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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z10
管理番号 1241351 
審判番号 取消2010-300414 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-04-12 
確定日 2011-07-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4478403号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4478403号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4478403号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成12年3月13日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として同13年6月1日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張(要旨)
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標は、甲第2号証の如く、「καλοs」の欧文字を若干右に傾斜した書体(斜体)を以て左横書きしたものである。
因みに、中央の「λ」の文字は、この種の語学の専門家ならいざ知らず、一般には理解し難いものであり、その仮名訳を付して初めてその称呼が特定され、かつ判読可能になるものといえる。
(2)被請求人(商標権者)は、本件商標は「家庭用電気治療器(電位治療器)」(以下「本件商品」という。)の本体機器、商標権者の総合商品力タログ及び本件商品の個別カタログに表記されている旨述べている。
しかしながら、商標権者の総合商品力タログ(乙第3号証)中の5枚目の上段写真図には、商品「AIR MASSAGE」と「kaλosnocturne」のゴシック体の欧文字(前半の「kaλos」は紺色、後半の「nocturne」は紺色で縁取りした白色)とその下段にその読みを定めた「カロス・ノクチューン」の片仮名文字を上下二段に併記したものが表記され、その下段部冒頭には「月の友・ブリヂストン・共同企画商品」とあり、その左に一際大きく「カロス・ノクチューン」の片仮名文字が縦書きされている。
また、同6枚目の下段右写真図の下には、緑字で「カロス・ノクチューンはベッドでもお使いになれます。」と記載されている。
さらに、本件商品の個別カタログ(乙第4号証)の表紙には、一際大きく「kaλosnocturne」のゴシック体の欧文字(前半の「kaλos」は紺色、後半の「nocturne」は紺色で縁取りした白色)とその下段に小さくその読みを定めた「カロス・ノクチューン」の片仮名文字を上下二段に併記したものが表記され、かつ、同左下段の本件商品の本体機器の右写真図の左端部にも、上記の「kaλosnocturne」のゴシック体の欧文字(前半の「kaλos」は紺色、後半の「nocturne」は紺色で縁取りした白色)とその下段に小さくその読みを定めた「カロス・ノクチューン」の片仮名文字を上下二段に併記したものが表示されている。乙第4号証のその他の頁(4、5、6頁)にも同様の記載が為されている。
(3)ところで、上記の「kaλosnocturne」のゴシック体の欧文字については、請求人の調査によれば、本件商品に係る被請求人の共同企画・開発会社である「株式会社ブリヂストン」が「kaλosnocturne」の欧文字と全く同一と認められるゴシック体にて、同書・同大・同一間隔もって一連に左横書きに表示された登録第4442007号商標(甲第3号証及び甲第4号証)を所有している。
しかして、該商標は、これに接する取引者・需要者が直ちに「kaλos(カロス)」の文字のみに注目し、これを独立した標識部分として認識するとはいえず、むしろ、全体が何ら特定の意味合いを有さない一体不可分の造語商標と認識し把握されるとみるのが自然である。
このことは、例えば、社団法人「日本ホームヘルス機器協会」の「適正広告基準の解説及び留意事項」(甲第5号証)によれば、「医療機器について、承認、認証又は届出された販売名又は一般的名称以外の名称を使用しないものとする。」とされており、同旨の内容は、「(株)薬事日報社」発行の「医療用具製造申請の手引き第10版」中の「第2章 医療用具の製造(輸入)承認申請の留意点及び添付資料」の説明(甲第6号証)においても、「医療用具の販売名の場合は、保健衛生上の観点から、他社が商標権を有することが明白な名称は承認されないこと、かつ一物一名称が原則であること」等の記載があることからも明らかである。
(4)これらの事実を勘案すれば、本件商品の医療用具承認申請書又は届出書に記載された販売名は、「カロス」ではなく、一連の片仮名文字「カロスノクチューン」であることが推測され、また、このことは、乙第5号証(納品書控)及び乙第8号証の宣誓書の内容とも合致するものである。
なお、仮に、被請求人において、請求人の主張が事実と異なるとのことであれば、請求人は、本件商品の「医療用具承認申請書又は届出書(医療用具承認番号:20800BZZ00827000」の写しの提出を求めるものである。
以上の点を総合的に判断すると、被請求人の提出した本件商標の使用を立証する乙第3号証ないし乙第5号証及び乙第8号証の各書面(乙第3号証及び乙第4号証については、併せて印刷年月日不明)は、ゴシック体にて同書・同大・同一間隔もって一連に左横書きに表示された「kaλosnocturne」の欧文字とその読みを定めた一連の片仮名文字「カロスノクチューン」又は「カロス・ノクチューン」の表示から明らかな如く、これは、単に本件商品に係る被請求人の共同企画・開発会社である株式会社ブリヂストンの所有する登録第4442007号商標の使用を立証したにすぎないものであり、本件商標「καλοs」の使用とは明らかに相違するものである。

第3 被請求人の主張(要旨)
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証を提出した。
本件商標は、その指定商品について、本件審判の予告登録日前3年以内に、日本国内において商標権者及び通常使用権者によって使用されている。
(1)本件商標の権利者である株式会社全国月の友の会は、本社を京都府京都市山科区東野北井ノ上町7番地の2に、また、東京本部を東京都足立区谷在家2丁目9番3号に設けており、「寝具類、洋服、和服、日用品、台所用品、家具、インテリア用品、宝飾品、飲食料品、健康食品、医療機械器具、育児介護用品」を含むさまざまな商品の販売、並びに、旅行の手配・企画・実施等の役務の提供をその主たる業務としている。
商標権者は、三井物産株式会社、三菱レイヨン株式会社、三菱商事株式会社、株式会社ブリヂストン、ユニチカ株式会社、京セラ株式会社等日本の一流企業や国際商社と提携し、これらの企業が製造または取り扱う商品を販売している(乙第1号証)。
(2)商標権者の商品や役務は、全国規模のフランチャイズ組織を通じて消費者に販売ないし提供されている。すなわち、商標権者のフランチャイズ組織は、総本部である商標権者、全国を57に分けた各地域のフランチャイジー(以下「県本部」という。)及び各県本部の担当地域をより細分化した地区を担当する個人事業主(以下「地区担当会員店」という。)から構成されている。商標権者は、供給する商品を継続的に県本部に売り渡し、県本部はこれを地区担当会員店に販売し、地区担当会員店は、これを買い受け小売販売する。この重層的なフランチャイズ組織により、全国のあらゆる地域を商圏とすることが可能であり、県本部並びに地区担当会員店の営業努力とも相俟って100万人規模の顧客を獲得している(乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証)。
(3)商標権者は、本件商品(電位治療器)を株式会社ブリヂストンと共同で企画・開発した。電位治療器というのは、人体を交流又は直流電界に置くか、あるいは、絶縁状態に置いて電位を与えることによって、頭痛、肩こり、不眠症及び慢性便秘を緩解する家庭用医療機器であり、薬事法では管理医療機器(クラスII)に分類されている。本件商品は、電位治療器としての機能の他、厳冬期の保温機能や身体マッサージ器としての機能を併せ持っており、これらの機能を発揮するための部位(電位部、ヒーター部及びエアーバッグ部)を内在させたウレタンマット並びにウレタンマット内のこれらの部位を操作制御するための本体機器から構成されており、この他、本体機器を遠隔操作するためのリモコン端末びウレタンマットをカバーするための専用シーツが附属品として付加される。電位治療器としての本件商品は、身体を絶縁状態にしてマイナス電位を与えることにより、身体の調子を整え、頭痛、不眠症、慢性便秘、肩こり等を改善する効果を発揮するものであり、医療用具としての承認を得ている(医療用具承認番号:20800BZZ00827000)。
そして、本件商品の本体機器には本件商標が表示されている。また、本件商品については、商標権者の総合商品カタログに紹介されている他、本件商品を紹介するための個別カタログも用意されている。これらのカタログにも本件商標が表示されている(乙第2号証ないし乙第4号証)。
(4)本件商品が販売された一例を示せば、県本部組織の一つである株式会社三河月の友の会に所属し愛知県岡崎市近辺を担当地区とする地区担当会員店である松下良富は、愛知県岡崎市在住の個人からの注文に基づいて、平成21年7月4日に本件商品を販売かつ納品した(乙第5号証ないし乙第8号証)。
(5)商標権者は、県本部や地区担当会員店とフランチャイズ契約を締結するに際して、商標権者の商標「月の友マーク」「月の友」「月の友の会」「ゼンシン」「ドラセナマーク」「ドラセナ」及びこれら称呼又は標章を含む表示について使用を許諾している。本件商標を始めとする個別商標については、フランチャイズ会員として黙示の使用許諾をしているので、県本部や地区担当会員店は本件商標の通常使用権者である(乙第5号証ないし乙第8号証)。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標権者の通常使用権者によって、平成21年7月4日に日本国内において、本件審判請求に係る指定商品中の「電位治療器」について使用されていたものである。
したがって、本件審判の請求には理由がない。

第4 当審における審尋
審判長は、被請求人に対し、平成23年1月5日付けで、相当の期間を指定して以下の内容の審尋を発した。
被請求人が、本件商標を使用するとする本件商品「家庭用電気治療器(電位治療器)」(医療用具承認番号:20800BZZ00827000)の販売名が記載されている、例えば、医療用具の製造(販売)承認申請書等の写しを提出されたい。

第5 審尋に対する被請求人の回答
被請求人は、上記第4の審尋に対し、何ら回答するところがない。

第6 当審の判断
被請求人は、本件商標をその指定商品である「医療用機械器具」中の「電位治療器」について使用しているとして、乙第1号証ないし同第8号証を提出している。
(1)そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、乙第1号証は、被請求人(商標権者である株式会社全国月の友の会)の会社案内パンフレットである。「寝具類、洋服、和服、家具、インテリア用品、宝飾品、飲食料品、健康食品、医療機械器具」を含むさまざまな商品の販売並びに旅行の手配・企画・実施等の役務の提供をその主たる業務としており、株式会社ブリヂストン等の企業や国際商社と提携し、これらの企業が製造または取り扱う商品を全国規模のフランチャイズ組織を通じて消費者に提供している旨記載されている。
乙第2号証は、日本ホームヘルス機器協会のホームページ中の「家庭用電位治療器」に関するページであり、電位治療器とは、「人体を交流又は直流電界に置くか、あるいは、絶縁状態に置いて電位を与えることによって、頭痛、肩こり、不眠症及び慢性便秘を緩解する医療機器」である旨記載されている。
乙第3号証は、被請求人の総合商品パンフレット「SUPPORTER」の抜粋であり、その5枚目及び6枚目には、被請求人が本件商標を使用しているとする株式会社ブリヂストンとの共同企画商品である「家庭用電気治療器(電位治療器)」(以下、当審の判断においても「本件商品」という。)が掲載されている。5枚目の下段部分には、「【月の友・ブリヂストン●共同企画商品】/カロス・ノクチューン」の見出しのもとに、「エアーマッサージと電位治療、最高のリラックスで一日の疲れを解消。」とあり、該商品の説明が6枚目に亘って記載されている。
5枚目の上段部分には、該商品の構造が図解説明されており、上端部分には別掲(2)に示したとおりの「kαλosnocturne/カロス・ノクチューン」の文字からなる商標が表示されている。そして、ウレタンマット内の電位部・ヒーター部を操作制御するためのコントロール機器(本体機器)の写真には、一見、「kαλos」の商標のみが表示されているようにも見えるが、後述する乙第4号証の1頁目及び5頁目に表示されているコントロール機器の写真には、やゝ不鮮明ではあるものの、別掲(2)のとおりの構成からなる「kαλosnocturne/カロス・ノクチューン」の文字からなる商標が表示されていることが見て取れるから、乙第3号証のコントロール機器の写真は、その写り方の関係から、「kαλos」の商標のみが表示されているように見えるにすぎないのであって、実際には、別掲(2)のとおりの構成からなる「kαλosnocturne/カロス・ノクチューン」の文字からなる商標が表示されているものと理解される。
また、6枚目の下方部分には、使用状態の1例としてベッドでの使用状態が掲載されており、「カロス・ノクチューンはベッドでもお使いになれます。」と記載されている。そして、仕様の欄には、医療用具承認番号として「20800BZZ00827000」の番号が記載されている。
乙第4号証は、本件商品に関する被請求人の商品パンフレットであり、表紙部分には、別掲(2)に示した「kαλosnocturne/カロス・ノクチューン」の表題が付されており、「カロス・ノクチューンで毎日が快適。/からだに健康、/心にやすらぎ。」とあり、コントロール機器の写真にも別掲(2)のとおりの構成からなる「kαλosnocturne/カロス・ノクチューン」の文字からなる商標が表示されている。そして、次頁以下には、乙第3号証の総合商品パンフレットと同様の商品説明が記載されている。
乙第5号証は、平成21年7月4日付で松下良富から井田町中屋敷在の顧客に対して発行された納品書控であり、品名の欄には、二段書きで「カロスノク/チューン」とあり、数量や金額等が記載されている。
乙第6号証は、被請求人(甲)と県本部(乙 株式会社三河月の友の会)及び地区担当会員店の松下良富(丙)との間の平成元年12月20日付の「月の友フランチャイズ契約書」の写しであり、その第2条には「甲は、次条に定める本件表示を使用した甲の供給する商品(以下「本件商品」という)を継続的に県本部である乙に売渡し、乙は継続的に会員店である丙に販売し、丙はこれを買い受け小売販売をすることを原則とする。」とあり、第3条には「・・・月の友マーク、『月の友』『月の友の会』『全国月の友の会』『ゼンシン』 ドラセナマーク、『ドラセナ』及びこれら称呼又は標章を含む表示(以下『本件表示』という)を無償で使用することを許諾する。・・・」旨記載されている。
また、被請求人は、個別商標については、フランチャイズ会員として黙示の使用許諾をしている旨述べている。
これらのことからみれば、乙第5号証の納品書控に記載されている松下良富は、愛知県の県本部「株式会社三河月の友の会」の地区担当会員店であり、本商標権についての通常使用権者であったものということができる。
乙第7号証は、被請求人会社の常務取締役による平成22年6月30日付の宣誓書であり、被請求人会社の組織やフランチャイズ組織による販売網、本件商標が付された本件商品が愛知県の県本部「三河月の友の会」の会員店(松下良富)から顧客に販売されたこと等について記載されている。
乙第8号証は、乙第5号証の地区担当会員店の松下良富からの平成22年6月29日付の宣誓書であり、愛知県岡崎市在の顧客に対して、平成21年7月4日に「家庭用電気治療器(電位治療器)(医療用具承認番号:20800BZZ00827000)(商品名称:カロス・ノクチューン)」を納品した旨記載されている。
(2)上記した乙各号証によれば、被請求人及び通常使用権者が販売している家庭用電気治療器(電位治療器)には、医療用具承認番号として「20800BZZ00827000」なる番号が記載されていることが認められる(乙第3号証及び乙第4号証)。
そして、本商標権についての通常使用権者と認められる愛知県本部「三河月の友の会」の地区担当会員店の松下良富の宣誓書(乙第8号証)によれば、該医療用具承認番号の家庭用電気治療器(電位治療器)の商品名称を「カロス・ノクチューン」である旨述べている。
そうとすれば、該家庭用電気治療器(電位治療器)の医療用具の承認申請の際に届けられた販売名は「カロス・ノクチューン」であったものと推認される。
また、通常使用権者である松下良富は、本件審判請求の登録(平成22年4月28日)前3年以内である平成21年7月4日に、乙第3号証及び乙第4号証(商品パンフレット)に記載されている商品名称「カロス・ノクチューン」なる「家庭用電気治療器(電位治療器)」を愛知県岡崎市在の顧客に対して納品したものと認められるものであり、乙第2号証(日本ホームヘルス機器協会のホームページ)の記載からみれば、該家庭用電気治療器(電位治療器)なる商品は、取消請求に係る本件商標の指定商品である「医療用機械器具」のはんちゅうに属するものということができる。
(3)しかしながら、被請求人及び通常使用権者が「家庭用電気治療器(電位治療器)」について使用している別掲(2)のとおりの構成からなる商標は、本件商標についての使用とは認められないものであり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということもできないものである。
(ア)すなわち、本件商標は、別掲(1)に示したとおり、「kαλos」のギリシャ文字(2文字目は英文字の「a」、3文字目は「エル」の小文字の「l」に相当するものと認められる。)を書してなるものであるところ、乙第3号証及び乙第4号証の商品パンフレットに表示されている商標は、別掲(2)に示したとおり、「kαλos」の文字部分を紺色で表し、「nocturne」の文字部分を縁取り文字で表したうえ(内部は白色)、これらの文字を大きく「kαλosnocturne」と一連に表し、その下に小さく「カロス・ノクチューン」の片仮名文字を配した構成からなるものである。
(イ)そこでまず、別掲(2)に示した商標中の「カロス・ノクチューン」の商標(販売名)についてみるに、該商標は、医療用具の承認申請の際に届けられた販売名と推認されるものであるが、この「カロス・ノクチューン」なる商標は、「カロス」と「ノクチューン」の文字が中黒を介して一体的に表されているものであり、また、「ノクチューン」の語は「夜想曲」等の意味を有する外来語と認められるものであるから、使用に係る商品「家庭用電気治療器(電位治療器)」の品質を表すものでもない。
また、「カロス・ノクチューン」の構成中の「カロス」と本件商標「kαλos」との社会通念上の同一性についてみても、本件商標である「kαλos」の文字は、ギリシャ文字からなるものと認められるところ、本件商標の指定商品の取引者・需要者を含めて我が国における外国語の平均的な知識を有する者において、これを直ちに正確に称呼することは困難なことというべきであるから、別掲(2)に表示した商標中の「カロス」の文字と本件商標の「kαλos」とは、商標法第50条の括弧書きに規定されている「・・・片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」ということはできない。
そうとすれば、該「カロス・ノクチューン」なる商標(販売名)は、外観の点からみても、語義上の点からみても、全体として不可分一体のものとみるのが自然であり、「ノクチューン」の称呼を生ずる余地のない本件商標とは、称呼の点においても明らかな差異を有するものである。
してみれば、被請求人及び通常使用権者が使用している「カロス・ノクチューン」なる商標は、本件商標とは明らかにその構成態様を異にする別異の商標というべきものである。
(ウ)次に、別掲(2)に示した商標中の「kαλosnocturne」なる商標の使用についてみるに、この商標は、医療用具の承認申請の際に届けられた販売名と推認される「カロス・ノクチューン」なる商標(販売名)に相応する欧文字表記の商標として表示されているものとみるのが自然である。
そして、前記したとおり、その構成中の「kαλos」の文字部分は紺色で表されており、「nocturne」の文字部分は内部を白色にした縁取り文字で表されているものであるから、この態様の差異のみからみれば、「kαλos」の文字部分と「nocturne」の文字部分とは分離し得る態様をもって表されているとはいえる。
しかしながら、該商標は、構成各文字が同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔をもって外観上まとまりよく不可分一体に表現されており、「nocturne」の語は「夜想曲」等の意味を有する英語と認められるものであるから、使用に係る商品「家庭用電気治療器(電位治療器)」の品質を表すものでもない。しかも、該欧文字の下には、その読みを表しているものと認められる「カロス・ノクチューン」なる一連の片仮名文字が併記されている。
そうとすれば、該「kαλosnocturne」なる商標は、全体として不可分一体の文字列のものとして認識し、把握されるものとみるのが自然であり、「ノクチューン」の称呼を生ずる余地のない本件商標とは、称呼の点においても明らかな差異を有するものである。
してみれば、被請求人及び通常使用権者が使用している「kαλosnocturne」なる商標は、本件商標とは明らかにその構成態様を異にする別異の商標というべきものである。
(エ)以上のとおり、被請求人及び通常使用権者が使用している「カロス・ノクチューン」なる商標及び「kαλosnocturne」なる商標は、いずれも、該構成文字全体として自他商品の識別標識としての機能を発揮しているものというべきであり、本件商標とは別異の商標というべきものである。
そして、このことは、商品を説明する文中の各所においても「カロス・ノクチューン」なる一連の商標として記載されており、実際の取引の状況を示す乙第5号証の納品書おいても「カロスノクチューン」と記載されており、更には、通常使用権者である松下良富の宣誓書(乙第8号証)中にも「カロス・ノクチューン」と表示されていることからも首肯し得ることであって、乙各号証のいずれをみても、「kαλos」あるいは「カロス」の文字のみをもって表示ないしは説明されている事実は認められない。
加えて、請求人の提出に係る甲第5号証(社団法人日本ホームヘルス機器協会の「適正広告基準の解説及び留意事項」)によれば、「医療機器について、承認、認証又は届出された販売名又は一般的名称以外の名称を使用しないものとする。」と記載されており、また、甲第6号証(薬事日報社発行の「医療用具製造申請の手引き第10版」中の「第2章 医療用具の製造(輸入)承認申請の留意点及び添付資料」の説明)によれば、「医療用具の販売名の場合、保健衛生上の観点から一物一名称が原則である」と記載されている。
さらに、被請求人は、本件商品「家庭用電気治療器(電位治療器)」(医療用具承認番号:20800BZZ00827000)の販売名が記載されている医療用具の製造(販売)承認申請書等の写しを求めた審尋に対し、何らの回答もしていない。
そうとすれば、このことからみても、医療用具の承認申請の際に届けられた販売名と推認される「カロス・ノクチューン」なる販売名(商標)及びその欧文字表記の商標と認められる「kαλosnocturne」なる販売名(商標)とは別に、「kαλos」あるいは「カロス」なる販売名(商標)をも使用していたものとみるのは適切ではない。
(オ)してみれば、被請求人及び通常使用権者が使用している「カロス・ノクチューン」なる商標及び「kαλosnocturne」なる商標は、いずれも、本件商標とは明らかにその構成態様を異にするものであるから、本件商標についての使用とは認められないものであり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用しているものということもできないものである。
(カ)そして他に、本件商標が取消請求に係る指定商品について使用されていたことを認めるに足る証拠は提出されていない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、請求にかかる指定商品に本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1) 本件商標



別掲(2) 使用商標(色彩については原本参照)





審理終結日 2011-05-16 
結審通知日 2011-05-19 
審決日 2011-05-31 
出願番号 商願2000-23986(T2000-23986) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z10)
最終処分 成立  
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2001-06-01 
登録番号 商標登録第4478403号(T4478403) 
商標の称呼 カロス、ケイロス 
代理人 大村 昇 
代理人 木村 三朗 
代理人 加藤 義明 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 安島 清 
代理人 高梨 範夫 
代理人 小林 久夫 
代理人 山崎 和香子 

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