサングラス専門卸である旨の記載はあるが、商標権者の業務に係る商品「サングラス」に関するものではない。
そうすると、当該はがき(審決注:「はがき」の文字は「メンバーズカード」の誤記と認める。)は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告、取引書類」には該当しない。
したがって、乙第14号証の1及び2は、登録商標の使用を証明するものではない。
(ケ)乙第15号証の1は、商品宣伝広告用はがきとのことである。
しかしながら、当該はがきには、商標権者がサングラスの卸売問屋であることが記載されているが、商標権者の業務に係る商品「サングラス」については宣伝広告されていない。
したがって、当該はがきは、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告」に該当しない。
また、当該はがきには、「S」の文字を他の文字より大きく表した白抜きの「SWITCH.」の文字部分と、「S」の文字の周囲は円形状に、その他の文字部分の周囲は、略長方形状に白抜きの線で囲んでなる図形部分とを結合した標章が表示されている。
しかしながら、当該標章は、標準文字からなる登録商標と同一ではなく、登録商標と社会通念上同一とも認められない。
したがって、乙第15号証の1及び2は、登録商標の使用を証明するものではない。
(コ)乙第16号証は商品宣伝広告証明書とのことである。被請求人は、乙第16号証により、商標の使用者、使用に係る商品、使用時期が証明されている旨主張する。
しかし、当該証明書には、番組内で商標権者の販売する眼鏡を衣装として使用したとあるのみであり、登録商標の使用を証明するものではない。
イ 以上のことから、被請求人が提出した証拠は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により指定商品「眼鏡」について使用されていることは証明されていない。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
ア 使用者
乙第2号証の1「商品の工場発注書1」及び乙第2号証の2「商品の工場発注書2」、乙第11号証の3「カタログの納品書」、乙第11号証の4「カタログの請求書」並びに乙第11号証の5「カタログの領収書」には、「有限会社スウィッチ」が表示されている。
また、乙第4号証の1「商品の納品書1」及び乙第4号証の2「値札を付された商品の納品証明書1」、乙第5号証の1「商品の納品書2」及び乙第5号証の2「値札を付された商品の納品証明書2」、乙第6号証の1「商品の納品書3」及び乙第6号証の2「値札を付された商品の納品証明書3」、乙第7号証の1「商品の納品書4」及び乙第7号証の2「値札を付された商品の納品証明書4」、乙第8号証の1「商品の納品書5」及び乙第8号証の2「値札を付された商品の納品証明書5」、乙第9号証の1「商品の納品書6」及び乙第9号証の2「値札を付された商品の納品証明書6」、乙第10号証の2「商品販売広告用のホームページの納品証明書」、乙第11号証の1「カタログ写し」及び乙第11号証の2「カタログの納品証明書」、乙第12号証の1「商品宣伝広告用粗品を示す写真」、乙第12号証の2「商品宣伝広告用粗品の納品証明書」、乙第12号証の3「商品宣伝広告用粗品の納品書」及び乙第12号証の4「商品宣伝広告用粗品の請求書」、乙第13号証の1「本件商標権者に係る名刺を示す写真」及び乙第13号証の2「本件商標権者に係る名刺の納品証明書」、乙第14号証の1「本件商標権者に係るメンバーズカードを示す写真」及び乙第14号証の2「本件商標権者に係るメンバーズカードの納品証明書」、乙第15号証の1「商品宣伝広告用はがき」及び乙第15号証の2「商品宣伝広告用はがきの納品証明書」並びに乙第16号証「商品宣伝広告証明書」には、「有限会社スウィッチ」、「大阪府大阪市中央区北久宝寺町3-1-13」が表示されている。
イ 使用に係る商品
乙第1号証には、請求に係る指定商品「眼鏡」の写真が示されている。乙第2号証の1及び2には請求に係る指定商品「眼鏡」の写真及びその品番が記載されている。乙第3号証には、請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる製品名「サングラス」が記載されている。乙第4号証の1、乙第5号証の1、乙第6号証の1、乙第7号証の1、乙第8号証の1及び乙第9号証の1には、請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる製品名「サングラス」又はその略語「SG」が記載されている。乙第4号証の2、乙第5号証の2、乙第6号証の2、乙第7号証の2、乙第8号証の2及び乙第9号証の2には、請求に係る指定商品「眼鏡」が記載されている。乙第10号証の1及び2には請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる製品名「サングラス」が記載され、「眼鏡」の写真が示されている。乙第11号証の1には、請求に係る指定商品「眼鏡」の写真が示され、その製品名及びその品番が記載されている。乙第11号証の4には、請求に係る指定商品「眼鏡」に含まれる製品名「サングラス」のカタログと記載されている。乙第12号証の1ないし4には商品宣伝広告用粗品として「眼鏡のクリーナークロス」が示され、記載されている。本「クリーナークロス」は商品「眼鏡」の宣伝広告用の物品であって、請求に係る指定商品「眼鏡」についての使用である。乙第14号証の1及び2、乙第15号証の1及び2には、指定商品「眼鏡」に含まれる製品名「サングラス」が記載されている。乙第16号証には、請求に係る指定商品「眼鏡」が記載されている。
ウ 使用に係る商標
乙第1号証ないし乙第3号証、乙第4号証の2、乙第5号証の2、乙第6号証の2、乙第7号証の2、乙第8号証の2、乙第9号証の2、乙第10号証の1及び2、乙第11号証の1、乙第12号証の1及び2、乙第13号証の1及び2、乙第14号証の1及び2、乙第15号証の1及び2には、本件商標が記載されている。
エ 使用の時期
乙第2号証の1及び2の発注日の欄には、「2010年10月14日」と記載されている。乙第4号証の1及び2の納品日の欄には、「平成22年5月31日」と記載されている。乙第5号証の1及び2の納品日の欄には、「平成22年6月1日」と記載されている。乙第6号証の1及び2の納品日の欄には、「平成21年10月13日」と記載されている。乙第7号証の1及び2の納品日の欄には、「平成21年9月18日」と記載されている。乙第8号証の1及び2の納品日の欄には、「平成21年8月5日」と記載されている。乙第9号証の1及び2の納品日の欄には、「平成22年4月21日」と記載されている。乙第10号証の1には、「2010」との記載のほか、それ以前の複数の日付が記載されている。乙第10号証の2の納品日の欄には、「平成22年6月2日」及び「平成19年8月」と記載されている。乙第11号証の1のカタログ表紙には「2010」と記載されている。乙第11号証の2及び3の納品日の欄には、「平成22年3月12日」と、乙第11号証の4の請求日の欄には、「平成22年1月21日」と、乙第11号証の5の領収日の欄には、「平成22年2月8日」と、それぞれ記載されている。乙第12号証の2及び3の納品日の欄には、「平成21(2009)年12月21日」と、乙第12号証の4の請求日の欄には「2010年1月20日」と、それぞれ記載されている。乙第13号証の2の納品日の欄には、「平成22年6月28日」と記載されている。乙第16号証の放送日の記述には、「平成21年12月29日」と記載されている。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により指定商品「眼鏡」について使用されていたものである。

4 当審の判断
(1)乙第3号証ないし乙第11号証の5によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 乙第3号証は、商品の値札である(争いのない事実)。該値札には、表面が黒地のものと赤地のものの2種類があるところ、該2種類の値札は、表面に記載された価格の表示以外は、裏面を含めすべて同じである(黒地の値札には、「¥1,029(税込)(本体価格¥980)」と記載され、赤地の値札には、「¥2,079(税込)(本体価格¥1,980)」と記載されている。)。そして、これらの表面には、その上段部分に、別掲(1)のとおりの構成よりなる商標(「always look on the bright side」の文字部分を除く。以下「使用商標1」という。)が表示されている。また、値札の裏面下部には、「品名/サングラス」、「レンズの材質/プラスチック」などと商品に関する情報が記載され、その下には、「SWITCH.」と「TEL 06-6120-0640」の各文字が二段に記載されている(「SWITCH.」の文字部分は、他の文字に比べ、太字で表されている。)。
イ 乙第4号証の1ないし乙第9号証の2は、商標権者がその顧客に宛てた納品書(控)(ただし、乙第7号証の1は「仕入伝票」)と、当該顧客が商標権者の依頼を受け、納品書(控)に記載された日付に、乙第3号証に示す黒地の値札と赤地の値札が付されたサングラス(ただし、乙第8号証に関しては、黒地の値札が付された商品のみ。)を商標権者から納品されたことを証明した書面である(争いのない事実)。
(ア)乙第4号証の1は、(株)ToolComPANYに宛てた平成22年5月31日付けの納品書(控)であり、その品名欄の「SG ¥980」の項目には「数量/438」と記載され、また、「¥1,980」の項目には「数量/45」と記載されている。そして、乙第4号証の2は、株式会社ツールカンパニー(大阪市所在)が、平成22年5月31日に、商標権者より、乙第3号証に示す黒地の値札と赤地の値札が付されたサングラスが納品されたことを証明した同23年1月11日付けの書面である。
(イ)乙第5号証の1は、(株)カザプランニングに宛てた平成22年6月1日付けの納品書(控)であり、その品名欄の「SG ¥980」の項目には「数量/156」と記載され、また、「¥1,980」の項目には「数量/72」と記載されている。そして、乙第5号証の2は、株式会社カザプランニング(大阪市所在)が、平成22年6月1日に、商標権者より、乙第3号証に示す黒地の値札と赤地の値札が付されたサングラスが納品されたことを証明した同23年1月11日付けの書面である。
(ウ)乙第6号証の1は、(株)クラスタープランに宛てた平成21年10月13日付けの納品書(控)であり、その品名欄の「SG ¥980」の項目には「数量/3」と記載されている(「¥1,980」の項目はない。)。そして、乙第6号証の2は、株式会社クラスタープラン(吹田市所在)が、平成21年10月13日に、商標権者より、乙第3号証に示す黒地の値札と赤地の値札が付されたサングラスが納品されたことを証明した同23年1月11日付けの書面である。
(エ)乙第7号証の1は、(株)R.A.Gに宛てた平成21年9月18日付けの仕入伝票であり、その品名欄の「サングラス」の「売単価/980円」の項目には「数量/110」と記載され、また、同「売単価/1980円」の項目には「数量/3」と記載されている。そして、乙第7号証の2は、株式会社R.A.G(大阪市所在)が、平成21年9月18日に、商標権者より、乙第3号証に示す黒地の値札と赤地の値札が付されたサングラスが納品されたことを証明した同23年1月12日付けの書面である。
(オ)乙第8号証の1は、(有)ミュールに宛てた平成21年8月5日付けの納品書(控)であり、その品名欄の「SG ¥980」の項目には「数量/110」と記載されている(「¥1,980」の項目はない。)。そして、乙第8号証の2は、有限会社ミュール(明石市所在)が、平成21年8月5日に、商標権者より、乙第3号証に示す黒地の値札が付されたサングラスが納品されたことを証明した同23年1月11日付けの書面である。
(カ)乙第9号証の1は、(株)NEW GOODSに宛てた平成22年4月21日付けの納品書(控)であり、その品名欄の「SG ¥980」の項目には「数量/9」と記載され、また、「¥1,980」の項目には「数量/3」と記載されている。そして、乙第9号証の2は、株式会社NEW GOODS(大阪市所在)が、平成22年4月21日に、商標権者より、乙第3号証に示す黒地の値札と赤地の値札が付されたサングラスが納品されたことを証明した同23年1月15日付けの書面である。
ウ 乙第10号証の1は、商品販売広告用のホームページの画像写真2様であり、乙第10号証の2は、該ホームページの作成をした有限会社オプスファクトリーが平成22年6月2日及び同19年8月にこれら写真に示すホームページを商標権者に納品したことを証明した同23年1月14日付けの書面である(争いのない事実)。そして、これらホームページには、別掲(2)のとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標2」という。)が表示されている。また、1枚目の画像写真の使用商標2の下には、「wholesale store」、「sunglasses catalogue 2010」の各文字が二段に横書きされている。さらに、2枚目の画像写真の使用商標2の下には、「ONLINE CATALOGUE」と記載され、その右には、サングラスの写真と「NEW ARRIVALS・・2008/10」などの文字が掲載されている。
エ 乙第11号証の1ないし5は、カタログ、並びに、該カタログを作成した印刷会社である大阪印刷工業株式会社(以下「大阪印刷工業」という。)が商標権者の依頼により、該カタログを平成22年3月12日に商標権者へ納品したことを証明した同23年1月14日付けの証明書及び大阪印刷工業が商標権者に宛てた同22年3月12日付けの納品伝票、同年1月21日付けの請求書、同年2月8日付けの領収書であり、これらの取引書類には、カタログが2000部納品された旨の記載がある(当該カタログ2000部が上記日付に商標権者に納品されたことについては、当事者間に争いがない。)。そして、カタログの表紙上段部分には、「SWITCH.」(「S」の文字部分は他の文字部分より大きく表示されている。)「wholesale store」、「sunglasses catalogue 2010」、「mail order service」と記載され、同下部には、色彩を同一のものとすれば使用商標2と同一の商標(以下「使用商標3」という。)が表示されている。
(2)上記(1)で認定した事実によれば、以下のとおり認定するのが相当である。
ア 商標権者は、使用商標1を表示した値札を付したサングラスについて、本件審判の請求の登録(平成22年11月17日)前3年以内である平成21年8月5日ころから同22年6月1日ころまでの間に、大阪府や兵庫県に所在する顧客に販売したと推認し得ること(以上乙第3号証ないし乙第9号証の2)。
イ 商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内の遅くとも2007年(平成19年)10月には、自社のホームページ上に使用商標2を表示してサングラスの広告をしたこと(乙第10号証の1及び2)、及び、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成22年3月12日に大阪印刷工業より納品されたカタログ2000部に、使用商標3を表示し、同年同月同日以降、これを市場において頒布したものと推認し得ること(乙第11号証の1ないし同5)。
(3)使用商標について
請求人は、使用商標1ないし3について、本件商標とは、同一ではなく、また、社会通念上同一とも認められない旨主張するので、以下検討する。
ア 使用商標1
使用商標1は、別掲(1)のとおり、「S」の文字部分を他の文字部分に比べ大きく表して横書きした「SWITCH.」の文字とこれらの文字を囲んだ輪郭を白抜きで表した構成よりなるものであるところ、その構成中の輪郭部分は、ありふれたものであるから自他商品の識別機能を有しないか、あるとしても極めて弱いものといえる。そして、使用商標1の要部といえる「SWITCH.」の文字部分は、「S」の文字部分が他の文字に比べやや大きく表されているものであるとしても、「SWITCH」の語が「(電気等の)スイッチ」を意味する語としてよく知られているものであるから、「S」の文字部分のみが切り離されて看取されるものではなく、全体として「SWITCH」の文字及び「.」(ピリオド)から構成される一体不可分の商標を表したと理解されるということができる。
そうすると、使用商標1は、その構成文字に相応して、「スイッチ」の称呼及び観念を生ずるものであって、「スイッチ」の称呼及び観念を生ずる本件商標とは、称呼及び観念を同一にするものである。また、使用商標1における「SWITCH.」の文字部分は、本件商標と同一の綴り字よりなるものであるから、外観上同視できる商標というべきである。
したがって、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
イ 使用商標2
使用商標2は、別掲(2)のとおり、青塗り図形内に、「S」の文字部分を他の文字部分に比べ大きく表して横書きした「SWITCH.」の文字を白抜きで表し、これらの図形及び文字を囲んだ赤色の輪郭よりなるものであるところ、その構成中の赤色輪郭及び青塗り図形の各部分は、いずれもありふれたものであるから自他商品の識別機能を有しないか、あるとしても極めて弱いものといえる。そして、使用商標2の要部といえる「SWITCH.」の文字部分は、使用商標1と同様の理由により、全体として「SWITCH」の文字及び「.」(ピリオド)から構成される一体不可分の商標を表したと理解されるものである。
したがって、使用商標2は、使用商標1と同様に、本件商標とは、「スイッチ」の称呼及び観念を同一にするものであって、また、外観上も同視できる商標というべきであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
なお、使用商標3は、実質的には、使用商標2と同一の商標と認められるから、使用商標2と同様の理由により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
ウ 以上のとおり、使用商標1ないし3は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができるから、請求人の上記主張は理由がない。
(4)その他の請求人の主張について
請求人は、乙第11号証の1(カタログ)の表紙の下段に表示された使用商標3について、カタログに掲載された個々の商品に使用されるものではなく、また、当該カタログが展示若しくは頒布されたことが証明されていない旨主張する。
しかし、使用商標3は、カタログに掲載されているすべての商品についての、いわば代表的商標としての役割を果たしているものであるから、カタログに掲載された個々の商品に使用されるものではない旨の請求人の主張は前提において誤りがあるといわなければならない。また、カタログは、特段の事情がない限り、一般的には、不特定多数の者に頒布することが予定されているといえるのみならず、当該カタログは、全20頁(表紙、裏表紙を含む。)からなり、カタログとしての体裁が備わっているものであり、しかも、2000部が作成されたことからみれば、これが取消審判を免れるためにのみ作成されたものとは到底考えられず、平成22年3月12日以降、これを市場において頒布したと推認するのが相当である。
したがって、請求人の上記主張はいずれも理由がない。
(5)以上によれば、商標権者は、本件審判の請求の登録(平成22年11月17日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「サングラス」について、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1を付して市場に流通させ、かつ、カタログ及びホームページ上に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標2又は使用商標3を表示して広告をしたと推認することができる。そして、当該商標権者の行為は、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、・・する行為」、「商品又は役務に関する広告、定価表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第1号、同第2号、同第8号)に該当するものと認めることができる。
(6)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品中の「サングラス」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)使用商標1



(2)使用商標2




審理終結日 2011-07-04 
結審通知日 2011-07-07 
審決日 2011-07-20 
出願番号 商願2005-97980(T2005-97980) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金子 尚人 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 2006-06-30 
登録番号 商標登録第4966299号(T4966299) 
商標の称呼 スイッチ、スウイッチ 
代理人 吉川 俊雄 
代理人 吉川 俊雄 
代理人 北村 光司 

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