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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X44
管理番号 1241489 
審判番号 不服2010-16564 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-23 
確定日 2011-07-25 
事件の表示 商願2009- 33171拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「関節リンパマッサージ」の文字を横書きしてなり、第44類「美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,栄養の指導」を指定役務として、平成21年5月1日に登録出願され、その後、当審における同22年7月23日付け手続補正書により、第44類「マッサージ」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、『関節リンパマッサージ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、『現代用語の基礎知識』によれば、リンパ液の流れを良くするためのマッサージ美容法を『リンパマッサージ』と称していることから、これより、例えば『関節やリンパ液の流れを良くするためのマッサージ』等の意味合いを理解させるにとどまり、これを本願指定役務中『関節へのマッサージ、リンパ液の流れを良くするためのマッサージ』に使用しても、単に役務の質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした審尋
当審において、平成23年3月7日付け審尋をもって通知した内容は、次のとおりである。
本願商標は、「関節リンパマッサージ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中「関節」の文字は、「骨と骨との可動性の連結部。両骨の相対する面には軟骨の薄層があり、周囲は骨膜の延長による関節包につつまれて関節腔を形成する。」(広辞苑第6版)等の、また、「リンパ」は、「脊椎動物の体液の一つ。体内を循環して、酸素・養分の運搬、病原体への免疫抗体作用などを行う。」((株)集英社発行「現代人のカタカナ語欧文略語辞典 イミダス編集部編」652頁)等の意味を有し、以下のインターネット情報(1)には、「リンパは関節付近に多く集まっているので、・・・」との記載も見受けられる。
そして、「リンパマッサージ」は「リンパ液の流れを良くするためのマッサージ。リンパドレナージュ〔lymph drainage〕の通称。」(2009年8月30日(株)自由国民社発行「カタカナ外来語/略語辞典」761頁)を表すものであることからすれば、全体として、「関節(内)のリンパの流れを良くするためのマッサージ」程の意味合いを容易に認識させるものである。
また、以下のインターネット情報によれば、実際に、関節のリンパの流れを良くするためのマッサージが存在し、例えば、股関節、顎関節等の関節の部位を特定したリンパマッサージを「股関節リンパマッサージ」「顎関節リンパマッサージ」等と称していることが認められるものである。
そうしてみると、本願商標は、これをその指定役務である「マッサージ」に使用しても、「関節(内)のリンパ液の流れを良くするためのマッサージ」であることを理解するにとどまり、単に役務の質、目的を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(インターネット情報)(下線は当合議体が付与)
(1)「リンパマッサージ入浴法」のサイト内「リンパマッサージ入浴法の概要」の項に、「リンパは関節付近に多く集まっているので、『関節付近をマッサージ』と覚えれば簡単です。」の記載。
(http://www.akakura.gr.jp/~akakura26/n101-rinpa.htm)
(2)「医療法人社団 恵耀会 三浦歯科医院」のサイト内「痛くないぴったりの入れ歯」の項に、「●咬合矯正 ●顎関節リンパマッサージ ●着色(ステイン)防止処置」の記載。
(http://keiyoukai.biz/clinic.html)
(3)「高畠歯科クリニックホームページ」のサイト内「高畠歯科クリニックメールマガジン 第52号」の項に、「先月の中ごろ、顎関節リンパマッサージの講習会に参加してきました。もともとは顎関節症などで大きく口を開けられない人のためのマッサージ方ですが、シワ、たるみ、むくみなどの美容効果や耳鳴り、肩こり、頭痛といった症状にも改善がみられるそうです。」の記載。
(http://www.takahatasika.com/mailmaga/052.html)
(4)「seesaa BLOG」のサイト内「股関節のリンパマッサージ」の項に、「股関節のリンパマッサージとは、股関節のある足の付け根をマッサージし、リンパの流れを促すことによって下半身のむくみや便秘、血行不良による冷え性や肌のくすみなどを解消しようというものです。」の記載。
(http://furoriya.seesaa.net/article/43142631.html)
(5)「プチセラピスト教室」のサイト内「●カリキュラム」の項に、「8.首筋?肩関節のリンパドレナージュ 2と4でマスターした「ほぐし」にプラス、リンパの流れをよくするテクニックを身につけます。張りついた筋膜にアプローチをかけて、コリの一番深いところを改善します。」の記載。(http://yuragist.com/yuragist/yuragi_inst)
(6)「リンパマッサージの手技について」のサイト内「パンプテクニック」の項に、「手や足には、パンプテクニックという手技がよく使われます。筋肉や関節のリンパの流れをよくする方法として知られていて、どちらかというと強い力で行なわれるマッサージ方法です。」の記載。
(http://www.bloodandlymphaticsystem.com/technique.html)
(7)「HAPPY先生のスーパーテーピングテクニック講座」のサイト内「●サポートテーピングによるリンパ・ドレナージ・テクニック」の項に、「ここでははれてしまった関節のリンパの流れを改善するためのテーピングリンパ・ドレナージ・テクニックを紹介します。」の記載。
(http://www.trainers-support.jp/mobile/rinpa.html)
(8)「ひざの痛みについて」のサイト内「ひざの痛み治療法」の項に、「少し気温が下がってくるとそれだけでヒザが痛くなる人も増えてきます。このひざの痛みの直接の原因は太ももの緊張にあり、そのまま過ごしていると、関節内のリンパの流れが悪くなり痛みが出てきます。」の記載。
(http://www.hizaitami.com/hiza-itami/hiza.html)

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
前記3の審尋に対する、平成23年4月6日付け提出に係る請求人の回答(要旨)は、以下のとおりである。
(1)本願商標は、本出願人が独自に考案した新しいマッサージ手法であり、その名称として「関節リンパマッサージ」なる造語を案出した次第である。したがって、本願商標は「関節(内)のリンパ液の流れを良くするためのマッサージ」の意味合いを認識させるものではない。
(2)確かに、審尋にて掲げるインターネット情報においては、関節のリンパの流れを良くするマッサージが存在し、顎関節、股関節等の関節の部位を特定したリンパマッサージを「顎関節リンパマッサージ」「股関節リンパマッサージ」等と称しているが、これらはいずれも一部の個人や医院等が何の定義もなく個々に使用しているものである。
(3)前記のインターネット情報から、顎関節リンパマッサージなる文言が記載されているが、関節(内)のリンパ液の流れを良くするためのマッサージであるとの記載はない。また、リンパの流れを促すことにより下半身のむくみや便秘等を解消するものとして股関節リンパマッサージなるものがある旨記載されているが、その手法は股関節のリンパ節を押すことで流れを促すものとの記載があり、本出願人が独自に考案した新しいマッサージ手法とは異なる。
(4)「関節リンパマッサージ」の語が、「現代用語の基礎知識」や「広辞苑」などの各種辞典にも、記述はなく、また、インターネット上でも一般に使用されていない。
(5)以上のことから、本願商標は、その役務の質を表示するものとして取引上普通に使用されている証拠がない以上、構成全体をもって一体的に把握される一種の造語であると判断するのが相当であり、その指定役務に使用しても自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「関節リンパマッサージ」の文字を書してなるところ、その構成中の「関節」の文字は、「骨と骨との可動性の連結部。両骨の相対する面には軟骨の薄層があり、周囲は骨膜の延長による関節包につつまれて関節腔を形成する。」(広辞苑第六版)を意味する語である。
また、「高等動物の組織間隙を満たす体液。リンパ液」の意味を有する「リンパ」の文字と、「手または特殊な器械を用いて体を擦り、揉み、叩きなどして行う治療法」を意味する「マッサージ」(いずれも、広辞苑第六版)の文字とを結合した「リンパマッサージ」の語は、「リンパ液の流れを良くするためのマッサージ。リンパドレナージュ〔lymph drainage〕の通称。」(2009年8月30日(株)自由国民社発行「カタカナ外来語/略語辞典」761頁)を表す語として使用されているものである。
しかして、本願指定役務を提供する業界においては、関節の痛みや障害等をやわらげるためのマッサージが広く一般に行われているところ、前記3のインターネット情報の記載事実からすれば、関節内にリンパが多く存在し、主に関節の痛みや障害等をやわらげるために、関節内あるいは関節付近のリンパの流れを改善するためのマッサージが行われている事実がうかがえるものである。
そうとすれば、マッサージの対象となる部位を特定したものと看取させる「関節」の語と「リンパの流れを良くするマッサージ」を表す「リンパマッサージ」の語を連結してなる「関節リンパマッサージ」の語全体からは、前記取引の実情よりして、「関節(内)のリンパの流れを良くするためのマッサージ」程の意味合いを容易に認識させるものである。
さらに、顎関節、股関節の関節の部位を特定したリンパマッサージについて、例えば「顎関節リンパマッサージ」「股関節のリンパマッサージ」と称して使用されている事実がうかがえる。
そうしてみると、本願商標は、これをその指定役務である「マッサージ」に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、「関節(内)のリンパ液の流れを良くするためのマッサージ」であることを理解させるにとどまり、単に役務の質、目的を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標は、本出願人が独自に考案した新しいマッサージ手法であり、その名称として『関節リンパマッサージ』なる造語を案出した次第である。したがって、本願商標は『関節(内)のリンパ液の流れを良くするためのマッサージ』の意味合いを認識させるものではない。 」旨主張する。
しかしながら、たとえ、請求人の本願商標の採択の意図が前記のとおりであるとしても、一般需要者が必ずしもそのように理解するものとは限らず、また、本願商標が自他役務の識別標識としての機能を有するか否かの判断は、本願商標の構成態様、その指定役務との関係、さらには、取引の実情等を勘案して決せられるべきものであるから、請求人が主張するように「独自に考案した新しいマッサージ手法」の名称として採択したものであるとしても、そのことに左右されるべきものではない。
そして、本願商標は、その構成態様、業界における取引の実情等に照らし、本願商標に接する取引者、需要者をして、「関節(内)のリンパ液の流れを良くするためのマッサージ」程の意味合いを容易に認識させること前記(1)のとおりであるから、係る請求人の主張は採用することができない。

イ 請求人は、「本願商標は、その役務の質を表示するものとして取引上普通に使用されている証拠がない以上、構成全体をもって一体的に把握される一種の造語であると判断するのが相当である」旨主張する。
しかしながら、「関節リンパマッサージ」の語がそれ自体としては造語であるとしても、それを構成する「関節」及び「リンパマッサージ」の各語の語義及び本願指定役務を提供する業界における取引の実情等からすれば、前記(1)のとおりの意味合いを有する複合語として認識されるものであり、また、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)」(役務についても同様に解される。)から、たとえ、「関節リンパマッサージ」の文字が、役務の質等を表示するものとして使用されている事実が存在しないとしても、本願商標がその役務の質等を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
よって、請求人の前記主張も採用することができない。

(3)結論
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-05-30 
結審通知日 2011-05-31 
審決日 2011-06-14 
出願番号 商願2009-33171(T2009-33171) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 勉田中 幸一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 大橋 良成
小川 きみえ
商標の称呼 カンセツリンパマッサージ、カンセツリンパ 
代理人 小林 正樹 

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