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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y31 |
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管理番号 | 1239945 |
審判番号 | 取消2010-300596 |
総通号数 | 140 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-08-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-05-28 |
確定日 | 2011-07-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4756821号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4756821号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4756821号商標(以下「本件商標」という。)は、「ADVANCE」の欧文字と「BREED SPECIFIC」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成15年7月17日に登録出願、第31類「飼料,飼料用たんぱく」を指定商品として同16年3月19日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(本件商標に係る商標公報の写し)を提出した。 請求人の調査では、被請求人は、過去3年以上にわたって我が国において本件商標を指定商品について使用していないことが判明した。 よって、本件商標の登録は取り消されるべきものである。 3 被請求人の主張(要旨) 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第33号証を提出した。 本件商標の使用権者であるロイヤルカナン ジャポン合同会社(以下「ロイヤルカナン ジャポン」という。)は、本件審判の請求の登録前3年以内に、その販売に係る犬用ペットフードである「飼料」に、本件商標と社会通念上同一の商標(以下「使用商標」という。)を使用している。 (1)被請求人と使用権者との関係 ア 被請求人であるマスターフーズ株式会社は、被請求人の関連会社であるマースジャパンリミテッド(以下「マースジャパン」という。)がその事業及びその取り扱いに係る商品との関係で使用する商標の権利者として、かかる商標の包括的管理・運営を行う会社である。マースジャパンは、全世界において「ペディグリー」を代表とするペットケア製品等の製造販売を行う米国の食品会社マースインコーポレイテッドの日本法人であり(乙第1号証)、我が国において、被請求人から商標権の使用許諾を受けて各事業を行っている。 また、ロイヤルカナン ジャポンは、主にペットフード事業を行うフランスの企業ロイヤルカナンの子会社であり(乙第2号証)、そのロイヤルカナンはマースインコーポレイテッドの傘下の企業であるから、ロイヤルカナン ジャポンもまたマースインコーポレイテッドの傘下の企業であって、マースジャパンの関連企業である。 イ 使用商標を表示した犬用のペットフードは、我が国において、従前、被請求人から本件商標の使用許諾を受けたマースジャパンによって販売されていたところ、ロイヤルカナン ジャポンは、「アドバンス」ブランドを2004年8月にマースジャパンから承継し(乙第2号証)、その後は、ロイヤルカナン ジャポンが被請求人より本件商標の使用許諾を受けて、使用商標を表示した犬用のペットフードの販売を行っている。 (2)ロイヤルカナン ジャポンによる使用商標の使用実績 被請求人から本件商標の使用許諾を受けた本件商標の使用権者であるロイヤルカナン ジャポンは、乙第3号証ないし乙第8号証及び乙第15号証ないし乙第33号証に示すとおり、本件審判請求の登録前3年以内に、わが国において、使用商標を犬用ペットフードについて使用している。 ア 乙第3号証は、ロイヤルカナン ジャポンが顧客である日本トランスシティ株式会社に商品を販売したことを示す2008年12月9日付売上伝票である。該売上伝票には、品名の欄に「アドバンスアダルト」の商標が記載されている。ペットフードを取扱う業界においては、一つのブランドの下に、例えば、「アダルト」、「シニア」、「パピー」等の年齢又は世代を表す語を用いて、それぞれの年齢又は世代別に、それぞれの年齢又は世代に適した栄養バランスを有するペットフードを展開することが広く一般的に行われている(乙第9号証ないし乙第14号証)。 したがって、上記売上伝票に記載された商標「アドバンスアダルト」の表示中、「アダルト」の部分は、単に成犬用の商品であることを表示するに過ぎない語であるから、該売上伝票に記載された「アドバンスアダルト」のうち、自他商品識別機能を発揮する部分は「アドバンス」の部分である。 一方、本件商標は、横書きで「ADVANCE」の欧文字を上段に表し、「BREED SPECIFIC」の欧文字を下段に表してなる二段書きの商標であるところ、下段の「BREED SPECIFIC」の部分は、「犬種専用」の意味を表す英語であるから、単に特定の犬種専用の商品であること、すなわち商品の品質、用途を表示する語に過ぎず、本件商標のうち、自他商品識別機能を発揮し得る部分は、上段の「ADVANCE」の欧文字部分にあるといえる。したがって、上記売上伝票中に記載された「アドバンス」の商標は、本件商標のうちの識別機能を有する「ADVANCE」の欧文字部分を片仮名表示に変更したものであり、称呼を同一にし、「進歩、前進」なる同一の観念を生じるものであるから、上記売上伝票には、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているといえる。 また、乙第15号証ないし乙第22号証もロイヤルカナン ジャポンが顧客に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を付したペットフードを販売したことを示す売上伝票であり、乙第3号証と同様のものである。 イ 乙第4号証は、「アドバンス」ブランドのペットフード製品に関するロイヤルカナン ジャポン発行の総合カタログである。当該総合カタログには、本件商標のうち識別機能を有する「ADVANCE」の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標が「パピー」、「グロース」、「アダルト」、「アクティブ」、「アダルト・センシティブ」、「ライト」及び「シニア」の7つに分類された各パッケージ写真の前面上方に大きく使用されている。かかる使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当するものである。また、当該総合カタログには、本件商標のうち識別機能を有する欧文字部分を片仮名に変更したものであって、該欧文字部分と同一の称呼及び観念を生じる「アドバンス」の片仮名商標が商品パッケージ前面の「ADVANCE」の欧文字商標の下部及び商品説明の文中において使用されており、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることがわかる。 ウ 乙第5号証は、「アドバンス」ブランドの犬用ペットフードに関する雑誌広告のゲラ刷りである。これには、本件商標と社会通念上同一の商標をパッケージ前面上部に使用した商品の写真が掲載されている他、広告上部にも本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標が使用されており、かかる商標の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当する。また、広告下部の商品説明の文中にも、本件商標の欧文字部分を片仮名表示に変更したものであって、同一の称呼及び観念が生じる本件商標と社会通念上同一の商標である「アドバンス」の商標が使用されている。 エ 乙第6号証は、「アドバンス」ブランドの犬用ペットフードのパッケージの写真とその展開図である。これには、本件商標のうち、自他商品識別機能を有する欧文字部分「ADVANCE」の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、すなわち、本件商標と社会通念上同一の商標がパッケージ前面上部、背面、側面及び底面に使用されている。また、かかる本件商標と社会通念上同一の商標の直下には、本件商標の欧文字部分を片仮名表示に変更したものであって、同一の称呼及び観念が生じるため、本件商標と社会通念上同一の商標である「アドバンス」の商標が使用されている。 オ 乙第7号証は、「アドバンス」ブランドの犬用ペットフード製品の販売に際して使用されるプライスカードであり、該プライスカードの左上部には、本件商標のうち識別機能を有する欧文字部分「ADVANCE」の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、すなわち、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている。 カ 乙第8号証は、マースジャパンによって販売されていた「アドバンス」ブランドの犬用ペッドフードがロイヤルカナン ジャポンに承継されたことに伴い、商品パッケージ等がリニューアルされることを告知する広告の写しである。該広告の右上部並びに製品写真中のパッケージ前面上部に、本件商標のうち識別機能を有する欧文字部分「ADVANCE」の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、すなわち、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている。また、本件商標のうち、識別機能を有する欧文字部分「ADVANCE」を片仮名表示に変更したものであって、同一の称呼及び観念が生じる片仮名の「アドバンス」からなる商標が該広告の左上部に使用されており、かかる商標の使用も、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当する。 キ 乙第23号証ないし乙第31号証は、2004年及び2005年に発行された雑誌に掲載された広告であり、本件商標のうち識別機能を有する欧文字部分の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標が広告上部中央に表示されているほか、広告下部に掲載されているペットフードの商品パッケージ前面上部にも使用されており、また、広告下部に掲載されているペットフードの商品パッケージには、「ADVANCE」の欧文字商標の下部及び商品説明の文中において、本件商標のうち識別機能を有する欧文字部分を片仮名に変更したものであって、該欧文字部分と同一の称呼及び観念を生じる「アドバンス」の片仮名商標が使用されている。 そして、乙第3号証及び乙第15号証ないし乙第22号証の売上伝票には、上記雑誌広告に掲載された商品に付された商標と同一の商標が品名欄に記載されており、商品の種類を特定する表示(「アダルト」、「アダルトセンシティブ」、「シニア」等)も合致しているから、これらを総合すれば、乙第3号証及び乙第15号証ないし乙第22号証の売上伝票に記載された商品が乙第23号証ないし乙第31号証の広告に掲載された商品と同一であったことは明らかである。 したがって、本件商標の使用権者であるロイヤルカナン ジャポンが本件審判請求日前3年以内に、乙第23号証ないし乙第31号証の広告に掲載された商品と同一の商品、すなわち、本件商標と社会通念上同一の商標を付した犬用ペットフードを顧客に販売した事実は十分に認められる。 ク 乙第32号証及び乙第33号証は、ロイヤルカナン ジャポンがロイヤルカナン ジャポンの親会社であるフランスのロイヤルカナンより、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を付したペットフード商品を輸入したことを示す2008年4月及び5月当時の貿易関連書類(通関書類)であって、乙第32号証は送り状(INVOICE)であり、乙第33号証は包装明細書(「PACKING LIST」)である。いずれの商品詳細記載欄(「Description of Goods」欄)にも「ADVANCE ADULT」や「ADVANCE SENIOR」等の本件商標と社会通念上同一の商標が付された商品が記載されている。そして、乙第32号証及び乙第33号証の貿易関連書類には、乙第23号証ないし乙第31号証の雑誌広告に掲載されている商品に付された商標と同一の商標が品名欄に記載されていることから、乙第32号証及び乙第33号証の貿易関連書類に記載された商品が乙第23号証ないし乙第31号証の広告に掲載された商品と同一であったことは明らかである。 (3)まとめ 以上より、被請求人から本件商標の使用許諾を受けた使用権者であるロイヤルカナン ジャポンは、本件審判の請求の登録前3年以内に、その販売に係る「飼料」に本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているから、本件審判の請求は成り立たない。 4 当審における審尋と審尋に対する回答(要旨) 平成23年2月18日付け審尋において、審判長は、被請求人に対し、「(1)本件審判請求の登録の日(平成22年6月16日)前3年以内で契約が有効な、「使用許諾契約書」(被請求人とロイヤルカナン ジャポン合同会社間)のコピーを提出すること、(2)本件商標は、「ADVANCE」及び「BREED SPECIFIC」の欧文字を二段に併記してなるところ、社会通念上同一と認められる商標とは、登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一にするときに、その一方の使用の場合に限られるものであって、提出された乙各号証を子細にみても、前記条件に当てはまる「使用商標」を、一つも発見することができないから、前記条件に当てはまる追加の証拠を提出すること。(3)上記(2)の「使用商標」が記載された「売上伝票」及びそれに対応する納品書、領収書、入金の事実が確認できる書類(銀行振込み票)等を提出すること。」を求めた。 この審尋に対し、被請求人は、「現在までに提出した答弁書における主張及び証拠により、被請求人から本件商標の使用許諾を受けた、本件商標に係る商標の使用権者であるロイヤルカナン ジャポン合同会社が、本件審判請求の登録前3年以内に、その販売に係る「飼料」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したことを十分に証明している」旨回答した。 5 当審の判断 (1)認定事実 被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標をその指定商品中の「犬用ペットフードである飼料」について、本件審判請求前3年以内に日本国内において使用している旨主張して乙各号証を提出しているところ、これらの証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証は、マースジャパンリミテッド(以下、当審の判断においても「マースジャパン」という。)のホームページにおける「企業概要」を記載したページであり、該社は、ペットケア製品等の製造販売を行う米国の食品会社マースインコーポレイテッドの日本法人として1976年に設立された会社であって、ペットフード等の事業を行っており、その所在地が東京都目黒区下目黒1-8-1である旨記載されている。 乙第2号証は、ロイヤルカナン ジャポン合同会社(以下、当審の判断においても「ロイヤルカナン ジャポン」という。)のホームページにおける「創業からの歩み」を記載したページである。該社は、1991年11月に株式会社ニチロとヨーロッパにおけるペットフード市場最大手である仏ロイヤルカナンとの合弁会社としてニチロロイヤルペットフード株式会社として設立されたものである。その後、仏ロイヤルカナンは2001年7月にマースインコーポレイテッドの傘下に入り、ニチロロイヤルペットフード株式会社は2003年6月に仏ロイヤルカナンの実質的な子会社となり、社名をロイヤルカナン ジャポン株式会社に変更し、更に、2007年10月に組織変更をして、社名をロイヤルカナン ジャポン合同会社に変更しており、2004年8月に、マスターフーズリミテッド(現 マースジャパン)から「アドバンス・ブランド」を引き継いだ旨記載されている。 イ 乙第3号証は、ロイヤルカナン ジャポンが日本トランスシティ株式会社へ宛てた2008年12月9日付の「売上伝票」であり、該売上伝票には、品名の欄に「アドバンスアダルト」とあり、単価、金額等が記載されている。 乙第15号証ないし乙第22号証もロイヤルカナン ジャポンが顧客へ宛てた「売上伝票」であり、乙第15号証は2008年9月25日付で(株)ドリーム21へ宛てた売上伝票であり、乙第16号証は2008年9月6日付でジャペル(株)三重営業所へ宛てた売上伝票であり、乙第17号証ないし乙第19号証はいずれもラブリーペット商事(株)へ宛てた売上伝票であって、乙第17号証は2008年8月30日付、乙第18号証は2008年9月13日付、乙第19号証は2008年9月18日付のものであり、乙第20号証は2008年9月12日付で水戸商事(有)へ宛てた売上伝票であり、乙第21号証及び乙第22号証はいずれもP&Lジャパン(株)へ宛てた売上伝票であって、乙第21号証は2008年9月6日付、乙第22号証は2008年9月25日付のものである。そして、これらの「売上伝票」の品名の欄には「アドバンスアダルト」、「アドバンスシニア」、「アドバンスアダルトセンシティブ」等の商品名が記載がされていることが認められる。 ウ 乙第4号証は、「アドバンス 2004 総合カタログ」と題するロイヤルカナン ジャポン発行の総合カタログと認められるものである。1頁には、「アドバンス(右肩に小さく「TM」の文字が付されている)/それは、私たちのひとつの結晶。」の表題のもとに、「・・・2004年、ロイヤルカナンの持つ多様な技術がさらに付加され、さらなる改良・進化を目標にアドバンスシリーズは生まれ変わりました。・・・」とあり、4頁にかけてグレードアップされた商品の説明が記載されている。5頁には、「ADVANCE」(「V」の右側部分と「A」の左側部分とが共有して表示されている。以下、同じ。)の商標のもとに、「犬用総合栄養食」として、包装袋に入った各種のペットフードの写真が掲載されており、それらの包装袋にも「ADVANCE」の商標が表示されていることが認められる。そして、6頁以降には、「パピー」、「グロース」、「アダルト」、「アクティブ」、「アダルト・センシティブ」、「ライト」、「シニア」等々の各世代別毎の商品についての説明が記載されている。 エ 乙第5号証は、被請求人の主張によれば、「アドバンス」ブランドの犬用ペットフードに関する雑誌広告のゲラ刷りとのことである。ここには、「ADVANCE」の商標のもとに、商品説明や「ADVANCE」の商標が表示されている包装袋に入った世代別毎のペットフードの写真が掲載されており、商品説明の文中にも「アドバンス」の商標が使用されている。そして、最下段には、輸入販売元として「ロイヤルカナン ジャポン株式会社」と記載されていることが認められる。 オ 乙第6号証は、被請求人の主張によれば、「アドバンス」ブランドの世代別毎のペットフードのパッケージの展開図とその写真とのことである。ここには、「ADVANCE」の欧文字からなる商標とその下に「アドバンス」の片仮名文字からなる商標が表示されており、「アダルト」や「ライト」、「パピー」といった各世代別毎の表示のもとに、それぞれの商品説明等が記載されている。 カ 乙第7号証は、被請求人の主張によれば、販売に際して使用されるプライスカードとのことである。ここにも、「ADVANCE」の商標のもとに、「アダルト」や「ライト」、「パピー」といった各世代別毎の用途表示が記載されており、それぞれの簡単な商品説明等が記載されている。 キ 乙第8号証は、被請求人の主張によれば、マースジャパンによって販売されていた「アドバンス」ブランドの犬用ペッドフードがロイヤルカナン ジャポンに承継されたことに伴い、商品パッケージ等がリニューアルされることを告知する広告の写しとのことである。「アドバンスをご愛用のお客様への大切なお知らせ」の表題のもとに、「近日発売」「さらにグレードアップされ新登場!」とあり、「ADVANCE」の商標を表示して、新製品の簡単な紹介がされている。 ク 乙第9号証ないし乙第14号証は、ペットフードを取扱う業界においては、一つのブランドの下に「アダルト」、「シニア」、「パピー」等の年齢又は世代を表す語を用いて、それぞれの年齢又は世代別に適した栄養バランスを有するペットフードを展開することが広く一般的に行われていることを示す証拠として提出されているものである。乙第9号証及び乙第10号証は「GREEN DOG」のウェブサイトであり、乙第11号証は「ケンコーコム」のウェブサイトであり、乙第12号証は「e-Petfood」のウェブサイトであり、乙第13号証は「dogdeco HOME 犬と暮らす家」のウェブサイトであり、乙第14号証は「S.G.J.Products」のウェブサイトである。これらによれば、「子犬(パピー)」、「成犬(アダルト)」、「老犬(シニア)」、「パピー(仔犬用)」、「ドッグフード(成犬・アダルト用)」等々の記載をもって、それぞれの用途のペットフードであることが示されていることを認めることができる。 ケ 乙第23号証ないし乙第31号証は、雑誌に掲載された「アドバンス」ブランドのペッドフードの広告であり、乙第23号証は緑書房発行の「wan」2004年9月号であり、乙第24号証は成美堂出版株式会社発行の「ドッグ・ワールド」2004年9月号であり、乙第25号証は同誌の2005年1月号であり、乙第26号証は「愛犬チャンプ」2004年10月号であり、乙第27号証は同誌の2005年2月号であり、乙第28号証は株式会社誠文堂新光社発行の「DOG FAN」2004年9月号であり、乙第29号証は同誌の2005年1月号であり、乙第30号証は株式会社ネコ・パブリッシング発行の「DOG FAMILY」2004年9月号であり、乙第31号証は同誌の2005年1月号である。いずれも、乙第5号証の雑誌広告のゲラ刷りに示されているものと同じ広告が掲載されている。 コ 乙第32号証は、フランスのロイヤルカナンがロイヤルカナン ジャポンへ宛てた2008年4月3日付の「送り状(INVOICE)」であり、商品詳細記載欄(Description of Goods)には、「ADVANCE ADULT」、「ADVANCE ADULT SENS」、「ADVANCE SENIOR」等の表示が付された商品が価格や数量とともに記載されていることが認められる。また、乙第33号証は、フランスのロイヤルカナンがロイヤルカナン ジャポンへ宛てた2008年5月13日付の「包装明細書(PACKING LIST)」であり、商品詳細記載欄には、「ADVANCE SENIOR」、「ADVANCE ADULT SENS」、「ADVANCE ADULT」等の表示が付された商品が記載されていることを認めることができる。 (2)通常使用権者について 上記(1)によれば、マースジャパンがマースインコーポレイテッドの日本法人であり、ペットフード事業を行っていること、また、その所在地が東京都目黒区下目黒1-8-1であることが認められる。そして、その住所は、被請求人の審判請求時の住所と一致する(乙第1号証)。 また、ロイヤルカナン ジャポンは、マースインコーポレイテッドの傘下である仏のロイヤルカナンの子会社であって、マスターフーズリミテッド(現マースジャパン)のアドバンスブランドを引き継いでいることが認められる(乙第2号証)。 以上の認定の事実から、ロイヤルカナン ジャポンがマースジャパンの関連会社であることが認められ、また、マースジャパンの所在地の記載から被請求人もマースジャパンと何等かの関係を有することが推認される。 そうすると、被請求人の「被請求人がマースジャパンが使用する商標の権利者としてかかる商標の管理・運営を行う会社であって、マースジャパンに本件商標の使用許諾を行っている」旨の主張は、信憑性のあるものであって、ロイヤルカナンジャポンを本件商標権の通常使用権者とみて差し支えないものとみるのが相当である。 そして、請求人は、この点について何らの反論もしていない。 (3)使用に係る商標について 本件商標は、「ADVANCE」と「BREED SPECIFIC」の2語よりなるものであるところ、「ADVANCE」の文字からは、「アドバンス」の称呼及び「〈人・物を〉前進させる」程の観念を生ずるものであり、また、「BREED SPECIFIC」の文字は、構成中「BREED」の文字が、「〈動物が〉〈子孫を〉つくる、 〈子を〉もうける、 産む」等を、また、「SPECIFIC」の文字が、「((限定))特定の、 (説明・陳述などが)明確な」等をそれぞれ意味する英語であるとしても、これら両語を組み合わせた文字全体からは、直ちに特定の観念を生ずるものでなく、一種の造語というべきである。 一方、使用に係る商標は、本件商標の構成中「ADVANCE」の部分と同様の称呼、観念を生ずる、上記(1)に示された「アドバンス」「ADVANCE」を要部とする文字よりなるものである。 そうとすると、使用に係る商標は、本件商標の構成中、自他商品識別標識としての機能を果たし得る「BREED SPECIFIC」の文字を欠くものであり、本件商標とは、その外観、称呼、観念のいずれの点からみても異なるものであって、社会通念上同一とは認められないものであって、被請求人の提出に係る乙各号証を精査するも、「BREED SPECIFIC」の文字は一切見当たらない。 この点に関し、被請求人は、本件商標中、「BREED SPECIFIC」の部分が「犬種専用」の意味を表す英語であるから、単に特定の犬種専用の商品であること、すなわち商品の品質、用途を表示する語に過ぎず、識別力を有さないことを前提に、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一である旨主張する。 しかしながら、本件商標の構成中、「BREED SPECIFIC」の 文字は、上記したとおり、一種の造語というべきであって、「犬種専用」の意味を生ずるものとはいえないものである。 仮に、当該文字が「犬種専用」の意味を表す語であるとしても、「チワワ」、「柴犬」等の具体的な犬種を特定することができないものであるから、特定の犬種専用の商品であること、すなわち商品の品質、用途を表示する語とは言い得ない。 そして、「BREED SPECIFIC」の文字が、その使用に係る「犬用ペットフード」との関係において、その商品の品質、用途を表示するものでもないから、十分に自他商品識別標識としての機能を果たし得ると言わざるを得ない。 したがって、係る被請求人の主張は採用することができない。 (4)結語 以上のとおり、被請求人提出の各証拠によっては、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)をその請求に係る指定商品中の「飼料」の範疇に属する「犬用ペットフード」について、通常使用権者により要証期間内に使用していたことを立証し得たものと認めることはできない。 また、被請求人は、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品についての登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-05-10 |
結審通知日 | 2011-05-12 |
審決日 | 2011-05-25 |
出願番号 | 商願2003-60020(T2003-60020) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Y31)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 林 栄二 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
鈴木 修 小川 きみえ |
登録日 | 2004-03-19 |
登録番号 | 商標登録第4756821号(T4756821) |
商標の称呼 | アドバンスブリードスペシフィック、アドバンス、ブリードスペシフィック、スペシフィック |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 宮川 美津子 |
代理人 | 太田 雅苗子 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 神蔵 初夏子 |