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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X39
審判 全部申立て  登録を維持 X39
審判 全部申立て  登録を維持 X39
審判 全部申立て  登録を維持 X39
管理番号 1240002 
異議申立番号 異議2010-900295 
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-09-16 
確定日 2011-06-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5331771号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5331771号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5331771号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成21年9月15日に登録出願され、第39類「貨物の発送,クーリエサービス,輸送のための物品の梱包及び保管,航空機及び車両による荷物及び個人所有物の輸送及び配達,船舶及び車両による荷物及び個人所有物の輸送及び配達,鉄道及び車両による荷物及び個人所有物の輸送及び配達,寄託を受けた物品の倉庫における保管,コンピュータによる荷物の配送等の貨物の輸送状況に関する追跡情報の提供」を指定役務として、同22年4月16日に登録査定、同年6月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)引用商標
ア 登録第4081676号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成7年10月3日に登録出願され、第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり」を指定役務として、同9年11月14日に設定登録されたものであり、その商標権は、存続期間の更新登録がされて現に有効に存続しているものである。
イ 登録第4095273号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成7年7月28日に登録出願され、第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,寄託を受けた物品の倉庫における保管,倉庫の提供,コンテナの貸与」を指定役務として、同9年12月19日に設定登録されたものであり、その商標権は、存続期間の更新登録がされて現に有効に存続しているものである。
なお、引用商標1及び2をまとめていうときは、単に「引用商標」という。
(2)申立人及び引用商標の周知著名性
ア 申立人の周知著名性
申立人は、1971年に米国にて設立され、220か国以上の国に空輸、海上輸送、陸送で運送業務を提供している会社であって、国際的に周知著名な企業である。日本においても1984年には日本支社を設立し、その後、順調にその規模を拡大している(甲第3号証)。また、申立人のハウスマークでもある「FedEx」商標は、2010年の「Brand Finance社」のランキングにおいては、87位にランキングされている(甲第4号証)。
イ 引用商標の周知著名性
申立人は、1995年にアジアパシフィック内の30か国の主要な商業・経済都市の間では、書類、貨物を翌日には配達する「アジアワン」というサービスの提供を開始し、かかる主要都市には、東京及び大阪の他、バンコック、北京、上海、ソウル、マニラ、シンガポール、深セン、シドニー、台北、メルボルーン、ハノイ、ホーチミン、香港、ジャカルタ、クアラルンプール等が含まれる。
引用商標は、申立人の翌日配送サービスを指称し、識別するために採択使用されているものであり、日本でも1995年以来長年にわたって使用されている。また、引用商標1は、アジアパシフィックにおける申立人の翌日配送サービスのシンボルマークとして同社のウェブサイトにおいても使用されており(甲第5号証)、その他の広告においても使用されている(甲第6号証)。さらに、引用商標は、世界12か国で登録されている(甲第7号証)。
以上より、引用商標が日本国内及び国際的に周知著名商標であることは明らかである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の要部は、「OneAsia」の部分にある。
一方、引用商標1では、「AsiaOne」の欧文字部分が要部を形成する。
そこで、本件商標の「OneAsia」と引用商標1の「AsiaOne」とを対比すると、両者は語順を逆にしたにすぎない商標であり、その構成の軌を一にするものであって、時と所を変えて両者に需要者が接した場合には外観において混同するおそれがある。
さらに、両者とも「一つのアジア」といった観念を想起させるものであり、観念においても相紛らわしいものといえる。この点は上記の引用商標1の周知著名性を考慮すれば明らかである。
また、引用商標2は、「ASIAONE」の部分が独立して需要者に認識される可能性があり、該部分から全体とは分離した観念が想起される。
してみれば、本件商標及び引用商標2は、いずれも、「一つのアジア」といった観念を想起させるものであり、引用商標2の周知著名性を考慮すれば、観念において類似する商標である。
したがって、本件商標は、引用商標1とは外観及び観念において類似する商標であり、また、引用商標2とは観念において類似する商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上述のように、日本及び外国において周知著名な申立人所有の引用商標と類似又は少なくとも近似するものであるから、これに接した取引者、需要者は、引用商標を連想、想起し、本件商標の指定役務が申立人と何らかの関係があると誤認することは必定であり、広義の混同が生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、わざわざ申立人所有の周知著名な引用商標と類似する「OneAsia」が目立つように表記しているものであり、本件商標に接した需要者は、引用商標の著名性ゆえに、引用商標を想起するものであり、この点からも、本件商標権者は明らかに申立人の著名引用商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)するという不正の目的で使用するものであるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)申立人及び引用商標の周知著名性について
申立人は、1971年に米国にて設立され、220か国以上の国に空輸、海上輸送、陸送で運送業務を提供している会社であって、1984年には日本支社を設立し、その後、順調にその規模を拡大しており(甲第3号証)、また、申立人のハウスマークでもある「FedEx」商標は、2010年の「Brand Finance社」のランキングにおいては、87位にランキングされている(甲第4号証)ことから、この種業界において、申立人及び「FedEx」商標は、ある程度知られているということができる。
そして、申立人は、引用商標が日本国内及び国際的に周知著名商標であることは明らかである旨主張して証拠を提出しているところ、甲第5号証は、平成22年12月20日にプリントアウトされたウェブページであり、甲第6号証は、その発行年月日が明らかではなく、また、甲第7号証は、引用商標が世界12か国において登録されているとのリストであって、これらの証拠のみをもってしては、引用商標が本件商標の登録出願時前より、申立人の業務に係る役務を表示するためのものとして需要者の間に広く認識されているという事実を認めることはできない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲(1)のとおり、極太のゴシック体により顕著に表された「OneAsia」の文字(「O」とした部分は、他の文字よりやや大きく図形の円を表したものともとれるが、ローマ字の「O」と認識できる。)及びその右下にかなり小さく表された「Express」の文字よりなるところ、外観上、両者は、取引において分離され、しかも、前者の文字が後者の文字に比べてかなり目立ち、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができる。
そして、「Express」の語は、「速達便、急行便」の意味を有する英語であり、輸送、配達等の役務との関係では比較的識別力の弱いものであるといえる。これに対して、「OneAsia」の文字部分は、我が国において親しまれた英語である「One」及び「Asia」の語を結合させたものと容易に理解させるものの、形容詞として「1つの、1個の」の意味を有する「One」の文字が「アジア」を意味する「Asia」の文字を修飾しているから、「一つのアジア」の意味合いを認識させるものであり、これより生ずると認められる「ワンアジア」の称呼も5音のごく短いものであってよどみなく称呼できるものである。
そうすると、本件商標は、構成全体から生ずる観念及び称呼のほかに、「OneAsia」の文字部分に相応して、「1つのアジア」の観念及び「ワンアジア」の称呼が生ずる。
イ 引用商標1
引用商標1は、別掲(2)のとおり、「Asia」の文字及び極太のゴシック体により顕著に表された「One」の文字(「O」の部分は、袋文字風に表された数字「1」と認識できる線書きで囲われている。)並びに「ne」の右下にかなり小さく表された「FedEx」の文字よりなるところ、外観上、「Asia」の文字と「One」の文字は、その書体、太さは相違するものの、両文字の連続性及び構成全体に占める割合の大きさから、「AsiaOne」の部分としても他の文字に比べてかなり目立ち、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができる。
そして、「AsiaOne」の文字は、「アジア」を意味する「Asia」及び「(基数の)1」の意味を有する「One」の各語を一連に表したものであり、「アジア一」の意味合いを認識させるものであり、これより生ずると認められる「アジアワン」の称呼も5音のごく短いものであってよどみなく称呼できるものである。また、「FedEx」の文字は、前記(1)のとおり、申立人のハウスマークでもある商標であり、申立人に係る業界においてある程度知られているものであるから、該部分のみでも独立して取引に資されるということができる。
そうすると、本件商標は、構成全体及び「FedEx」の文字部分から生ずる称呼のほかに、「AsiaOne」の文字部分に相応して、「アジア一」の観念及び「アジアワン」の称呼が生ずる。
ウ 引用商標2
引用商標2は、別掲(3)のとおりの構成よりなるところ、「FEDEX」及び「ASIAONE」の欧文字の間に半文字程度のスペースを有するとしても、これらはすべて大文字を用いて同じ書体、同じ大きさにより一体的に書されているものであって、全体としてまとまりの良いものである。また、これより生ずると認められる「フェデックスアジアワン」の称呼もやや長いものの無理なく称呼し得るものである。
そして、引用商標2の構成中、前半部分の「FEDEX」の文字は、前記(1)において、申立人のハウスマークでもある商標であり、申立人に係る業界において、ある程度知られている商標であるとした「FedEx」の文字をすべて大文字で表記したものであることを考慮すれば、該部分のみが独立して取引に資される場合もあるといえる。しかしながら、後半部分の「ASIAONE」の部分に、このような特段の事情は存在しない。
そうすると、かかる構成よりなる引用商標2は、その構成中の「ASIAONE」の文字部分が独立して取引に資されることはないといわなければならない。
エ 本件商標と引用商標との類否
前記ア及びイのとおり、本件商標は「OneAsia」の文字部分が、引用商標1は「AsiaOne」の部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え得るものであるところ、本件商標から生ずる「ワンアジア」の称呼と引用商標1より生ずる「アジアワン」の称呼とは、その音構成を異にし、音感、音調において相違するものであるから、互いに聞き誤るおそれはないものであり、また、本件商標から生ずる「一つのアジア」の観念と引用商標2から生ずる「アジア一」の観念とは、明らかに相違するものであるから相紛れるおそれはない。そして、両者が「One」及び「Asia」の英単語の組み合わせからなるものであるとしても、視覚上においてその語順は容易に把握、記憶し得るものであり、これら文字を倒置して認識しなければならない合理的な理由も見当たらない。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、時と所を異にして観察しても、外観において相紛れるおそれはないものであり、さらに、それぞれから生ずる称呼についても聞き誤るおそれはなく、また、観念についても相紛れるおそれはない。
また、引用商標2は、前記ウのとおり、その構成中の「ASIAONE」の文字部分が独立して取引に資されることはないといわなければならないものであるから、該部分から「一つのアジア」といった観念を想起させることを前提に本件商標と引用商標2とが観念において類似すると述べる申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標とを類似とすべき点は見いだせない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、その指定役務が同一又は類似するものであるとしても、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について
申立人は、引用商標が日本国内及び国際的に周知著名商標であることは明らかである旨主張して証拠を提出しているが、前記(1)のとおり、これらの証拠のみをもってしては、引用商標が本件商標の登録出願前より、申立人の業務に係る役務を表示するためのものとして需要者の間に広く認識されているという事実を認めることはできない。
加えて、前記(2)認定のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても類似しない別異な商標というべきものである。
そうすると、商標権者が本件商標をその指定役務について使用しても、本件商標に接する需要者は、これより引用商標を想起又は連想するものとはいえないから、本件商標は、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
また、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当しない。
(4)むすび
以上によれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標1


(3)引用商標2


異議決定日 2011-06-01 
出願番号 商願2009-70714(T2009-70714) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (X39)
T 1 651・ 271- Y (X39)
T 1 651・ 261- Y (X39)
T 1 651・ 263- Y (X39)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 光治宮川 元平澤 芳行 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 2010-06-18 
登録番号 商標登録第5331771号(T5331771) 
権利者 オーエイイー ネットワーク ピーティーイー リミテッド
商標の称呼 ワンアジアエクスプレス、ワンアジアエキスプレス、ワンアジア、エクスプレス、エキスプレス 
代理人 中山 健一 

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