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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200214319 審決 商標
不服201120614 審決 商標
不服200220078 審決 商標
不服20079933 審決 商標
不服20117921 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X30
管理番号 1243159 
審判番号 不服2010-18107 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-11 
確定日 2011-08-11 
事件の表示 商願2009- 24388拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ミルクケーキ」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年3月18日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同22年2月15日受付けの手続補正書により、第30類「牛乳を使用した菓子」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、ミルクを使用したケーキを容易に想起させる『ミルクケーキ』の文字を標準文字で表してなるから、これをその指定商品中『ミルクを使用したケーキ』に使用するときは、本願商標に接する取引者、需要者は、単に商品の品質を表示したものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。なお、出願人は、本願指定商品を補正し意見書において、商標法第3条第2項の適用を主張するとともに甲第1号証ないし甲第25号証を提出しているが、商標法第3条第2項の適用に該当するものとして登録を認められるのは、原則として、使用に係る商標と出願に係る商標とが同一の場合に限られると解されるところ、提出に係る甲各号証によっては、使用に係る商標と本願商標とは構成が相違し、さらに、その他出願人の主張及び甲各号証を総合してみても、本願商標それ自体が自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、「ミルクケーキ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ミルク」の文字は、「牛乳」の意味を有し、「ケーキ」の文字は、「洋菓子、特に卵・牛乳を主体とした生菓子」の意味を有する(いずれも「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」株式会社三省堂)ものとしてよく知られているものであるから、本願商標は、その指定商品との関係においては、「牛乳を使用した菓子」との意味合いを容易に理解させるものである。
してみると、本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該商品が「牛乳を使用した菓子」であること、すなわち、商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
したがって、本願商標は、その指定商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(2)商標法第3条第2項の適用について
ア 請求人は、原審における同22年2月15日受付けの意見書及び同年8月11日受付けの審判請求書において、本願商標は、請求人によりその指定商品に継続して使用された結果、使用による識別性を獲得し、商標法第3条第2項に該当するものである旨述べ、甲第1号証ないし甲第30号証(なお、甲各号証に記入された番号は、各号証の枝番号とする。)を提出している。
そこで、以下この点について検討する。
登録出願に係る商標が商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったものであるか否かを検討するに当たっては、知財高裁平成18年(行ケ)第10054号判決(平成18年6月12日判決言渡)において、次のように判示されている。
「商標法3条2項は,商標法3条1項3号等に対する例外として,『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの』は商標登録を受けることができる旨規定している。その趣旨は,特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には,当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に,当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上,他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は薄いということができるから,当該商標の登録を認めようというものであると解される。
上記のような商標法3条2項の趣旨に照らすと,同条項によって商標登録が認められるためには,以下のような要件を具備することが必要であると解される。
ア 使用により自他商品識別力を有すること
商標登録出願された商標(以下『出願商標』という。)が,商標法3条2項の要件を具備し,登録が認められるか否かは,実際に使用している商標(以下『使用商標』という。)及び商品,使用開始時期,使用期間,使用地域,当該商品の生産又は販売の数量,並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して,出願商標が使用された結果,判断時である審決時において,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否か(いわゆる『自他商品識別力(特別顕著性)』の獲得の有無)によって決すべきものである。
イ 出願商標と使用商標の同一性が認められること
商標法3条2項の要件を具備するためには,使用商標は,出願商標と同一であることを要し,出願商標と類似のもの(例えば,文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。
なぜなら,同条項は,本来的には自他商品識別力がなく,特定人の独占にもなじまない商標について,特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり,実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして,登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると,同条項は,厳格に解釈し適用されるべきものである。」
上記によれば、商標法第3条第2項によって商標登録が認められるためには、次の要件を具備することが必要である。
(ア)使用により自他商品識別力を有すること。
(イ)出願商標と使用商標の同一性が認められること。

イ そこで、上記判示された観点を踏まえて、本願商標について検討するに、請求人の提出に係る甲各号証によれば、以下のことが認められる。
(ア)甲第1号証は、請求人の会社案内とされる2枚紙である。1枚目には、「おしどりミルクケーキ」の文字が記載され、その商品の写真が掲載されている。また、その説明として、「おしどりミルクケーキは、生乳を使用し牛乳の諸成分を損なわないよう固形化しており、風味栄養の点で他には見られないユニークでカルシウムたっぷりな『牛乳のお菓子』です。」の記載がある。
2枚目の「会社概要」の「沿革」には、「昭和20年 ミルクケーキの製造、販売を開始」「昭和53年 糠野目工場を新設し、ミルクケーキの製造を移転」「平成21年 ミルクケーキの新工場を建設」などの記載がある。
(イ)甲第2号証は、「おしどりミルクケーキ」の商品カタログである。見開き左頁には、「『おしどりミルクケーキ』は、新鮮純良な牛乳に良質な砂糖を加え、牛乳の諸成分を損なわないように殺菌濃縮した『おしどり加糖練乳』を原料とし、特許製法にて固形化した牛乳のお菓子です。」の記載がある。
そこに掲載の「ホワイト&チョコレート2000」、「ホワイト1000」、「ホワイト1500」「3色詰600」の商品パッケージには、「OSHIDORI MILK CAKE」「おしどりミルクケーキ」の文字の記載がある。
「6色詰1000」の商品パッケージには、「ミルクケーキ」「MILK CAKE」の文字が記載されている。
「3色詰350」の商品パッケージには、「おしどり」「ミルクケーキ」の文字が記載されている。
見開き右頁に掲載の商品パッケージには、いずれも「おしどり」「ミルクケーキ」「OSHIDORI MILKCAKE」の文字の記載がある。
(ウ)甲第3号証は、読売新聞(2007年6月15日朝刊12版 山形3 26ページ)の記事であり、「ミルクケーキ/高畠町」と題し、「乳製品『おしどりミルクケーキ』は、大正時代から親しまれてきたお菓子。・・・生乳にたっぷりの砂糖を加え、煮詰めて乾燥させるだけ。」の記載がある。
(エ)甲第4号証は、平成20年2月19日の山形新聞の記事であり、「たかはたブランド発信/加工食品8品、全国に」の見出しのもと、「認証を受けた食品と事業所名は・・・▽おしどりミルクケーキ ホワイト200(日本製乳)・・・」の記載がある。
(オ)甲第5号証は、新聞名の不明な記事であり、「高畠町産ブランド食品デビュー」の見出しのもと、「・・・セレモニーで認証を受けた食品と事業所は・・・▽おしどりミルクケーキ ホワイト200(日本製乳)」の記載がある。
(カ)甲第6号証は、「株式会社さくらんぼテレビジョン」が2007年12月27日に発行した雑誌「Let’s 山形 ’08」である。11頁には、「おしどり/ミルク/ケーキ」の表示のもと、「▲カルシウムたっぷり『おしどりミルクケーキ』」の文字とともに商品の写真が掲載され、「おしどりミルクケーキ」についての商品説明の記載がある。
(キ)甲第7号証は、「全国商工会連合会 出版局」が昭和59年12月に発行した「全国特産品名鑑 ふるさとの特産品」である。91頁には、「品名」に「おしどりミルクケーキ」、「事業所名」に「日本製乳(株)高畠工場」の記載がある。
(ク)甲第8号証及び甲第9号証は、「ミルクケーキ」の文字を有する看板についての「証明書」である。添付された写真に写った看板には、「おしどり/ミルクケーキ」及び「おしどりミルクケーキ」の文字が記載されている。
(ケ)甲第10号証ないし甲第15号証は、米沢市の道路脇に設置された看板、米沢駅のホームに掲出された看板、商店の店頭に設置された看板などの写真であり、看板には、「おしどりミルクケーキ」「おしどり/ミルクケーキ」の文字が記載されている。
(コ)甲第16号証は、山形放送株式会社のテレビコマーシャルに関する証明書であり、昭和53年から同56年頃の放映画像とされる添付書面(1)ないし(3)の画像には、いずれも「おしどりミルクケーキ」の文字が表示されている。
添付書面(4)ないし(15)は、「おしどりミルクケーキ」に関する昭和58年から同62年にかけての一定期間ごとの10秒又は、15秒のテレビスポットについての山形放送の見積り及びアナウンス内容であり、添付書面(8)の原稿には、「ふるさとの香りがいっぱい、牛乳のお菓子『おしどりミルクケーキ』。・・・」と記載され、添付書面(10)の原稿には、「(『ミルクケーキ』の歌なしコマソン)」「山形県の名産品『おしどりミルクケーキ』。牛乳から作ったお菓子、おみやげ、ご贈答品にどうぞ!ふるさとの香りがいっぱい、『おしどりミルクケーキ』。」、添付書面(13)の原稿には、「(『ミルクケーキ』コマソン歌なし)」「ふるさとの香りがいっぱい、牛乳のお菓子『おしどりミルクケーキ』。ホワイト、チョコレート、ブルーベリー、コーヒー、ヨーグルトといろいろ。やまがたのおみやげは『おしどりミルクケーキ』。」、添付書面(15)の原稿には、「・・・栄養いっぱいの牛乳から作ったおしどりミルクケーキ。お盆の山形みやげに、おしどりミルクケーキ。」と記載されている。
(サ)甲第17号証は、山形放送株式会社において、平成11年から同22年の間に、一定期間ごとに30秒又は、15秒ずつのコマーシャル放映があったことの証明書であり、期間、曜日、時間帯、テレビ番組名、放映料金についての記載があり、添付の商品パッケージ写真には、「おしどりミルクケーキ」と表示されている。
(シ)甲第18号証は、株式会社山形テレビにおいて、昭和53年から同58年の間に、一定期間ごとにテレビコマーシャルが放映された事の証明書であり、添付の放映画像には、商品とともに「おしどり/ミルクケーキ」、「おしどりミルクケーキ」の文字が記載されている。
(ス)甲第19号証は、株式会社山形テレビにおけるテレビコマーシャルについての証明書であり、添付書面(1)は、30秒のコマーシャルの内容を示すものであり、1つ目の画面には、「OSHIDORI」「MILK CAKE」の文字が記載され、6つ目の画面には「や」「ま」「が」「た」「み」「や」「げ」「に」「お」「し」「ど」「り」の文字が記載され、8つ目の画面には、商品とともに「おしどりミルクケーキ」の文字が記載されている。
また、添付書面(2)ないし(12)は、平成11年から同21年の間に交わされた契約書の写しであり、放送期間、放送経費、放送内容等についての記載がある。
(セ)甲第20号証1ないし甲第20号証91及び甲第21号証1ないし甲第21号証102は、平成5年8月から同11年7月までの間に新聞に掲載された「おしどりミルクケーキ」に関する広告の切り抜きである。
(ソ)甲第22号証は、「株式会社文藝春秋」が、2009年11月1日に発行した雑誌「CREA」11月号であり、25頁には、「日本製乳の/おしどりミルクケーキ」の記載がある。
(タ)甲第23号証は、平成20年9月の「ミルクケーキに関する報告」と題する請求人会社の資料であり、平成3年から同19年までの販売実績が記載されている。
(チ)甲第26号証は、請求人の商品パンフレットであり、表紙には「おしどり」「ミルクケーキ」の記載がある。
(ツ)甲第27号証は、「ミルクケーキパンフレット」に関する平成22年7月20日付けの納品書及び請求書であり、「品名」欄には「ミルクケーキパンフレット」、「規格/数量」欄には、「A4 500部」、「金額」欄には、「98,000」の記載がある。

ウ 以上の証拠に基づき、本願商標が前記(2)ア(ア)及び(イ)の要件を具備するか検討する。
(ア)使用により自他商品識別力を有するか否かについて
a 使用商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域
請求人は、昭和20年にミルクケーキの製造、販売を開始し、現在も販売していることがうかがえる。そして、使用商品「ミルクケーキ」は、生乳に砂糖を加え煮詰めて乾燥させた菓子であるから、指定商品「牛乳を使用した菓子」と同一の商品と認められるものである。
なお、その証拠からは、山形県内を中心に販売されていることは推察されるものの、日本国内のどの地域まで販売されているのかは確認することができない。
b 商品の売上高
甲第23号証によれば、平成3年から同19年までの販売実績において、「ミルクケーキ(ミルクC)」の販売は、同3年の794百万円を最高として、その後は減少傾向であり、同19年は270百万円となっている。
また、この売上高のみをもって、この種の菓子の市場占有率がどの程度であるかは把握することができない。
c 広告宣伝のされた期間・地域及び規模
「おしどり」及び「ミルクケーキ」の文字を含む看板が、旧国鉄山形駅屋上、JR米沢駅のホーム上に設置され、米沢市などの道路脇、その他20件ほどの商店の店頭にそれぞれ設置されたとしても、これらの看板は、山形県内またはその周辺地域を対象としたものであって、全国的に設置されてはいない。
また、テレビコマーシャルについては、昭和53年から同56年頃山形放送株式会社によって、同53年から同58年頃株式会社山形テレビによって、「おしどり」及び「ミルクケーキ」の文字を含む広告がなされていたが、放送時間、放送回数等の詳細は確認できない。さらに、昭和58年から同62年、平成11年から同22年に山形放送株式会社によって、また、平成11年から同22年に株式会社山形テレビによって、コマーシャルが放送されたことがうかがえるが、これらは、いずれも山形県を中心とする地域でのテレビコマーシャルによる広告であって、全国に放送されたものではない。
新聞等へ広告については、甲第20号証及び甲第21号証によれば、全193件中、平成5年が9件、同6年が47件、同7年が37件、同8年が36件、同9年が31件、同10年が27件、同11年が5件程度である。
そうとすると、これらの看板、テレビ及び新聞広告に関する証拠からは、山形県を中心に広告、宣伝がなされてきたものであって、大量の広告、宣伝等が全国的に継続してなされてきたとみることはできない。
以上からすると、請求人の製造、販売に係る当該商品の広告、宣伝、販売地域は、山形県を中心とするものであって、全国的とはいえず、その販売額によっても、市場占有率が高いという状況はうかがえないことから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。
(イ)出願商標と使用商標の同一性が認められるか否かについて
本願商標は、「ミルクケーキ」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、甲第2号証のパンフレットをはじめ宣伝、広告などに使用されている商標は、「ミルクケーキ」の文字が使用されてはいるものの、それらは、すぐ左、あるいはすぐ上、又は、近接した位置に「おしどり」、「OSHIDORI」の文字を書してなる標章を併記した態様で常に使用されている。
また、商品説明などの文中においては、「おしどりミルクケーキ」と記載されているものが大多数であり、「ミルクケーキ」が単独で使用されている例は、ごくわずかである。
そうとすれば、使用に係る「ミルクケーキ」の文字自体は、標準文字である出願商標と同一視できるとしても、常に「おしどり」等の標章とともに使用されているのであって、このような使用態様にあっては、単独で識別力を獲得したか否かを判断する上で、本願商標と同一であるとはいえない。

エ まとめ
以上、請求人が提出した証拠を総合して判断すると、本願商標が、本願の指定商品について使用されてきたことは確認し得るものであるが、それらの大部分が、「おしどり」、「OSHIDORI」又は、円の中におしどりの図形と「OSHIDORI」の文字からなる標章とともに使用されているものであって、これらの文字がその商品の出所表示として強く印象付けられるものというべきであるから、本願商標の文字自体が独立して自他商品の識別力を獲得するに至っているとは認めることができない。
なお、請求人は、「使用態様における『ミルクケーキ』の文字は決して顕著なレタリングが施されたようなものではなく、通常用いられる書体の域を出ないものというべきであることから、標準文字である出願商標とは同一視するのがむしろ妥当というべきであるし、その使用態様の多くに前記『おしどり』等の文字の表示が認められ、それらが商品の出所表示に係るものと理解されることは少なくないとしても、そのことによって『ミルクケーキ』の文字自体につき自他商品の識別標識として機能しないものとなるとも考え難い。しかも、証明に係る本願使用態様の多くは、必ずしも『おしどり』,『OSHIDORI』の文字等と一体不可分ないしは連続的に表されたものではなく、独立的に表示されているといえるものであるほか、明らかにそれ単独での表示と認められるものも少なくないということができる」旨主張している。
しかしながら、本願商標のみが単独で指定商品について使用されてきたことを示す使用例は、その証拠からは僅かしか確認することができず、たとえ、使用態様における「ミルクケーキ」の文字が出願商標と同一視できるものであるとしても、これと同時に使用される「おしどり」、「OSHIDORI」の文字が出所標識として機能していることは判然として理解されるものであるから、本願商標が、品質表示を超えて独立して自他商品の識別力を獲得するに至っているとは認めることができない。
よって、請求人の主張を採用することはできない。
してみれば、本願商標は、その指定商品について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものと認めることができないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しているものとはいうことができない。

(3)結語
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法同条第2項の要件を具備しないものであるから、これを理由に本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-06-09 
結審通知日 2011-06-14 
審決日 2011-06-28 
出願番号 商願2009-24388(T2009-24388) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (X30)
T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一大森 健司 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
松田 訓子
商標の称呼 ミルクケーキ 
代理人 河野 誠 
代理人 河野 生吾 

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