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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
管理番号 1246596 
異議申立番号 異議2010-900405 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-12-20 
確定日 2011-11-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5354618号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5354618号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5354618号商標(以下「本件商標」という。)は,「サボンドモコア」の文字を標準文字により表してなり,平成22年3月29日に登録出願,第3類「せっけん類」を指定商品として,同年8月13日に登録査定,同年9月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,その理由を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし同第54号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第8条第1項について
本件商標は,日本国を指定する国際登録において指定された別掲2のとおりの商品を指定商品とし,2007年(平成19年)7月11日に国際商標登録出願された別掲1のとおりの構成からなる2007年357567号商標(以下「引用商標」という。)と「サボン」の称呼において類似する商標であって,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
そして,本件商標は,引用商標の出願日より後に出願されたものであるから,商標法第8条第1項に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
引用商標及びそれが用いられる商品「せっけん類」は,本件商標が出願される前から,我が国を含む世界各国で継続的かつ高頻度に使用されており,本件商標の出願日及び査定日の時点において,引用商標ないし,これから生ずる「サボン」の称呼が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く知られていたことは明らかである。
そして,本件商標は,引用商標と類似する商標であり,本件商標の指定商品が引用商標が使用される商品と類似することは明らかであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標ないし「サボン」の称呼が,申立人の業務に係る商品「せっけん類」を表示するものとして需要者の間で極めて広く知られていることは,前記(2)のとおりである。申立人は,ボディコスメやバスプロダクトにまで商品を展開し,現在これら商品は世界中で愛されている。特に,引用商標及び「SABON」を使用したボディスクラブは,ニューヨークを皮切りに世界各国で人気が沸騰し,我が国においても,数多くの著名人に愛用されるなどにより絶大な人気を誇り,2010年@COSMEベストコスメ大賞石けん・ボディ洗浄料部門の第2位に輝いている。
してみれば,極めて著名な引用商標ないし,「SABON」の語と全く同じように略称される本件商標が,申立人が取り扱う「バスプロダクト(化粧品)」と用途,需要者層,販売部門等が共通するせっけん類に使用された場合,これに接する需要者が,申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し,その出所について混同するおそれがあることは明らかである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人は,引用商標,「SABON」及び「サボン」が,申立人の業務に係る商品「せっけん類」又は「バスプロダクト(化粧品)」を表示するものとして周知・著名であることを前提に,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び第15号並びに同法第8条第1項に該当する旨主張する。
そこで,まず,本件商標の登録出願日(2010年3月29日)前の日本国内における,引用商標,「SABON」及び「サボン」の使用状況を甲各号証においてみる。
甲第6号証は,2008年6月26日,株式会社SABONJapanの記載のある「報道関係資料」であるが,これには,「SABON表参道店/2008年7月5日(土)オープン/ニューヨークで話題のイスラエルビューティが日本上陸!/イスラエル発のコスメブランド『SABON』が日本国内 初の出店」の表題のもと,株式会社SABONJapan(以下「SABONJapan」という。)が申立人とフランチャイズ契約を結び,2008年7月5日に,日本国内における1号店として,「SABON表参道店」をオープンすること,SABON(申立人)が,死海から採取できる塩や泥を配合したバスプロダクトをはじめ,ボディコスメ,雑貨などを取り扱っていることなどが記載されている。
甲第10?34号証,甲第37?45号証は,本件商標の登録出願日前に発売されたファッション関連の雑誌(写し)であるが,そのうち,前記の「SABON表参道店」の開店の前後に発行された「Bea’s UP 2008年7月号(甲14)」,「FIGARO 2008年6月5日号(甲31)」などの雑誌には,「SABON表参道店」が6月末にオープンする予定であること,引用商標を表示した「ボディスクラブ」,「ボディフォーム」などの製品(以下「申立人製品」という。)が紹介されている。また,これらの製品又は申立人を説明する表示として,「SABON」,「サボン」の文字が使用されていることが認められる。
そして,「SABON表参道店」の開店の翌年,あるいは,それ以降に発行された「NumeroTOKYO 2010年3月号(甲42)」,「ELLE 2009年11月号(甲43)」などの雑誌にも,引用商標を表示した申立人製品が紹介され,これらの製品又は申立人を説明する表示として「SABON」,「サボン」の文字が使用されていることが認められる。
甲第49号証は,「価格.com-「サボン」に関する情報/テレビ紹介情報」であるが,そのうちの,本件商標の登録出願前に放映されたと推認される「女神サーチ」(TBS2009年7月17日放送),「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日2009年5月26日放送)の番組紹介には,各番組で申立人製品が紹介されたことが記載されているが,それら製品がどのように紹介されたのかといった具体的な放映内容までは確認できない。
そして,甲各号証のうち,本件商標の登録出願日以前の日本における引用商標,「SABON」及び「サボン」の使用状況が確認できるものは,以上のもののみであり,甲第5号証の5の日本向けの輸入インボイス,甲7の店舗一覧,甲第35・36号証,甲第46・47号証の雑誌,甲第50?54号証のブログ及びwebサイトの記事は,いずれも,本件商標の登録出願日後,あるいは,日付の確認できないものである。また,その他の甲第3?5号証(枝番号を含む),甲第8・9号証は,英語又はその他の外国語で書かれたものであり,日本国内での使用を立証するものではない。
以上によれば,申立人は,申立人とフランチャイズ契約を結んだSABONJapanを通じ,本件商標の登録出願日前である2008年7月5日に,日本国内において,引用商標を表示した「申立人製品」の販売を開始し,その後も継続して販売していること,そして,申立人製品又は申立人を説明する表示として,「SABON」,「サボン」の文字も使用されていることが認められる。
しかしながら,2008年7月5日の発売開始から登録出願日までの販売期間は,ほぼ1年半と非常に短い期間であり,その他,申立人提出の甲各号証には,申立人製品の日本における販売数量,販売地域,広告宣伝の方法や回数などの具体的事実を確認できるものはない。
そうすると,申立人提出の甲各号証からは,引用商標,「SABON」及び「サボン」が,本件商標の登録出願時に,申立人製品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものということはできず,かつ,著名になっていたということもできない。
(2)商標法第8条第1項について
本件商標は,前記1のとおり,「サボンドモコア」の片仮名を標準文字ににより表してなるところ,その構成各文字は,同書,同大,等間隔により外観上一体に表されているばかりでなく,これから生ずる「サボンドモコア」の称呼も格別冗長なものではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,前記3(1)のとおり,その構成中の「サボン」が申立人製品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとはいえず,また,その余の「ドモコア」の文字部分が「せっけん類」との関係において,自他商品識別力を有しないとする理由もない。
この点は,申立人は,「せっけん類」の分野においては,フランス語風の名称が採択されることが少なくないという事情を考慮すると,本件商標の構成中の「ド」は,フランス語の「de」に通ずる語として認識され,本件商標は,「サボン・ド・モコア」という三つの要素によって構成されている商標と把握されるから,需要者は,本件商標の構成全体から生ずる「サボンドモコア」という称呼の他に「ド(de)」によって分断された「サボン」及び「モコア」のそれぞれから生ずる称呼によっても,商品の出所を識別する旨主張するが,「サボン」は,「石けん」の意味を有するフランス語の読みを表したものといえるから,その部分は,むしろ識別力の希薄な部分とみるのが相当である(「サボン【savon フランス】シャボンに同じ。(→)シャボン【ポルトガル・スペイン】石鹸(広辞苑第六版)」)。
また,他に本件商標の構成にあって,「サボン」の文字のみを分離,抽出して観察しなければならない格別の事情も見いだせない。
そうすると,本件商標は,「サボンドモコア」の一連の称呼のみを生ずる一体不可分の造語を表したものと認識し,把握されるとみるのが相当である。
他方,引用商標は,別掲1のとおり,筆記体で表した「SABON」の文字の横書きと,その周囲に小判型の二重線を施した構成からなるから,その構成文字に相応し,「サボン」の称呼を生ずるものであって,特定の観念を生じさせないものといえる。
そこで,本件商標と引用商標の称呼を比較すると,「サボンドモコア」と「サボン」とは,「ドモコア」の音の有無という点で,その構成音数及び構成音において明らかな差異を有し,音感,音調を異にするものであるから,十分に聴別し得るものである。また,本件商標が片仮名のみからなるのに対し,引用商標は欧文字と二重線からなる図形とからなるものであるから,両商標の外観は,明らかに区別し得るものである。そして,両商標は,共に観念を生じないものであるから,観念において比較できないものである。
したがって,本件商標は,引用商標とは外観,称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であるから,これをその指定商に使用しても,商標法第8条第1項には該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
前記3(1)のとおり,引用商標,「SABON」及び「サボン」は,いずれも,申立人製品を表示するものとして,本件商標の登録出願時において,需要者の間に広く認識されていたものとはいえない。
加えて,前記3(2)のとおり,本件商標と引用商標は,称呼,観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
前記3(3)のとおり,引用商標,「SABON」及び「サボン」が,申立人製品を表示するものとして,本件商標の登録出願時において,需要者の間に広く認識されていたものとはいえず,かつ,本件商標と引用商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
また,他に両商標が混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから,商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者が,引用商標,「SABON」及び「サボン」を連想又は想起するとはいえず,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく,その商品の出所について混同を生じさせるおそれはない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第第4条第1項第10号及び同第15号並びに商標法第8条第1項に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標)




別掲2(引用商標の指定商品)
第3類
Soap, including hand, face and body soap; bath foam, bath milk, bath oil, mineral bath salt, mineral bath powder, bath sea salt, bath flavours, body gel, shower gel oil, bath gel so called "polisher" (with scrub beads), massage oil, body oil sprays, body lotions, body scrubs, foot lotions, hand lotions, face wax, facial cleansers, facial refreshers, moisturizers, facial creams, facial scrubs, all cosmetic.


異議決定日 2011-11-01 
出願番号 商願2010-24041(T2010-24041) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X03)
T 1 651・ 23- Y (X03)
T 1 651・ 25- Y (X03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 森山 啓
小川 きみえ
登録日 2010-09-17 
登録番号 商標登録第5354618号(T5354618) 
権利者 株式会社ピーアンドピーエフ
商標の称呼 サボンドモコア、ドモコア、モコア 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 永岡 愛 
代理人 城山 康文 
代理人 岩橋 祐司 
代理人 北口 貴大 

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