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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y08
管理番号 1246457 
審判番号 取消2010-300604 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-05-31 
確定日 2011-11-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2632379号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2632379号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2632379号商標(以下「本件商標」という。)は、「BUCCELLATI」の欧文字を横書きしてなり、平成2年11月1日に登録出願、第13類「洋食ナイフ、果物ナイフ」を指定商品として同6年3月31日に設定登録され、その後、同15年10月21日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年12月3日に指定商品を第8類「洋食ナイフ,果物ナイフ」とする指定商品の書換登録がされているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成22年6月15日されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。
1 請求の理由
請求人の調査したところによると、本件商標は、商標権者又は使用権者によって、その登録に係る指定商品について、少なくとも継続して過去3年以上にわたり使用されている事実を発見することができなかった。また、商標登録原簿によれば、使用権の設定登録もされていない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録の取消しを免れることができないものである。
2 弁駁の理由
(1)乙第1号証ないし乙第4号証において、本件商標を使用しているとされる「株式会社高會堂六本木」(以下「高會堂」という。)と本件商標権者との関係が不明である。
本件商標の商標登録原簿には、専用使用権の設定登録の記録はない。よって、高會堂が本件商標についての通常使用権者であることが証明されなければ、高會堂による本件商標の使用は、商標法第50条第2項で規定された登録商標の使用とはいえないので、本件商標の登録は取り消されるべきである。
(2)乙第1号証及び乙第2号証によっては、商標「FEDERICO BUCCELLATI」が身飾り品に使用されていることはわかるが、本件商標の指定商品である「洋食ナイフ、果実ナイフ」について本件商標が使用されている事実は示されていない。
また、被請求人は、乙第3号証及び乙第4号証によって、本件商標が商品「洋食ナイフ」に使用されていると主張している。
しかし、乙第3号証において「20年以上にわたって」使用されていると記載されているものの、客観的なものではなく、また、乙第4号証は、本件商標が付された商品の写真にすぎず、本件商標が取引上使用されたことを示すものではなく、本件商標がいつ使用されたかは明らかになっていない。
よって、乙第3号証及び乙第4号証によっては、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に実際に使用された事実は証明されていない。
(3)請求人と高會堂との間では、甲第3号証として示すとおり、高會堂が本件商標と同一・類似の商標を本件指定商品に使用してはならない旨の合意があった。つまり、高會堂は2004年5月11日付け書面において、請求人の代理人に対し、商標「Federico Buccellati」を使用すると約束しており、「Buccellati」単独では使用しないという確認をしている。
よって、高會堂が主張している本件商標の使用は誠実な意思に基づくものではないおそれがあり、商標法第50条における正当な登録商標の使用として認めるべきではない。
(4)上述のとおりであるから、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に指定商品について使用された事実は証明されていない。
したがって、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証、参考資料1及び参考資料2を提出している(参考資料1は乙第5号証と、参考資料2は乙第6号証と、それぞれ同一のものである)。
(1)本件商標は、商標権者によって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、カタログ(乙1)に掲載されている本件商標の指定商品「洋食ナイフ」に使用されている。
すなわち、被請求人の日本での店舗である高會堂において(乙2)、洋食ナイフが展示されて販売されている。高會堂において洋食ナイフ等が展示・販売されている事実を示す写真等を乙第3号証及び乙第4号証として提出する。
また、洋食ナイフ又は果物ナイフに関する取引書類の写しを提出する(乙第6号証)。
なお、乙第6号証中、「バターサーバー」は、洋食ナイフを含むものである。
(2)請求人は、高會堂と本件商標権者の関係が不明であると主張するため、1990年6月1日に被請求人と高會堂との間で締結されたライセンスアグリーメント(以下「アグリーメント」という。)の写しを提出する(乙第5号証)。
第17条に記載のように、アグリーメントは、1990年6月1日に被請求人と高會堂との間で締結され、その後、現在まで両社間において自動的に更新されている。
そして、アグリーメントの第1条において、被請求人は、高會堂に対して独占的に製品を供給し、高會堂が当該製品を日本において販売することを承認している。
以上より、高會堂が通常使用権者であることは明らかである。
(3)請求人は、請求人と高會堂との間で、Buccellati単独では使用しないという確認をしている旨述べている。
しかし、甲第3号証においては、いずれの商品についての約束であるかに言及されておらず、この約束が「洋食ナイフ,果物ナイフ」に関するものではない。
(4)以上より、本件審判の請求の登録前3年以内に、通常使用権者である高會堂が日本国内において、本件商標を使用していたことは明らかである。
よって、本件審判の請求は、理由がなく、成り立たない。

第4 当審の判断
1 事実認定
(1)乙第1号証は、被請求人の製品カタログとするものであるが、日本語による記載はなく欧文字によるものであり、表紙の中央下部には、「FEDERICO BUCCELLATI」との表示があり、裏表紙の下部には、「ROMA-VIA DEI CONDOTTI,31・06-6790329」・・・・「TOKYO-KOHKAIDO ROPPNGI 4-2-45 ROPPONGI MINATO-KU・03-34057131」との表示がある。そして、その掲載内容にしても、店頭の写真や、宝飾品、宝石箱、万年筆等の写真が掲載されているほか、10枚目には、テーブル上に装飾品、ポット、皿、コップ、スプーン、洋食ナイフ等が一緒に並べられた状態を撮影した写真が掲載されているのみで、商品の品番、価格等についての説明は一切不明であり、その発行日、発行者、頒布場所等も明らかでない。
(2)乙第2号証は、「FEDERICO BUCCELLATI」に係るウェブサイトの写しであるが、右下に表示された「2010/10/01」の表示に照らしてみれば、本件審判の請求の登録(平成22年6月15日)後である2010年10月1日にプリントアウトされたものと認められる。
その1枚目には、上記カタログ(乙1)の表示と同様に、「FEDERICO BUCCELLATI」との表示があり、2枚目には、「Shops」の見出しの下、「TOKYO 高會堂 六本木 東京都港区六本木4-2-45 TEL.03-3405-7131」等が記載されているが、具体的な商品については一切掲載されていない。
(3)乙第3号証は、高會堂から「古谷特許事務所」に宛てられた平成22年9月25日付けの書簡であり、そこには、「イタリア Federico Buccellati製 洋食用ナイフ・果実用ナイフの販売確認のご質問について。当該当商品は、弊店において20年以上にわたって、販売を続けております。またこの商標は、それぞれの商品に小さく刻印されております。写真を参照ください。」と記載されているが、乙第3号証には、写真の添付はなく、かかる「この商標」との記載が本件商標のことを指すものかは不明である。
(4)乙第4号証は、被請求人の主張によれば、乙第3号証の書簡に添付された写真とするものであるところ、1枚目は、「FEDERICO BUCCELLATI」の文字が記載された表示板の前に、洋食ナイフ、スプーン等が並べられた状態を撮影した写真、2枚目は、1枚目の写真に現れた洋食ナイフの全体を撮影した写真、3枚目は、2枚目の洋食ナイフの柄の部分を拡大した写真、4枚目は、「ITALY」の文字が刻印された洋食ナイフの柄の部分を拡大した写真であり、3枚目の写真において、洋食ナイフに文字が刻印されていることが認められるが、その文字は、一部が欠けており、明確に判読できない。
また、上記洋食ナイフの品番、価格等を示すものはなく、これら写真の撮影日、撮影場所、撮影者も一切不明である。
(5)乙第5号証は、被請求人が高會堂に対して独占的に製品を供給し、高會堂が当該製品を日本において販売することを承認したとする1990年6月1日付けの被請求人と高會堂との間で締結されたアグリーメントの写しとするものであるが、1枚目の冒頭に、「Del Vallino SRL under the trade mark of FEDERICO BUCCELLATI (hereinafter BUCCELLATI)」の記載ほか、「RECITALS」の項番Bに、「the trade mark FEDERICO BUCCELLATI.」なる記載、2枚目の項番2に、「FEDERICO BUCCELLATI trademark.」なる記載が認められるものの、本件商標「BUCCELLATI」についての使用許諾に関する記載は見当たらない。
(6)乙第6号証は、高會堂に係る「持ち出し伝票」と題する取引書類の写しであり、1枚目は、平成19年8月20日付けのあて先を「銀座フレイア様」とするものであり、商品番号の欄の「11/74/56」に対応する品名の欄に「デザートナイフ」と記載され、右下のお客様サインの表示の下に、銀座フレイアの住所、名称等の印影及び「フレイア」の角印が押されている。
2枚目は、平成21年6月12日付けのあて先を「株式会社イチダイ様」とするものであり、商品番号の欄の「11/74/127」に対応する品名の欄に「バターサーバー」と記載され、右下のお客様サインの表示の下に、有限会社イチダイの住所、名称等の印影及び同社の印鑑が押されている。
そして、1枚目及び2枚目の最下行には、「・・・Federico Buccellatiの商品在庫内容を確認後、サインのうえご返送くださいませ。」と記載されているが、いずれにも本件商標の表示は見当たらない。
2 判断
前記1で認定した事実及び被請求人の主張によれば、商標権者は、1990年6月1日に、高會堂が商標権者の取り扱う商品を日本国内において独占的に販売する契約を高會堂と締結し(乙5)、かかる契約は、現在まで更新されていると推認することができる。
そして、高會堂は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商品「洋食ナイフ」等に「Federico Buccellati」の欧文字を使用していることが認められる(乙6)。
そうすると、高會堂は、商標権者の取り扱う商品「洋食ナイフ」等を日本において販売する者とみるのが自然であるが、アグリーメント(乙5)には、商標「Federico Buccellati」についての記載が認められるものの、本件商標について、商標権者が高會堂に使用許諾をしたことまでは認められない。
ところで、「Federico Buccellati」又はすべての文字を大文字で表した「FEDERICO BUCCELLATI」(以下、これらをあわせて「FEDERICO BUCCELLATI」と表す。)の各欧文字は、乙第1号証ないし乙第6号証に表示されているところ、その構成中の「FEDERICO」の文字は、請求に係る指定商品「洋食ナイフ,果物ナイフ」との関係において、商品の性状等を表すとみるべき特段の事情を見いだせないものであるから、自他商品の識別標識としての機能を十分果たすといえる。
してみると、「FEDERICO BUCCELLATI」の欧文字は、中間部に1文字程度の空白を介して、本件商標とつづりを同じくする「BUCCELLATI」の文字を有しているとしても、「FEDERICO」と「BUCCELLATI」の各文字部分を同じ大きさ、同じ書体をもって表してなるものであるから、構成全体をもって一体不可分のものとみるのが自然であり、これをもってしては、本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当するということができない。
また、乙第4号証の3枚目には、洋食ナイフに欧文字とおぼしき文字が刻印されていることが認められるとしても、その一部の文字が欠けており、明確に判読できないものである。
仮に、上記刻印された文字が本件商標と同一であるとしても、かかる洋食ナイフの品番等が不明であるうえ、これが取引されたことを具体的に示す証拠も提出されていないから、本件審判の請求の登録前3年以内に洋食ナイフについて本件商標の使用がされたということはできない。
なお、当審において、被請求人に対して、乙第1号証ないし乙第4号証によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められないから、本件商標の使用を証明する証拠の提出を求める審尋をしたところ、被請求人は、乙第5号証及び乙第6号証を提出したが、上記のとおり、これらの証拠によっても本件商標の使用が認められないものである。
以上によれば、乙各号証によっては、高會堂が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を商品「洋食ナイフ」について使用したものとは認められない。
そのほか、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標がその指定商品のいずれかについて使用されていたことを認めるに足る証拠はない。
したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。
2 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-06-09 
結審通知日 2011-06-13 
審決日 2011-06-27 
出願番号 商願平2-123850 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y08)
最終処分 成立  
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 1994-03-31 
登録番号 商標登録第2632379号(T2632379) 
商標の称呼 ブカレッティ、ブセラッティ、バセラッティ 
代理人 関口 一秀 
代理人 橋本 千賀子 
代理人 松嶋 さやか 
代理人 溝部 孝彦 
代理人 古谷 聡 
代理人 西山 清春 
代理人 村木 清司 
代理人 松原 伸之 
代理人 高部 育子 
代理人 塚田 美佳子 

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