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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X10
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X10
管理番号 1243324 
審判番号 不服2010-5260 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-10 
確定日 2011-09-09 
事件の表示 商願2008-48150拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「MESA」の文字を標準文字で表してなり、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、平成20年6月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『MESA』の欧文字を標準文字で表してなるところ、以下の参考情報によれば、該文字は、医療関係者の間で『顕微鏡下精巣上体精子吸引術』を意味する『Microsurgical Epididymal Sperm Aspiration』の略語として普通に使用されている実情が窺われるものであり、そうすると、本願商標は、その指定商品中、少なくとも「顕微鏡下精巣上体精子吸引術」の手術に使用されうる商品(例えば「医療用のメス」や「カテーテル」など)との関係において、当該手術を連想させ、その商品が当該手術用のものである旨の商品の品質、用途を表していると認識されうるというのが相当である。したがって、本願商標は、これをその指定商品中、前記意味合いに照応する「顕微鏡下精巣上体精子吸引術に使用されうる医療用のメス及びカテーテル」に使用するときは、単にその商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認められるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(参考情報)
(1)「南山堂医学大辞典」(南山堂発行、第19版748頁)の「顕微鏡下精巣上体精子吸引術」の項目には、英語表記及びその略語「MESA」が併記されている。
(2)不妊治療関連情報を提供するウェブサイト「不妊治療情報センター」内に、以下の記載がある。
・http://www.funin.info/words/index_words/mesa.html
上記ウェブサイト内の「不妊治療用語集」の中で、「MESA」の言葉が取り上げられ、「顕微鏡下精巣上体精子採取法」と説明されている。
・http://www.funin.info/search/asa/index.html
上記ウェブサイト内で紹介されている愛知県内の病院が、診療内容について、「ARTに関すること(体外受精・顕微授精・受精卵凍結・融解胚移植・精子凍結・胚盤胞移植・胚盤胞凍結・TESE・MESAなど)はすべて当院で治療可能で、実際多くの実績を残しています。」と説明している。
(3)不妊治療関連情報を提供するウェブサイト「ファリティージャーニー」内に、以下の記載がある。
・http://www.fertility-journey.jp/therapyoptions/assistedreproduction/artoverview/index.asp?svarqvp2=0
「治療」の項目の中で、「生殖補助医療(ART(アート))」の1種として、「MESA(顕微鏡下精巣上体精子吸引術)」が説明されている。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「MESA」の文字を標準文字で表してなるところ、原査定によれば、男性因子による不妊治療の一法である「顕微鏡下精巣上体精子吸引術」(Microsurgical Epididymal Sperm Aspiration)の略語(MESA)と認められるものである。
そして、このことは、原審において認定した事実のみならず、当審において行った職権調査においても、次の事実により、認められるものである。
(1)「ステッドマン医学略語辞典」((株)メジカルビュー社 2001年11月10日発行)には「MESA」の項あり、「microsurgical epididymal sperm aspiration 顕微鏡下精巣上体精子吸引法」(356頁)との掲載がある。
(2)「最新医学略語辞典 第5版」(中央法規出版(株) 2010年5月1日発行)には「MESA」の項あり、「microsurgical epididymal sperm aspiration 顕微鏡下精巣上体精子吸引法 顕微鏡下手術で精巣上体より精子を吸引,回収する方法。精管閉塞症例を対象とした,卵細胞質内精子注入法などの顕微授精施行時の精子回収法として用いられる。」との記載がある。
(3)「大阪地方の病院で行われている治療内容」として「MESA」との掲載がある。(http://www005.upp.so-net.ne.jp/moru/bn-osaka.html)
(4)「東邦大学医療センター」の自費外来・自費料金表中に「MESA」との掲載がある。(http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/repro/patient/independence_outpatient.html)
(5)「医療法人 オーク会」における治療として「MESA」との掲載がある。(http://www.oakclinic-group.com/funin/man.html)
(6)「2回目の精子採取 :: ☆LOVER SOUL☆ ?みゅうの不妊治療(ICSI)日記?」には、「TESEの凍結精子のストックが無くなった為、旦那君MESAをする。 」、「今日は旦那君のMESAの日でした。」、「無事にMESAも終わった事だし…」等の掲載がある。(http://yaplog.jp/myu-lover-soul/archive/30)
以上のように、医療に関する各種書籍には「MESA」について「顕微鏡下精巣上体精子吸引術」とあり、その欧文字標記は「Microsurgical Epididymal Sperm Aspiration」であり、その略語は「MESA」として掲載されているものである。また、医療機関において「MESA」は診療科目名として使用されており、さらに、一般の患者においても治療名として「MESA」が普通に認識されているものである。
そうとすると、本願指定商品を取扱う業界において、「MESA」の文字からなる本願商標に接する取引者・需要者は、上記意味合いを認識、把握するとみるのが相当である。
そして、本願商標を、本願の指定商品中の「医療用のメスあるいはカテーテル」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、「顕微鏡下精巣上体精子吸引術」に用いる「医療用のメスあるいはカテーテル」であると理解し、単に、商品の品質、機能を表示したものと認識するにとどまるものであって、自他商品識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。
また、本願商標は、これを前記商品以外の「医療用機械器具」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
ところで、請求人は、「MESA」の語は、医学専門用語であって、一般に用いられる英和辞典には記載がなく、不妊治療の専門家でもない患者や、医療用機械器具の販売・使用等を行う取引者・需要者の間で一般に理解され、用いられているような表現ではない旨主張している。
しかしながら、たとえ、「MESA」の語が一般の辞書類に掲載されていないとしても、指定商品と関係が深い複数の辞書類には、ほぼ同一の意味で掲載されていること、上記のとおりであり、また、「MESA」の語は、診療科目の一つとして掲げられている事実からしても、「医療用機械器具」の販売・使用等を行う取引者・需要者あるいは、不妊治療を受ける患者に、上記認定の意味合いを理解させないということはいえないし、請求人は、主張するのみで、具体的な取引の実情を証明してもいないものであるから、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-04-11 
結審通知日 2011-04-12 
審決日 2011-04-28 
出願番号 商願2008-48150(T2008-48150) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X10)
T 1 8・ 13- Z (X10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 尊恵鈴木 斎浅野 真由美 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 吉野 晃弘
末武 久佳
商標の称呼 メサ 
代理人 福田 秀幸 

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