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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 106 |
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管理番号 | 1239939 |
審判番号 | 取消2010-300436 |
総通号数 | 140 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-08-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-04-15 |
確定日 | 2011-07-06 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2650109号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2650109号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2650109号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALANODE」の欧文字を横書してなり、平成4年3月30日に登録出願、第6類「金属、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成6年4月28日に設定登録され、その後、同16年3月3日に指定商品を第6類「アルミニウム及びアルミニウム合金」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品「アルミニウム及びアルミニウム合金」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された形跡が見当たらない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述 ア 証拠書類の客観性について 被請求人は、本件商標を指定商品中、「アルミニウム合金(アルミインゴット)」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国において使用していることが明らかである旨を「注文書」(乙第1号証)、「納品書」(乙第2号証)、「陽極検査報告書」(乙第3号証)及び「使用状態を示す写真」(乙第4号証)と共に主張している。 しかしながら、これら各証拠書類は第三者ではなく、被請求人自らが発行しているため、請求に係る指定商品について、本件商標の使用を証明する証拠としての真実性を客観的に担保するものではない。すなわち、被請求人の主張する商品が2009年11月2日に有限会社岡崎ダイキャスト(以下「岡崎ダイキャスト」という。)に納入されたことを証明する第三者の作成に係る書類が何ら提出されていない。 そうすると、本件商標を指定商品中「アルミニウム合金(アルミインゴット)」に使用しているとの被請求人の主張には上記の点で既に疑義があり、当該書類の提出をもって、同主張が証明されたことにはならない。 イ 使用に係る商品及び商標について 以下の点においても、被請求人の主張には疑義があり、乙第1号証ないし乙第4号証をもっては、同主張が証明されたことにはならない。 (ア)乙第1号証及び乙第2号証 「注文書」及び「納品書」においては、取引の対象となる商品の記載が一切なく、この取引において、本件商標が審判請求に係る商品について使用されたかは不明である。 (イ)乙第3号証 「陽極検査報告書」自体は、請求に係る商品について本件商標を使用していることを証明する書面とはならない。けだし、商品についての標章の使用とは、商標法第2条第3項第1号、第2号又は第8号に掲げる行為をいい、商標を付した商品を検査する行為はそのいずれにも該当しないからである。 仮に、当該書面が乙第1号証及び乙第2号証に係る取引で販売された商品の内容を示すための資料として提出されたものであるとした場合でも、(a)当該書面は被請求人が一方的に作成したものにすぎず、これが乙第1号証及び乙第2号証に係る取引において、被請求人から株式会社メッツ(以下「メッツ社」という。)に交付され、かつ、同社がこれを受領したことを示す資料は何ら提出されていないこと、及び(b)型名「10KAI-3/4」の商品が、乙第1号証及び乙第2号証に係る取引において納入された商品であることを示す資料は何ら提出されておらず、両商品の関連が明らかにされていないことの二つの点から、当該書面は前記取引で販売され納入された商品の内容を証明するものとはいえない。 ウ 使用時期について 被請求人は、乙第4号証の使用状態の写真は、販売時における使用状態の写真である旨主張しているが、該写真では、そこに写っている商品の具体的な販売時期は特定できず、また、該商品と乙第1号証ないし乙第3号証に係る取引で販売された商品との関連は何ら証明されていない。 エ むすび 以上のとおり、乙第1号証ないし乙第4号証によっては、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、商品「アルミニウム」又は「アルミニウム合金」に使用された事実は証明されていない。 3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。 被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、本件商標をその請求に係る指定商品中の「アルミニウム合金」について使用している。 (1)本件商標の使用事実について ア 商標の使用者 乙第1号証「注文書」、乙第2号証「納品書」、及び乙第3号証「陽極検査報告書」(化学成分分析)の各書類には、「日本防蝕工業株式会社」が表示されている。なお、当社の住所は、取引先の株式会社本田技術研究所(以下「本田技術研究所」という。)/メッツ社とは20年来の取引関係にあるため表示しないで取引している。 イ 使用に係る商品 乙第3号証には、請求に係る指定商品「アルミインゴット(アルミニウム合金)」の製品名及びその型番「10KAI-3/4」が記載されている。 被請求人は、本田技術研究所(船外機製造会社)/メッツ社(前記船外機製造会社の下請会社)に「アルミニウム合金」を販売しているが、アルミインゴット(アルミニウム合金)の加工業者である岡崎ダイキャストに納品するようにされているので、岡崎ダイキャストに納品した(乙第2号証)。 なお、被請求人の製品「アルミニウム合金」を販売する際には、本田技術研究所/メッツ社よりは、乙第3号証の分析結果表に適合したアルミニウム合金とされていたので「陽極検査報告書」(化学成分分析)を発行している。 ウ 使用に係る商標 乙第1号証ないし乙第4号証には、本件商標「ALANODE」が記載されている。 エ 使用時期 乙第1号証及び乙第2号証の納入日(納入指示日)の欄には、「平成21年(2009年)11月2日」と記載されている。乙第3号証の納品書「陽極検査報告書」(化学成分分析)には、納入日前の「平成21年(2009年)10月30日」と記載されている。 乙第4号証の使用状態の写真は、販売時における使用状態の写真である(アルミインゴットに係る商品カタログは製作していない。)。 (2)むすび 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により指定商品中「アルミニウム合金(アルミインゴット)」について使用していることが明らかである。 4 当事者に送付した通知書 請求人及び被請求人に送付した通知書(審理事項通知書)の内容は次のとおりである。 (1)被請求人提出に係る乙各号証に関する暫定的な見解 被請求人(商標権者)は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中「アルミニウム合金」について本件商標を使用していると主張し、その証拠として乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。 しかしながら、提出された証拠によっては、商品(アルミニウム合金)について、その受注から納品まで、代金の領収及び関連書類との関係が不明確で、本件商標の使用が商標法第2条第3項各号のいずれに該当するものであるか明らかではない。 (2)口頭審理における審理事項 上記(1)の暫定的な見解及び下記アないしウについての当事者の意見 ア メッツ社が商品(アルミニウム合金)を受領したことについて。イ 商品(アルミニウム合金)の受注から納品まで、代金の領収及び関連書類との関係について。 ウ 被請求人は、乙各号証による商標の使用が商標法第2条第3項各号のいずれの使用に該当すると主張しているのか。 5 当審の判断 (1)被請求人の提出した乙各号証によれば、次のとおりである。 ア 乙第1号証は「注文書」の写しであり、右上に「注文日 2009年10月27日」、「メッツ購買1部」「埼玉県川越市的場 1620 本田金属株式会社内」の記載、左上に「日本防蝕工業(株) 御中」、その下に「納入者 61200 日本防蝕工業」、「納入場所 有) 岡崎ダイカスト」、「部番 10510」、「品名 アラノード/ALANODE」、及びその右に「発注番号 013890207-0」、「納入日 11/02*」、「数量 1,000」等の記載がある。 イ 乙第2号証は、「納品書」及び「納品書(控)」の写しであり、いずれにも、「発注者 株式会社 メッツ」、「発注者名称 購買1部」、「納入場所 8161 有)岡崎ダイカスト」、「納入指示日 2009年11月02日」、「No.部品番号\部品名称\10510\アラノード/ALANODE」、「発行番号\013890207-0」、「納入数\1,000」、「発行日 2009年10月27日」、「受注者 日本防蝕工業」等の記載があり、「納品書」にはこれらの記載以外に「注文No.013890207-0」の記載がある。 ウ 乙第3号証は、「陽極検査報告書\(化学成分分析)」の写しであり、左上に「株式会社 本田技術研究所 朝霞研究所\株式会社 メッツ 殿」、右上に「平成21年10月30日」、「日本防蝕工業株式会社\品質保証部検定チーム」の記載、及び「承認」と「担当」欄にそれぞれ押印があり、中央に「下記の製品は、規定の検査を行い、これに合格したことを証明致します。」、「御注文No.:013890207-0」、「件名 アルミインゴット」、「品名 アラノード/ALANODE」、「数量 1000kg」等の記載があり、その下に分析結果が記載されている。 エ 乙第4号証の「使用状態を示す写真」には、「ALANODE」と刻印された金属と思われるものが写されているが、撮影日は確認できない。 (2)上記(1)によれば、次のとおり判断できる。 ア メッツ社は、被請求人(商標権者)に対し、「品名 アラノード/ALANODE」を2009年10月27日に注文したものと認められる(乙第1号証)。 イ 納品書及び納品書(控)は、それらと注文書の、注文No.、発行番号と発注番号、部品番号と部番、部品名称と品名などの記載が一致することから、被請求人が上記アの注文に対して同日に発行したものと推認できる(乙第1号証及び乙第2号証)。 ウ 注文書、納品書及び納品書(控)と陽極検査報告書の発注番号、注文No.、発行番号と御注文No.、品名と商品名称などの記載が一致することから、被請求人は、注文書、納品書及び納品書(控)に係る「件名 アルミインゴット」、「品名 アラノード/ALANODE」について、平成21年10月30日に陽極検査報告書を発行したものと認められる(乙第1号証ないし乙第3号証)。 エ しかしながら、被請求人提出の乙各号証によっては、メッツ社が被請求人に注文したものが商品であるのか役務であるのか不明確であるし、また、通常発注者に提出される納品書がその(控)と一体となっているのは、納品がなされてないとみるのが自然であり(なお、納品書及び納品書(控)のいずれも、正本データをプリントアウトしたものだとしても、メッツ社が受領したことの証明はなされていない。)、さらに、使用状況を示す写真に写されている金属と思われるものを製造した者、又は商標を刻印した者が不明であるなど、乙各号証に係る具体的な取引の内容等が確認できないから、被請求人が本件商標を商品(アルミニウム合金)について使用していたものと認めることはできない。 オ そこで、本件商標を使用していることを確認すべく上記4のとおり通知書(審理事項通知書)を送付するとともに口頭審理を行ったが、被請求人は出頭せず、また、口頭審理陳述要領書の提出もなかった。 そうすると、被請求人とメッツ社との具体的取引の内容が不明確であり、被請求人が本件商標を商品(アルミニウム合金)について商標法第2条第3項各号のいずれの使用行為を行ったのか確認できない。 してみれば、被請求人提出の乙各号証をもってしては、被請求人が本件商標を商品「アルミニウム合金」について、要証期間内に使用していたものと認めることはできない。 (3)他に、本件商標が取消請求に係る指定商品について使用されていると認め得る証拠はない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その取消請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-05-12 |
結審通知日 | 2011-05-16 |
審決日 | 2011-05-27 |
出願番号 | 商願平4-43195 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(106)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 瀧本 佐代子 |
登録日 | 1994-04-28 |
登録番号 | 商標登録第2650109号(T2650109) |
商標の称呼 | アラノード |
代理人 | 太田 誠治 |
代理人 | 北村 修一郎 |
代理人 | 渡辺 一豊 |
復代理人 | 村井 康司 |