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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1243213 
審判番号 取消2010-301017 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-09-22 
確定日 2011-08-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4368837号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4368837号商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4368837号商標(以下「本件商標」という。)は,「マイベール」の文字を書してなり,平成11年4月30日に登録出願,第20類,第22類,第23類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品並びに第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同12年3月17日に設定登録され,その後,平成21年11月17日に商標権の存続期間の更新登録がなされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成22年10月13日である。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について,継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標の使用について
被請求人は,複数の証拠を提出しているが,いずれも本件取消請求に係る指定商品についての本件商標の使用に関するものではない。
(2)被請求人の使用証明について
ア 乙第1号証について
乙第1号証の表の面には,本件商標と実質的に同一の商標である「マイベール」が表示されている。
しかしながら,裏の面には「マイベールは,ユニチカ独自技術による蓄熱保温繊維“サーモトロン”と不快な静電気を防止する“メガーナ”を使用した機能素材です。」と表示されているように,本件商標が使用されている商品は,第25類の商品ではなく,むしろ第24類の織物などであると考えるのが相当である。また,乙第1号証から判断することができる使用主体は,被請求人ではなく,「ユニチカテキスタイル株式会社」である。
そうすると,その使用主体の名称から判断しても,少なくとも乙第1号証で立証することができる事実は,本件商標は本件取消請求の対象である第25類のいずれの指定商品についても使用されておらず,被請求人とは異なる法人である「ユニチカテキスタイル株式会社」が,本件取消請求の対象である第25類の指定商品以外の商品に使用している可能性があることだけである。
結論として,乙第1号証は,本件取消請求における本件商標の指定商品の使用を証明する証拠にはなり得ない。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は,件外吉村株式会社のウェブサイトのコピーであり,ウェブサイトからコピーした日付は2010年12月7日と,本件審判の請求の登録よりも後の日付である。
ただし,乙第2号証では2009年秋冬物について宣伝が行われているので,これを信頼して反論する。
乙第2号証の5/11頁には,確かに「マイベール」の記載が見受けられる。しかし,その解説として,乙第1号証の裏面同様に,「蓄熱保温繊維『サーモトロン』と特殊導電性繊維(静電気を防止する)『メガーナ』を使用した機能素材です。」とあり,商標「マイベール」は素材を示すものとして明記されている。
よって,乙第2号証も本件商標が本件取消請求に係る指定商品に使用された事実を示すものではない。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証は,乙第2号証と同様に吉村株式会社のウェブサイトのコピーであるが,本件商標を取消請求に係る指定商品に使用していたことを証明する証拠としては一切機能しない。また,答弁書においても乙第3号証について合理的な主張がないので,当該証拠はその存在自体に意味がない。
エ 乙第4号証について
乙第4号証も,乙第2号証及び乙第3号証と同様に,吉村株式会社のウェブサイトのコピーであるが,1/3頁に「2Wayマイベール」の表示がある。しかしながら,この行には「生地・・・2Wayマイベール(品番:15036-2)と記載されており,しかも生地の宣伝の部分に使用されている。すなわち,乙第4号証から判断できる事実は,被請求人が通常使用権を許諾しているとする吉村株式会社は,本件商標を商品「生地」(第24類の織物)に使用したということであり,乙第4号証をもってしても,本件商標が取消請求に係る指定商品に使用された事実は立証されていない。
3 まとめ
前記したように,被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第4号証では,本件商標が指定商品「第24類 織物」に使用されたことを推認することは可能であるが,取消請求に係る指定商品に使用された事実を証明することはできない。
なお,第24類「織物」と,第25類「被服」の関係は,織物が被服の材料ということであるが,商品及び役務の区分並びに商品としての概念は互いに異なっているものであり,第24類の商品に,ある商標が使用された事実をもって,第25類の商品に使用されたことを証明することは許されない。
よって,被請求人の主張は解釈を誤ったものであり,失当である。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は,その指定商品中,本件取消請求に係る指定商品について,本件審判の請求の登録の日前3年間に日本国内において使用しているので,その使用事実についての一部であるが,以下に提示する。
(1)乙第1号証として,被請求人が顧客であるアパレルメーカーや販売業者向けに制作したラベルの画像を提出する。このラベルの表の面の画像中,「マイベール」の片仮名が表示されていることは明白である。また,このラベルの裏の面には,「マイベール」が蓄熱保温繊維”サーモトロン”と静電気を防止する”メガーナ”を使用していることを記載している。
(2)乙第2号証として,レディース用オーダーメイドスーツの販売を行っている吉村株式会社のWebサイト(http://www.vightex-1adies.com/)に掲載されているWebページ「Special Selection2009 AUTUMN & WINTER」(http://www.vightex-ladies.com/special/09/08/body.html)を印刷した書面を提出する。同書面の5ページに掲載されている商品は,本件取消請求に係る指定商品と同一又は類似の商品であるスーツ,ジャケット,パンツなどである。また,同ページのスーツ,ジャケット,パンツなどのブランドとして本件商標が記載されていることは,明白である。
(3)乙第3号証として,同社サイトに掲載されているWebページ「お客様いらっしや?い:バックナンバー」(http://www.vightex-ladies.com/wel/bn-body.html)を印刷した書面を提出する。同書面の1ページには,別のWebページ(http://www.vightex-ladies.com/wel/09/09/body.html)にリンクされた「2009年」「09.09秋の旅行シーズンにはこれ!!」(http://www.vightex-ladies.com/wel/09/09/body.html)が記載されている。
(4)乙第4号証として,リンク先のWebページ「秋の旅行シーズンにはこれ!!」(http://www.vightex-ladies.com/wel/09/09/body.html)を印刷した書面を提出する。同書面に掲載されている商品は,本件取消請求に係る指定商品と同一又は類似の商品であるスーツ,ジャケット,スカートなどである。また,同書面のスーツ,ジャケット,スカートなどのブランドとして本件商標が記載されていることは,明白である。
被請求人のような素材提供メーカーがアパレルメーカーや販売業者に対して,自社が保有する登録商標を製品ブランドとして使用許諾することは,販売促進の一環として普通に行われており,その際に「商標使用許諾契約書」などの締結は行わずに口頭にて使用許諾(通常使用権の許諾)していることもまた普通に行われているところである。本件商標についても,上述の事情の下にアパレルメーカーや販売業者に対して口頭にて通常使用権を付与しているものである。
上記の乙第1号証ないし乙第4号証からも明らかなように,本件商標は通常使用権者が登録の態様と同一の態様にて,あるいは社会通念上同一と認められる態様で本件取消請求に係る指定商品の第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に含まれる商品に使用しているものであり,しかも本件取消請求の登録前3年以内に使用されていたことが明らかである。
2 まとめ
前記したように,本件商標が,その請求の趣旨に記載された商品,第25類 「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に,本件審判請求の登録前3年間に通常使用権者が日本国内において使用していたことは乙第1号証により明らかである。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について,被請求人主張及び同人の提出に係る乙号証によれば,以下の事実がある。
(1)乙第1号証は,ラベルの表の面と裏の面の写真であり,ラベルの表の面には,中央部に大きく「マイベール」と表示され,その下部分には,「この商品はユニチカの素材を使用しています。」との記載がある。
ラベルの裏の面には,「マイベールは,ユニチカ独自技術による蓄熱保温繊維“サーモトロン”と不快な静電気を防止する“メガーナ”を使用した機能素材です。」「素材提供元 ユニチカテキスタイル株式会社」と記載されており,「製造発売元」の項は設けられているが,「製造発売元者」の記載はない。
(2)乙第2号証は,2010年12月7日に印刷された「オーダースーツのヨシムラ(レディース)Special Selection 2009 AUTUMN&WINTER」の表題があるホームページ(http://www.vightex-ladies.com/special/09/08/body.html)であり,1頁目の上部には,「レディースおすすめ商品のご案内」「Special Selection 2009 AUTUMN&WINTER」との記載があり,「・・・恒例の2009秋冬レディースSpecial Selection を皆さんへお届けしたいと思います。是非最新の秋冬素材をしっかりチェックしてみて下さいね!」との記載がある。
そして,該頁の下部分には,「<15007-1?6>ロイヤルオックス『定番サンプル帳』」との記載があり,2頁目には,生地の写真が掲載され,「おすすめスタイル」として女性用スーツの写真が掲載されている。そして,該頁の中程には,生地の写真とともに「<15008-1?6>ギャバジン『定番サンプル帳』」の記載がある。また,5頁目の中程には,生地の写真とともに,「<15036-1?5>マイベール」「スーツ上下53,000円(税込み)」「ジャケット単品34,500円(税込み)」と記載し,横線を介した下には「蓄熱保温繊維『サーモトロン』と特殊導電性繊維(静電気を防止する)『メガーナ』を使用した機能素材です。」「おすすめスタイル ビジネスシーンには定番のシングルジャケットに細身のローライズパンツがオススメです。」との記載がある。
また,上記に続いて,生地の写真とともに,「<15037-1?43>テンセルハイテンションクロス」「スーツ上下53,000円(税込み)」「ジャケット単品34,500円(税込み)」と記載し,横線を介した下には,「こちらの商品はテンセルのとってもナチュラルな複合繊維でストレッチ性が高く機能的な素材です。」との記載がある。
さらに,生地の写真とともに,「<15038-1?4>ヘリンボーンハイテンションニット」には,「こちらの商品は一見すると織物のように見えますが,実は伸縮性のあるニットになります。」,「<15039-1?4>ヘリンボーンカラーストライプ」には,「ヘリンボーンの地模様だけですとやや地味な印象を受けますが幅広のカラーストライプがアクセントになりとてもお洒落な生地です。」との記載がある。
(3)乙第3号証は,2010年12月7日に印刷された「オーダースーツのヨシムラ(レディース)お客様いらっしゃ?い:バックナンバー」の表題があるホームページ(http://www.vightex-ladies.com/wel/bn-body.html)の写しで,1頁目の中程に「09.09秋の旅行シーズンにはこれ!!」との記載がある。
(4)乙第4号証は,2010年12月7日に印刷された「オーダースーツのヨシムラ(レディース)[お客様いらっしや?い]秋の旅行シーズンにはこれ!!」の表題があるホームページ(http://www.vightex-ladies.com/wel/09/09/body.html)であり,乙第3号証のリンク先といえるものである。
そして,1頁目の下部分には,「■生地■」と記載して,生地の写真が掲載され,「◆生地・・・2Wayマイベール(品番:15036-2)」「蓄熱保温繊維『サーモトロン』と特殊導電繊維(静電気を防止)『メガーナ』を使用した生地です。」,「さらに,タテ,ヨコのストレッチで着心地もばっちり,カラーも,ベージュ,エンジ,茶,チャコールグレー,黒の5色展開と女性にうれしい万能生地です。」,「素材もポリエステル100%ですので,アクティブに行動したい方には扱いやすいイージーケア素材で毎日のコーディネートに大活躍してくれそうですね!」との記載がある。

2 乙第1号証によれば,ラベルの表の面には,本件商標と社会通念上同一と認められる「マイベール」の文字が表示され,「この商品はユニチカの素材を使用しています。」との記載があり,また,裏の面には,「マイベールは,ユニチカ独自技術による蓄熱保温繊維“サーモトロン”と不快な静電気を防止する“メガーナ”を使用した機能素材です。」と記載され,その下に,「素材提供元 ユニチカテキスタイル株式会社」と記載されていることからすれば,ラベルに表示された素材提供元であるユニチカテキスタイル株式会社は,ラベルにおいて,本件商標を上記「素材」の商標として使用していること,そして,ラベルの裏の面において,「マイベール」という「素材」の品質,機能等を表示しているものということができる。
また,乙第2号証及び乙第4号証によれば,吉村株式会社(本件商標の通常使用権者と主張しており,当事者間に争いはない。)のオーダーメードによるスーツ又はジャケットの「生地」を紹介するものとして,生地の写真とともに本件商標が表示され,「蓄熱保温繊維『サーモトロン』と特殊導電性繊維(静電気を防止する)『メガーナ』を使用した機能素材です。」,「女性にうれしい万能生地です。」,「素材もポリエステル100%ですので,アクティブに行動したい方には扱いやすいイージーケア素材」等と記載されているものであるから,かかる本件商標の使用は,スーツ又はジャケット等の「生地」についてされたものと認められる。
そうとすれば,本件商標と社会通念上同一とみられる使用商標は,商品「スーツ,ジャケット」の素材である生地,すなわち,「織物」について使用されていたものであって,本件取消請求に係る指定商品に含まれるスーツ,ジャケットについて使用されていたものということはできない。
以上よりすれば,被請求人(商標権者)又は通常使用権者は,取消請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていたということはできず,その他,取消請求に係る指定商品のいずれかについて使用していたことを証する証拠の提出はない。

3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判請求の登録前3年以内に,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,取消請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。
また,被請求人は,本件商標を使用していないことについて,正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取消請求に係る第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-06-16 
結審通知日 2011-06-21 
審決日 2011-07-04 
出願番号 商願平11-39016 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 烈 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 末武 久佳
田中 亨子
登録日 2000-03-17 
登録番号 商標登録第4368837号(T4368837) 
商標の称呼 マイベール 
代理人 濱田 俊明 

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