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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X09
審判 一部申立て  登録を維持 X09
管理番号 1246584 
異議申立番号 異議2011-900173 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-05-12 
確定日 2011-11-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5389622号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5389622号商標の指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5389622号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成21年6月9日に登録出願、第9類「理化学機械器具,写真機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」並びに第7類、第10類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年12月16日に登録の審決がなされ、同23年2月10日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定商品中、第9類「全指定商品」について、その登録が取り消されるべきものであるとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人の引用する商標
申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、以下のとおりの商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標を総称するときは「引用各商標」という。)。
ア 登録第912916号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ICOM」の欧文字を横書きしてなり、昭和44年6月19日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同46年7月29日に設定登録され、同56年8月31日、平成3年10月29日、同13年5月8日、同23年6月21日の4回に亘り、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。その後、平成14年2月27日に、第7類ないし12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
イ 登録第2269854号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和62年7月20日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年9月21日に設定登録され、同12年5月9日、同22年5月25日の2回に亘り、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。その後、平成22年7月21日に、第7類ないし12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
ウ 登録第4062397号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ICOM」の欧文字を横書きしてなり、平成6年12月27日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年10月3日に設定登録され、同19年10月16日に、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 外観について
本件商標と引用商標1及び3を比較すると、本件商標はその構成中、申立人の周知商標である引用商標1及び3「ICOM」を含むことから、互いに類似するものである。
また、本件商標と引用商標2を比較すると「ICOM」の文字を含んでいるのみならず、申立人の周知商標である引用商標2の特徴的部分である「Iの文字の上部に○の図形を配している」点で共通しており、取引者・需要者が、本件商標から引用商標2を連想し、商品の出所に混同を来す蓋然性が非常に高く、互いに類似するものである。
イ 称呼について
本件商標は、その構成から「アイカムス」「アイコメス」「アイコムス」の称呼が生ずる。また、「ICOMES」中「ICOM」部分は申立人の周知商標であって、本件商標において最も強い識別力を有する部分であるから、本件商標より、「アイコム」の称呼も生じ得る。
これに対し、引用各商標からは「アイコム」の称呼を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用各商標とは、「アイコム」の称呼を共通にし、また、本件商標より生じる「アイコムス」の称呼と引用各商標から生じる「アイコム」とは、全体の音感・音調が酷似する相紛らわしいものである。
ウ 観念について
本件商標及び引用各商標は、いずれも辞書等に記載のない造語であって特定の観念を生じないものであり、観念については比較すべきところがない。
エ まとめ
以上により、本件商標と引用各商標は称呼及び外観において類似する商標であり、かつ、その指定商品も抵触するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用各商標の著名性
「ICOM」「アイコム」の標章(以下「使用商標」という。)は、本件商標の登録出願時から登録査定時に至るまで、申立人の業務に係る無線機器等の商品を示すものとして、全国的な周知・著名性を獲得するに至っている。
イ 出所の混同が生ずるおそれ
本件商標の指定商品中「電線及びケーブル、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」と、申立人が事業展開している無線器ならびに無線技術によるビジネス用無線LAN・IP電話ソリューションの製造・販売等は、いずれも深く関連を有するものであって、その生産部門や取引経路、提供場所を共通とし、業種も関連を有している。
また、近年無線LAN等の通信機器は、企業や一般家庭において欠かす事のできないものであり、専門家だけではなく老若男女を問わず広く一般の需要者にも普及している。
そのため、必ずしも商標に関する知識が充分でない者も需要者としており、「ICOM」の語を含む本件商標をその指定商品に使用した場合、該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
ウ まとめ
以上のことから、申立人の商標として広く一般に知られている「ICOM」の語を含む本件商標をその指定商品に使用する場合には、これに接する取引者・需要者が、申立人又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、「ICOMES」の欧文字と、該欧文字の左下方と右上方に半円弧を、また、「I」の欧文字の上には白抜きした歯車状図形を配した構成からなるところ、半円弧及び歯車状図形は、当該欧文字部分を強調するかの如く表示されたものと認識させるものであって、これらを常に一体のものとして認識、把握されるとみるべき特段の事情も見いだせないものであるから、欧文字部分が、図形部分から独立して自他商品識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。
そして、本件商標の欧文字部分は、同書、同大、等間隔で、外観上まとまりよく一連一体に表されているものであり、かかる構成態様から「ICOMES」の欧文字の「ICOM」の文字部分のみを分離抽出して、その文字部分に相応した「アイコム」の称呼をもって取引に資されるとすべき特段の理由は見いだせない。
また、本件商標は、その構成文字に相応して、一般に普及されている英語読み風に「アイカムス」又は「アイカムズ」の称呼を生ずるとみるのが相当であって、これらの称呼も格別冗長なものでなく、一気に称呼し得るものである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「アイカムス」又は「アイカムズ」の一連の称呼を生ずるというのが相当であって、また、当該文字部分は、特定の意味合いを生じさせない一種の造語といえるから、特定の観念は生じないものである。
そうしてみると、引用各商標から、それぞれの構成文字に相応して、「アイコム」の称呼を生ずるとしても、当該「アイコム」の称呼と本件商標から生ずる「アイカムス」又は「アイカムズ」の称呼とは、前半部分の「アイ」の音を共通にするとしても、後半部における「コム」と「カムス」又は「カムズ」の音に明らかな差異があるから、互いに明瞭に聴別し得るものと認められる。
その他、本件商標と引用各商標とを類似のものとすべき事由は見いだせない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。
なお、申立人は「本件商標の構成中『ICOMES』の『ICOM』部分は申立人の周知商標であって、本件商標において最も強い識別力を有する部分であるから、本件商標より、『アイコム』の称呼も生じ得る。」旨主張する。
しかしながら、「ICOM」が申立人の無線機器等に使用する周知商標と認められるとしても、本件商標中の構成文字部分は、外観上まとまりよく一連一体に表されているものであり、かかる構成態様から「ICOMES」の欧文字部分の「ICOM」の部分のみを分離抽出して認識・把握されるものではないことは、上記のとおりである。したがって、本件商標の構成より、「ICOM」部分が分離抽出されることを前提とする申立人の主張は、採用の限りでない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当について
申立人の提出の係る甲各号証からすれば、使用商標が「無線機器」等に使用され、我が国においても広く知られていたことが認められるとしても、本件商標と使用商標とは、上記(1)の同様の理由により、十分に区別し得る全く別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、申立人の使用に係る「ICOM」「アイコム」を想起又は連想させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものということはできない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品、第9類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号、同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標2


異議決定日 2011-10-27 
出願番号 商願2009-42787(T2009-42787) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (X09)
T 1 652・ 262- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 敦子 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 田中 亨子
小川 きみえ
登録日 2011-02-10 
登録番号 商標登録第5389622号(T5389622) 
権利者 株式会社アイカムス・ラボ
商標の称呼 アイカムス、アイカムズ、アイコメス、イコメス、イカムス、コメス、カムス 
代理人 岡田 充浩 
代理人 吉村 多江子 
代理人 杉本 勝徳 
代理人 酒井 宏明 

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