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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X010217 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X010217 |
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管理番号 | 1243355 |
審判番号 | 不服2010-22986 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-10-12 |
確定日 | 2011-09-05 |
事件の表示 | 商願2009-92025拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「ハイブリッドレジスト」の文字を標準文字で表してなり、第1類「プリント配線板用レジストインキ,ソルダーレジスト,フォトレジスト,プリント配線板用ドライフィルム,プリント配線板用コーティング剤,プリント配線板用穴埋め剤」、第2類「プリント配線板用マーキングインキ,プリント配線板用穴埋めインキ」及び第17類「プリント配線基板の電気絶縁用レジスト液,プリント配線板用絶縁樹脂材料,ビルドアップ基板の液状層間絶縁材料用絶縁樹脂材料,ビルドアップ基板の層間絶縁材料用絶縁樹脂材料,ビルドアップ基板のドライフィルム型層間絶縁材料用絶縁樹脂材料,プリント配線板用絶縁コーティング剤,プリント配線板表面の銅箔保護用絶縁コーティング剤,パッケージ基板用絶縁コーティング剤,フレキシブル基板用絶縁コーティング剤,プリント配線板の穴の銅箔保護用絶縁充填剤」を指定商品として、平成21年12月4日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『ハイブリッドレジスト』の文字を標準文字にて横書きしてなるものであり、その構成中『ハイブリッド』の文字は『混成物、雑種』を意味するものとして知られ、材料科学の分野においては『異種材料を混ぜ合わせたもの』の意味合いとして使用されており、『レジスト』は『絶縁塗料、耐食膜、非伝導性の被覆材』を意味する語である。そうすると、本願商標の全体からは『異種材料を混ぜ合わせたレジスト材料」程の意味合いを理解するにとどまるとみるのが相当であり、指定商品との関係では、商品の品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ず、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本願商標は、前記1のとおり、「ハイブリッドレジスト」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標を構成する「ハイブリッド」の文字は、「異種のものを組みあわせたもの」の意味を有し、また、例えば、「ハイブリッドエンジン」(複数の動力機構を組み合わせたエンジン)、「ハイブリッド米」(異なる品種の交配によって作られた米)のように「混合の、混成の、雑種の」の意味で複合語を作るものとして広く一般に親しまれた語である。そうとすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標が「ハイブリッド」と「レジスト」の語から構成されていることを容易に看取、認識するものといえる。そして、「レジスト」の文字は、「耐酸性,非伝導性の被覆材.プリント配線盤を製造するさい,配線にあたる必要部分をエッチング剤の作用を受けないように保護するために用いる」(「マグローヒル科学技術用語大辞典改訂第3版」 マグローヒル科学技術用語大辞典編集委員会編 株式会社日刊工業新聞社2000年3月15日改訂第3版第1刷発行 1963ページ参照)ものを意味するものである。 そうとすれば、本願商標「ハイブリッドレジスト」を本願の指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、その構成全体として「異種のものを組み合わせてなるレジスト」であることを認識させるにとどまるものというのが相当である。 したがって、本願商標は、指定商品の品質を直接的に表示するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。また、これを上記に照応する商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。 してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、要旨、「レジスト」について「ハイブリッド」に組み合わせられる対象は、材料に限らず、用途、機能、方式など多様なものがある。また、材料の複合についても、多様な複合形態があり得えることから、かかる多様な意味合いを想起させる本願商標「ハイブリッドレジスト」は、漠然とした意味合いを暗示させる造語商標というべきであって、「単に商品の品質を表示するにすぎないもの」、すなわち、特定の商品の具体的な品質を一義的に表示するものでないことは明らかである旨主張する。 しかしながら、本願商標を構成する「ハイブリッド」の語は、そもそも異種のものを組みあわせたものを意味し、かつ、当該意味合いで複合語を作るものであることは、前記(1)のとおり、我が国で広く親しまれているものであるから、当該異種の組み合わせがどのような組み合わせであるとしても、「ハイブリッドレジスト」の文字からなる本願商標が、自他商品の識別標識として機能するものということはできない。 また、本願商標が既成の語ではないとしても、前記(1)のとおり、本願商標は、既成の語である「ハイブリッド」と「レジスト」からなることが容易に看取、認識され、かつ、「ハイブリッド」の語は、複合語を作るものであることからすれば、「ハイブリッド」と「レジスト」の語の有する意味から前記(1)のとおりの意味合いを、取引者、需要者は一般に認識するものというのが相当であって、当該意味合いは、漠然とした意味合いを暗示させるものではなく、商品の品質を直接的に表示したものというべきである。 イ 請求人は、要旨、「ハイブリッドレジスト」の語を主要なインターネット検索エンジンで検索した使用例(甲1及び甲2)を精査すると、いずれの使用例もその内容を示して、特定の品質内容を有した個々の具体的物質について、「レジスト」と呼称していることからすれば、材料科学の分野において「ハイブリッドレジスト」の語が「異質材料を組み合わせたレジスト材料」程の意味合いで、指定商品の品質を表示する語として普通に用いられているということはできないというべきであるから、拒絶査定の認定が誤りである旨主張する。 しかしながら、請求人の挙げる文献に、当該文献中で定義をしつつも本願商標を構成する「ハイブリッドレジスト」の文言が用いられていることからすれば、「ハイブリッドレジスト」については、商標登録により生ずる商標権により、特定の者に独占を許すべきではなく、何人もその使用ができるようにしておくべきものである。 また、前記アのとおり、本願商標から異種のものを組み合わせたレジストとして、さまざまな種類の組み合わせのレジストが想定されるとしても、そのこと故に、本願商標が商品の品質を表示するものではないということはできない。 さらに、請求人は、「ハイブリッドレジスト」の語が普通に用いられているということはできないと主張するが、当該「ハイブリッドレジスト」の語が、商標法第3条第1項第3号にいうところの、商品の品質であるか否かは、現実に使用されていることを要することなく、取引者、需要者の一般の認識をもって判断されるべきものである。しかして、本願商標については、前記(1)のとおり、判断するものである。 よって、前記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ してみれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-06-28 |
結審通知日 | 2011-07-01 |
審決日 | 2011-07-20 |
出願番号 | 商願2009-92025(T2009-92025) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X010217)
T 1 8・ 13- Z (X010217) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 正樹 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 内田 直樹 |
商標の称呼 | ハイブリッドレジスト |
代理人 | 櫻木 信義 |