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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X41
審判 全部申立て  登録を維持 X41
管理番号 1244913 
異議申立番号 異議2011-900025 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-01-27 
確定日 2011-10-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5364247号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5364247号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5364247号商標(以下「本件商標」という。)は、「日蓮実宗蓮華寺」の文字を標準文字により表してなり、平成22年6月3日に登録出願され、第41類「宗教に関する教義・教典・経典・儀式・知識・思想の教授,宗教に関する講演・セミナーの企画・運営又は開催,宗教教育,宗教教育に関する情報の提供」を指定役務として、同年10月29日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要点
(1)本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)である「日蓮宗」の名称を含むものであり、申立人の承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)本件商標は、申立人の業務に係る役務「宗教に関する教義・教典・経典・儀式・知識・思想の教授,宗教に関する講演・セミナーの企画・運営又は開催,宗教教育,宗教教育に関する情報の提供」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「日蓮宗」(以下「引用商標」という。)と類似する商標であって、これらの役務又はこれに類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

3 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、同書同大の文字を等間隔でまとまりよく一連一体に表してなるものであり、これより生ずる「ニチレンジッシュウレンゲジ」又は「ニチレンジツシュウレンゲジ」の称呼を生ずるが、全体として親しまれた既成の観念を有す成語とはいえない。
そして、該称呼は冗長であるから、簡易迅速を要求される商取引の実際においては、適宜、親しみやすく称呼しやすい部分を抽出し、簡略化して商取引に資される場合があることは経験則に照らし相当というべきである。
加えて、本件商標の指定役務が宗教に関連するものであること、我が国において普及している仏教においては、多数の宗派が存在し、寺院はその属する宗派と寺院名とを結合して「○○宗××寺」のように表す場合が多いこと、などを考慮すると、本件商標は、仏教の宗派の一つを表したものと認識される「日蓮実宗」と寺院の名称「蓮華寺」とに分離して看取され、それぞれの語に着目して取引に資されるとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標から抽出される「日蓮実宗」は一体不可分の宗派を表したものと認識、把握されるというべきであり、他に、前記構成よりなる本件商標から「日」、「蓮」及び「宗」の文字のみを分離抽出して観察すべき格別の理由は見出すことができないというべきである。
なお、申立人は、本件商標から「日蓮宗の蓮華寺」の観念が生ずると共に、「日蓮実宗」の文字から「日蓮宗」の観念が生ずる旨主張するが、その主張を裏付ける証左はなく、何故に「日蓮実宗」の文字部分から「実」の文字が省かれ「日蓮宗」の観念が生ずるのか定かでないし、上記のとおり、仏教の宗派は多数存在するが、各宗派は1文字が相違するのみであっても、別異のものとして区別される場合が多いことからすると、「日蓮実宗」は全体を以て仏教の宗派の一つを表したものとして認識されるというべきであり、同じく仏教の宗派の一つとして広く知られる「日蓮宗」とは別のものとして認識されるとみるのが自然であって、むしろ、「日蓮実宗」の文字から「実」の文字のみを省いて看取されるとするのは不自然であるから、申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、申立人の名称たる「日蓮宗」を含むものとはいえないから、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記(1)のように認識し把握されるというべきであるから、全体として「ニチレンジッシュウレンゲジ」又は「ニチレンジツシュウレンゲジ」の称呼を生ずるほか、「ニチレンジッシュウ」、「ニチレンジツシュウ」又は「レンゲジ」の称呼をも生ずるものといえる。
他方、引用商標は、「ニチレンシュウ」の称呼を生ずるものといえる。
そこで、本件商標から生ずる上記各称呼と引用商標から生ずる称呼とを対比すると、「ニチレンジッシュウレンゲジ」、「ニチレンジツシュウレンゲジ」及び「レンゲジ」の称呼と「ニチレンシュウ」の称呼とは、構成音数の差、「レンゲジ」の音の有無という顕著な差異により容易に区別することができるものである。
また、「ニチレンジッシュウ」及び「ニチレンジツシュウ」の称呼と「ニチレンシュウ」の称呼とでは、構成音数が異なるばかりでなく、中間において「ジッ」又は「ジツ」の音の有無という差異を有しており、しかも、この「ジッ」又は「ジツ」の音は、いずれも2音からなるものであって、前者は促音を伴い比較的強く発せられるものであり、後者は母音の異なる音が続き明瞭に発音されることから、これらの差異が全体に及ぼす影響は少なくなく、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なったものとなり、彼此相紛れることなく区別することができるものである。
そして、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標は、上記(1)のとおり、全体としては、親しまれた既成の観念を有する成語を表したものといえないから、観念上、引用商標と比較することはできない。加えて、本件商標から仏教の一宗派としての「日蓮実宗」の「蓮華寺」との観念が生ずる場合があるとしても、前示のとおり、仏教の宗派としての「日蓮実宗」と「日蓮宗」とは別異のものとして認識し理解されるというべきであり、しかも、本件商標は引用商標には存在しない「蓮華寺」という仏教寺院を想起させるものであるから、両者は観念上紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、たとえ、引用商標が仏教の一宗派を指称すると共に、申立人の業務に係る役務「宗教に関する教義・教典・経典・儀式・知識・思想の教授,宗教に関する講演・セミナーの企画・運営又は開催,宗教教育,宗教教育に関する情報の提供」について使用する商標として広く知られているとしても、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第10号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-09-22 
出願番号 商願2010-43826(T2010-43826) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (X41)
T 1 651・ 25- Y (X41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 箕輪 秀人中村 拓哉 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 森山 啓
小川 きみえ
登録日 2010-10-29 
登録番号 商標登録第5364247号(T5364247) 
権利者 蓮華寺
商標の称呼 ニチレンジッシューレンゲジ、ニチレンジツシューレンゲジ、ニチレンジッシュー、ニチレンジツシュー、レンゲジ 
代理人 中山 清 

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