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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X43
審判 全部申立て  登録を維持 X43
管理番号 1243383 
異議申立番号 異議2010-900402 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-12-14 
確定日 2011-08-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第5353880号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5353880号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5353880号商標(以下「本件商標」という。)は、「DIORABAR」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年5月1日に登録出願、第43類「バーにおける飲食物の提供」を指定役務として、同年9月1日に登録査定、同年9月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第75号証を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する商標(以下、まとめていうときは「引用各商標」という。)は次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
ア 登録第667468号商標は、「”DIOR”」の文字を書してなり、昭和38年8月26日に登録出願、同40年2月15日に設定登録され、第6類、第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。
イ 登録第669412号商標は、「”DIOR”」の文字を書してなり、昭和38年8月26日に登録出願、同40年3月5日に設定登録され、第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。
ウ 登録第838094号商標は、「Dior」の欧文字と「ディオール」の片仮名を二段に書してなり、昭和39年3月13日に登録出願、同44年11月18日に設定登録され、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。
エ 登録第4022600号商標は、「Dior」の欧文字を書してなり、平成6年6月10日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同9年7月4日に設定登録されたものである。
オ 登録第4492095号商標は、「Dior」の欧文字を書してなり、平成12年9月18日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同13年7月19日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、その商標中に申立人の著名な略称である「DIOR」を含み、かつ申立人の承諾を得ていない商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人が「婦人服、バッグ、シューズ、ジュエリー、眼鏡、腕時計、万年筆、シガーライター」等のファッション関連商品に使用する商標として、我が国においてはもちろんのこと世界的に著名性を獲得している引用各商標と酷似した商標である。
かかる本件商標が、引用各商標が使用される商品と関連性の高いその指定役務について使用された場合、これに接する需要者・取引者は、周知・著名な引用各商標を連想し、その役務の出所について誤認・混同するおそれが極めて高いものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)「Dior」の著名性について
申立人提出の甲各号証及び職権調査によれば、申立人は、フランスのファッションデザイナー「Christian Dior(クリスチャン ディオール)」を創始者とするフランス国の法人であり、創設者の名に由来する「Dior」及び「DIOR」の文字からなる商標は、申立人の業務に係る「香水等の化粧品、婦人服、バッグ、シューズ、ジュエリー」などのファッション関連商品を表示するものとして、我が国における取引者・需要者の間において、本件商標の出願時はもとより現在においても広く認識されているものと認めることができ、また、「Dior」及び「DIOR」は、申立人の著名な略称と認めることができる。
(2)本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「DIORABAR」の欧文字を標準文字で表してなるものであって、同じ書体、同じ大きさで、等間隔に外観上まとまりよく表されており、これから生じる「ディオラバー」及び「ジオラバー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、観念においては、指定役務との関係から語尾の「BAR」の文字部分が「バー(酒場)」を想起し、これと「DIORA」の文字とを結合したものと理解させる場合があるとしても、むしろ、本件商標は、その構成及び称呼からは全体が一体不可分のものとして認識されるとみるのが自然である。
なお、申立人は、本件商標の語尾の「ABAR」の文字部分が「1店のバー(A BAR)」の意味を容易に想起させ役務の提供場所を表示している部分といえ、該文字部分は自他役務識別力を発揮しないから、「DIOR」の部分が本件商標の要部ということができる旨主張しているが、本件商標の構成及び称呼からすれば、看者をして「ABAR」の文字部分が「1店のバー(A BAR)」の意味を容易に想起させ役務の提供場所を表示している部分と認識することは困難というべきであるし、また、「ABAR」の文字が自他役務識別力を発揮しないと認めるに足る証拠の提出はないから、申立人の主張は採用することはできない。
さらに、本件商標は、その構成中「DIOR」の部分が独立して認識されるというべき事情は見いだせない。
してみれば、本件商標は、その構成全体が一体不可分のものとして認識されるものといわなければならない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、たとえその構成中に「DIOR」の文字を有するとしても、上記(2)認定のとおり、一体不可分のものとして認識されるものであるから、該「DIOR」の文字は本件商標全体の文字列の中に埋没し客観的に把握されないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、申立人を想起、連想させるものとはいえず、申立人の著名な略称「Dior」及び「DIOR」を含む商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
商標「Dior」及び「DIOR」(引用各商標を含む。以下同じ。)は上記(1)の認定のとおり、ファッション関連商品を表示するものとして周知・著名なものと認められるものの、本件商標は、その構成全体が一体不可分のものとして認識されるものであり、その構成中「DIOR」の文字部分が独立して認識されるものでないこと、上記(2)の認定のとおりである。
そこで、本件商標「DIORABAR」と商標「Dior」及び「DIOR」とを比較すると、両商標は、外観において、その文字数、構成文字の差異から明らかに区別できるものであり、称呼においては、それぞれから生じると認められる称呼「ディオラバー」「ジオラバー」と「ディオール」とは、その構成音に明らかな差異を有するから、互いに聞き誤るおそれのないものである。さらに、観念においては、前者は特定の意味を有さないものと判断するのが相当であるから、相紛れるおそれがないものである。
してみれば、本件商標と商標「Dior」及び「DIOR」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
また、申立人の提出に係る甲各号証によっては、バー・レストラン・カフエ・洋酒分野とファッション業界との関連・提携があることは認められるものの、本件商標の指定役務とフッション関連分野の商品とが、その事業者、用途、提供・販売場所及び需要者などにおいて、一般的、恒常的にその関連性が高いものと認めることはできない。
上記したとおり、本件商標と商標「Dior」及び「DIOR」とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして商標「Dior」及び「DIOR」を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-08-08 
出願番号 商願2010-35061(T2010-35061) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (X43)
T 1 651・ 271- Y (X43)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2010-09-17 
登録番号 商標登録第5353880号(T5353880) 
権利者 金井 和徳
商標の称呼 ディオラバー、ディオーラバー、ディオラ、ディオーラ 
復代理人 田中 景子 
代理人 田中 克郎 
復代理人 佐藤 俊司 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 宮川 宏一 

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