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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1246557 
異議申立番号 異議2011-900191 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-05-27 
確定日 2011-11-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5392943号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5392943号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5392943号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成20年4月12日に登録出願、第25類「Tシャツ,帽子」を指定商品として、同23年1月11日に登録査定、同年2月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4637003号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成14年4月24日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同15年1月17日に設定登録されたものである。
(2)登録1884350号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、昭和47年3月25日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年8月28日に設定登録され、その後、平成8年8月29日及び同18年7月4日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同19年11月14日に、指定商品を第18類「かばん類,袋物」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第1925032号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、昭和50年10月14日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年1月28日に設定登録、その後、平成9年5月16日及び同18年12月19日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同20年7月16日に、指定商品を第3類「つけづめ,つけまつ毛」、第8類「ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」、第10類「耳かき」、第14類「身飾品,宝玉及びその模造品」、第18類「携帯用化粧道具入れ」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ,洗面用具入れ」を除く。)」、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花(「造花の花輪」を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録第2068537号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲5のとおりの構成からなり、昭和47年6月27日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年7月22日に設定登録され、その後、平成10年3月24日及び同20年7月29日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同21年6月24日に、指定商品を第6類「アイゼン,カラビナ,金属製飛び込み台,ハーケン,拍車」、第8類「水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ピッケル」、第9類「ウエイトベルト,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,レコード」、第15類「楽器,演奏補助品,音さ」、第18類「乗馬用具」、第19類「飛び込み台(金属製のものを除く。)」、第20類「揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類,スリーピングバッグ」、第21類「コッフェル」、第22類「ザイル,登山用又はキャンプ用のテント,ウィンドサーフィン用セイル」、第24類「ビリヤードクロス」、第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴,仮装用衣服」、第27類「体操用マット」、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」及び第31類「釣り用餌」とする指定商品の書換登録がされたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由の要点
(1)引用商標は、前脚を縮め後ろ脚を伸ばし、尾を上方に伸ばして、左上方に跳躍するプーマを、側面から見た姿で描いてなる、独創的なものであるのに加え、遅くとも1980年代から我が国でブランドの出発点ともいえるサッカーシューズを始め、各種スポーツシューズ、スポーツウェア、バッグ、さらには本件商標の指定商品でもあるTシャツや帽子を含む幅広い商品に使用された結果、申立人の業務に係る商品を表すものとして広く知られ、強い顧客吸引力を取得するに至り、本件商標の出願時及び査定時において、その指定商品分野の取引者・需要者の間で周知・著名な商標となっていた。
なお、引用商標を構成する動物の図形は、「PUMA」の文字と組み合わせて使用されることもあるが、商品に直接付されるときは、図形のみで使用される場合が多く、該動物図形は、黒色のシルエットのみならず、背景色に合わせた種々のバリエーションがあり、長方形内に配置されることもある。
(2)本件商標のような動物図形の商標が被服類の商品分野において使用される場合には、ワンポイントマークとして表示される可能性が高い。
また、その主たる需要者は、老人から若者までを含む一般の消費者であって、必ずしも商標やブランドについて詳細な知識を持たない者も多数含まれており、さらに、商品の購入に際し、メーカー名等について常に注意深く確認するとは限らず、小売店の店頭等で短時間のうちに購入商品を決定するということも少なくない。
(3)本件商標と引用商標とについて、子細に観察すれば、本件商標の動物図形は、尻尾が大きく丸く描かれている点、頭部の周囲に首飾りと目される図形を配している点及び前脚の肘にあたる部分や後ろ脚の膝裏に当たる部分に巻き毛のような装飾が施されている点が引用商標と相違するものの、全体的な構図をみると、両者は、右から左上方へ跳躍している動物を表してなり、その細部も、跳躍の角度、前脚と後ろ脚の位置・長さ、頭部と尻尾部の向き、胸・背中から脚にかけての曲線等、各部位の配置がほぼ同じであり、図形の輪郭全体も近似しているから、全体として似通った印象を与える。
(4)本件商標の指定商品と申立人の取り扱いに係る商品とは、その取引者、需要者を共通にするものであり、また、商品の購入に際し、メーカー名等を常に注意深く確認するとは限らないことに加え、本件商標がワンポイントマークとして使用された場合には、マーク自体に詳細な模様や図柄を表現することは容易ではないから、図形の輪郭全体が見る者の注意を惹き、内側における差異が目立たなくなることが十分に予想される。
そうすると、本件商標がその指定商品に使用された場合、引用商標が我が国において申立人の製造・販売に係る商品を表彰するブランドとして極めて高い周知著名性を有していることと相まって、これに接した需要者は、それが引用商標と全体的な配置、輪郭が類似する図形であることに着目し、該商品を申立人の取り扱い商品又は同人と組織的・経済的に密接な関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、四足動物が右側から左上方へ向けて跳び上がるように前足と後ろ足を大きく開いている様子が側面から見た姿でシルエット風に描かれると共に、その輪郭等に沿うように白線を配してなるものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、別掲2のとおり、四足動物が右側から左上方へ向けて跳び上がるように前足と後ろ足を大きく開いている様子が側面から見た姿でシルエット風に描かれているものである。
イ 引用商標2は、別掲3のとおり、黒色正方形内に四足動物が右側から左上方へ向けて跳び上がるように前足と後ろ足を大きく開いている様子が側面から見た姿を白抜きで表したものを配してなるものであり、該動物図形の輪郭は、引用商標1のそれと同一視して差し支えないものである。
ウ 引用商標3は、別掲4のとおり、灰色の横長矩形内に四足動物が右側から左上方へ向けて跳び上がるように前足と後ろ足を大きく開いている様子が側面から見た姿を黒線で表したものを配してなるものであり、その頭部には、目及び口と思しきものが描かれている。
エ 引用商標4は、別掲5のとおり、四足動物が右側から左上方へ向けて跳び上がるように前足と後ろ足を大きく開いている様子が側面から見た姿を黒線で表したものであって、その頭部には、目及び口と思しきものが描かれており、該動物図形の輪郭は、引用商標3のそれと同一視して差し支えないものである。
(3)本件商標と引用商標1との対比
ア 外観
(ア)共通点
本件商標と引用商標1とは、四足動物が右側から左上方へ向けて跳び上がるように前足と後ろ足を大きく開いている様子が側面から見た姿でシルエット風に描かれている点で共通し、その向きや基本的姿勢のほか、跳躍の角度、前足・後ろ足の縮め具合・伸ばし具合や角度、胸・背中から足にかけての曲線の描き方について、似通った印象を与える。
(イ)差異点
本件商標の方が引用商標1に比べて頭部が比較的大きく描かれているほか、本件商標においては、輪郭等に沿うように白線が配されており、さらに、口の辺りに歯のようなものが描かれ、首の部分に飾り又はたてがみのような模様が、前足と後ろ足の関節部分にも飾り又は巻き毛のような模様が描かれ、尻尾は全体として丸みを帯びた形状で先端が尖っており、飾り又は巻き毛のような模様が描かれている。
これに対し、引用商標1は、模様のようなものは描かれず、全体的に黒いシルエットとして塗りつぶされているほか、尻尾は全体に細く、右上方に高くしなるように伸び、その先端だけが若干丸みを帯びた形状となっている。
(ウ)上記のとおり、本件商標と引用商標1とは、全体的な形状において似通った印象を与えるものの、その全体を構成する頭部、首部、足部及び尻尾部において顕著な差異を有するものであって、その差異は、明瞭に看て取れるものである。
イ 称呼及び観念
本件商標と引用商標1とは、いずれも四足動物を描いてなるものであるが、抽象的に描写されており、直ちに特定の動物を想起させるとはいい難いものであるから、これより、格別の称呼及び観念は生じない。
ウ 以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、外観において明らかに相違するものであり、称呼及び観念においては比較することができないものであるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)本件商標と引用商標2との対比
上記(2)イで述べたとおり、引用商標2の動物図形部分の輪郭は、引用商標1のそれと同一視し得るものであるから、本件商標と引用商標2の構成中の動物図形部分とは、上記(3)でした認定、判断と同様に、非類似の商標というべきであり、これが、引用商標2が黒色正方形を有すること及び該動物図形が白抜きで表されていることにより影響を受けるものでもない。
(5)本件商標と引用商標3との対比
ア 外観
(ア)共通点
本件商標と引用商標3とは、四足動物が右側から左上方へ向けて跳び上がるように前足と後ろ足を大きく開いている様子が側面から見た姿で描かれている点で共通し、その向きや基本的姿勢のほか、跳躍の角度、前足・後ろ足の縮め具合・伸ばし具合や角度、胸・背中から足にかけての曲線の描き方について、似通った印象を与える。
(イ)差異点
本件商標が四足動物をシルエット風に描いてなるのに対し、引用商標3は灰色の横長矩形内に四足動物を黒線で表してなるものを配してなる点で相違する。
また、本件商標と引用商標3の動物図形部分との比較においては、本件商標の方が引用商標3の動物図形部分に比べて頭部が比較的大きく描かれているほか、本件商標においては、輪郭等に沿うように白線が配されており、さらに、口の辺りに歯のようなものが描かれ、首の部分に飾り又はたてがみのような模様が、前足と後ろ足の関節部分にも飾り又は巻き毛のような模様が描かれ、尻尾は全体として丸みを帯びた形状で先端が尖っており、飾り又は巻き毛のような模様が描かれている。
これに対し、引用商標3の動物図形部分には、模様のようなものは描かれず、全体形状を黒色の輪郭線で表し、その頭部に目及び口と思しきものが描かれているほか、尻尾は全体に細く、右上方に高くしなるように伸び、その先端だけが若干丸みを帯びた形状となっている。
(ウ)上記のとおり、本件商標と引用商標3とは、その動物図形部分に係る全体的な形状において似通った印象を与えるものの、該動物図形全体を構成する頭部、首部、足部及び尻尾部において顕著な差異を有するものであって、その差異は、明瞭に看て取れるものである。
イ 称呼及び観念
本件商標は四足動物を描いてなるものであり、また、引用商標3もその構成中に四足動物を描いてなるものであるが、いずれも抽象的に描写されており、直ちに特定の動物を想起させるとはいい難いものであるから、これより、格別の称呼及び観念は生じない。
ウ 以上のとおり、本件商標と引用商標3とは、外観において明らかに相違するものであり、称呼及び観念においては比較することができないものであるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(6)本件商標と引用商標4との対比
上記(2)エで述べたとおり、引用商標4の動物図形部分の輪郭は、引用商標3のそれと同一視し得るものであるから、本件商標と引用商標4の構成中の動物図形部分とは、上記(5)でした認定、判断と同様に、非類似の商標というべきであり、これが、引用商標4が灰色の横長矩形を有しないこと及び該動物図形が黒色の輪郭線で表されていることにより影響を受けるものでもない。
(7)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る甲第7号証(プーマアパレルジャパン株式会社に係る「APPREL spring2010」と題する2009年(平成21年)6月現在のものを内容とする企画書)及び甲第8号証(プーマジャパン株式会社に係る「FOOTWEAR&ACCESSORIES SPRING2010」と題するカタログであって、2009年(平成21年)6月19日から2010年(平成22年)6月18日までを有効期間とするもの。)によれば、引用商標1(ただし、使用に係る商品の色彩との関係で、黒色以外の色彩をもって表されている場合を含む。)が商品「Tシャツ」及び「キャップ」について使用されていることは窺えるものの、その具体的な使用期間や販売数量、広告宣伝の方法や回数等が不明であるから、これらをもって直ちに、引用商標1が、本件商標の登録出願日(平成20年4月12日)及び登録査定日(平成23年1月11日)の時点において、この種商品の需要者の間に広く認識されていたとはいい難い(なお、引用商標2ないし4については、これらが申立人の業務に係る商品について使用され、本件商標の登録出願日に既に需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない。)。
そして、上記(3)ないし(6)のとおり、本件商標と引用商標とは、明らかに相紛れるおそれのない別異の商標である。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用したときに、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(8)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標(登録第5392943号商標)


2 引用商標1(登録第4637003号商標)


3 引用商標2(登録第1884350号商標)


4 引用商標3(登録第1925032号商標)


5 引用商標4(登録第2068537号商標)


異議決定日 2011-10-21 
出願番号 商願2008-32576(T2008-32576) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅沼 結香子金子 尚人山田 忠司鈴木 斎 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 山田 和彦
田中 敬規
登録日 2011-02-25 
登録番号 商標登録第5392943号(T5392943) 
権利者 上原 俊一
代理人 坂上 正明 
代理人 岡田 稔 
代理人 谷山 守 
代理人 曾我 道治 

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