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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X36 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X36 |
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管理番号 | 1247990 |
審判番号 | 不服2010-26396 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-11-24 |
確定日 | 2011-11-18 |
事件の表示 | 商願2010-1909拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「レスキュー費用保険」の文字を標準文字で表してなり、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」を指定役務として、平成22年1月14日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『レスキュー費用保険』の文字を表してなるところ、構成中の『レスキュー』の文字は、『救助。救援。』(『広辞苑第6版』)の意味を有することから、本願商標よりは全体として、『救助の費用を補償する保険』ほどの意味合いを理解・認識させるものであるから、これをその指定役務中、例えば、『救助の費用を補償する生命保険契約の締結の媒介,救助の費用を補償する生命保険の引受け,救助の費用を補償する損害保険契約の締結の代理,救助の費用を補償する損害保険に係る損害の査定,救助の費用を補償する損害保険の引受け,救助の費用を補償する保険料率の算出』に使用しても、単に役務の質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本願商標は、「レスキュー費用保険」の文字よりなるところ、その構成中、「レスキュー」の文字は、「救助。救援。」(広辞苑第6版)を意味する語として広く親しまれているものであり、また、「費用保険」の文字は、本願の指定役務との関係において、例えば、「地震費用保険」(保険商品名Resta 株式会社アドバンスクリエイトが運営する「保険市場」のウェブサイト)(http://www.hokende.com/mrt030/402.asp?norewrite=true)、「新ガン治療費用保険」(保険商品名メディコム 株式会社セコムのウェブサイト)(http://www.secom.co.jp/medcom/index.html)のように、その保険の内容を表す語と結合して、「○○費用保険」のように使用されている実情があることからすれば、本願商標は、全体として、「レスキュ-(救助又は救援)にかかった費用を補償する保険」の意味を認識させるものである。 そして、保険商品を取り扱う業界では、「レスキュー費用」の文字について、以下のような事実が認められる。(なお、下線は当合議体で付与した。) (ア)「株式会社ワムネットサービス」が運営する「海山倶楽部」のウエブサイトにおいて、「アウトドアの決定版!海・山でのケガによるレスキュー費用保険付」の見出しのもと、「マリンスポーツ・登山中等のケガによるレスキュー費用保険」の記載がある (http://www.wham.jp/)。 (イ)「保険デザイン(日本興亜損保代理店)」のウェブサイトにおいて、「留学保険 ワーキングホリデー保険 海外保険」の見出しのもと、「京都の大学生の留学生保険(海外保険)」の項に、「京都府内にある大学に通われる方(大学生・大学院生)を対象に保険料を節約した形での留学保険(海外保険)をご案内しております。・・・(省略)・・・診察・手術・入院・通院・投薬費用などの治療費の他にご家族の駆付け費用やレスキュー費用などをカバーする「治療・救援費用」を中心に考えたフリープランをご案内しております。」の記載がある (http://www.hoken-design.com/kaigai/kyoto_daigaku.htm)。 また、「レスキュー」を意味する「救援」の文字を使用し、「救援にかかる費用」程の意味合いを表すものとして「救援費用」、「救援者費用」及び「救助費用」の文字が、以下のように使用されている。(なお、下線は当合議体で付与した。) (ウ)「(株)損害保険ジャパン」のウェブサイトにおいて、「補償内容」の見出しのもと、「治療・救援費用(救援費用部分)」の項に、「保険金をお支払いするケース・・・(省略))・・・お支払い対象となる主な費用 ア.遭難した被保険者を捜索、救助または移送する活動に必要となった費用」の記載がある (http://www.sompo-japan.co.jp/kinsurance/travel/kaigai/airport-off-narita/sche/cure.html)。 (エ)「(株)モンベル」のウェブサイトにおいて、「 山岳保険(運動危険割増付傷害総合保険)」の見出しのもと、「救援者費用等補償」の項に「国内外を問わず・・・(省略)・・・保険契約者、被保険者またはその親族が負担された捜索や救助にかかる費用または事故現地への旅費などの費用を負担された場合、保険金をお支払いします。」の記載がある (http://hoken.montbell.jp/about/mountain.php)。 (オ)「ヤマハ発動機(株)」のウェブサイトにおいて、「保険やサポートについて」の見出しのもと、「4.捜索救助費用保険」の項に、「搭乗者が遭難したときに、その搭乗者を捜索救助するために必要と認められる費用が限度内で支払われます。」の記載がある (http://www.yamaha-motor.jp/marine/life/boat-guide/support/)。 上記実情によれば、「レスキュー費用保険」、「レスキュー費用」、「救援費用」、「救援者費用」及び「救助費用」の文字は、本願指定役務を提供する保険業界において、海外旅行・留学、登山、マリンレジャー等における事故や遭難時の際、レスキュー(救援・救助)を要したときに、その費用を補償する保険商品の内容を表すものとして使用されている事実が確認できる。 そうとすれば、「レスキュー費用保険」の文字よりなる本願商標をその指定役務中、救助の費用を補償する役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は、これより、「救援・救助にかかった費用を補償する保険であること」を表したものと認識するに止まり、本願商標は自他役務の識別標識の機能を果たし得ないものというべきであるから、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。 また、本願商標を、上記以外の役務に使用するときには、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)請求人の主張 請求人は、請求人が独自に創作、採択した造語商標であって、また、(保険商品をいくつかに分類し、費用保険としては)保険業界で初めて遭難時の捜索・救助の費用を補償する費用保険として発売した保険商品の商標であり、広告宣伝等を通じ、取引者、需要者の間に請求人の保険商品の出所識別標識の機能として需要者・取引者に定着している旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲25号証を提出している。 しかしながら、本願商標がたとえ造語であって、請求人が初めて使用したとしても、保険商品の取引の実情からすれば、「保険の内容を表す語」と「費用保険」の文字とを組み合わせた表示自体が格別請求人のみによる特異な表示方法とはいえないものであることは前記(1)のとおりである。 また、請求人が提出した証拠は、主に、請求人による保険の紹介パンフレット並びに申込用紙、保険の内容を紹介する新聞、雑誌の記事が数回程度、インターネットの検索結果等であるところ、これらの証拠のみでは、例えば、当該商標の使用期間、使用地域、契約件数(販売数)等が不明である等、結局、本願商標を使用をした結果、本願商標が請求人の出所識別標識の機能として需要者・取引者に定着していると認めることはできない。 さらに、請求人は、過去の審決例及び既登録例をあげ本願商標が登録されるべきであると主張するが、請求人の引用する審決例及び登録例をもって本件の判断が拘束されるものではないから、かかる請求人の主張は、採用の限りでない。 (3)まとめ したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-08-03 |
結審通知日 | 2011-08-26 |
審決日 | 2011-09-08 |
出願番号 | 商願2010-1909(T2010-1909) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X36)
T 1 8・ 13- Z (X36) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 池田 光治、宮川 元 |
特許庁審判長 |
鈴木 修 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 田中 亨子 |
商標の称呼 | レスキューヒヨーホケン、レスキューヒヨー |
代理人 | 飯島 紳行 |