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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X05
管理番号 1243167 
審判番号 不服2010-9371 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-30 
確定日 2011-08-10 
事件の表示 商願2009- 8923拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成21年2月10日に立体商標として登録出願され、指定商品については、平成21年10月26日付け手続補正書により、第5類「薬剤」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その指定商品の包装(収納容器)の一形態を表したものと容易に認識させる立体的形状のみからなるものであり、その各面に施されたデザイン(色彩)も、単なる装飾の一部にすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有する程に特異性があるものとは認められないものである。そうすると、本願商標をその指定商品について使用しても、単に商品の包装(収納容器)の形状そのものを普通に用いられる方法で表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、立体商標として登録出願されたもので、別掲のとおり、立体的形状を、正面図、背面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図(願書に記載順の第1図ないし第6図)、及び正面、平面、右側面を表した直方体状の斜視図(第7図)により、表してなるものである。また、正面図及び両側面図には、白を基調とし、上部から青、白(基調部)、黄、青、緑、白(基調部)の順番で横帯状線の色彩等が施されてなるものである。

2 本願商標の自他商品の識別性について
(1)立体商標における商品等の形状
本願の指定商品である「薬剤」の多くは、直方体状の包装容器に収納されて取引に資されている実情があり、通常、それらの包装容器には、何らかの色彩が施されていることよりすると、本願商標の構成全体からは、指定商品の包装の形状である薬剤の包装容器を想起させるというのが相当である。
ところで、商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項第5条第2項参照)。しかしながら、立体商標における商品等の立体的形状が商標法第3条第1項第3号に該当しないとし、識別機能が肯定されるためには、以下のような要件を充たす必要がある。
ア 商品等の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品等の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品等の形状は、多くの場合に、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されると認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、同号に該当すると解するのが相当である。
イ また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、同号に該当するものというべきである。
ウ さらに、需要者において予測し得ないような斬新な形状の商品等であったとしても、当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。
(2)本願商標の立体的形状について
本願商標を構成する立体的形状(以下、「立体的形状」というときは、色彩、平面図形を含まない。)は、単なる直方体であるところ、直方体はありふれた立体的形状の一つであり、それのみでは明らかに自他商品の識別力を有さないものである。加えて、当該形状は、本願の指定商品である「薬剤」の包装容器として多数採択されており、その商品の包装の形状を表すものとして認識されるにすぎないものであるから、その点においても自他商品の識別力を有さないものである。
したがって、本願商標の立体的形状は、それのみでは自他商品の識別機能を有さないものであり、立体商標として登録することはできないものである。
(3)本願商標の立体的形状に付された色彩、図形について
ア 商品を販売するにあたって、その商品の包装容器に商品名及び製造販売業者名等の表示をする場合に、その表示文字を際立たせることによって、需要者の注意や注目を惹くために、もしくは、包装容器の美感を向上させることによって、需要者の購買意欲を高めるために、商品の包装容器に、色彩を用いた装飾的又は背景的図形を施して使用することは極めて一般的であり、以下のとおり、薬剤の包装容器においても同様である。
(ア)総合かぜ薬の「パブロンゴールドA微粒」の包装容器は、金色を基調として、正面及び側面には、赤色の矩形と白色の矩形がそれぞれ横帯状に両幅いっぱいまで表されており、これらを背景として、商品名等が顕著に書されている(大正製薬株式会社のウェブサイト http://www.catalog-taisho.com/04525.php)。
(イ)外用鎮痛消炎薬の「バンテリンコーワクリーミィーゲルLT」の包装容器は、銀色を基調として、正面に緑色、黄色、黒色の矩形が横帯状に両幅いっぱいまで表され、平面は緑色が施され、これらを背景として、商品名等が顕著に書されている(興和株式会社のウェブサイト http://hc.kowa.co.jp/vantelin/creamy_gel_lt.php)。
(ウ)カルシウム剤の「新カルシチュウD3」の包装容器は、白色を基調として、正面に銀色、黄色の矩形が両幅いっぱいまで表され、平面は銀色が施され、これらを背景として、商品名等が顕著に書されている(第一三共ヘルスケア株式会社のウェブサイト http://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/calcichew_d3/index.jsp)。
(エ)頭痛薬の「タイレノールA」の包装容器は、白色を基調として正面の左上隅を切り取ったような態様で青色の直角三角形が表されており、この三角形を背景として白色の文字が書されている(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社のウェブサイト http://tylenol.jp/tylenola.html)。
(オ)こども用解熱鎮痛薬の「小児用バファリンCII」の包装容器は、オレンジ色を基調として正面の右上隅を切り取ったような態様で白色の直角三角形が表されており、この三角形を背景として文字が書されている(ライオン株式会社のウェブサイト http://www.lion.co.jp/ja/seihin/brand/066/05.htm)。
(カ)医薬品発毛促進薬の「NFカロヤンガッシュ」の包装容器は、灰色を基調として正面の左上隅を切り取ったような態様で赤色の直角三角形が表されており、この三角形を背景として文字が書されている(第一三共ヘルスケア株式会社のウェブサイト http://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/karoyan_nf_gush/index.jsp)。
そして、直方体の包装容器は、看者はこれを観察する場合は、一時にその全方向を視認することはできないものであり、通常、各面にそれぞれ別個の商品に関する情報が記載されていることから、看者はそれぞれの面をとらえて内容を把握するものである。
イ そこで検討するに、本願商標は、前記のとおり、直方体の各面に、単色の色彩(背面、平面、底面)、又は、青、白、黄、緑、赤等の色彩により表された矩形、三角形等の簡単な図形の組み合わせ(正面、両側面)を表した構成よりなるものである(以下、各面の色彩・図形を「本願正面図形」、「本願右側面図形」等といい、直方体の6面全ての色彩・図形を総じて「本願図形」という。)。また、正面及び両側面の矩形は各面において、いずれも余白なく横幅一杯まで表されてなるものである。
そして、本願商標の立体的形状が、指定商品である「薬剤」の包装容器を認識させることは前記説示のとおりであるところ、本願図形は、矩形、三角形等の簡単な図形と色彩との組み合わせよりなるものであって、このような態様は文字を際立たせるための背景的図形に使用されるものとしてありふれたものであり、包装容器の美感を高めるためのデザインとして、特異なものとは認められない。
また、本願図形は、矩形、三角形等の簡単な図形と色彩の組み合わせよりなるものであって、これよりは特定の称呼及び観念を生ずるものではない。
そうとすると、本願図形は、これが本願商標の立体的形状に使用されたときには、需要者が、本願指定商品である「薬剤」の包装容器において、通常採用し得る範囲での美感を高めるためのデザインと認識するに止まるものというのが相当である。
したがって、本願商標の立体的形状に本願図形が付されていることをもって、これに接する需要者が、本願商標が商品の出所を表示する識別標識としての機能を発揮しているものと認識し得えないものであり、単に、装飾的又は背景的な色彩、図形によりデザインされた商品の包装容器の一種であると想起するにすぎないものというのが相当であるから、本願商標の立体的形状に付された本願図形は、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。
なお、本願商標が使用された場合に、需要者が、本願商標に係る商品の包装容器を実際に手にした際に、あるいは、商品の包装容器を全体より見ることができるように陳列棚に置かれた際に、本願商標について願書記載の斜面図(第7図)のように、一時に複数の面を看取する場合が生じる得るとして、そのような一時に複数の面が視認できる角度からみた場合においても、本願図形は、薬剤の包装容器のデザインとして一般に採択されている装飾的又は背景的な色彩、図形と認識させるに止まるものであるため、自他商品の識別標識として機能を発揮しているものと認めることはできない。
(4)以上によれば、前記(2)のとおり、本願商標の立体的形状は、指定商品の包装容器として、ありふれた形状である直方体であり、前記(3)のとおり、その立体的形状に付された各図形も矩形、三角形等の簡単、かつ、ありふれた図形であり、それら図形と色彩を組み合わせた各面、又は一時に複数の面を見ても、指定商品に係る業界においては同程度の図形、色彩又はそれらの組み合わせは、商品の包装容器の装飾的又は背景的なデザインとして多数存在するものである。
そうとすると、本願商標は、指定商品の包装容器について、美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるというのが相当であり、自他商品の識別機能を有さないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(5)本願商標の立体的形状に付された色彩、図形についての請求人の主張
ア 請求人は、原査定が、本願商標の立体的形状に描かれた図形(デザイン)は、1)取引の経験則として、通常(商標が)その商品等について付される部位に付されていない場合、又は、2)その商品等の美感を向上させるための装飾と認識されるに止まる場合に該当するから、識別標識としての使用態様ではなく、識別力を有するものとは認められないとしたことに対し、1)について、薬剤の包装容器においては、包装容器本体の正面全体に、大きく文字や図形を付すのが通例であり、当該部分に描かれた文字や図形が、需要者が商品を選択する際の重要な識別標識として機能しているところ、本願商標の立体的形状に描かれた図形(デザイン)は、陳列した際に需要者から視認できない背面や底面のみに表されているものではなく、立体的形状の正面、側面に表されてなるものであり、通常その商品等について付される部位に付されていない場合には該当しないと主張している。
また、2)について、薬剤の販売場所である薬店やドラッグストアにおいては、同種の商品が陳列棚の同じ箇所に集められ販売されるため、各製薬会社は、包装容器に、需要者の視覚に強く訴える図形や色彩の位置・配列・態様を採択し、需要者はここに表された図形や色彩等を、商品を選択する際の重要な識別標識としている実情にあり、本願商標の立体的形状に描かれた図形(デザイン)も、美感を向上させるためではなく、自他商品の識別機能を発揮することを目的としたものである。また、包装容器の全面に表されている図形(デザイン)について、多数の登録事例(平面商標)が存在する。そして、本願の立体的形状に描かれた図形(デザイン)は、購買意欲を刺激する装飾や同じ図形模様を連続反復して規則的に表した装飾でもなく、仮に、装飾であるとしても、図形商標として自他商品の識別機能を果たしうるものであると主張している。
しかしながら、前記認定のとおり、本願図形よりは、特定の称呼及び観念を生じさせるものではなく、その商品の包装容器に商品名及び製造販売業者名等の表示をする場合に、その表示文字を際立たせることによって、需要者の注意や注目を惹くために、もしくは、包装容器の美感を向上させることによって需要者の購買意欲を高めるために、商品の包装容器に色彩、図形を用いた装飾的又は背景的な図形(デザイン)と認識させるに止まるため、取引業界において採用し得る範囲での装飾等と認識されるものであると認められる。
イ さらに請求人は、本願商標の立体的形状に描かれた図形が、平面商標として自他商品の識別機能を有することが認められ登録されていること(甲第21号証ないし甲第23号証)、包装容器の正面から側面にかけて全面に幾何学的図形が描かれた立体商標(甲第24号証)が、自他商品の識別力を認められている審決例等があることからも、本願構成中の図形部分が自他商品の識別機能を有する旨、主張している。
しかしながら、請求人の提出に係る前記登録商標は、平面商標での登録商標であるもの、立体的形状等が本件とは異なるものであるから、本件とは事案を異にするものであり、請求人の主張は採用することはできない。

3 本願商標の商標法第3条第2項該当性について
(1)請求人は、本願商標は使用による自他商品の識別機能を獲得しているとして、商標法第3条第2項により登録を認められるべき旨、主張している。
ところで、出願に係る商標が、その指定商品との関係において、単に商品の品質、効能、用途等を表示したものと認識させるに止まるために商標法第3条第1項第3号に該当する場合に、それが同条第2項に該当し、使用による識別性が発生したとして登録が認められるか否かは、(a)実際に使用している商標及び商品等、(b)使用開始時期、使用期間、使用地域、(c)該商品の生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)、(d)広告宣伝の方法、回数及び内容、(e)一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容、(f)需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果等の事実を総合勘案して、出願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって判断するものであり、かつ、使用に係る商標及び商品は、出願に係る商標及びその指定商品と同一の場合に限られるものである。
そこで、これらの観点から本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて検討する。
(2)本願商標と使用に係る商標との同一性について
ア 「商標法3条2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら、同条項は、本来的には自他商品識別力がなく、特定人の独占にもなじまない商標について、特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり、実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして、登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると、同条項は、厳格に解釈し適用されるべきものである。」(知財高等裁判所 平成18年6月12日言渡 平成18年(行ケ)第10054号)と判示されているところである。
そこで、本願商標と、提出に係る各証拠方法中にある、請求人の使用(製造及び販売)に係る商品である「サロンパスAe」の包装容器の構成態様について考察する。
イ 本願商標は、前記1(2)及び(3)のとおりであるところ、請求人の提出に係る甲第33号証などによると、本願商標を使用するとするサロンパスAeの包装容器(以下、「使用包装容器」という。)は、本願の指定商品「薬剤」に含まれる「消炎鎮痛貼付剤」の包装容器であって、本願商標と同様に直方体よりなり、そこに背景的に付された図形部分が本願図形と一定の共通性を有するものであるが、使用包装容器はその直方体の正面において、左上隅の三角形を背景図形として「サロンパスの密着浸透力」の文字、上段の青色矩形を背景図形として、「Hisamitsu」等の文字、中段の青色矩形を背景図形として「サロンパスAe」の文字がそれぞれ白抜きの太字で、上記三角形もしくは矩形全体にわたるように顕著に表され、また、青色矩形の下方の緑色矩形と白色矩形にまたがって、商品である消炎鎮痛貼付剤の図形等を内部に有する楕円図形が正面全体の8分の1程度の大きさで表され、さらに、緑色矩形には黄色と白色の角丸四角形が表され、それぞれの内部には、赤色で「レギュラーサイズ」文字、青色で「80枚入」等の文字が書されている。その他、医薬品の分類、名称、効能、用途、形状等を表す文字が各図形を背景図形として書されているものである。
そして、本願商標と使用包装容器とは、本願商標中にはない上記図形や文字の記載の有無により、明らかに同一とは認めがたいものであるし、使用包装容器の図形部分は背景図形として記載されているものであって、その多くの部分が重ねて書された文字、図形により隠され、視覚することができないことから、使用包装容器から本願図形を直ちに識別することはできないし、使用包装容器の上記背景図形をまとまりの良い一つの標識として認識されるものではない。
よって、本願商標は、提出に係る各証拠によっては、本願商標と使用に係る商標の同一性が認められないため、前記の商標法第3条第2項の適用の各要件を具備するものとは認めることはできない。
(3)使用に係る商標の使用による識別力の獲得について
使用包装容器の使用開始時期、使用期間、使用地域、使用に係る商品(サロンパスAe)の生産等の数量又は営業規模(売上高等)、広告宣伝の方法、回数及び内容、雑誌等における記事掲載の回数及び内容について検討するに、請求人の提出に係る甲第27号証などによると、サロンパスAeのパッケージデザインは、2003年2月にそれまでのものとは大きくデザイン変更され、2006年6月までには、消炎鎮痛貼付剤の図形等を内部に有する楕円図形、内部に「レギュラーサイズ」の文字を有する黄色の角丸四角形、内部に「80枚入」等の文字を有する白色の角丸四角形の位置等も含めて、現行とほぼ同じデザインが採用され、以降、現在まで5年にわたり継続使用されており、該商品は、薬局等で販売されている外用消炎鎮痛剤(一般用医薬品)のうち、サリチル酸系を薬効成分とするプラスター剤において、平成21年5月の時点において、市場占有率が約40%で第1位であり、販売数量は、年間800万個以上である。また、該商品の広告宣伝については、テレビコマーシャルを2003年8月より開始、現在も継続して放映し、新聞広告を約74回、雑誌広告を述べ81雑誌にて行い、加えて、薬局等の店頭におけるのぼりやPOP、鉄道の中吊り広告、該商品のキャンペーン活動、スポーツイベントでの宣伝広告活動が行われている。これらよりすると、サロンパスAeは外用消炎鎮痛剤(一般用医薬品)との関係において相当程度知られている商品といえる。
しかしながら、前記(2)イで認定したとおり、使用に係る商標であるというサロンパスAeの使用包装容器の構成態様は、本願商標と同一とは認められないため、これらの証拠は、本願商標が使用により識別性を有するに至ったか否かの判断をするために用いることはできない。
加えて、前記(2)イのとおり、使用包装容器には、常に出所識別標識として「サロンパスAe」、「Hisamitsu」等の文字が付されており、かつ、前記2(3)のとおり、本願図形である矩形、三角形等は、特定の称呼及び観念を生じさせるものではなく、図形部分が1つのまとまりの良い標識として認識されることもないことよりすれば、使用包装容器の図形部分は、取引業界において採用し得る範囲での装飾等と認識されるものであるから、使用包装容器が自他商品の識別力を有するとはいえず、使用包装容器においては、その図形部分を背景として書された「サロンパスAe」、「Hisamitsu」等の文字が、実際の取引において商品(サロンパスAe)の出所を表示する識別標識としての機能を発揮しているものというべきである。
そうとすると、請求人の提出した使用包装容器に係る証拠によっては、該容器から「サロンパスAe」、「Hisamitsu」の文字等を除いた立体的形状と図形部分のみの構成態様について、使用包装容器の各面に付されている図形部分をもって、本願商標は、これを指定商品に使用された結果、これに接する需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものということはできない。
よって、サロンパスAeが相当程度知られているとしても、提出に係る各証拠によっては、本願商標と使用に係る商標の同一性が認められず、また、使用に係る商標において、「サロンパスAe」等の文字部分を除いた立体的形状とそこに付された図形部分だけで使用による識別力を獲得しているとはいえないから、商標法第3条第2項の要件を具備するものに該当するということができず、請求人の前記の主張は採用することはできない。

4 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標(色彩は原本参照)
1 第1図(正面図)

2 第2図(背面図)

3 第3図(平面図)

4 第4図(底面図)

5 第5図(左側面図)

6 第6図(右側面図)

7 第7図(斜視図)


審理終結日 2011-05-19 
結審通知日 2011-05-23 
審決日 2011-06-24 
出願番号 商願2009-8923(T2009-8923) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 根岸 克弘
瀧本 佐代子
代理人 黒川 朋也 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 佐藤 英二 

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