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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X25
審判 一部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1241575 
異議申立番号 異議2010-900375 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-11-22 
確定日 2011-08-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5347218号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5347218号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5347218号商標(以下「本件商標」という。)は、「飛躍」の文字を横書きしてなり、平成22年3月17日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年7月6日に登録査定、同年8月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の指定商品中「履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についての登録は取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第3A号証ないし甲第3G号証(以下、まとめていうときは「甲第3号証」という。)、甲第4号証ないし甲第23号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
申立人(株式会社第一クリエイティブ)は、甲第23号証などに掲載されているように2003年に中国最大の靴メーカー「大博文(トップ)」と正規に輸入総代理店として契約を結び、現在も「飛躍」、「フェイユエ」ブランドの武術用シューズ及びタウンシューズを日本で輸入販売している。また、下記(2)アの登録商標の権利者でもある。
そして、本件商標「飛躍」は、甲第3号証ないし甲第23号証の刊行物に掲載・表示されているように、申立人により平成14年(2002年)から現在まで日本国内で継続的に販売された商品に付されて使用された結果、いわゆる周知性を有するに至った商標「飛躍」と同一又は類似のものであり、登録異議の申立てに係る指定商品「履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」については、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 申立人が引用する登録商標
申立人が引用する登録第4784757号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成15年10月16日に登録出願、同16年7月9日に設定登録されたものであり、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、その商標権は現に有効に存続しているものである。
イ 本件商標と引用商標との比較
(ア)外観比較
本件商標は我が国の漢字による「飛躍」であり、引用商標を構成する下段の表記は中国で用いられる漢字である簡体字による「飛躍」を含むものであるから、標章の全体構成から見れば、本件商標は、引用商標の構成中の有意義的な一部「飛躍」と共通する。
(イ)称呼比較
本件商標は、「飛躍」であることから、自然な読み方であれば「ヒヤク」のみとなる。一方、引用商標は、上段の「FEIYUE」の自然な読み方である「フェイユエ」と、下段に含まれる中国語簡体字ではあるが「飛躍」の表記から「ヒヤク」のという自然な読み方が生じる。
したがって、両商標は、共に「ヒヤク」という称呼を共通する。
(ウ)観念比較
本件商標は「飛躍」であり飛び上がること等の観念が生じ、引用商標も下段に含まれる中国語簡体字ではあるものの、「飛躍」の表記から同様の観念が自然に生じるものである。
(エ)小括
以上の両商標の共通点から、本件商標と引用商標とは類似関係を有するものであることは明らかであり、指定商品も一部一致するから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 申立人が使用する商標の周知性
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、中国の靴メーカー「大博文(トップ)」が製造する、側面に「FEIYUE」と表示された武術用シューズ(以下「申立人商品」という。)を、2003年(平成15年)頃から我が国において販売を開始し、同年1月及び4月発行の中国武術の専門誌に、申立人商品は「『飛躍(フェイユエ)』ブランドの武術シューズ」などと、また、申立人は購入・問い合わせ先として紹介された(甲第3A号証、甲第6号証、甲第7号証及び甲第23号証)。
なお、4月発行の雑誌(甲第7号証)には「株式会社イサミ」が販売店として紹介されている。
(イ)申立人は、申立人商品の輸入総代理店又は日本総代理店として、平成16年ないし同21年の間、武術関連雑誌に、申立人商品の写真、説明及び「飛躍(フェイユエ)」や「フェイユエ/飛躍(「飛躍」の各文字の上部に「フェイ」「ユエ」と小さくふりがなが記載されている。)」等の標章(「飛躍」の文字と「フェイユエ」のふりがなとが併記されている表示を、ふりがなの位置にかかわらず、以下まとめて「飛躍(フェイユエ)標章」という。)を掲載した広告を1年に数回程度掲載した。また、申立人商品を読者プレゼントとして6回提供している(甲第8号証ないし甲第20号証)。
(ウ)申立人は、飛躍(フェイユエ)標章、申立人商品の写真、説明を掲載した2006年版ないし2010年版の各年版の商品カタログを発行した(甲第3B号証ないし甲第3F号証)。また、2008年7月頃に、申立人商品の日本発売5周年記念のセール用の、飛躍(フェイユエ)標章、申立人商品の写真、説明を掲載したチラシを作成した(甲第3A号証)。
(エ)上記の事実から、申立人は、平成15年頃から同22年まで、武術関連の雑誌に申立人商品に飛躍(フェイユエ)標章を用いて広告していたものと認められ、また、平成15年頃から現在まで申立人商品を販売していたものと推認することができる。
そうとすれば、申立人、申立人商品及び飛躍(フェイユエ)標章は、本件商標の出願時ないし登録査定時において、武術に関心を有する一部の需要者の間では、ある程度知られているものといえる。
しかしながら、平成21年1月に静岡新聞社が発行した情報誌(甲第23号証)は一般向けとはいえ地域が限られていること、申立人の広告が掲載された雑誌は武術関連の雑誌に限られていること、武術関連の雑誌の読者は需要者が限られているとみるのが自然であること、広告の回数も年に数回であること、また、申立人の広告が掲載された雑誌の発行部数、チラシやカタログの印刷部数、頒布状況は不明であり、さらに申立人商品の売上額、売上数量なども明らかにされていないことからすれば、本件商標の出願時ないし登録査定時において、「飛躍」及び「飛躍(フェイユエ)標章」が申立人(又は中国の靴メーカー「大博文(トップ)」)の業務に係る商品を表示するものとして、登録異議の申立てに係る指定商品の一般需要者はもとより、武術に関心を有する一部の需要者の間においても広く認識されているものと認めることはできない。
イ 小括
本件商標「飛躍」と申立人が武術シューズに使用する「飛躍」又は「飛躍(フェイユエ)標章」とは、外観において「飛躍」の文字を共通にし、該文字に相応する「ヒヤク」の称呼及び「飛躍」の観念を共通にする同一又は類似の商標であって、かつ、申立人商品「武術シューズ」は、登録異議の申立てに係る指定商品の範ちゅうに含まれるものである。
しかしながら、上述のとおり、申立人の使用する「飛躍」又は「飛躍(フェイユエ)標章」が、本件商標の出願時ないし登録査定時において、申立人(又は中国の靴メーカー「大博文(トップ)」)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
してみれば、本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品「履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についての登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいうことはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
引用商標は、別掲のとおりの構成からなるものであり、その構成中、上段の「FEIYUE」の文字はその文字を容易に認識できるものである。
しかしながら、我が国中国語の普及の程度からいえば、「FEIYUE」の文字から「飛躍」を想起したり、あるいは下段の文字から「飛躍牌運動鞋」の文字を想起する我が国の需要者は極めて少数とみるのが自然である。
そして、申立人提出の甲各号証によっても、引用商標は、該文字から「飛躍」の語を想起する、あるいは該語によって取引に資されるというべき事情は見いだせない。
そうすると、引用商標は、「飛躍」の語を抽出して他の商標と比較して商標の類否を判断することは許されないものといわなければならない。
してみれば、「飛躍」の文字からなる本件商標と別掲のとおりの構成からなる引用商標とは、外観においてはその構成態様から、また、称呼においては「ヒヤク」と「フェイユエ」の比較において、さらに、観念においては後者が特定の観念を生じないことから、いずれの点からみても相紛れるおそれのないものであること明らかである。
したがって、本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品「履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいうことはできない。
(3)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第10号及び同第11号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標)




異議決定日 2011-07-21 
出願番号 商願2010-20537(T2010-20537) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (X25)
T 1 652・ 26- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2010-08-20 
登録番号 商標登録第5347218号(T5347218) 
権利者 フェイユエ ホールディング プライヴェート リミテッド
商標の称呼 ヒヤク 
代理人 東山 喬彦 
代理人 一色国際特許業務法人 

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