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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
管理番号 1243389 
異議申立番号 異議2010-900394 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-12-10 
確定日 2011-08-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5352498号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5352498号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5352498号商標(以下「本件商標」という。)は「EZA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年3月12日に登録出願、第9類「測定機械器具及びその部品,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具」を指定商品として、同年8月24日に登録査定、同年9月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
(1)登録第1458874号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TESA」の欧文字を書してなり、昭和49年5月9日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同56年4月30日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成13年9月19日に第9類「測定機械器具」とする指定商品の書換登録がなされたものである。
(2)登録第1522969号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和49年5月9日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年6月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成14年7月24日に第9類「精密測定機械器具」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

3 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)申立人の商標「TESA」の周知・著名性について
申立人である「TESA SA」は、1941年に創立された「TELEPHONIE SA」を前身とする、スイスに所在する企業であり、精密測定工具の分野では世界有数の企業である。申立人は、精密測定工具から複雑な測定システムまで様々な測定機械器具の生産販売を業とし、現在では5000種類以上の測定装置を生産し、アメリカ、日本、フランス、ドイツ等の国々に所在する現地法人又は代理店を通じて、これらの製品を世界市場に送り出している(甲6ないし甲10)。
そして、申立人は、商号を現在の名称に変更した1945年頃から、商号の略称である「TESA」の文字をハウスマークと位置付け、その業務に係る商品「測定機械器具」の商標として使用し、現在に至るまで、長年に亘って使用した結果、当該商標は、一般に広く知られた周知・著名商標となっている。
なお、この周知・著名商標である「TESA」(以下「使用商標」という。)は、我が国において、英語風に発音される「テサ」の読みで広く知られているが、申立人の所在地であるスイスは、ドイツ語やフランス語を主な使用言語とするものであり、これらのラテン語の影響を強く受けている言語においては、「S」と「Z」の発音が同一で扱われることが多く、例えば「SA」の文字は「サ」と発音されるよりはむしろ「ザ」と発音される傾向にあるため、スイスでは「テサ」の読みよりはむしろ「テザ」の読みで広く知られている。このため、周知・著名商標である申立人使用商標は、我が国において、「テザ」の読みでも親しまれている。
以上のとおり、「TESA」の文字からなる申立人使用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、既に申立人或いはその関連会社の業務に係る商品「測定機械器具」を表示するものとして、取引者、需要者間に広く認識されていたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標「EZA」は、申立人の商標として広く一般に知られている商標「TESA」とその外観及び称呼において類似する商標であり、かつその指定商品中第9類「測定機械器具及びその部品」は、申立人の使用に係る商品「測定機械器具」と同一又は類似するものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標1及び2とその外観及び称呼において類似する商標であり、かつその指定商品中「測定機械器具及びその部品」は、引用商標1の指定商品「測定機械器具」及び引用商標2の指定商品「精密測定機械器具」と同一又は類似するものである。したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、類似の商標である。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人の著名な商標「TESA」とその外観及び称呼において類似する商標であるから、これをその指定商品中「測定機械器具及びその部品」について使用した場合、申立人の業務に係る商品又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

4 当審の判断
(1)商標「TESA」の周知・著名性について
申立人の提出に係る証拠中、例えば、同人のホームページによれば、「TESA SA」が、1941年に創立された「TELEPHONIE SA」を前身とする、スイスに所在する企業であり、現在、5000種類以上の測定装置を生産し、市場投入し、世界中に製品を流通させており、また、同社は、スイス、フランス、イタリア、ドイツ、アメリカ、日本、中国等の国々に支社を設けている等の記載及び内容を見て取ることができる(甲6及び甲7)。
しかしながら、このホームページは、同人の歴史の紹介、支社の紹介、日本法人の紹介、取扱商品の紹介というようなものであって、当該ホームページによっては、申立人の商標「TESA」が商品に使用されていることは窺えるものの、周知、著名となっていることを明らかにするものではない。
そして、提出された他の証拠には、本件商標の登録出願日前における申立人の商標「TESA」が使用された商品「測定機械器具」の製造数、販売量、売上高、宣伝・広告費等を把握できるものはなく、また、申立人の商標「TESA」が使用された商品に関するパンフレットや、宣伝・広告を行った新聞、業界紙等の提出もない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時及び査定時において、商標「TESA」が同人の業務に係る商品「測定機械器具」を表示するものとして、我が国の「測定機械器具」に関する取引者、需要者の間に広く認識されるに至っている商標ということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「EZA」の欧文字を横書きしてなるところ、「EZA」の文字は、特定の意味を有する成語ではないから、その構成文字に相応して「イーゼットエイ」又は「エザ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
他方、引用商標1は、「TESA」の欧文字を横書きしてなるところ、「TESA」の文字は、特定の意味を有する成語ではないから、その構成文字に相応して「テサ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
なお、申立人は、ラテン語の影響を強く受けているスイスにおいて、「TESA」の文字は、「テザ」の読みで知られ、周知、著名性ゆえに我が国においても親しまれている旨主張しているが、我が国においては、ラテン語の読みが一般的なものとはいえず、また、商標「TESA」が周知、著名性を獲得するに至っていないこと、上記(1)のとおりであるから、引用商標1から「テザ」の称呼を生ずるということはできない。
また、引用商標2は、別掲のとおり、上部に、横線の上に頂点が接した3個の逆三角形を横並びに連結した図形を配し、その下に、ややデサイン化した太線の「TESA」の欧文字を横書きしてなるところ、図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとして観察しなければならない格別の事情も有しないことから、その構成中の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである。
そうすると、引用商標2は、その構成中「TESA」の文字部分より、引用商標1の場合と同様に「テサ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標1及び2との類否について検討するに、外観においては、両者は、構成文字が明らかに相違し、外観上明確に区別し得るものである。
称呼においては、本件商標より生じる「イーゼットエイ」の称呼と、引用商標1及び引用商標2より生じる「テサ」の称呼とは、前者が6音に対して、後者は2音という明らかに構成音数を異にするものであるから、両者は、称呼上相紛れるおそれはない。
また、本件商標より生じる「エザ」の称呼と、引用商標1及び引用商標2より生じる「テサ」の称呼とは、共に2音という極めて短い音構成において、語頭の「エ」と「テ」の音、語尾の濁音「ザ」と清音「サ」の音に差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼しても、音質、音感が明らかに異なり、称呼上相紛れるおそれはない。
観念においては、両者は、共に特定の意味合いを認識させない造語であるから、観念上比較することができない。
そうとすれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標と申立人の使用商標である「TESA」とは、上記(2)の判断と同様に、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。
そして、上記(1)のとおり、申立人の使用商標は、本件商標の登録出願日前より使用されていたとしても、同人の業務に係る商品「測定機械器具」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものである。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人の使用商標を連想し又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別 掲(引用商標2)



異議決定日 2011-08-12 
出願番号 商願2010-19152(T2010-19152) 
審決分類 T 1 651・ 255- Y (X09)
T 1 651・ 271- Y (X09)
T 1 651・ 262- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2010-09-10 
登録番号 商標登録第5352498号(T5352498) 
権利者 株式会社ミツトヨ
商標の称呼 イイゼットエイ、エザ 
代理人 東尾 正博 
代理人 鎌田 文二 

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