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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X16
審判 全部申立て  登録を維持 X16
審判 全部申立て  登録を維持 X16
管理番号 1246560 
異議申立番号 異議2011-900197 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-05-27 
確定日 2011-11-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5394136号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5394136号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5394136号商標(以下「本件商標」という。)は、「津山さくら」の文字を標準文字で表してなり、平成22年11月11日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として、同23年2月2日に登録査定され、同年2月25日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要点)
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第542443号商標(以下「引用商標1」という。)は、「さくら」の平仮名を縦書きしてなり、昭和33年7月31日に登録出願、第51類「文房具」を指定商品として、同34年9月28日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成21年7月8日に指定商品を第2類「印刷用インキ,謄写版用インキ」、第8類「パレットナイフ」、第16類「文房具類(海綿・紙製下げ札・紙製シール・紙製しおり・紙製値札・紙製はり札・紙製文房具・紙製ラベル・革ふみばこ・黒板・三角定規・定規・そろばん・短冊・地球儀・トレーシングクロス・水引を除く。)」及び第24類「布製ラベル」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第542444号商標(以下「引用商標2」という。)は、「サクラ」の片仮名を縦書きしてなり、昭和33年7月31日に登録出願、第51類「文房具」を指定商品として、同34年9月28日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成21年7月8日に指定商品を第2類「印刷用インキ,謄写版用インキ」、第8類「パレットナイフ」、第16類「文房具類(海綿・紙製下げ札・紙製シール・紙製しおり・紙製値札・紙製はり札・紙製文房具・紙製ラベル・革ふみばこ・黒板・三角定規・定規・そろばん・短冊・地球儀・トレーシングクロス・水引を除く。)」及び第24類「布製ラベル」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第5333470号商標(以下「引用商標3」という。)は、「サクラ」の片仮名を横書きしてなり、平成21年5月12日に登録出願、第16類「装飾塗工用ブラシ,紙類,文房具類,印刷物,写真,写真立て」を指定商品として、同22年6月25日に設定登録されたものである。
(4)登録第5318610号商標(以下「引用商標4」という。)は、「SAKURA」の欧文字を横書きしてなり、平成19年11月15日に登録出願、第16類「装飾塗工用ブラシ,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として、同22年4月23日に設定登録されたものである。
以下、上記引用商標を一括していうときは、単に「引用商標」ということがある。
2 引用商標の著名性等について
(1)株式会社サクラクレパスの著名性について
申立人は、引用商標の商標権者であり、文房具類及び描画材料等の製造、販売を行う総合メーカーとして我が国有数の存在である(甲5?甲13)。
(2)申立人の略称「サクラ」の著名性について
申立人は、しばしば「サクラ」(以下「引用商標5」という。)と略称されている(甲14?甲23)。
そして、業界紙(甲14?甲23)の日付から分かるように、本件商標の登録出願時(平成22年11月11日)及び登録査定時(平成23年2月2日)のいずれにおいても、引用商標5は、申立人の著名な略称である。
(3)申立人の取扱商品について
総合カタログ(甲24、甲25)の目次の頁から分かるように、申立人は、文房具類や描画材料の他、学童用品、写真立て、ワープロ用感熱紙や紙製品など、様々な商品を扱っている。加えて、申立人における通信販売事業部門(エデュース事業本部)のカタログ「エデュース」(甲26)から分かるように、申立人は、更に広範な商品を扱っている。
(4)商標「サクラ」、「SAKURA」の著名性について
ア 商標「サクラ」、「SAKURA」の使用商品
引用商標3及び4は、申立人のハウスマークとして位置づけられており、引用商標3及び4の指定商品に限らず、様々な商品に使用されている(甲24、甲25)。
イ 引用商標の使用地域
申立人は、大阪に本社を置くほか、札幌営業所、東京支社、東京配送センター、名古屋営業所、九州営業所など各地に支店や営業拠点を有しており(甲24、甲25)、商品の流通は全国に及んでいる。
ウ 引用商標の使用時期
商標「サクラ」、「SAKURA」を付した商品は、2010年及び2011年のいずれの総合カタログ(甲24、甲25)においても示されている。
エ 小括
前述のように、申立人は、文房具類などの商品を取り扱う我が国有数のメーカーであり、商標「サクラ」、「SAKURA」は、申立人のハウスマークであって様々な商品に使用され、取引者、需要者の間で申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されるに至っている。
また、引用商標5は、申立人の著名な略称である。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、類似する商標であり、本件商標の指定商品中、「文房具類、印刷物、書画、写真、写真立て」は、引用商標のいずれかの指定商品と同一であり、本件商標の指定商品中、「紙製包装用容器」は、引用商標3及び4の指定商品「紙類」と類似する商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
「サクラ」、「SAKURA」(引用商標3及び4)は、申立人のハウスマークであって著名な商標であり、本件商標の指定商品は、申立人の取扱商品と同一又は類似の商品であるため、本件商標がその指定商品に使用されると、取引者、需要者は、申立人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第8号について
本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、「サクラ」(引用商標5)は申立人を示す著名な略称である。
そして、「津山さくら」は、ひらがなとカタカナの違いこそあれ、申立人の著名な略称を含む商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
4 むすび
以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号又は同第8号に該当するから、同法第43条の2第1号(同法第43条の3第2項)により商標登録が取り消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「津山さくら」の文字を横書きしてなるところ、その構成各文字は同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって外観上一体的に表されているものであり、その構成文字に相応して生ずると認められる「ツヤマサクラ」の称呼も冗長でなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
ところで、本件商標の構成中、前半の「津山」の漢字は、「岡山県北東部、津山盆地の中央にある市」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)の意味を有する語であるところ、当審における職権調査によれば、津山市は、日本さくらの名所100選に選定され、西日本有数の桜の名所として知られている鶴山公園を有しており、同公園で毎年4月に行われる津山さくらまつりには、約10万人を超える花見客が訪れていること、津山市は、桜を市の花として制定し、鶴山公園の桜は、津山のシンボル的要素となっていることが認められる(別掲1ないし9)。
そうすると、本件商標の構成中の「津山」の漢字は、「津山市」を想起させるものとみるのが相当である。
してみると、本件商標の構成中、後半の「さくら」の平仮名は、上記のとおり、「津山」の漢字が桜の名所を有する津山市を想起させることも相まって、「桜」を認識、把握させるものであるから、本件商標は、その構成文字全体から「津山市の桜」の観念を生ずるとみるのが自然である。
ほかに、かかる構成からなる本件商標にあって、「さくら」の平仮名部分のみを分離、抽出して観察しなければならない特段の取引の事情は見いだせない。
以上を総合して考察すれば、本件商標は、その構成文字全体をもって、一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ツヤマサクラ」の称呼を生じ、「津山市の桜」の観念を生ずるというべきである。
これに対して、申立人は、引用商標は、文房具類について需要者の間に広く認識されている商標であるから、地名である「津山」の漢字と「さくら」の平仮名から構成された本件商標は、これが文房具類などの商品に使用された場合には、引用商標と混同する旨主張する。
しかし、本件商標は、「津山」の漢字と「さくら」の平仮名の組合わせからなるものでり、たとえ、引用商標が文房具類について使用する商標として需要者の間に広く認識されているとしても、そもそも「さくら」の平仮名は、我が国において、古来から広く親しまれている「桜」を意味するものとして知られているものであり、上記のとおり、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても一体不可分に認識されるものであることを勘案すると、その構成中の「さくら」の平仮名が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできない。
よって、申立人の主張は、採用することができない。
(2)引用商標について
引用商標は、「さくら」、「サクラ」又は「SAKURA」の各文字を書してなるものであり、いずれも「サクラ」の称呼を生ずるところ、これらの文字及びその称呼からは、「桜」を容易に想起させるものであるから、「桜」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、上記(1)及び(2)のとおり、外観において明らかな差異を有するものであるから、外観については十分に区別し得るものである。
また、本件商標は、上記(1)のとおり、「ツヤマサクラ」の称呼を生ずるものであり、引用商標は、上記(2)のとおり、「サクラ」の称呼を生ずるものであるから、両称呼は、その構成音数において明らかな差異を有し、音感、音調を異にするものであるから、称呼上十分区別し得るものである。
さらに、本件商標は、上記(1)のとおり、「津山市の桜」の観念を生ずるものであり、引用商標は、上記(2)のとおり、「桜」の観念を生ずるものであるから、観念についても相違するものである。
ほかに、本件商標と引用商標とは、これらを同一又は類似の商品に使用した場合に、その商品の出所の混同を生ずるおそれがあるとみるべき取引の実情を見いだせない。
(4)小括
以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、「サクラ」、「SAKURA」の各文字からなる商標(以下、これらをまとめて「使用商標」という。)が、主に商品「筆記具」などの文房具類について使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
しかし、使用商標からは、我が国において広く知られ、親しまれている「桜」が想起されるものでもあるから、その独創性は、決して高いといい得ないものであり、また、本件商標と使用商標とは、前記1において認定、判断した場合と同様に十分に区別し得る別異の商標というべきである。
そうすると、使用商標の周知著名性及び独創性の程度、本件商標と使用商標の類似性の程度等を総合的に判断するならば、本件商標は、その指定商品に使用したときに、これに接する取引者、需要者をして、申立人に係る使用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第8号について
商標法第4条第3項は、同条第1項第8号に該当する商標であっても、商標登録出願の時に同号に該当しないものについては、この規定は適用しないと規定しているのであるから、本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するというためには、本件商標の登録出願時、かつ、登録査定時のいずれにおいても当該号に該当しなければならないものと解される。
これを踏まえて、本件についてみるに、申立人の提出に係る甲第14号証ないし甲第23号証によれば、同人の略称として「サクラ」の文字が使用されている事実が認められるとしても、甲第19号証ないし甲第23号証は、本件商標の登録査定時後のものであり、本件商標の登録出願時前のものは、わずか5件にすぎないものであるから、これをもって、申立人の略称である「サクラ」が我が国の一般需要者の間に著名となっていたとは認められない。
そうすると、本件商標は、申立人の著名な略称を含む商標といえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 「津山市の花・木」の見出しの下、「花⇒『さつき』『さくら』」との記載(http://www.city.tsuyama.lg.jp/index.cfm/23,7,128,387,html)。
2 「津山城(鶴山公園)」の見出しの下、「城跡を包み込む桜は圧巻!」及び「城跡の鶴山公園には数千本の桜が植えられ、『日本のさくら名所100選』にも選ばれている。」との記載(http://www.city.tsuyama.lg.jp/index.cfm/22,12442,116,html)。
3 「鶴山公園の桜だより」の見出しの下、「鶴山公園は津山市のほぼ中央に位置し、(財)日本さくらの会『日本桜百選』にも選ばれた桜の名勝で、4月のさくらまつり期間中には10万人を超える花見客が訪れます。」との記載(http://www.yumeminori.com/tsuyama/09sakura.html)。
4 「さくらまつり特集」の見出しの下、「津山城跡『鶴山公園』で毎年春に行われる『津山さくらまつり』。大きく立派な石垣の上に約1,000本の桜が咲き乱れ、日本のさくら名所100選にも選ばれています。」との記載(http://www.e-tsuyama.com/ichioshi/2011/04_sakura/index.html)。
5 「津山城(鶴山公園)」の見出しの下、「西日本有数の桜の名所 『日本さくら名所100選』に選定された公園で、西日本有数の桜の名所。」との記載(http://www.mapple.net/sp_sakura/details.asp?NEWSID=72346)。
6 「津山さくらライオンズクラブ」の見出しの下、「津山のシンボル的要素鶴山公園のさくらは、日本さくら名所百選に県内唯一選定されており、その見事さは古い城跡の石垣により引き立てられ、更に美しさを増し桜の国日本を象徴しているようであります。また、『市の花』としても制定され…」との記載(http://www.f7.dion.ne.jp/~lc336b/tuyasaku/index.html)。
7 「桜待つぼんぼり 津山・鶴山公園で設置=岡山」の見出しの下、「公園には、ソメイヨシノ、八重桜など13種類約1000本があり、毎年、期間中に約10万人が訪れる県内でも有数の桜の名所。」との記載(2011年3月17日 読売新聞 大阪朝刊 20ページ)
8 「津山さくらまつり:鉄砲隊実演など、多彩な催し 鶴山公園で始まる /岡山」の見出しの下、「西日本有数の桜の名所として知られる鶴山公園は「さくらの名所」100選に選ばれ、園内の桜は現在5分咲きから満開。期間中は毎年、11万人を超える花見客が訪れる。」との記載(2010年4月2日 毎日新聞 地方版/岡山 21ページ)。
9 「ぼんぼり・テント整う 1日から、津山・鶴山公園で『津山さくらまつり』/岡山県」の見出しの下、「『津山さくらまつり』(まつり実行委員会主催、朝日新聞岡山総局など後援)が4月1日から15日まで催される。主会場の鶴山公園(津山城)と周辺では、ぼんぼりや貸しテントの設置など準備も万端=写真。市観光協会などでつくる実行委は、期間中に県内や京阪神などから13万人前後の人出を見込んでいる。鶴山公園にはソメイヨシノを中心に約5千本の桜がある。『上から眺められる桜』としても有名で、県内の名所で唯一、『日本のさくらの名所百選』に選ばれている。」との記載(2008年3月29日 朝日新聞 大阪地方版/岡山 32ページ)。

異議決定日 2011-10-19 
出願番号 商願2010-87953(T2010-87953) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X16)
T 1 651・ 271- Y (X16)
T 1 651・ 23- Y (X16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 末武 久佳
大塚 順子
登録日 2011-02-25 
登録番号 商標登録第5394136号(T5394136) 
権利者 近光 信子
商標の称呼 ツヤマサクラ、サクラ 
代理人 森 寿夫 

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