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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X093842 |
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管理番号 | 1239990 |
審判番号 | 不服2010-650001 |
総通号数 | 140 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-01-07 |
確定日 | 2011-05-11 |
事件の表示 | 国際登録第960938号商標に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「MAIL FOR EXCHANGE」の欧文字を横書きしてなり、第9類、第38類及び第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2007年8月23日にFinlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2008年(平成20年)2月22日に国際商標登録出願されたものである。 その後、指定商品及び指定役務については、原審における平成21年3月24日付けの手続補正書及び当審において、2010年(平成22年)1月18日に国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、第9類「Computer software for mobile phones for synchronizing and transferring electronic messages,address books,calendars,tasks and other data between stationary computers and/or servers and mobile tablet computers and mobile telephones.」、第38類「Telecommunications.」及び第42類「Design,installation,maintenance,rental and updating of computer software and programs;computer software consultancy;design of telecommunications installations;providing information relating to design,installation,maintenance,rental and updating of computer software and programs.」と限定されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において、以下の(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。 (1)本願商標の指定役務中、第42類「provision of information relating to computer softwareand programs.」は、その内容及び範囲が明確でないから、商標法第6条第1項の要件を具備しない。 (2)本願商標は、「MAIL FOR EXCHANGE」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、近年インターネットが急速に普及するにつれて、電子メールで情報交換を行うことが広く一般に行われていることを考慮すると、本願商標を補正後の指定商品・指定役務に使用しても、これに接する需要者は、情報交換のためのメールに関する商品・役務であることを理解するにとどまり、単に商品の品質、役務の質を表したにすぎないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 当審の判断 (1)商標法第6条第1項について 本願商標の指定商品及び指定役務は、前記1のとおり限定された結果、商品及び役務の内容が明確なものとなったものと認められる。 その結果、本願商標の指定商品及び指定役務は、商標法第6条第1項の要件を具備するものとなった。 したがって、本願が、商標法第6条第1項の要件を具備しないとした原査定の拒絶の理由は、解消した。 (2)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、前記1のとおり、「MAIL FOR EXCHANGE」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成は、「《目的》・・・のために(の)、《用途・適応》・・・用の」「(ランダムハウス英和辞典)小学館発行」を意味する英語の「FOR」の文字を介して「MAIL」の文字と「EXCHANGE」の文字とを組み合わせたものであると容易に理解させるものである。 そして、構成各文字について、各種辞書及びインターネット情報によれば、以下の事実が認められる。 ア 「MAIL」の文字について (ア)「mail」の項に「郵便物、郵便制度」の記載。(前掲ランダムハウス英和辞典) (イ)「メール/メイル〔mail〕」の項に「郵便。郵便物。特にEメール。」の記載。(「現代用語の基礎知識2008」自由国民社発行) (ウ)「メール」[mail]の項に「郵便、郵便物、携帯電話やコンピュータ通信網を利用して送られる伝言」の記載。(「コンサイスカタカナ語辞典第3版」三省堂発行) (エ)「電子メール〔electronic mail;e-mail〕」の項に「インターネットなどコンピュータネットワークを介して電子的に手紙(メッセージ)やデータをやりとりできる通信システム。Eメールともいう。日本では単にメールといえば電子メールを指す。」の記載。(前掲、現代用語の基礎知識2008) (オ)「mail」の項に「メール」また、解説として「複数の人間が使うコンピュータ(computer)において、その使用者同士の間のメッセージ(message)やホストコンピュータ(host computer)から全ユーザーに送られる通報のことである。多くの人間が使うために、特定の人あてに出したメールは、他の人がアクセス(access)出来ないようになっている。このようなコンピュータシステムで用いられるmailのことを電子メール(E mail)と言う。(「英和コンピュータ用語大辞典 第3版」日外アソシエーツ発行) イ 「EXCHANGE」の文字について (ア)「exchange」の項に「・・・を(・・・と)交換する」の記載。(前掲ランダムハウス英和辞典) (イ)「exchange」の項に「交換する〔一般:交換する、やり取りする〕」、また、解説として「全般的にみて、データなどを交換(exchange)することを指す。」の記載。(前掲「英和コンピュータ用語」) (ウ)「交換(こうかん)exchage」の項に「情報を伝達する目的をもって、複数の入力情報源と複数の出力情報源の間を任意に接続する機能。」の記載。(「電気電子用語事典 第1版」オーム社発行) (エ)「こうかん 交換」の項に「exchange 多数の端末装置の間で情報の伝達を行うために多数の通信回線や機器の中から所要のものを選び、それらを相互に接続すること。」の記載。(「新版電気用語辞典」コロナ社発行) (オ)「交換 exchange」の項に「《情報》二つの場所の間でその中の内容を交換すること。」(「マグローヒル科学技術用語大辞典 改訂第3版」日刊工業新聞社) ウ 「MAIL FOR」の語の後にメールの機能等を示す語を連結して「ある機能を有するメールに関する商品」程の意味合いで採択、使用されている実情について (ア)「HDE」のウェブサイトにおいて、「HDE Secure Mail for ZIPとは」の見出しのもと「『HDE Secure Mail for ZIP』は、添付ファイル付きメールをゲートウェイでパスワード付きZIPファイル形式に一括で自動変換するソフトウェアです。」の記載。(http://www.hde.co.jp/hsm/zip/ (イ)「gihyo.jp」のウェブサイトにおいて、「HDE、ネット経由で安全なファイル送信を実現する『HDE Secure Mail for Online Storage』を発売」の見出しのもと「(株)HDEはメールの誤送信による添付ファイルの情報漏洩リスクを軽減し、安全な添付ファイル送信を実現するソフトウェア『HDE Secure Mail for Online Storage(HSMOS)』」の販売を2008年3月31日より開始する。」の記載。(http://gihyo.jp/news/nr/2008/03/031801) (ウ)「富士通ビー・エス・シー」のウェブサイトにおいて、「ゲートウェイ型メール暗号ソフトウェアFENCE-Mail For Gateway(フェンスメール フォー ゲートウェイ)」の見出しのもと「FENCE-Mail For Gatewayは、監査機能と暗号化機能の二重の対策により、安全かつ快適なメール環境を提供します。」の記載。(http://www.bsc.fujitsu.com/services/fence/fencemail/) (エ)「有限会社ファクトリー」のウェブサイトにおいて、「i-mail(Factory Mail for Internet)」の見出しのもと「有限会社ファクトリーは1997年10月、アップルコンピュータ(株)の携帯情報端末Newton MessagePad 130を利用し、日本語によるインターネットメールの送受信を可能にする「Factory Mail for Internet(仮称)」を発表いたします。通常のモデムの他、携帯電話やPHSなどを利用したワイアレス通信にも対応しているため、外出先からのメールチェックも手軽に行うことができ、Newtonの活用範囲を大きく拡大し、真の携帯情報端末へと進化させます。」の記載。(http://www.factory-1987.co.jp/factory/i-mail_Folder/FMI.html) 以上よりすれば、本願商標の「MAIL FOR EXCHANGE」の文字よりは、全体として「(情報又はデータ)交換機能を有する電子メール」程の意味合いを容易に認識し得るものである。 そうとすれば、本願商標をその指定商品・指定役務について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、「(情報又はデータ)交換機能を有する電子メールに関する商品・役務」ほどの意味合いを表したものと容易に理解・認識するに止まり、単に商品の品質又は役務の質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (3)請求人の主張について ア 請求人は、「『MAIL FOR EXCHANGE』と査定時に商品又は役務の質を表示するとされた『MAIL EXCHANE』とは、修飾・被修飾語の関係が逆転するので、取引者、需要者は、本願から「何らかの交換をするメールに関する」商品程度の意味合いを理解することはあっても、「メール交換に関する」商品と理解することはない。また、本願商標は『何らかを交換するための電子メール』を用いる『何らかのコンピュータソフトウェア』であるとの漠然とした意味合いしか看取しない。」旨主張しているが、「MAIL」の文字は、コンピュータを通じて、情報やデータを交換できる通信システムの意味を有していること、また「EXCHANGE」の文字が、「(情報又はデータを)交換する」という意味合いを有していること、さらに、「MAIL FOR」の文字の後にメールの機能等を示す語を連結した文字が特定の機能を有する電子メールに関する商品の名称として普通に採択、使用されている実情があることは、前記(2)のとおりであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、「(情報又はデータ)交換機能を有する電子メール関する商品・役務」程の意味合いを容易に理解するというべきであるから、請求人の該主張を採用することはできない。 イ 請求人は、「インターネットで『MAIL FOR EXCHANGE』を検索すると、そのほとんどが出願人のウェブサイト又は出願人の商品等に関する広告や記事等であり、出願人以外に一般に使用されている例は見当たらない。」旨主張するが、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号列挙のものは通常、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解されるところ、本願商標からは、「(情報又はデータ)交換機能を有する電子メール」ほどの意味合いを看取させるものであり、かつ、本願指定商品及び役務を取り扱う業界において、「情報又はデータの交換機能を有する電子メールに関する商品の販売及び役務の提供が行われている実情にあることは、前記(2)のとおりである。 そうとすると、本願商標「MAIL FOR EXCHANGE」については、その指定商品及び役務との関係において、これに接する取引者、需要者は、その商品及び役務が「(情報又はデータ)交換機能を有する電子メールに関する商品及び役務」であることを認識し、商品の品質又は役務の質を表示したものと理解するにとどまると判断するのが相当であり、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないものであるから、請求人の該主張を採用することはできない。 ウ 請求人は、「本願商標『MAIL FOR EXCHANGE』は、出願人により世界的に使用されており、出願人の業務を示す商標として広く知られている。」旨主張し、第9号証ないし第13号証を提出しているが、提出された証拠を勘案するも、請求人がメールに関する商品等に本願商標を使用していることは認められるものの、その証拠の全てが英語で書された資料であることから、全ての内容を正確に把握するのは困難であり、かつ、本願商標が請求人の業務に係る役務を表示する商標として、我が国の取引者、需要者間に広く認識されているとまでは認めることはできないから、請求人の該主張も採用することができない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-12-07 |
結審通知日 | 2010-12-09 |
審決日 | 2010-12-21 |
国際登録番号 | 0960938 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X093842)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 茂木 裕子、池田 光治 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 田中 亨子 |
商標の称呼 | メールフォーイクスチェンジ |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 竹内 耕三 |