• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X33
管理番号 1246467 
審判番号 不服2010-570 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-12 
確定日 2011-11-02 
事件の表示 商願2009- 24072拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類「清酒,その他の日本酒」を指定商品として、2008年10月7日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成21年4月1日に登録出願されたものである。

2 原審において通知した拒絶の理由
(1)本願商標は、「ROCK」及び「SAKE」の文字を、未だ普通に用いられる方法の域をでず上下二段に横書きしてなるところ、その構成中の「ROCK」の文字は、氷の入ったグラスに酒を注いで飲む酒の飲み方の一つとして広く知られ、「SAKE」の文字は指定商品の普通名称をローマ字表記したものと認められるから、その構成全体からは「ロックに適した酒」、「ロックで飲む酒」ほどの意味合いが看取される。してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、単にその商品の品質、用途等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標は、登録第1740674号商標と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)原査定は上記(2)の理由により本願を拒絶した。

3 当審における審尋
請求人に対し、平成22年11月29日付けで通知した審尋の内容は、別掲2のとおりである。

4 審尋に対する請求人の回答の要点
以下の理由により、本願商標は、その構成全体からなる一つの造語として、本願の指定商品について十分に自他商品識別力を発揮しうることから、商標法第3条第1項第3号には該当しない。
(1)本願商標は、普通に用いられる方法の範囲で表してなるものではない。
(2)本願商標から、「ロックで飲むことに適した酒」なる特定の意味合いが直ちに想起されるとはいえない。
(3)本願商標それ自体が指定商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実はない。
(4)過去の審決例からすれば、本願は登録されるべきである。

5 当審の判断
(1)本願商標は、別掲1のとおり、「ROCK」と「SAKE」(「E」にはアクサン・テギュがある。以下、同じ。)の欧文字を上下二段に書してなり、構成中の「A」及び「E」の文字が一部デザイン化されているとはいえ、近時、各種のレタリング文字が広く使用され、商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、特殊な態様とはいい得ないものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法の範囲で表してなるものとみるのが相当である。
そして、指定商品との関係において、構成中の「ROCK」の文字は、氷の入ったグラスに酒を注いで飲む酒の飲み方の一つとして広く知られ、「SAKE」の文字は指定商品の普通名称をローマ字表記したものと認められる。
さらに、別掲2(平成22年11月29日付け審尋)において示した証拠により、酒(日本酒)をロック(オンザロック)で飲むことが普通に行われており、「ロックで飲むことに適した酒」が多数取引されている実状が認められる。
そうとすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「ロックで飲むことに適した酒」を表すものと容易に理解・把握されると見るのが相当であり、これを、その指定商品に使用するときは、単にその商品の品質、用途などを表示してなるにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は欧文字「A」及び「E」を一般的なデザイン処理とはいい難い独創的な態様で表し、また、構成文字全体も統一してデザイン化され、まとまりよく図案化してなり、このような特徴的な外観に取引者・需要者は強い印象を受けることから、本願商標は普通に用いられる方法の範囲で表してなるものではない旨、主張している。
しかしながら、構成中の「A」と「E」の文字も含めて、本願商標の各文字のデザイン化の程度は元となる欧文字を容易に理解できる範囲のものであり、構成全体としても、2つの単語を二段に併記する場合の表示方法として、特殊な構成とはいえないものであることよりすると、本願商標は、外観において取引者・需要者に強い印象を与えるというほどデザイン化、図案化されているとはいえず、上記(1)のとおり、普通に用いられる方法の範囲で表してなるものとみるのが相当であるから、請求人の上記主張は採用できない。
イ 請求人は、本願商標が「ロックで飲むことに適した酒」程の意味合いを暗示させる可能性が考えられ得るとしながらも、本願商標それ自体は一般の英語辞書等には記載されておらず、特定の意味合いを有していないこと、また、「ROCK」と「SAKE」の2語を上下二段に並列してなる本願商標からは、「ロックに適した酒」、「ロックで飲む酒」、「ロック専用の酒」及び「ロックにできる酒」等の様々な意味合いを看取でき、需要者・取引者がほぼ例外なく「ロックで飲むことに適した酒」の意味合いだけを具体的かつ容易に想起するとはいえず、商標全体として指定商品の品質・用途等を直接的かつ具体的に表示するものではないから、本願商標は、何ら特定の意味合いを看取させない一種の造語というべきであり、仮に意味合いが生じ得るとしても、それは単なる暗示にとどまる旨、主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、構成中の「ROCK」の文字は、氷の入ったグラスに酒を注いで飲む酒の飲み方の一つとして広く知られ、「SAKE」の文字は指定商品である「日本酒」(酒)の普通名称をローマ字表記したものと容易に理解されるものであるところ、指定商品に係る需要者において、別掲2のとおり、酒(日本酒)をロック(オンザロック)で飲むことが普通に行われている実情よりすれば、需要者は「ROCK」と「SAKE」の語からなる本願商標から、「ロックで飲むことに適した酒」の意味合いを容易に理解、認識するというのが自然である。また、請求人が本願商標から想起し得るものとして例示する「ロックに適した酒」等の複数の意味合いは、いずれも「ロックで飲むことに適した酒」の概念に包含されるものにすぎない。したがって、請求人の上記主張は採用できない。
ウ 請求人は、本願商標は、欧文字の「ROCK」と「SAKE」の2語のみを並列してなり、両語を繋ぐための語を何ら補っていない態様からなるものであるが、平成22年11月29日付け審尋(別掲2)において示された証拠(2(1)?(10))は、日本語の「ロック」、「酒」等が他の語を介して結合された状態で用いられているものがほとんどであるから、本願商標を指定商品に使用した場合に「ロックで飲むことに適した酒」の意味合いが容易に理解・把握されることの証左になるものではない旨、主張している。
しかしながら、我が国において、「ロック」の文字は「ROCK」の片仮名表記として親しまれ、「SAKE」の文字は「酒」のローマ字表記として親しまれていること、「SAKE」が本願商標との関係では指定商品の普通名称を表すものであること、「酒」を「ロック」で飲むことが普通に行われていること、「ロックで飲むことに適した酒」が多数取引されている実状が認められることから、これらを総合的に勘案すれば、欧文字の「ROCK」と「SAKE」の2語のみを2段に併記してなる本願商標からも、「ロックで飲むことに適した酒」の意味合いが容易に理解・把握されるというべきである。したがって、請求人の上記主張は採用できない。
エ 請求人は、指定商品等の分野において各構成語が単独での意味を有しているとしても、結合して組み合わされた場合には必ずしも特定の意味合いを直ちに認識させず、また、特定の意味合いが生じ得たとしても暗示にとどまり、取引上普通に使用されている事実もないとして登録された過去の審決例を挙げ、本願商標も登録されるべき旨、主張している。
しかしながら、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人により提示された審決例(平成23年2月28日付け回答書 第1号証ないし第4号証)は、本件とは、商標の構成態様、指定商品を異にするものであり、また、本願商標に係る取引の実情は平成22年11月29日付け審尋(別掲2)のとおりであることよりすれば、本件については上述のとおり判断するのが相当であるから、請求人の上記主張は採用できない。
(3)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(平成22年11月29日付け審尋の内容)
1 本願商標は、願書に記載のとおり、「ROCK」と「SAKE」(「E」にはアクサン・テギュがある。以下、同じ。)の欧文字を上下二段に書してなり、構成中の「A」及び「E」の文字が一部デザイン化されているとはいえ、近時、各種のレタリング文字が広く使用され、商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、特殊な態様とはいい得ないものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法の範囲で表してなるものとみるのが相当である。
そして、指定商品との関係において、構成中の「ROCK」の文字は、氷の入ったグラスに酒を注いで飲む酒の飲み方の一つとして広く知られ、「SAKE」の文字は指定商品の普通名称をローマ字表記したものと認められる。
さらに、下記の証拠調べにおいて示す証拠により、酒(日本酒)をロック(オンザロック)で飲むことが普通に行われており、「ロックで飲むことに適した酒」が多数取引されている実状が認められる。
そうとすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「ロックで飲むことに適した酒」を表すものと容易に理解・把握されると見るのが相当であり、これを、その指定商品に使用するときは、単にその商品の品質、用途などを表示してなるにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当すると判断する。

2 本願商標について、当審において、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項による証拠調べを行ったところ、以下の事実を発見したので、同条第5項に基づき通知する。
(1)「MSN産経ニュース」のウェブサイトの2010年8月22日付けの記事において、「【近ごろ都に流行るもの】醸造酒のロック “邪道”から定番へ 」の見出しのもと、「残暑もひとしお厳しいこの夏。冷たさへの渇望からか、“邪道”とされてきた、そのまま飲むべき醸造酒のオンザロック提案が目を引く。」、「『夏のロック酒「氷(ひょう)清(せい)」シリーズ』と銘打った4銘柄が置かれていた。」、「『・・・ロックでおいしい原酒は実はたくさんあるんですよ』と山崎さん。」の記載がある(http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/100822/tky1008222041013-n1.htm)。
(2)「新潟地酒お取り寄せ情報<酒の新茶屋>」のウェブサイトにおいて、2006年8月15日付けで「濃醇甘口酒をオンザロックで夏風に!」の見出しのもと、「そんな時には、日本酒でオンザロックを一度お試しください。特に原酒なんていいですね。酒の新茶屋でお薦めのロック酒といえば、地元柏崎の蔵元から市内の酒屋仲間で企画して誕生させたこの『原酒 阿部』がお薦めです。」の記載がある(http://yumeokami.seesaa.net/article/22364097.html)。
(3)「地酒のさせ酒店」のウェブサイトにおいて、「天吹 雷神 柱焼酎造り 【あまぶき】 1800ml」の見出しのもと、「『日本酒をオンザロックでおいしく飲みたいという』発想から生まれた、新世代ロック専用日本酒です。」、「ただアルコール調整の為のロックではなくロックだからこそ冴える日本酒です。ロックで飲むと、なでしこの華やかで甘やかな香りに、スッキリとした米の甘みを感じられる爽やかな飲み口です。ロックが解けてからが雷神の本領発揮です。通常の酒だと味がぼやけてしまいますが、雷神はシッカリと輪郭が残り最後まで楽しめます。日本酒をロックで・・・・ついにスタイルだけでなく中身が伴った専用日本酒が誕生です。」の記載がある(http://www.sasesaketen.com/SHOP/N71.html)。
(4)「レトロ横町」と称するウェブサイトにおいて、「この夏、オンザロックで日本酒を!」の見出しのもと、「本日ご紹介するSAMURAI ROCK『秘伝燕返し』は、”日本酒をオンザロックで飲みたい!”という発想から生まれた新しいお酒です。」の記載がある(http://sakaemachi.exblog.jp/6078299/)。
(5)「GEKKEIKAN」と称するウェブサイトの「月桂冠ニュース」2010年3月4日付けの項において、「オンザロックで日本酒を 『氷でうまい酒』を新発売」の見出しのもと、「月桂冠株式会社は、氷を入れて飲む日本酒『氷でうまい酒』(1.8リットルパック)を3月上旬(当社出荷開始)から全国で発売します。」、「日本酒のオンザロックのルーツは奈良時代」の記載が(http://www.gekkeikan.co.jp/company/news/201003_04.html)、同2008年5月1日付けの項において、「オンザロックで楽しむ日本酒 『氷原酒』を期間限定発売」の見出しのもと、「氷を入れたグラスに日本酒を注ぎ、オンザロックでお楽しみいただけます。」の記載がある(http://www.gekkeikan.co.jp/company/news/200805_01.html)。
(6)「大分麦焼酎(本格麦焼酎) 二階堂・西の関・甘酒の販売 創業150年・酒の山城屋」と称するウェブサイトの「日本酒」の項において、「西の関 夏のお酒 ひや 720ml」の見出しのもと、「日本酒オンザロック」、「コンセプトは、“氷で割っても味がぶれない、オンザロック専用酒。”」の記載がある(http://yamashiroya.biz/?pid=13764987)。
(7)「日本名門酒会」のウェブサイトの「折々の酒」2007年8月付けの項において、「◆酒ロックフェス◆ ロックでやる夏の酒」の見出しのもと、「夏は日本酒をロックで楽しんでしまいましょう。」、「SAKE ROCK FESTIVAL」、「小降りのグラスにカランと氷を落としてガツンといったり、お猪口にロックアイスを一欠片入れてじっくり味わったり、はたまたレモンを入れたり、いろんなスタイルのロックでお楽しみください。」、「もちろんそのままでも美味しいけれど、ロックにしてまた楽しいお酒をご紹介。」等の記載がある(http://www.meimonshu.jp/modules/xfsection/article.php?articleid=1423)。
(8)「下関酒造株式会社」のウェブサイトにおいて、「暑い夏にはガツンとくるお酒!! 蔵出し原酒 オンtheロック」の見出しのもと、「暑い夏に、喉ごしキレる原酒を “ ロック ” でどうぞ!」、「原酒はロックがオススメ!」、「暑い夏は原酒に氷をいれてロックで飲む日本酒もオススメです!」の記載がある(http://www.sekimusume.co.jp/SHOP/702527/714091/list.html)。
(9)「佐野屋 地酒.COM」のウェブサイトにおいて、「玉川 純米吟醸 アイスブレーカー 無濾過生原酒」の見出しのもと、「原酒の濃く力強い味わいは、ロックで飲んでも味が崩れない。」の記載がある(http://www.jizake.com/html/Sake3006.html)。
(10)「京都丹後ハクレイ酒造」のウェブサイトの「ハクレイ酒造こだわりの地酒紹介」の項において、「夏原酒 『ひや』 4月9日発売」の見出しのもと、「ロックで呑んでも薄まらない!」、「夏には、お酒を冷酒やロックで呑む機会が多いです。」「ロックで呑んでも薄まらない夏原酒『ひや』。」の記載がある(http://www.hakurei.co.jp/sake_lineup/)。

審理終結日 2011-06-03 
結審通知日 2011-06-07 
審決日 2011-06-21 
出願番号 商願2009-24072(T2009-24072) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内藤 隆仁小田 明 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 瀧本 佐代子
根岸 克弘
商標の称呼 ロックサケ、ロックセーク、ロック、セーク 
代理人 特許業務法人原謙三国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ