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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X29
審判 全部申立て  登録を維持 X29
審判 全部申立て  登録を維持 X29
管理番号 1246612 
異議申立番号 異議2011-900158 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-05-06 
確定日 2011-11-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5388292号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5388292号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5388292号商標(以下「本件商標」という。)は、「梅丸」の文字を標準文字で表してなり、平成22年7月6日に登録出願、第29類「梅の漬物及び梅を使用した果実の漬物,梅の味噌漬け及び梅を使用した果実の味噌漬け,梅の醤油漬け及び梅を使用した果実の醤油漬け,梅を使用した加工野菜及び加工果実,梅を使用した肉製品,梅を使用した加工水産物,梅を使用した冷凍野菜,梅を使用した冷凍果実,梅を使用した油揚げ,梅を使用した凍り豆腐,梅を使用したこんにゃく,梅を加味した豆乳,梅を使用した豆腐,梅を使用した納豆,梅を使用したお茶漬けのり,梅を使用したふりかけ,梅を使用したなめ物」を指定商品として、平成23年1月14日に登録査定、同年2月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第134087号商標(以下「引用商標1」という。)
商標 別掲1のとおり
指定商品(平成16年7月14日指定商品の書換登録後)
第29類「干しのりの缶詰,その他の干しのり,味付のり」及び第31類「缶詰のり(未加工のもの)」
出願日 大正10年5月2日
登録日 大正10年8月26日
(2)登録第182682号商標(以下「引用商標2」という。)
商標 別掲2のとおり
指定商品(平成20年1月23日指定商品の書換登録後)
第29類「焼きのり,干しのり,味付けのり,干し青のり,のりの缶詰,のりのつくだに,青のりのつくだに,お茶漬けのり,のりのふりかけ,のりを主原料とする棒状・ブロック状・錠剤状・粉末状・顆粒状・液状・カプセル状の加工食品,のりを主材とする惣菜,のりを主材とするスープのもと」及び第31類「のり,青のり」
出願日 大正14年8月3日
登録日 大正15年7月7日
(3)登録第4893189号商標(以下「引用商標3」という。)
商標 別掲3のとおり
指定商品 第29類「焼きのり,干しのり,味付けのり,のりのつくだに,干し青のり,のりの缶詰,その他の加工水産物,肉製品,お茶漬けのり,ふりかけ,のりを主原料とする棒状・ブロック状・錠剤状・粉末状・顆粒状・液状・カプセル状の加工食品,のりを主材とする惣菜,食用魚介類(生きているものを除く。),食肉,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」及び第31類「のり,青のり,その他の海藻類,食用魚介類(生きているものに限る。),野菜,果実,糖料作物,コプラ,麦芽,ホップ,釣り用餌,生花の花輪,うるしの実,未加工のコルク,やしの葉」
出願日 平成17年2月28日
登録日 平成17年9月9日
(4)登録第5233057号商標(以下「引用商標4」という。)
商標 別掲4のとおり
指定役務 第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,シャツ・その他の被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ハンカチ・手ぬぐい・その他の身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用電気式海苔焼き器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
出願日 平成19年5月1日
登録日 平成21年5月22日
以下、上記引用商標1ないし4をまとめていうときは、「引用各商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、「梅丸」の文字からなるものであるから、「ウメマル」の称呼を生ずる。一方、引用各商標は、いずれも「梅」の漢字の周りを円の輪郭で囲った態様を主たる要素とする構成であり、暖簾記号として「マルウメ」と称呼されるのが通常であるが、対象となる商品・役務が食品関連であるため、様々な世代及び需要者層が存在し、需要者によっては、その態様に着目して「ウメマル」と称呼することもあると考える。
よって、本件商標と引用各商標とは、いずれも「ウメマル」の称呼が生ずるため、称呼上類似する商標である。
また、本件商標の指定商品は、梅を原材料とした食品であり、梅の果実は一般的に丸い形状からなっているため、「梅」と「丸」の言葉は、観念上も親和性が高く、本件商標「梅丸」からは、指定商品の原材料である「梅」と、梅のみの形状を意味する「丸」という観念が生じ、これらの2つの要素からなる観念によって記憶され認識される。
それに対して、引用各商標は、いずれも「梅」の漢字の周りを円の輪郭で囲った態様を主たる構成要素とし、本件商標同様、「梅」と「丸」という観念が想起され、これらの2つの要素からなる観念によって記憶され認識される。
よって、両商標は、いずれもこの「梅」と「丸」という共通の観念を有し、観念上類似する商標である。
イ 本件商標の指定商品「梅を使用した加工水産物」が、引用商標1及び2の「のり」に関連する指定商品と類似し、本件商標のすべての指定商品が引用商標3の第29類のすべての指定商品及び引用商標4の指定役務「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似する。
ウ 以上のとおり、本件商標と引用各商標とは、称呼及び観念上類似する商標であって、かつ、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品及び指定役務が類似するため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性
申立人(株式会社山本海苔店)は、1849年(嘉永2年)に創業され、創業126周年を迎える老舗海苔店であり、日本の代表的な海苔店として、我が国の取引者及び需要者に広く知られている(甲6)。申立人は、その創業時より「梅(まるうめ)」(以下「梅(まるうめ)標章」という。)を暖簾名として採用し(甲7)、使用し続け、現在も日本全国で約180店に上る売店/店舗で使用されている(甲8)。また、梅(まるうめ)標章は、オンライン通販サイトの店舗トップページ(甲9)のほか、パンフレット(甲10)、商品の包装や紙袋(甲11)に使用されている。
なお、申立人が取り扱っている商品は、海苔のほか、その関連商品にも及び上記パンフレットに掲載されているとおり、焼き海苔、味付け海苔、海苔の佃煮、ふりかけ等が販売され、人気を博している。
また、引用商標1及び2が「のり」以外の第29類に属する商品について防護標章登録を受け(甲12、甲13)、登録異議の決定例(甲14)において、食品全般の分野において、その周知、著名性が認められている。
以上のとおり、梅(まるうめ)標章は、申立人によって長期に使用し続けられた結果、取引者に・需要者に広く知られており、申立人会社を象徴する暖簾として親しまれている。
なお、暖簾には、単なる屋号としての意味に加えて、その店や企業に備わった無形の経済的価値までもが含有されているものであり、これを所有する者にとって大変貴重な財産である。
イ 出所混同の可能性
前記(1)アで述べたとおり、本件商標と引用各商標は、類似する商標であり、仮に両商標が類似してはいないという認定がなされた場合であても、両者は非常に近似した印象を与えるものである。そして、本件商標の指定商品は、引用各商標の指定商品・指定役務と類似する。更に梅(まるうめ)標章は、上記のとおり、食品全般分野において、周知著名である旨が認められている。
そうとすれば、申立人が実際に製造販売している各種の「のり」、「お茶漬けのり」、「ふりかけ」と類似する「梅を加工した加工水産物」、「梅を使用したお茶漬けのり」、「梅を使用したふりかけ」について本件商標が使用された場合、その商品に接した需要者らは、当該商品が申立人に係る商品であるか、または、申立人の暖簾「梅(まるうめ)」の関連商品であると誤認し、需要者が商品の出所について混同するおそれが高い。
また、本件商標が上記以外の指定商品について使用された場合であっても、梅(まるうめ)標章が食品全般において周知著名であるため、申立人またはライセンシーによる商品であるか、申立人の暖簾「梅(まるうめ)」の関連商品であると誤認し、需要者が商品の出所について混同するおそれが高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「梅丸」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、構成全体が同一書体でまとまりよく表してなるものであり、これより生ずる「ウメマル」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。そして、上記の構成態様からなる「梅丸」の文字は、格別の意味合いを生じさせることのない一種の造語というのが相当である。
申立人はこの点について、本件商標「梅丸」からは、指定商品の原材料である「梅」と、梅のみの形状を意味する「丸」という観念が生じ、これらの2つの要素からなる観念によって記憶され認識される、と主張しているが、本件商標について「梅」と「丸」とを分離抽出するとはいえないから、申立人の主張は採用できない。
一方、引用各商標は、その要部と認められる、円輪郭内に「梅」の文字を書してなる部分(以下これを「暖簾記号部分」という。)は、円輪郭内に漢字の一字等を配し、そのような構成は、いわゆる暖簾記号の態様として一般的な態様であり、そのような暖簾記号と認識されるものであるから、該暖簾記号部分からは、その一般的な読み方に応じて「マルウメ」の称呼を生じ、「梅(まるうめ)標章」の観念を生じるものである。なお、引用商標4の下段の「maruume」は、上段の梅(まるうめ)標章の読みをローマ字で表したものと認識されるものであるので、引用商標4から生ずる称呼及び観念についても上記のとおりである。
申立人は、この点について、需要者によっては、「ウメマル」と称呼する場合もある旨主張しているが、本件商標の指定商品の、平均的な需要者は、梅(まるうめ)標章に接した場合に「マルウメ」と称呼するというべきであり、「ウメマル」と称呼するという特段の事情は認められない。
また、申立人は、引用各商標が、それぞれ「梅」と「丸」の2つの構成要素からなるため、「梅」と「丸」という観念が想起され、これら2つの要素からなる観念が生ずる旨主張しているが、引用各商標の暖簾記号部分は、暖簾記号として、理解、認識されるというべきであるから、申立人の上記観念を生ずるとする主張は採用できない。
そこで、本件商標と引用各商標の類否についてみてみるに、まず、外観については、本件商標と別掲1ないし4のとおりの構成態様からなる引用各商標は、外観上明らかに区別し得るものである。
また、本件商標より生ずる「ウメマル」の称呼と引用各商標より生ずる「マルウメ」の称呼とは、聴別し得るものであり、更に、本件商標は、格別の観念を生じないものであるのに対し、引用各商標は、「梅(まるうめ)標章」の観念を生ずるものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用各商標は、外観、称呼、観念のいずれの点からみても相紛れるおそれはない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
前記(1)のとおり、本件商標と引用各商標とは、相紛れるおそれのない、別異の商標というべきであり、梅(まるうめ)標章(引用各商標)が、申立人により、海苔等の製造、販売に使用され、食品分野の需要者の間に広く認識されているものであって、本件商標の指定商品が食品分野の商品であり、その申立人の業務に係る商品と同一または類似の商品を含むものであるとしても、本件商標は、その指定商品に使用した場合に、これに接する需要者をして、申立人または引用各商標を想起させるとは認められず、当該商品を申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 引用商標1


2 引用商標2


3 引用商標3


4 引用商標4


異議決定日 2011-10-25 
出願番号 商願2010-53394(T2010-53394) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X29)
T 1 651・ 263- Y (X29)
T 1 651・ 271- Y (X29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小畑 恵一
小俣 克巳
登録日 2011-02-04 
登録番号 商標登録第5388292号(T5388292) 
権利者 新保 善康
商標の称呼 ウメマル、バイガン 
代理人 小谷 武 
代理人 木村 吉宏 
代理人 久保山 隆 
代理人 加藤 久 

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