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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 取り消して登録 X25 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 X25 |
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管理番号 | 1246382 |
審判番号 | 不服2010-18465 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-08-17 |
確定日 | 2011-11-09 |
事件の表示 | 商願2008- 56171拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲の1に示すとおりの構成からなり,第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成20年7月10日に登録出願されたものであるが,その後,その指定商品については,当審における平成23年7月27日受付の手続補正書により,第25類「ポロシャツ」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要旨) (1)理由1(商標法第4条第1項第15号) 本願商標は,「DADDYPOLO」及び「SHIRTS」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ,「POLO」の標章は,米国ニューヨーク市在の ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ が商品「紳士服,ネクタイ」等に使用して世界的に著名に至っていると認め得るから,「POLO」の文字を構成中に有してなる本願商標を,その指定商品について使用する場合は,取引者・需要者をして,上記の者と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれがあるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。 (2)理由2(商標法第4条第1項第11号) 本願商標は,別掲の2ないし11に示す登録商標(以下,順に「引用商標1」ないし「引用商標10」といい,これらを総称して「引用商標」という。)と同一又は類似であって,かつ,引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 当審の判断 (1)本願商標について ア 外観 本願商標は,別掲の1に示すとおり,「DADDYPOLO」の欧文字を上段に,「SHIRTS」の欧文字を下段に,それぞれイタリック体にて横書きで表記してなるものであって,下段の「SHIRTS」の文字は,上段の「DADDYPOLO」の文字に比べ,やや小さな文字で表記し,かつ,上段の文字に対して中央に寄せて配置した構成からなる。 イ 観念 本願商標の構成中,同じ書体,同じ大きさ及び等間隔で外観上まとまりよく一体的に表記されている上段の「DADDYPOLO」の文字は,特定の意味を表す英単語その他の外国語の単語として一般の辞書等に掲載されているという事実も見いだし得ないものであって,それ自体は,特定の語義を有しない一種の造語であると認められるから,特定の観念を生じることはないというべきである。そして,(ア)本願商標の指定商品は,前記1のとおり,「ポロシャツ」(polo shirt)に限定されていること,(イ)当該指定商品を取り扱う業界では,「POLO」の語が「polo shirt」(ポロシャツ)の略語としても知られていることに加え,前記アのとおり,「DADDYPOLO」の文字の下段には,「シャツ」の意味を有する「SHIRTS」の英単語も併記されていること,(ウ)「DADDYPOLO」部分にある「DADDY」の語も,「(幼児語)お父ちゃん」の意味を有する平易な英単語にすぎないことからすれば,たとえ,原審説示のとおり,「POLO」の標章が周知著名であるとしても,本願商標に接する取引者,需要者は,「DADDYPOLO」部分にある「POLO」を,「polo shirt」(ポロシャツ)と関連付けて認識することはあっても,当該周知著名な標章である「POLO」や米国企業である「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」と関連付けて認識するおそれは極めて低いというべきである。 また,本願商標の指定商品「ポロシャツ」との関係からすれば,本願商標を構成する下段の「SHIRTS」の文字からは,出所識別標識としての観念は生じないというべきであるから,本願商標は,全体としても特定の観念を生じないものである。 ウ 称呼 称呼についても,本願商標を構成する下段の「SHIRTS」の文字からは,出所識別標識としての称呼は生じないというべきであるから,本願商標からは,「ダディ(ー)ポロシャツ」又は「ダディ(ー)ポロ」との称呼のみが生じるものと認められる。 エ 取引の実情 甲第164号証によれば,請求人の取扱いに係るポロシャツ「DADDYPOLO SHIRTS」の販売枚数は,平成17年から平成22年7月4日現在までで約10万枚であり,その販売金額合計も9億3千万円を超えるものとなっていることが認められる。 また,2009年(平成21年)7月25日付けの繊研新聞(甲第167号証)には,「布帛襟付きヒット オンワード『ジョセフ・アブード』のポロシャツ プロパーで1万4000着販売」との見出しのもと,「オンワード樫山のメンズカジュアルブランド『ジョセフ・アブード』で,定番の布帛襟付き半袖ポロシャツがヒットしている。6月末までに約2万1000着を投入し,約1万4000着をプロパーで販売。『過去5年間の中でブランドとして最大のヒット品番』となった。今月も晩夏向けに出した新色を含めて売れており,『9月までしっかり売り,プロパー消化率で80%を目指す』という。このポロシャツは『ダディポロ』と呼ぶ商品で,4年前に開発した。…国内素材を使い,国内で生産している。9500円(本体)。」との記載が,2011年(平成23年)6月11日付けの東京新聞(夕刊)には,「あれこれランキング ポロシャツ(男性用) 西武池袋本店 父の日にいかが」との見出しのもと,同店の人気第2位が「2 ダディポロ ジョセフ・アブード UVカット,吸水速乾機能素材を使用 9975円」であることが記載されている。(なお,同ランキングの第3位は,「3 BIG PPポロ ポロ ラルフローレン 左胸に映えるビッグポニーの刺しゅう 1万3650円」であることが記載されている。) そして,これらの他にも,各種新聞記事等(甲第165号証,第166号証,第168号証ないし第171号証)において,請求人の取扱いに係るメンズブランド「ジョセフ・アブード」のポロシャツ「ダディポロシャツ」ないし「ダディポロ」に関する記事が掲載されている。 さらに,請求人が「オンワード・カラーミュージアム・キャンペーン」の開催を記念して,世界初の洋服モザイクアート(請求人の取扱いに係るメンズ用ポロシャツ「ダディポロシャツ」を2070枚(24色)使用したゴッホの自画像)を平成22年5月11日から16日まで,丸ビル・マルキューブ(東京・丸の内)にて展示する旨の報道が新聞・テレビ等で多数なされていることが認められる(甲第175号証及び第176号証)。 オ 小括 以上のとおりであるから,取引の実情を考慮しても,本願商標から「ダディ(ー)ポロシャツ」又は「ダディ(ー)ポロ」以外の称呼が生じるものとは考え難く,また,「POLO」の標章が周知著名であるとしても,本願商標に接する取引者,需要者は,「DADDYPOLO」部分にある「POLO」を,周知著名な標章である「POLO」や米国企業である「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」と関連付けて認識するおそれが極めて低いことは,前記イのとおりである。そして,前記取引の実情からすれば,請求人の取扱いに係るメンズ用ポロシャツが「ダディポロシャツ」ないし「ダディポロ」として,その分野では一定の周知性を獲得しているものと認めることができる。 以上のことを前提にして,以下それぞれ判断する。 (2)本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性について 引用商標1ないし10は,それぞれ,別掲の2ないし11に示すとおりの構成からなるものであるから,本願商標と引用商標とは,外観を明らかに異にするものである。 また,称呼についても,引用商標1ないし10(引用商標5を除く。)から「ポロ」との称呼が生じることがあり,引用商標5から「ダディ(ー)」との称呼が生じるとしても,本願商標からは,「ダディ(ー)ポロシャツ」又は「ダディ(ー)ポロ」との称呼しか生じないのであるから,本願商標と引用商標は十分に聴別し得るものといえる。 さらに,観念についても,本願商標は,「DADDYPOLO」の部分が特定の語義を有しない一種の造語であると認められるものであり,全体としても特定の観念は生じないといえるから,引用商標とは観念について比較することができない。 したがって,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点よりみても何ら相紛れるおそれのない非類似の商標であり,さらに,取引の実情をも併せ考慮すれば,本願商標を使用した商品が引用商標を使用した商品とその出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるということはできないから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないというべきである。 なお,引用商標7の指定商品中,第25類「被服」についての登録を無効とする,との審判の確定登録が平成20年3月14日になされていることからすれば,本願商標は,引用商標7との関係においては,その指定商品についても同一又は類似するものではない。 (3)本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性について 前記(1)のとおり,たとえ,「POLO」の標章が周知著名であるとしても,本願商標に接する取引者,需要者は,「DADDYPOLO」部分にある「POLO」を,「polo shirt」(ポロシャツ)と関連付けて認識することはあっても,当該周知著名な標章である「POLO」や米国企業である「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」と関連付けて認識するおそれは極めて低いというべきであるから,本願商標をその指定商品「ポロシャツ」に使用しても,上記企業又は同社と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,取引者,需要者にその出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第15号にも該当しない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから,本願商標が商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当でなく,取消しを免れない。 その他,政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 1 本願商標 2 登録第2660213号商標(引用商標1): 指定商品: (設定登録時)第17類に属する商標登録原簿に記載の商品 (書換登録後)第5,9,10,16,17,20?22,24及び25類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:平成3年9月27日 設定登録日:平成6年5月31日 書換登録日:平成16年11月24日 存続期間の更新登録日:平成16年4月20日 3 登録第2698850号商標(引用商標2): 指定商品: (設定登録時)第17類に属する商標登録原簿に記載の商品 (書換登録後)第24及び25類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:平成3年9月30日 設定登録日:平成6年11月30日 書換登録日:平成18年1月4日 存続期間の更新登録日:平成16年10月26日 4 登録第2710902号商標(引用商標3): 指定商品: (設定登録時)第17類に属する商標登録原簿に記載の商品 (書換登録後)第25類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:昭和58年12月28日 設定登録日:平成7年10月31日 書換登録日:平成18年3月1日 存続期間の更新登録日:平成17年10月11日 5 登録第4190876号商標(引用商標4): 指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:平成4年10月29日 設定登録日:平成10年9月25日 存続期間の更新登録日:平成20年9月9日 6 登録第4300822号商標(引用商標5): 標準文字による「DADDY」 指定商品:第18及び25類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:平成10年5月15日 設定登録日:平成11年7月30日 存続期間の更新登録日:平成21年6月23日 7 登録第4489110号商標(引用商標6): 指定商品(指定役務): (設定登録時)第9,14,16,18,20,21,24,25,27,28及び42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 (存続期間の更新後)第9,18及び25類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:平成10年11月25日 設定登録日:平成13年7月6日 存続期間の更新登録日:平成23年7月12日 8 登録第4698704号商標(引用商標7): 指定商品:第9,14,16,18,20,21,24,25,27及び28類に属する商標登録原簿に記載の商品(ただし,第25類中の「被服」についての登録を無効とする,との審判の確定登録が平成20年3月14日になされている。) 商標登録出願日:平成15年2月7日 設定登録日:平成15年8月8日 9 登録第4698713号商標(引用商標8): (色彩については原本参照) 指定商品:第9,14,16,18,20,21,24,25,27及び28類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:平成15年2月12日 設定登録日:平成15年8月8日 10 登録第5128057号商標(引用商標9): 標準文字による「POLO COUNTRY RALPH LAUREN」 指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:平成19年10月17日 設定登録日:平成20年4月11日 11 登録第5184505号商標(引用商標10): 標準文字による「RL POLO CLUB」 指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載の商品 商標登録出願日:平成20年5月9日 設定登録日:平成20年11月28日 |
審決日 | 2011-09-30 |
出願番号 | 商願2008-56171(T2008-56171) |
審決分類 |
T
1
8・
271-
WY
(X25)
T 1 8・ 26- WY (X25) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 薫、泉田 智宏 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
田村 正明 瀧本 佐代子 |
商標の称呼 | ダディーポロシャツ、ダディーポロ |
代理人 | 木村 純平 |
代理人 | 藤森 裕司 |
代理人 | 飯島 紳行 |