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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X09
管理番号 1246371 
審判番号 不服2010-20830 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-15 
確定日 2011-10-20 
事件の表示 商願2009-15302拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「多回路エネルギーモニタ」の文字を標準文字で表してなり、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,測定機械器具」を指定商品として、平成21年3月4日に登録出願されたものである。

第2 原審における拒絶の理由の要点
原審は、「本願商標は、『多回路エネルギーモニタ』の文字を標準文字で表してなるところ、近年、地球環境問題が広く関心を集めている中で、本願指定商品の分野においても、環境への配慮(省エネ等)のために、エネルギー使用量を監視する装置の開発・販売が行われている実情もあることからすれば、本願商標をその指定商品中「モニタ装置又は当該装置を有する商品」に使用しても、取引者・需要者は、該商品が『多回路のエネルギーモニタ装置又は当該装置を有する商品』であること、すなわち、商品の品質を表示したにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認識し得ないとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、『多回路のエネルギーモニタ装置又は当該装置を有する商品』以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して証拠調べ通知書を送付した。
1「多」の語について
「広辞苑 第六版」(岩波書店 2008年1月11日発行)によれば、「おおいこと。たくさん。」 との記載。
2「回路」の語について
「広辞苑 第六版」にれば、「電流の通路。」との記載。
3「多回路」の語について
(1)「富士電機機器制御株式会社」に係るウェブサイトにおいて、「製品情報 多回路形電力監視ユニット F-MPC04Pシリーズ」の見出しの下、「特長」の項に、「1台で複数回路の測定が可能 単相2線タイプは、12フィーダ、三相3線タイプは8フィーダ、三相4線タイプは、4フィーダまで計測できます。」との記載(http://www.fujielectric.co.jp/products/power_monitoring/multi_circuit_power_monitoring_unit_fmpc04p.html)。
(2)「渡辺電機工業株式会社」に係るウェブサイトにおいて、「製品情報 多回路計測用」の見出しの下、「電流メーターリレー (WKD-AMCF)」の項に、「本器は4回路の交流電流を個別に計測し、デジタル表示するとともに、その計測値をネットワーク経由でパソコンなどに伝送し、かつ上下限設定を持ち、メーターリレーとして警報をパソコンなどに伝送する電流メーターリレーです。」との記載(https://test.watanabe-electric.co.jp/products/subcategory/14/)。
(3)「横河メータ&インスツルメンツ株式会社」に係るウェブサイトにおいて、「多回路電力モジュール」の見出しの下、「特長」の項に、「充実した計測機能・7回路測定(電圧共通)(中略)・電力量、力率の測定可能」との記載(http://www.yokogawa.com/jp-ymi/gmi/pdf/catalog/LF97042.pdf)。
(4)「日置電機株式会社」に係るウェブサイトにおいて、「仕様書 形名:2332 品名:多回路電力モジュール」の見出しの下、「主な機能と特長」の項に、「2300 遠隔計測監視システムを構成する、多回路測定が可能な電力測定用モジュール ・電圧、電流、有効電力、無効電力、力率、インターバル時間内の有効電力量,周波数の測定に対応 ・AC70?260V の単相から三相3 線ラインまで対応できるクランプ式電力計 ・電圧測定共通で単相2 線は6 回路、単相3 線 ・三相3 線は3 回路まで測定可能」との記載(http://hioki.jp/2300/pdf/2332SPC-J00.pdf)。
(5)「株式会社山武ビルシステムカンパニー」に係るウェブサイトにおいて、「仕様・取扱説明書 電力計測モジュール 多回路」の見出しの下、「特長」の項に、「電力量・電力(平均)・電流(平均)・電圧を計測できます。1台で複数回路の計測が可能です。」との記載(http://www.azbil.com/jp/product/ba/doc/specsheet/AI-6311-R1.0.pdf)。
(6)「株式会社近計サービス」に係るウェブサイトにおいて、「電力監視製品販売」の見出しの下、「エネルギー計測/監視」の項に、「多回路電力センサー:AWP-1000 1台で7回路までの電力、電圧、電流を測定できます。」との記載(http://www.kinkei.co.jp/service/system2.html)。
4「エネルギー」の語について
「大辞林 第三版」(三省堂 2006年10月27日発行)によれば、「物理量の一。物体や物体系がもっている仕事をする能力の総称。力学的仕事を基準とし、これと同等と考えられるもの、あるいはこれに換算できるもの。力学的エネルギー(運動エネルギー・位置エネルギー)、熱エネルギー、電磁場のエネルギー、質量エネルギーが代表的なもの。」との記載。
また、本願商標を構成する「回路」の語は、前記2のとおり、「電流の通路」の意味を有するものであり、この「電流」と「エネルギー」の語との関係において、前出「大辞林 第三版」の「でんき」の見出しの下、「電気エネルギー」の項があり、「電荷・電流・電磁波などがもつエネルギーの総称」との記載。
5「モニタ」の語について
「JIS工業用語大辞典【第5版】」(日本規格協会 2001年3月30日発行)によれば、「解析のために、データ処理システム内の選択された動作を監視し記録する機構。[備考]基準から著しく逸脱していることを示したり、特定の機能単位の利用程度を測ったりするのに使う。」との記載。
6「エネルギーモニタ」の語について
(1)「スリーケー株式会社」に係るウェブサイトにおいて、「製品紹介」の見出しの下、「エネルギーモニタシステム 分電盤等の単相負荷電流を監視します。電力モニタ、電力、電力量を測定します。また、高機能モデルは電力、電力量に加え電圧、電流、力率etc計26項目の計測が可能です。」との記載(http://www.three-k.biz/seihin_syoukai2.html)。
(2)「Rockwell Automation Japan」に係るウェブサイトにおいて、「製品情報 ハードウェア」の見出しの下、「電力 & エネルギー管理 ハードウェア」の項に、「Powermonitor 1000 - コンパクトな電力モニタが既存のエネルギー・モニタ・システムに統合されており、負荷プロファイリング、原価配分、またはエネルギー制御が必要なアプリケーションに最適」との記載(http://jp.rockwellautomation.com/applications/gs/ap/gsjp.nsf/pages/PowerEnergyManagementHardware)。
(3)「キャノン」に係るウェブサイトにおいて、「省エネオフィス支援ソリューション」の見出しの下、「システム概要」の項に、「エリアや用途を分割して消費電力を計測 職場のどこに電力消費のムダがあるのか。それを知るためには、できるだけ計測対象(場所や機器)を分割して、個々に消費量を計測できるようにすることが有効です。そこで、分電盤内のブレーカー単位で多回路エネルギーモニタ(計測器)を設置できるようにし、詳細な消費量を計測できるようにしています。計測データは管理事務所のルータへ蓄積され、PCから閲覧が可能です。」との記載(http://cweb.canon.jp/solution/possible/energy-saving/indextxt.html)。
(4)「国立大学法人 弘前大学 環境報告書 2009」に係るウェブサイトにおいて、「第3章 環境保全活動への取組み」の見出しの下、「付属病院」の項に、「手術部の電力エネルギーモニタ(電力量計) 本院中央診療棟の手術部では、不必要な電力の使用を抑制する必要から、手術室の照明、端末機・測定器・治療器具等機器、部屋の換気、冷暖房などの空調設備等、日常的に使用する機器に電力量計を取付けし、消費する全電力量を計測、月初めに各系統毎の使用量を集計しています。」との記載(http://www.hirosaki-u.ac.jp/jimu/sisetu/hirosaki-u%20kankyou2009.pdf)。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要点)
1 前記第3の6「エネルギーモニタ」の語について
(3)「キャノン」に係るウェブサイトにおいて記載されている「多回路エネルギーモニタ」の記載の直後に「(計測器)」の語が記載され、また、(4)「国立大学法人弘前大学環境報告書2009」に係るウェブサイトにおいて記載されている「エネルギーモニタ」の記載の直後に「(電力量計)」の語が記載されいるが、これは「(多回路)エネルギーモニタ」という商品が如何なる商品であるかを補足して説明しているといえ、該文字だけでは、如何なる商品であるのかを直ちに理解できないことを示し、本願商標にあっても、特定の商品の品質を直接的かつ具体的に表したものとはいえないという取引の実情が裏付けられている。
更に、(1)「スリーケー株式会社」に係るウェブサイトにおいて記載されている「エネルギーモニタシステム」や、(2)「Rockwell Automation Japan」に係るウェブサイトにおいて記載されている「エネルギー・モニタ・システム」は、「エネルギーモニタ」の語に「システム」の語を結合してなることから、「エネルギーモニタシステム」文字全体としては、「エネルギーを測定する機能を発揮する仕組み」といった、あたかも特定の商品の品質(内容)を記述したかのように看者に捉えられ、理解される可能性はあるが、この場合であっても、「エネルギーをコンピュータ等の表示装置全体に表示する装置群」といった意味合いをも想起させ、必ずしも一義的な意味合いには理解できない。
また、(1)「スリーケー株式会社」に係るウェブサイトにおいて記載されている「エネルギーモニタシステム」は、「分電盤等の単相負荷電流を監視します。電力モニタ、電力、電力量を測定します。また、高機能モデルは電力、電力量に加え電圧、電流、力率etc計26項目の計測が可能です。」という詳細な製品説明がなされており、このことは「エネルギーモニタシステム」の文字だけでは、これが如何なる商品であるのかを直ちに理解できないことを示している。
そして、(2)「Rockwell Automation Japan」に係るウェブサイトにおいて記載されている「エネルギー・モニタ・システム」は、「既存のエネルギー・モニタ・システムに統合されており、」と説明されているが、本証拠においては「既存のエネルギー・モニタ・システム」というものが如何なるものであるのか理解できず、また、インターネットで検索しても「既存のエネルギー・モニタ・システム」という商品を具体的に特定できない。更に言うならば、「Rockwell Automation Japan」に係るウェブサイトにおいて記載されている「エネルギー・モニタ・システム」は、「エネルギー」、「モニタ」、「システム」の語をそれぞれ「・」で分離して記載しており、これでは「エネルギー」の「モニタシステム」なのか、「エネルギーモニタ」の「システム」なのか、「エネルギーシステム」の「モニタ」なのかといったように、種々の意味合いを想起させ、具体的に商品を特定できないことから、これらの証拠は、本願商標に関しては事案を異にする証拠であるといい得る。
2 前記第3の3「多回路」の語について
(1)「富士電機機器制御株式会社」に係るウェブサイトにおいて記載されている「多回路形電力監視ユニット」は、「多回路」の語のみで使用されてない。つまり、「多回路」の語に、記述的な用法を示す「形」の語を結合させて使用されていることにより、商品の用途等を記述したかのような印象を看者に与えている。したがって、本証拠は「形」の語を有しない本願商標に関しては事案を異にするものであるといい得る。
加えて、本証拠では「1台で複数回路の測定が可能」と記載されているように、本製品の特徴を説明する部分においては、「多回路」の語を「複数回路」という語に言い換えている。要するに、「多回路」という語は、需要者及び取引者に、特定の商品の品質(内容)を直接的かつ具体的に想起させるまでには至っておらず、漠然としたイメージしか想起させない文字であることが推察される。したがって、本願商標にあっても直ちに、特定の商品の品質(内容)を直接的かつ具体的に想起させるものではなく、充分に自他商品識別力を有するものであるといい得る。
次に、(2)「渡辺電機工業株式会社」に係るウェブサイトにおいて記載されている「多回路計測用」も、上記「富士電機機器制御株式会社」に係るウェブサイトと同様に、記述的な用法を示す「用」の語を結合させて使用されていることにより、商品の用途等を記述したかのような印象を看者に与えている。したがって、本証拠は「用」の語を有しない本願商標に関しては事案を異にするものであるといい得る。
また、(5)「株式会社山武ビルシステムカンパニー」に係るウェブサイトにおいて記載されている「多回路」についても、本製品の特徴を説明する部分において「1台で複数回路の計測が可能」と記載されており、「多回路」の語を「複数回路」という語に言い換えているので、「多回路」という語は、需要者及び取引者に、特定の商品の品質(内容)を直接的かつ具体的に想起させるまでには至っておらず、漠然としたイメージしか想起させない文字であることが推察される。したがって、本願商標にあっても直ちに、特定の商品の品質(内容)を直接的かつ具体的に想起させるものではなく、充分に自他商品識別力を有するものであるといい得る。
更に、(6)「株式会社近計サービス」に係るウェブサイトにおいて記載されている「多回路電力センサー」は、上段に記載されている「デマンドモニタII」、「デマンドモニタ」、「パルスカウンドロガー」と同様に、その表示の直後に「:AWP-1000」という品番が記載されていることから、これら「多回路電力センサー」、「デマンドモニタII」、「デマンドモニタ」、「パルスカウンドロガー」等の表示は、商標として使用していることが明らかであり、これらは充分に自他商品識別力を有する商標と理解される。
加えて、「多回路電力センサー」の表示を使用しているのは、この「株式会社近計サービス」のみと推察されるから、充分に自他商品識別力を有する商標と理解されるといい得る。
電気や電力に関係する分野においては、各事業者は、他の事業者のネーミングと僅かな差異がありさえすればいいネーミングを採用するのが一般的であって、本願指定商品を取り扱う電気工事事業者といった電気の専門家である需要者及び取引者もこのことを充分理解しているものであるから、本願商標にあっても同様に、本願商標を使用しているのは、本出願人及び本出願人の親会社であるパナソニック電工株式会社のみであり、本願指定商品を取り扱う需要者、取引者は、本願商標を使用した商品は本出願人の商品であることを直ちに認識するものである。このように本願指定商品の取引の実情においては、本願商標は自他商品識別機能を発揮し、本願商標は充分に独占適応性があるものといい得る。
3 まとめ
以上のとおり、証拠調べの結果でも、「多回路エネルギーモニタ」の文字が、特定の商品の品質を直接的、具体的に表示したものとは認められず、本願商標は、全体としては何ら特定の意味合いを生じさせない造語であると認識され、充分に自他商品識別力を有するものであり、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に該当するものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性
本願商標は、「多回路エネルギーモニタ」の文字を同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって表してなるところ、その構成中の「多」、「回路」、「エネルギー」及び「モニタ」の語は、それぞれ、「おおいこと。たくさん。」、「電流の通路。」、「物体や物体系がもっている仕事をする能力の総称。」及び「解析のために、データ処理システム内の選択された動作を監視し記録する機構。[備考]基準から著しく逸脱していることを示したり、特定の機能単位の利用程度を測ったりするのに使う。」の意味を有するものとして、よく知られた語であることから、本願商標は、「多」「回路」「エネルギー」「モニタ」の各語からなるものと容易に理解、把握される結合商標といえる(前記第3の1、2、4及び5)。
そして、その構成中、「多」と「回路」が結合した「多回路」の語は、本願の指定商品中、「電気磁気測定器」の分野において、「製品情報 多回路形電力監視ユニット F-MPC04Pシリーズ」、「製品情報 多回路計測用」、「多回路電力モジュール」、「2300 遠隔計測監視システムを構成する、多回路測定が可能な電力測定用モジュール・・・」、「仕様・取扱説明書 電力計測モジュール 多回路」及び「多回路電力センサー」との各記載(前記第3の3(1)ないし(6))があることから、「多くの回路」ほどの意味を有することを示す商品の品質を表示する語として認識、把握されるものであるといい得るものである。
さらに、その構成中、「エネルギー」と「モニタ」が結合した「エネルギーモニタ」の語は、本願の指定商品中、「電気磁気測定器」の分野において、「エネルギーモニタシステム・・・電力モニタ、電力、電力量を測定します。」、「コンパクトな電力モニタが既存のエネルギー・モニタ・システム・・・」及び「手術部の電力エネルギーモニタ(電力量計)・・・消費する全電力量を計測」との各記載(前記第3の6(1)、(2)、(4))及び同6(3)に係るウェブサイトに「エネルギーモニター」との記載があることから、「(電力等)エネルギーを計測する」ほどの意味を有することを示す商品の品質を表示するものとして認識、把握される語であるといい得るものである。
そうとすれば、「多回路エネルギーモニタ」の文字は、本願の指定商品中、「1台で多くの回路の電力等の計測ができる電気磁気測定器」に使用するときは、商品の品質を表示するものとして認識し理解されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当であり、「1台で多くの回路の電力等の計測ができる電気磁気測定器」以外の「電気磁気測定器」に使用するときは、該商品があたかも前記商品であるかの如く、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標は、同じ大きさ、同じ書体で等間隔に配され、外観上まとまりよく構成されている。また、その構成からは、全体として何ら特定の意味合いを生じさせない造語である旨主張するが、本願の指定商品中、「電気磁気測定器」の分野においては、本願商標は、複数のよく知られた語から構成され、さらに、その構成中の「多回路」及び「エネルギーモニタ」の各語が、本願の指定商品中、「電気磁気測定器」の分野において特定の意味を持って普通に使用されていることは、前記1のとおりであり、その主張は採用できない。
(2)請求人は、電気や電力に関係する分野においては、各事業者は、他の事業者のネーミングと僅かな差異がありさえすればいいネーミングを採用するのが一般的であって、本願指定商品を取り扱う電気工事事業者といった電気の専門家である需要者及び取引者もこのことを充分理解しているものであるから、本願商標にあっても同様に、本願商標を使用しているのは、本出願人及び本出願人の親会社であるパナソニック電工株式会社のみであり、本願指定商品を取り扱う需要者、取引者は、本願商標を使用した商品は本出願人の商品であることを直ちに認識するものである旨主張する。
しかし、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。」(平成12(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡)とされていることからも、仮に、現時点で本願商標を使用しているのは、請求人及び本出願人の親会社であるパナソニック電工株式会社のみだとしても、それが、商品の品質等を表示するものとして需要者に認識されるものと認められる以上、これを登録することは適切でない。
したがって、請求人の前記主張は、採用することができない。
(3)請求人は、過去の登録例及び審判例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張するが、それらの過去の登録例及び審判例は、指定商品の内容及び商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、他の登録例等が本願商標の判断を左右するものではない。
したがって、請求人の前記主張も、採用することができない。
3 むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-08-08 
結審通知日 2011-08-09 
審決日 2011-09-02 
出願番号 商願2009-15302(T2009-15302) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X09)
T 1 8・ 272- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 正文長柄 豊 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 大島 勉
末武 久佳
商標の称呼 タカイロエネルギーモニタ、タカイロエネルギー、エネルギーモニタ、タカイロ 
代理人 水尻 勝久 
代理人 西川 惠清 
代理人 北出 英敏 
代理人 坂口 武 

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