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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X05
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X05
管理番号 1239873 
審判番号 不服2010-12653 
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-10 
確定日 2011-06-22 
事件の表示 商願2008-51966拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ラクラクコーカン」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,大人用紙おむつ,失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着,乳糖,乳幼児用粉乳」を指定商品として、平成20年6月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ラクラクコーカン』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、本願の指定商品との関係では、全体として『容易に交換できる』の意味合いを認識させるから、指定商品中、上記に照応する商品、例えば、『大人用紙おむつ,失禁用おしめ』等に使用するときは、単に商品の品質、効能を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、前記1のとおり、「ラクラクコーカン」の文字よりなるところ、その構成中「ラクラク」の文字は、「たやすいさま」の意味を有する「楽楽(楽々)」を直観し、「コーカン」の文字は「とりかえること」の意味を有する「交換」を認識するものというのが相当である。
しかして、これらの既成の語を組み合わせた「楽楽(楽々)交換」を仮名文字で表記した本願商標からは、「容易に交換できる」の意味合いを認識し理解するものというのが相当である。
そして、「楽楽(楽々)交換」は、成語ではないものの、「容易に交換できる」との意味合いで一連として使用されている事実が、例えば、インターネット上の「ホイル付きタイヤ楽々交換台」(http://tenant.depart.livedoor.com/t/hatsumeiokoku/item4585056.html)(審決注:下線は、審決において付加したものである。以下同じ。)、「楽々交換で時間短縮!」(http://www.gew.co.jp/news/maker/080516306.php)、「高い所の電球が楽々交換出来る方法」(http://urawaza.k-mani.net/archives/1131.html)からも窺えるものである。
また、「コーカン」の文字が「交換」の意味合いで使用されている事実が、例えば、インターネット上の「電池交換/ケータイの電池をコーカンしたぁ?。905は買えないから、電池交換で長く使いたい。・・・」(http://homura410.blog120.fc2.com/blog-entry-162.html)及び「貧しい時にこそ、ぶつぶつコーカン ・・・農家で住み込みで働いて、労働力と交換に食事と宿を提供するというもの。また、・・・彼らの労働力と、野菜生産にかかわる技術を伝達するという交換を行うこと。・・・後は、実際の物々交換。塩と大豆や野菜の交換。野菜と散髪の交換。野菜と子守りの交換。・・・」(http://webcache.googleusercontent.com/search?hl=ja&lr=&q=cache:a6Xf23H94owJ:http://ing-hompo.com/2010/03/post-82.html+%E3%81%B6%E3%81%A4%E3%81%B6%E3%81%A4%E3%80%80%E2%80%9D%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%B3%E2%80%9D&ct=clnk)の記載からも窺えるものである。
以上からすれば、「楽楽(楽々)」と「交換」の語を組み合わせて一体とした「楽楽(楽々)交換」も「容易に交換できる」との意味合いで一般に用いられているものであり、また、「交換」を「コーカン」と表記することも通常に行われているものである。
そして、本願商標は、標準文字で表されているものであって特異な表現方法を用いてなるものではない。
してみれば、本願商標は、「容易に交換できる」の意味合いを、認識し理解させるものであって、これを、その指定商品中「失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,大人用紙おむつ,失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着」(以下「本件商品」という。)について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品の交換が容易であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識し理解するにとどまるものであって、自他商品の識別標識として機能を果たし得ないものというべきである。
また、本願商標は前記のとおりの品質を表示するものであるから、当該品質に相応しない本件商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標「ラクラクコーカン」は、外観構成上極めてまとまりのよい態様で書してなるものであって、全体より生ずる称呼も簡潔な音構成にして淀みなく一連に称呼し得るものであり、構成全体での一体性が極めて強い商標である。よって、本願商標は構成要素ごとに分断されることがなく、特定の意味合いを生じない「造語商標」というのが相当である旨主張する。
しかしながら、請求人の主張のように、本願商標が外観上まとまり良く表され、その全体から生ずる称呼がよどみなく一連に称呼しうる造語であるとしても、本願商標がその指定商品についての品質を表示したものであるか否かの判断は、本願商標に接した取引者、需要者の一般の認識をもって判断をなすべきものであるから、請求人の主張は、当を得ないものというべきである。
イ 請求人は、「交換」の文字を仮名文字で表記するときには「コウカン」と表記されると主張し証拠(第1号証)を挙げる。また、ブログをはじめ単なる個人的文章等においては、「コウカン」を「コーカン」に交換したイタズラ的使用例が見受けられるとしても、商品の品質表示のように、商取引における重要な要素を記載する際には、使用されることの想定できない表記方法でしかない。したがって、「楽々交換」の語について「ラクラクコーカン」と表記した場合には、これに接する取引者、需要者は、適切な日本語の使用が求められる品質表示語としての記載方法として「違和感」を感じ、この「違和感」こそが、「普通に用いられている品質表示語」とは異なり、新たな感覚を利用した「標識」としての「識別力」に他ならず、従って、本願商標は、十分に識別力に富む「造語商標」であると確信する旨主張する。
しかしながら、「交換」を仮名文字で表記する場合には、「こうかん」あるいは「コウカン」の表記が適切なものであるとしても、日本語の実際の表記においては、仮名文字「ウ」で表記される音節を、長音「ー」をもって表記することも日常的に行われているものであることは、本件についての前記(1)のインターネット情報からも明らかというべきである。しかして、当該インターネット情報からは、その文脈から「交換」の漢字を用いるところに「コーカン」の仮名文字を当てていることが窺える。
また、請求人は、「コーカン」の用例は、想定できない方法であると主張するが、インターネットが格段に日常生活に普及している現在において、インターネットのブログ等で「交換」の仮名文字の表記としての「コーカン」の用例が多数見受けられることからすれば、本件商品の需要者である一般的な消費者は、本願商標構成中の「ラクラク」の文字に続く「コーカン」の文字は「交換」の漢字を仮名文字をもって表記したものと一般に認識するというのが相当である。
さらに、請求人は、品質を表示する語には、適切な日本語の使用が求められるから「楽楽(々)交換」を「ラクラクコーカン」と表示することに需要者等は「違和感」を感じ、それこそが、新たな感覚を利用した自他商品の識別標識としての識別力であるとの見解を開陳するが、商標法第3条第1項第3号に該当する商標か否かは、需要者又は取引者の一般の認識をもって判断すべきもの(最高裁判所第一小法廷昭和61年1月23日判決、昭和60年(行ツ)第68号参照)である。
ウ 請求人は、商標の識別力の判断にあたり、指定商品との関係で品質表示語として使用されているかどうかも重視されることが多数の審決例・判決例で示されているとし、インターネットの検索システム「Google」において「ラクラクコーカン」を入力してみたところ、1件も見当たらず(第2号証)、本願の指定商品との関係において、「ラクラクコーカン」の語が具体的な品質を表示するものとして取引者により使用されていないことは勿論、単なる用語としても全く使用されていない状況が明確となっているから、本願商標を特定の個人に独占された場合に業界が困惑する事態は、全く想定し得ない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当する商標であるか否かの判断において、現実に使用されていることが、同号を適用する要件ではないことは同号の条文からも上掲判例(昭和60年(行ツ)第68号)及び裁判例(知的財産高等裁判所平成22年5月19日判決、平成21年(行ケ)第10351号参照)からも明らかである。
エ 請求人は、「ラクラク(らくらく)」を語頭に冠する商標の登録例を挙げ(第3号証)、それらは、本件と個別・具体的事案は異にするものではあるが、請求人の見解を裏付けるものである旨主張する。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、本願商標の具体的な構成態様と、その指定商品との関係から個別かつ具体的に判断をなすべきものであるから、他の商標登録の事例が本件の判断を左右するものではなく、本件については前記(1)のとおりに判断するものである。
オ 請求人は原審の説示を捉えて縷々論難する。
しかしながら、本件の審理は、本願商標について商標登録を許容すべきか否かを商標法所定の登録要件に基づいて判断をなすものであって、原審の説示の当否を判断するものではない。
したがって、前記アないしオの請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-04-12 
結審通知日 2011-04-18 
審決日 2011-05-10 
出願番号 商願2008-51966(T2008-51966) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X05)
T 1 8・ 13- Z (X05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 千里 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内田 直樹
前山 るり子
商標の称呼 ラクラクコーカン 
代理人 網野 友康 

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