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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X41
審判 全部申立て  登録を維持 X41
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審判 全部申立て  登録を維持 X41
管理番号 1246580 
異議申立番号 異議2011-900146 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-04-26 
確定日 2011-11-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5386265号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5386265号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5386265号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成22年8月4日に登録出願、第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の閲覧」を指定役務として、同年12月16日に登録査定がなされ、同23年1月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商願2010-34755号に係る商標(以下「引用商標」という。)は、「IBOOKS」の文字を標準文字で表してなり、平成22年4月30日に登録出願、第9類「カメラ及びその部品並びに附属品,MP3プレーヤー,デジタルオーディオプレーヤー,全地球測位装置(GPS),電話機,スマートフォン,コードレス電話機,携帯電話機及びその部品並びに附属品,ファクシミリ機,留守番電話機,デジタルカメラ,テレビ電話,ヘッドホン,スピーカー,ラジオ,アンプリファイヤー,音声及び映像の記録及び再生用機械器具,電気蓄音機,レコードプレーヤー,ステレオ装置,マイクロフォン,デジタルビデオプレイヤー,ビデオカメラ,サウンドミキサー,トランスミッター,カーオーディオ機器,電気通信機械器具,コンピュータ,コンピュータ周辺機器,コンピュータ端末装置,コンピュータハードウェア,マイクロプロセッサ,コンピュータ用モニター,コンピュータモニター用ディスプレイ,コンピュータ用キーボード,モデム,プリンタ,コンピュータ用ディスクドライブ,コンピュータ用の未記録の記録媒体,コンピュータ用磁気データ記憶媒体,コンピュータソフトウェア,コンピュータファームウェア,記録済みコンピュータプログラム,携帯情報端末装置,ハンドヘルドコンピュータ,電子手帳,フォント・タイプフェイス・タイプデザイン及び記号を記憶させた記憶媒体,コンピュータ用チップ,未記録の光ディスク・磁気ディスク・コンパクトディスク,コンピュータ用記憶装置,コンピュータ用のゲームプログラム,デジタルデータ記憶装置,コンピュータハードドライブ,マウスパッド,電子応用機械器具及びその部品,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル」及び第41類「デジタル画像処理,コンピュータ及びコンピュータソフトウェアに関する知識の教授及びこれに関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,教育情報の提供,オンラインによる電子書籍・電子雑誌の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,ビデオテープの編集,書籍の制作,映画用フィルムの編集,ビデオの上映・制作又は配給,映画の上映・制作又は配給,コンピュータネットワークによる画像・映像・音楽・ゲームの提供,娯楽の提供,娯楽情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同23年8月26日に登録第5434183号商標として設定登録されたものである。

3 本件登録異議申立ての理由(要点)
申立人は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人の商標「iBooks」の周知性
申立人の商標「iBooks」(以下「使用商標」という。)は、商品「電子書籍の購入・閲覧用ソフトウェア」(以下「使用商品」という。)及び役務「電子出版物の提供」に使用され、本件商標の出願時、査定時及び現在に至るまで、申立人の業務を表示するものとして、その需要者及び取引者の間に広く認識されている。
ア 「iBooks」の概要
使用商標は、2010年1月28日に、タブレット型コンピュータ「iPad」と同時に発表された、申立人「AppleInc.(アップル インコーポレイテッド)」)が提供する「電子書籍の購入・閲覧用ソフトウェア」及び「電子出版物提供サービス」の名称である。(甲3及び甲4)。利用者は、当該「iBooks」を用いて、電子書籍ストア「iBookstore」ヘアクセスして電子書籍を購入することができ、また、その購入した電子書籍を閲覧することができる。
イ 各種事典・辞書への掲載
上記のとおり、「iBooks」は、申立人の電子書籍用ソフトウェア及び電子書籍提供サービスの商標であり、このことは、ASCII.jpデジタル用語辞典、PC onlineパソコン関連用語の意味・解説、フリー百科事典ウィキペディア(甲5ないし甲7)に掲載されている。
ウ 申立人によるニュースリリース並びに新聞、雑誌及びインターネットニュースサイトなどによる報道・掲載等
使用商標は、2010年1月28日のリリース発表の後、継続的に、全国紙を含む多くの新聞紙上等で取り上げられ、頻繁に報道ないし特集されている(甲8の1ないし49)。
また、使用商標は、新聞、雑誌及びインターネットニュースサイトなどにより頻繁に報道・掲載等されてきたものである(甲9ないし甲22)。
エ まとめ
申立人の使用商品は、電子書籍の分野において極めて著名であり、優れたシステムとして名声を有するものでもあって、以上の事実に鑑みれば、使用商標は、本件商標の出願時(平成22年8月4日)及び査定時(平成22年12月16日)において、電子書籍の分野に係る取引者及び需要者の中で、周知著名であったことは明らかである。
(2)商標法第8条第1項について
本件商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、その要部の「iBooK」の文字に相応して「アイブック」と称呼されるのに対し、引用商標からは「アイブックス」の称呼を生じ、両者の相違は語尾音の「ス」の有無にすぎず、両者は称呼上極めて相紛らわしいものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において類似することは明らかであることに加え、観念においても類似するから、本件商標と引用商標とは類似の商標である。
また、本件商標と引用商標とは、その指定商品及び指定役務が同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
使用商標は、本件商標の出願時及び査定時において、本件商標の指定役務の分野において、使用商標として広く一般に知られていたものであり、本件商標は使用商標と類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、使用商標と実質的に同等と解される「iBook」の文字をその構成中に含むため、取引者及び需要者に対し、申立人の出所を強く想起させ、申立人の業務に係る商品及び役務と混同を生じさせるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号について
使用商標は、申立人の商標として世界的に広く知られており、本件商標は、その名声にただ乗りし、使用商標のもつ識別力・表示力・顧客吸引力を希釈化するものであって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)むすび
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第8条第1項、並びに、同法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標の登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第8条第1項について
本件商標は、別掲に示すとおり、上段に横一列に、上半分が白く下半分が黒塗りで、縁取りされた「iBooK」の文字、丸みを帯びた斜体の黒太字で「JAPAN」の文字並びに大きい角張った黒く太字で「ドッ」の文字及び下段に「トコム」の各文字を配し、この文字部分の右半分にかかるように、欧文字の「D」を反転させたような形状で、その下部の3分の1程度が黒く塗りつぶされている図形との組み合わせからなるものである。
そして、その構成中の「iBooK」と「JAPAN」の文字とは、欧文字であって横一列に書してなるから、まとまった印象を与えるのに対して、「ドッ」と「トコム」の文字は2段で分離して表されてなるから、本件商標は、構成上「iBooKJAPAN」と「ドットコム」の文字とに分離して看取されるものである。
そうとすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「アイブックジャパンドットコム」の一連の称呼を生ずるほか、「iBooKJAPAN」の文字部分に相応して「アイブックジャパン」の称呼をも生ずるものであり、また「ドメイン名iBooKJAPAN」程の観念を生ずるものといえるものである。
してみれば、本件商標から「iBooK」の文字部分のみが分離抽出されて取引に資されるとはいえないから、これを前提とする申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき理由は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものではない。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
ア 使用商標の周知・著名性
申立人提出の甲各号証によれば、使用商標は、申立人が、平成22年4月3日から米国で、我が国では同年5月28日から製造販売するタブレット型端末「iPad」等で利用可能な電子書籍閲覧ソフトウェアに使用されるものであり、「iPad」と同時に販売されたこと(甲8)、また、使用商品は、申立人が提供する電子書籍のオンラインショップ「iBookstore」(アイブックストア)から無料でダウンロードできること(甲7)が認められる。
しかし、申立人が「使用商標を『電子出版物の提供』で使用している。」旨主張しているが、提出に係る証拠によって、「電子出版物の提供」で使用されている商標は「iBookstore」(アイブックストア)であるから、我が国において使用商標が「電子出版物の提供」で周知著名性を得るような事実を見いだすことはできない。
また、米国では「iPad」の販売当日に、販売台数が30万台を超え、アイパッド向けのデジタル本が25万冊、ソフトウェアが100万本以上ダウンロードされたこと(甲8の15)が認められる。
そうとすれば、電子書籍を購入した「iPad」の米国の利用者の間では、使用商品及び電子書籍に付された使用商標は申立人の業に係る商品及び役務として十分に認識されていたものと認められる。
しかしながら、我が国における「iBooks」の販売時期(平成22年5月28日)は、本件商標の登録出願日(平成22年8月4日)のわずか3か月前で、使用商標が周知著名性を獲得するには短い期間であること、新聞、雑誌等における使用商品の紹介記事の多くは「iPad」に関する記事中で取り上げられる程度であって、注意を引くほどの掲載内容ではないこと、我が国における電子書籍の提供の遅れによりコンテンツが充実していないことが販売当初から予想されていたこと(甲8の16)、提出に係る新聞・雑誌等では電子書籍の販売実績は取り上げられていないこと等を総合して判断すれば、使用商標は、申立人の業務に係る商品「電子書籍閲覧ソフトウェア」等の商標として、取引者、需要者の間に「iPad」程には広く認識されていたものとはいえないと判断するのが相当である。
なお、申立人は、「『iBooks』は、iPhone、iPod touch、iPad向けアプリケーションの、2010年7月人気ランキングにおいて、無料アプリ部門の1位を獲得しており(甲13の2)、さらに、申立人の電子書籍事業は、『iBooks』の提供開始から2か月強ほどで、電子書籍市場でのシェアの22%を獲得するに至ったものであり、このことは各種ニュースサイトでも報道された(甲15、甲19、甲21及び甲22)から、電子書籍の分野に係る取引者及び需要者の中に、申立人の『iBooks』を知らない者はいないと言っても過言ではなく、使用商標が周知著名であったことは明らかである。」旨主張している。
しかしながら、使用商品が2010年7月に無料アプリ人気ランキングで1位になったとしも、申立人の提供するアップルストアでの集計結果であって、申立人の製造販売に係る「iPad」、「iPhone」、「iPod touch」のユーザーであれば、無料で購入(利用)できるものであるから、使用商標の周知著名性を立証するものとは認められない。また、電子書籍市場で22%のシェアを獲得したとしても、我が国におけるシェアであるとはいえず、仮に我が国におけるシェアであったとしても、「iPad」のユーザーの間における周知著名性に依拠するものであると認められるから、申立人の主張は採用できない。
してみれば、使用商標は、本件商標の登録出願時(2010年8月)にすでに周知著名になっていたことをこれらの証拠のみによってはにわかに認めることはできない。
したがって、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
イ 商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
上記(2)アのとおり、使用商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標ではなく、本件商標と使用商標とは、上記(1)と同様の理由により、何ら相紛れるところのない非類似の商標であると認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいえない。
また、本件商標と使用商標とは何ら相紛れるところのない、非類似の商標であるから、本件商標に接する需要者は、使用商標を想起又は連想することはないというべきである。
そうすると、本件商標をその指定役務について使用しても、該役務が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように役務の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。
さらに、申立人の提出に係る証拠を勘案しても、本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けた等と認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。
そうとすれば、本件商標は、使用商標の出所表示機能を希釈化させ、申立人の名声を等を毀損させる目的その他不正の目的をもって使用するものとは認め難いものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものとはいえない。
(3)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)


異議決定日 2011-10-27 
出願番号 商願2010-64395(T2010-64395) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X41)
T 1 651・ 222- Y (X41)
T 1 651・ 25- Y (X41)
T 1 651・ 4- Y (X41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小川 きみえ
田中 亨子
登録日 2011-01-28 
登録番号 商標登録第5386265号(T5386265) 
権利者 小川 賢二
商標の称呼 アイブックジャパンドットコム、アイブックジャパン、アイブック、ドットコム 
代理人 大島 厚 
代理人 柴田 泰子 

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