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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X25
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X25
管理番号 1243386 
異議申立番号 異議2009-900451 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-12-11 
確定日 2011-08-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5263380号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5263380号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5263380号商標(以下「本件商標」という。)は、「ECCO GELANZ」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年3月3日に登録出願、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年8月12日に登録査定、同年9月4日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の登録商標を引用し、申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第240号証を提出した。
1 申立人の引用する商標
申立人は、以下の4件の登録商標を引用している。
(1)登録第1735236号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ECCO」の欧文字を横書きしてなり、昭和57年7月5日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年12月20日に設定登録、その後、平成7年8月30日及び同16年12月7日の2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同17年9月7日に、第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第21類「靴用起毛ブラシ,靴用スポンジブラシ,その他の靴ブラシ,軟質ゴムを用いた靴よごれ落とし,その他の靴よごれ落とし,靴磨き布,靴磨き用のスポンジ,軽便靴クリーナー,靴べら,シューツリー」、第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第3035409号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年7月27日に登録出願、第25類「履物(但し,げたを除く。)」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録、その後、同17年2月8日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
(3)登録第3035410号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年7月27日に登録出願、第25類「履物(但し,げたを除く。)」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録、その後、同17年2月8日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
(4)登録第3035411号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成4年7月27日に登録出願、第25類「履物(但し,げたを除く。)」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録、その後、同17年2月8日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
以下、これらを一括していうときは、「引用商標」という。また、引用商標の商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成から「ECCO」と「GELANZ」からなるものと直ちに認識でき、これらを常に一体のものとして認識すべき特段の理由は見出せない。他方、引用商標は、本件商標の指定商品の「履物、運動用特殊靴」の分野では、当該商標の出願時及び登録時には著名であった。したがって、本願商標に接した需要者は、申立人の商標ないしは同人の略称として認識される「ECCO」の部分に着目し、当該部分をもって、称呼・観念することは必定であることから、本件商標は引用商標と類似する。
3 商標法第4条第1項第10号について
引用商標が使用されて、著名となっている商品と、本件の指定商品中「履物、運動用特殊被服、運動用特殊靴」とは類似のものである。
4 商標法第4条第1項第15号について
本件商標の指定商品と引用商標が使用されてきた商品とは同一又は類似のものであり、本件商標は引用商標と類似する。したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合には、当該商品が申立人ないしは同人と資本的関係のある者の業務に係るものであるとその出所の混同を生じるは必定である。
5 商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、世界90カ国で使用され、2008年には1800万足が販売され、収入(税抜)が53.7億DKK(約7.47億US$)に達したことから、本件出願前には世界的に著名なものとなっていたことは疑いようもなく、「ECCO」は既成後ではないので、これを含んだ商標がたまたま採択されることは考え難い。したがって、本件商標は不正の目的をもって使用されると考えるのが自然である。
6 商標法第4条第1項第7号について
引用商標が、履物関係の分野において著名であることを鑑みれば、履物等を指定商品とする本件商標がたまたま採択されたものとは考え難い。よって、著名であるが故に顧客吸引力を有する財産的価値ある引用商標を含んで、かつ、その存在が需要者に認識できるように他の構成と一文字程度の間隔をもって配置された本願商標を自己の商標として採択登録することは商道徳に反するものである。
7 商標法第4条第1項第8号について
「ECCO」は、本件商標の出願前に申立人の略称としても著名なものであったことは明らかであり、本件商標は著名な略称を含んでいるものであるにもかかわらず本件登録に際して申立人から承諾を得ていない。
8 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第19号、同第7号及び同第8号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきである。

第3 当審において通知した取消理由(要旨)
1「ECCO」の著名性について
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)2003年12月1日付け発行の「オブラ obra12月号 」には、「コンフォートシューズの代名詞」の見出しのもと、「『エコー』というブランドを耳にすれば、多くの人がコンフォートシューズを連想する。1963年の創業から40年」、「世界45カ国の人たちが愛用するグローバルブランドであることが、すでにエコーの真価を証明しているとも言える。デンマーク王室御用達の称号使用許可を所有し,アメリカ足病医学協会(APMA)の公式認定も受けている。」の記載があり、商品「靴」の写真とともに「ECCO21904」と表示されている(甲第6号証)。
(2)1999年11月24日付けの印刷のアキレス株式会社のパンフレットには、左下に引用商標2と同一の構成からなる「ecco」の商標が掲載され、「ECCO ART STORY」の見出しのもと、「エコーの歴史は1963年、北欧の王国デンマークで始まった。・・・エコーの歴史は人々の靴に対する新しい価値観の歴史である。」の記載がある(甲第19号証)。
(3)2008年11月14日付けの産経新聞大阪夕刊10頁には「【ファッション アイ】脱『おばさん靴』宣言」の見出しのもと、「北欧の家具や雑貨を取り扱うイルムス梅田(大阪市北区)の一角にある『ecco(エコー)』は、1963年にデンマークで生まれたコンフォートシューズの代名詞的ブランド。」の記載がある(甲第27号証)。
(4)2009年5月15日発行の「PEN」には、「ディータ・カプチャー」、「もう一歩先を目指す機能こそ、コンフォートシューズの真骨頂。」の見出しのもと、「ECCO(エコー)といえば、デンマークで1963年に誕生したコンフォートフットウエアの世界的ブランド」の記載がある(甲第59号証)。
(5)2009年4月1日付けのWeb・Shibuya Keizai Shinbunには、「デンマーク発フットウェア、青山『Ao』に日本1号店-限定ラインも」の見出しのもと、「デンマーク発フットウェアブランド『ECCO(エコー)』は3月26日・・・オープンした。1963年に創業した同ブランドは履き心地を重視した『コンフォート』フットウェアで知られ、現在世界90力国で商品を展開。欧州、アジア太平洋各地、北米に販売子会社を持ち、店舗数は約700店。フォーマル、カジュアル、スポーツなど展開商品の幅も広い。日本では、シューズ・プラスチック・産業資材メーカーの大手のアキレス(新宿区)のシューズ部門エコー事業部をはじめ、2007年に直営店舗運営部署を分社し同社100%出資のエコー・リーテル・ジャパンを設立。販売拡大とブランド認知向上を図ってきた。」との記載があり、商品「靴」の写真とともに、「ECCO 21904」と表示されている(甲第87号証)。
(6)2009年3月26日放映のフジテレビ「めざましテレビ」において、商品「靴」とともに、「青山にオープン!Newスポット」、「1F エコー/ECCO青山 Ao店」の字幕が表示された画面が認められる(甲第107号証)。
(7)2009年3月26日付けの日本繊維新聞には、「『エコー』日本市場へ積極姿勢 アオにコンセプトストア」の見出しのもと、「デンマークの靴ブランド『ECCO(エコー)』が日本市場に積極的な姿勢を見せている。」との記載がある(甲第128号証)。
(8)2009年3月23日付けの「Glam jp」のウェブサイトには、「『ECCO』コンセプトストア日本初上陸!」の見出しのもと、「グローバルフットウエアブランド『ECCO(エコー)』のコンセプトストアが、3月26日『青山Ao(アオ)』にオープン!『ECCO』は、1963年にデンマークで誕生して以来、フォーマルシューズ、カジュアルシューズ、ゴルフシューズなど、あらゆるカテゴリーで品質や安定した履き心地を認められており、現在では90カ国以上で愛用されています。」との記載がある(甲第135号証)。
(9)2009年3月25日付けのWeb/asahi.comには、「ECCO、青山AOにコンセプトショップをオープン」の見出しのもと、「ECCOは、フォーマルシューズやスポーツシューズなどさまざまな種類の商品を展開しているシューズブランド。世界90力国以上で約700店舗を構え、日本では今回の出店が10店舗目となる。」との記載がある(甲第139号証)。
(10)デンマーク外務省(デンマーク大使館)のウェブサイトには、右上に引用商標2と同一の構成からなる「ecco」の商標が掲載され、「今日エコーは、大人・子供、男性女性の為のビジネス、カジュアルそしてスポーツ用シューズメーカーのグローバル・リーダーです。2008年には、1,760万足以上の売り上げを記録し、収入(税抜)が53.7億DKK(約7.47億US$)に達しました。エコー社には、世界総勢で15,000人以上の社員がおり、ヨーロッパ、アジア、北米に子会社、さらに世界中にパートナーがいます。エコー・シューズは、世界の3000店以上のシューズショップで売られ、その内870店が単独ブランド(エコー専属)のショップです。」との記載がある。なお、当該ウェブサイトの出力日は、2010/02/26であるが、記事の最後に「編集済み7月24,2009」と表示されている(甲第196号証)。
(11)上記各号証の他、本件商標の出願日前において、一般に広く知られていたものであることが、申立人提出の甲第7号証ないし甲第18号証、甲第20号証ないし甲第26号証、甲第28号証ないし甲第30号証、甲第90号証及び甲第91号証、甲第93号証ないし甲第99号証、甲第102号証及び甲第103号証、甲第110号証、甲第197号証及び甲第198号証、甲第200号証ないし甲第202号証、甲第205号証ないし甲第208号証、甲第212号証ないし甲第215号証、甲第218号証ないし甲第228号証、甲第230号証、甲第232号証ないし甲第236号証によっても認められる。また、その状態は、査定時及び現在においても、申立人提出に係る甲第31号証、甲第32号証ないし甲第41号証、甲第43号証及び甲第44号証、甲第46号証ないし甲第51号証、甲第53号証ないし甲第58号証、甲第60号証ないし甲第71号証、甲第73号証、甲第75号証及び甲第76号証、甲第78号証、甲第80号証ないし甲第83号証、甲第85号証及び甲第86号証、甲第88号証及び甲第89号証、甲第112号証ないし甲第125号証、甲第129号証ないし甲第131号証、甲第133号証及び甲第134号証、甲第136号証ないし甲第138号証、甲第140号証及び甲第141号証、甲第143号証ないし甲第150号証、甲第152号証ないし甲第155号証、甲第159号証、甲第161号証ないし甲第169号証、甲第171号証ないし甲第175号証、甲第177号証ないし甲第182号証、甲第186号証ないし甲第188号証、甲第191号証、甲第193号証、甲第195号証、甲第199号証、甲第203号証及び甲第204号証、甲第209号証及び甲第210号証によって、継続していることが認められる。
(12)上記(1)ないし(11)で認定した事実によれば、請求人の企業ブランドである出所標識としての「ECCO」又は「ecco」は、「エコー」と称され、商品「履物」、特に「靴」については、本件商標の登録出願時には既に、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものというべきである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ECCO GELANZ」の文字よりなるものであるところ、「ECCO」と「GELANZ」の文字の間には、一文字程度の間隔があり、視覚上分離して看取されやすいものであるばかりでなく、両者が常に不可分一体のものとしてのみ認識し把握されるとみるべき格別の理由も見いだし難く、「ECCO」と「GELANZ」の文字は、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るといえるものである。
そして、本件商標構成中の「ECCO」の文字部分は、上記したとおり、申立人が「靴」について使用し、その取引者、需要者に相当程度知られるに至っていると認められる「ECCO」の文字と同一の文字よりなるものである。
そうすると、本件商標をその指定商品中「履物」について使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「ECCO」の文字部分に着目し、申立人が「靴」について使用し広く知られるに至っている「ECCO」商標を想起する場合も決して少なくないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成全体から「エコージェランツ」の称呼を生ずるほか、「ECCO」の文字部分より、単に「エコー」の称呼をも生じ、申立人が「靴」について使用し、広く知られるに至っている「ECCO商標」の観念をも生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標1は、「ECCO」の欧文字を書してなるものであり、引用商標2ないし4は、別掲に記載のとおり、「ecco」の欧文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「エコー」の称呼及び申立人が「靴」について使用し、広く知られるに至っている「ECCO商標」の観念を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、「エコー」の称呼及び「ECCO商標」の観念を共通にし、外観については「ECCO」の文字部分において、近似した印象を与えるものであるから、本件商標と引用商標とは、類似する商標といわなければならない。
さらに、本件商標の指定商品中の「履物」と、引用商標1の指定商品中の第21類「靴用起毛ブラシ,靴用スポンジブラシ,その他の靴ブラシ,軟質ゴムを用いた靴よごれ落とし,その他の靴よごれ落とし,靴磨き布,靴磨き用のスポンジ,軽便靴クリーナー,靴べら,シューツリー」、第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」、第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」及び引用商標2ないし4の指定商品とは、同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「履物」については、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標の指定商品中の「被服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」は、申立人が「ECCO商標」を使用する商品「靴」と同様に、ファッション性の強い商品であり、また、スポーツの分野においても使用される商品であって、ともに、ファッション誌やスポーツ誌等に掲載されるなど、強い関連性を有する商品であるから、本件商標を当該指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「ECCO」の文字部分に注目し、申立人が「靴」に使用し、広く知られるに至っている使用商標ないしは申立人を連想、想起し、当該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものといわなければならない。

第4 商標権者の意見
本件商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本件商標についてした上記第3の取消理由は妥当であるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、その余の登録異議の申立ての理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 引用商標2



2 引用商標3



3 引用商標4





異議決定日 2011-06-24 
出願番号 商願2009-14919(T2009-14919) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X25)
T 1 651・ 262- Z (X25)
最終処分 取消  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2009-09-04 
登録番号 商標登録第5263380号(T5263380) 
権利者 新井 政浩
商標の称呼 エコージェランツ、エッコジェランツ、エコー、エッコ、ジェランツ 
代理人 竹田 明弘 
代理人 原 隆 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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