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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y0942
管理番号 1243327 
審判番号 取消2010-300758 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-07-08 
確定日 2011-09-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第4960213号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4960213号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4960213号商標(以下「本件商標」という。)は、「MVN」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年10月28日に登録出願、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定商品及び指定役務として、同18年6月9日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成22年7月28日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても、その指定商品及び指定役務中、第9類「測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究」(以下「請求に係る商品及び役務」ということがある。)について、使用されていないものである。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求に係る商品及び役務については取り消されるべきである。
2 弁駁の理由
被請求人は、本件商標が「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について使用されているとして、乙第1号証ないし乙第3号証を提出しているが、以下の理由により、本件商標の使用事実は何ら証明されていない。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人作成の製品の販売促進のために使用されると推測される「お客様導入事例集」と称する資料であり、3頁目に標章「MVN」が記載されているのが確認できる。
しかしながら、かかる資料の最終頁には、「2010年8月現在」と記載されていることから、常識的に考えて当該資料の頒布が開始されたのは、2010年(平成22年)8月以降であることは明白であり、かかる頒布は本件審判の請求登録日である平成22年7月28日前の行為とは認められない。
したがって、乙第1号証は、被請求人が本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用していた事実を裏付けるものとはなり得ない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、「『お客様導入事例集』2010年度版 見積・提案依頼書」と称する書類であり、かかる書類中の1か所において、「MVN」なる記載がある。
しかしながら、当該見積・提案依頼書は、被請求人の担当者のみが記載され、見積り及び提案の依頼をした相手が記載されていない。また、当該相手による書類の受領書等も確認できない。よって、このような書類では、実際に商品又は役務に関する取引において使用された書類か否かを特定することはできない。そして、乙第2号証がこれに記載されている平成22年6月1日に作成されたものであるかは客観的に証明されていない。
さらに、当該見積・提案依頼書における「MVN関連製品」との記載からは、それが被請求人が本件商標を使用していると主張する指定商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」であるか不明である。
すなわち、「VDSL」、「ESU」、「PAUガイドホン」、「ケアコールシステムPAU」及び「PAU無線遠隔監視」といった表示のみからは、具体的な商品又は役務を特定することはできないから、これらの製品が、「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」の範疇に含まれるか否かを判断することはできない。
以上のことからすれば、乙第2号証は、本件商標が本件審判請求の登録前3年の期間内に使用されていたことを何ら証明するものではない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、被請求人の代表者である社長のインタビュー記事が掲載された新聞記事であるが、そもそも、新聞におけるインタビュー記事や時事に関する記事に登録商標と同一の標章の記述があっても、それらは、商標の使用とはなり得ない。
実際に、当該新聞記事中の「MVN」の記載が、いかなる商品なのかも不明である。
さらに、当該新聞の発行日は、平成22年7月30日であり、本件審判請求の登録日である同年7月28日よりも後であるため、その登録前3年以内に係る期間には含まれない。
したがって、乙第3号証も、被請求人又は通常使用権者が本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用していた事実を裏付けるものとはなり得ない。
(4)結語
以上のとおり、被請求人によって提出された上記乙各号証によっては、本件商標の使用事実は何ら証明されていないから、本件商標の登録は、請求に係る商品及び役務について、取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
被請求人は、乙第1号証「お客様導入事例集」に示されているとおり、本件商標を被請求人の業務に係るネットワーク・アクセス製品や無線遠隔監視システム等を包含する製品群の名称として使用している。
乙第1号証の頒布日は要証期間外ではあるものの、2010年6月1日付けの乙第2号証「『お客様導入事例集』2010年版見積・提案依頼書」において、乙第1号証の作成のための見積依頼書が発行されている事実から、要証期間内に本件商標を使用していたことが十分に疎明されている。
また、本件商標を使用している商品が指定商品中の「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」に該当することは、乙第1号証の記載内容から明らかである。
さらに、乙第3号証は、電波新聞社が発行する電波新聞の2010年7月30日付け記事である。当該発行日は要証期間外ではあるが、その記載内容は、被請求人が事業として本件商標に係る製品群を取引していることを推認させるに十分である。
以上に示した証拠を総合的に勘案すれば、本件商標が継続して3年以上日本国内において「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について使用されていることは明白である。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
被請求人(商標権者)は、本件商標「MVN」を本件審判請求の登録(平成22年7月28日)前3年以内に日本国内において、「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について使用していた旨主張し、乙第1号証ないし乙第3号証を提出するので、以下検討する。
(1)乙第1号証ないし乙第3号証によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 乙第1号証は、「お客様導入事例集」と題した小冊子であり、表紙右下に「NECマグナスコミュニケーションズ」の記載があり、奥付けに商標権者と同じくする所在地及び名称のほか、欄外に「2010年8月現在」との記載がある。また、3ページに「ネットワーク・アクセス製品/無線遠隔監視システム(MVN製品)」の見出しの下、「ネットワーク・アクセス製品」として「METAL Access System VDSL, ESU, SHDSL」、「メディアコンバータ」、「IPエミュレーションゲートウェイ」、「ターミナルアダプタ(TA)」、「LAN to LANソリューション」、「Digital Service Unit(DSU)」及び「回路暗号装置」の記載、また、「無線遠隔監視システム」として「PAU-10/20シリーズ(アナログPAU)」、「PAU-50シリーズ(組込モジュールタイプ)」及び「PAU-70シリーズ」並びにそれぞれの製品写真が掲載されている。
そして、これら製品紹介の右側には、各製品に対応する導入会社名、導入製品名及びその概略が記載されている。
さらに、14ページないし23ページには、それぞれの導入事例や時期などが紹介されている。なお、これらの事例中には「MVN」や「MVN製品」との記載は見当たらない。
イ 乙第2号証は、平成22年6月1日付けの「NECマグナスコミュニケーションズ 営業企画部 マネージャー ○○ (担当 ○○)」(審判注:「○○」は実名である。)とする「『お客様導入事例集』2010年版 見積・提案依頼書」と題する書面であって、「5.『お客様導入事例集』ページ構成(案)40P」とする項目中に「■MVN関連製品」との記載の下、上記事例集3ページに記載の導入概略に対応する会社名及び製品名が記載されている。
ウ 乙第3号証は、平成22年7月30日付け「電波新聞」の抜粋記事であり、「新社長に聞く」、「NECマグナスコミュニケーションズ 堀井吉雄社長」及び「<NW-SI、MVN、CATV> 3事業バランス良く伸ばす ニッチ市場で独自性」との見出しの下、「当社の事業は現在、NW-SI(ネットワーク-システムインテグレーション)、MVN(モニタリング・バリュー・ネットワーク)、CATVの3つの柱が中核だ。(中略)MVNでは、当社の遠隔監視システムの実績を生かしている。PHSや3G網を活用した同システムの出荷実績も年間平均3万台以上で、LPガス、エレベータ、複写機、自販機市場では自信を持っている。」と掲載されている。
(2)上記(1)で認定した事実によれば、以下のとおり、判断するのが相当である。
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、「お客様導入事例集」を表題とし、その表紙及び奥付けなどからして、商標権者による同人事業に係る営業実績(導入事例)を基にする宣伝・広告のための小冊子といえるものである。
そして、その製品紹介(3ページ)には、本件商標と社会通念上同一の商標といえる「MVN製品」との記載がされていること、また、その下に請求に係る指定商品及び指定役務のうち「電気電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」に属する商品と認められる「無線遠隔監視システム」に係る製品が掲載されていることが認められる。
しかしながら、当該事例集は、奥付け部の欄外に「2010年8月現在」の記載がされており、被請求人も当該発行日は要証期間外であると述べているように、その配布時期、すなわち、その使用は本件審判請求の登録前3年以内になるとはいえないものである。
そうすると、「2010年8月現在」とする「お客様導入事例集」によっては、商標権者が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る商品及び役務について本件商標の使用をしたということはできない。
イ 乙第2号証について
乙第2号証「『お客様導入事例集』2010年版見積・提案依頼書」には、「5.『お客様導入事例集』ページ構成(案)40P」とする項目中に「■MVN関連製品」との記載などが認められるとしても、該書類にその配布先や決裁欄などの記載がないばかりか、その体裁は商標権者の担当者による内部資料であるというほかなく、仮に、当該見積・提案依頼書が要証期間内に発行されているとしても、印刷会社との取引の事実などを示す取引書類の提出もなく、当該事例集の納品時期や頒布時期、すなわち、本件商標の使用事実(時期)を客観的に証明し得るものとするのは困難である。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証「電波新聞」での平成22年7月30日付けの上記した抜粋記事の掲載よりして、商標権者が事業として「MVN」なる製品群を取引していることを推認させるとしても、当該製品群が上記「お客様導入事例集」の製品紹介(3ページ)と同一製品であるかの点や、その取引時期などの具体的な使用事実は不明であるといわなければならない。
そうすると、乙第3号証によっては、商標権者が本件商標を使用した事実を証明し得るものと認めることができない。
エ 被請求人の主張について
被請求人は、「お客様導入事例集」(乙第1号証)の頒布日は要証期間外ではあるものの、当該見積・提案依頼書(乙第2号証)が要証期間内に発行されている事実から、本件商標を使用していたことが十分に疎明されている。さらに、新聞記事(乙第3号証)の当該発行日は要証期間外ではあるが、本件商標に係る製品群を取引していることを推認させるに十分である旨述べて、これらを総合的に勘案すれば、本件商標が継続して3年以上日本国内において「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について使用されていると主張する。
しかしながら、本件審判請求の登録前3年以内に係る本件商標の使用事実については、上記のとおり、「お客様導入事例集」の頒布日及び新聞記事の発行日は要証期間外のものであり、また、当該見積・提案依頼書からは、内部的な資料であって、その記載事実を客観的に証明し得るものといい難いところである。
そして、商標権者(被請求人)が実際に取引をしていた事実が存したものであれば、印刷会社や当該事例集の配布先又は「MVN製品」の導入先からそれらの証明書又は取引書類を提出することにさほどの支障があるとは考えられないところ、請求人の弁駁に対して何らの答弁もなく、追加の証拠も提出されていない以上、被請求人の主張を認めることはできない。
オ 小括
以上のとおり、被請求人が本件商標の使用の事実を証明するために提出した証拠によっては、商標権者が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件取消し請求に係る指定商品及び役務について本件商標の使用をしたということはできない。
ほかに、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品及び役務のいずれかについて本件商標の使用の事実を認めるに足る証拠の提出はない。
2 まとめ
以上によれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品及び役務のいずれかについて本件商標の使用をした事実を証明し得なかったものといわなければならない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品及び役務に使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定商品及び指定役務」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-07-01 
結審通知日 2011-07-05 
審決日 2011-07-25 
出願番号 商願2005-101328(T2005-101328) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y0942)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
酒井 福造
登録日 2006-06-09 
登録番号 商標登録第4960213号(T4960213) 
商標の称呼 エムブイエヌ 
代理人 辻居 幸一 
代理人 松尾 和子 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 中村 稔 
代理人 木村 明隆 
代理人 熊倉 禎男 

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