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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0935
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X0935
管理番号 1239835 
審判番号 不服2010-3176 
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-15 
確定日 2011-06-16 
事件の表示 商願2008-68987拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「手描きチャット」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池,電線及びケーブル,配電用又は制御用の機械器具」及び第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、平成20年8月22日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『手描きチャット』の文字を標準文字で表してなるものであるが、その構成中の『チャット』の文字部分は、『インターネットなどを利用して、リアルタイムに複数の人たちでメッセージを交換すること』(『最新パソコン用語事典』技術評論社)を意味するものであって、本願の指定商品又は指定役務中には、情報・通信に関連する商品又は役務(電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)が含まれているものであるから、本願商標を、上記商品又は役務について使用しても、取引者・需要者は、該商品又は役務が『インターネットなどを利用して手描きで描いたメッセージを交換できる機能を有する商品又は当該商品に関連する役務』であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を表示したにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を有するものとは認識し得ないとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、『インターネットなどを利用して手描きで描いたメッセージを交換できる機能を有する商品又は当該商品に関連する役務』以外の情報・通信に関連する商品又は役務(電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における職権証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して証拠調べ通知書を送付した。
1 「手描き」について
(1)「てがき【手書き・手描き】〔1〕印刷などによらず手で書くこと。また、書いたもの。〔2〕染物で機械や型紙によらず直接手で模様を描くこと。」との記載(「大辞林第三版」2006年10月27日 株式会社三省堂発行)。
(2)「てがき【手書(き)・手描き】〔1〕印刷したりタイプライターなどを使ったりしないで、自分で文字や絵を書くこと。また、書いたもの。〔2〕型紙による摺り染めや機械捺染ではなく、手で描いて模様を染色すること。また、その染め物。」との記載(「大辞泉増補・新装版」1998年12月1日 株式会社小学館発行)。
2 「チャット」について
(1)「チャット【chat】〔おしゃべりの意〕コンピューター-ネットワークで、二人または複数人がリアル-タイムにメッセージをやりとりすること。また、そのようなシステムの総称。狭義には文字情報によるやりとりをさす。」との記載(前出「大辞林第三版」)。
(2)「チャット[chat]〔1〕雑談。おしゃべり。〔2〕インターネット上でリアル・タイムでメッセージのやりとりをすること。」との記載(「カタカナ新語辞典改訂第2版」2007年2月1日 株式会社学習研究社発行)。
(3)「チャット chat キーボードによる文字入力によって、ネットワーク上でリアルタイムに展開するやりとりのこと。各種のパソコン通信サービスやインターネットで利用できる。最近では、動画や音声の利用を可能にしたビデオチャットや音声チャットもある。」との記載(「通信ネットワーク用語事典改訂第5版」2007年7月17日 株式会社秀和システム発行)。
3 「手描きチャット」について
(1)「手描きチャット」の見出しの下、「『手描きチャット』は、手描きの文字や絵、写真を、離れた場所にいる相手とでもリアルタイムにやりとりできる、新しいコミュニケーションツールです。自分の画面に手描きをしたり写真を貼り込むと、相手の画面に同じ内容が即時に表示されるので、会話をしているようにコミュニケーションをお楽しみいただくことが可能です。」との記載(http://www.hipichat.com/tegaki.html)。
(2)「04/22の韓国テストサーバー変更点案内 / 2009-04-23 (木) 23:59」の見出しの下、「○手描きチャット機能 今までゲーム内でのコミュニケーションと言えば、タイピングによる文字やエモーションによるものしか有りませんでしたが、遂に自由に絵を描いて会話を行う事の出来る、手書きチャットの機能が追加されるそうです。」との記載(http://g-worx.jp/mabinogi/index.php?u=korea/kr090422test.htm)。
(3)「04/29の韓国正式サーバー変更点案内 / 2009-04-29 (水) 23:59」の見出しの下、「○絵を描いて会話を行う事のできる、手描きチャット機能を追加。」との記載(http://g-worx.jp/mabinogi/index.php?u=korea/kr090429.htm)。
(4)「ブラウザだけでリアルタイムに文書を共有できる『Show Document』」の見出しの下、「ShowDocumentはブラウザだけでリアルタイムに文書を共有できるツールだ。友達や同僚と同じ文書を見ながら『ここってなんとかならない?』といった風に手描きチャットするのに適している。」との記載(http://www.100shiki.com/archives/2008/10/show_document.html)。
(5)「ニンテンドーDSがすごい件」の見出しの下、「DSの標準のチャット機能は大変おもしろく、ちょっと離れた部屋同士でも気軽に『手描きチャット』や『ダウンロードプレイ』ができ、さらに『Wi-Fi』」では(対応ゲーム)さらに範囲が広がって世界中と(!)対戦できるのですが、さらにこんどは『ボイスチャット』にまで対応するという凄いことに。」との記載(http://inu.ti-da.net/e1042710.html)。
(6)「ニンテンドーDS『ファンタシースターZERO』!」の見出しの下、「ちゃんとWi-Fiで4人同時プレイもできるし、フレンド同士ならタッチペンで手描きチャットまで楽しめるという!」との記載(http://gotthi.exblog.jp/9117055/)。
(7)「ビジュアルチャット☆その2」の見出しの下、「あ、PSZの手描きチャットには、その場でリアルタイムに書き込む発言の他によく使う定型文的なもの(挨拶用とかね)をショートカットとして登録しておけるのです。」との記載(http://ellebox.exblog.jp/10191736/)。
4 「手書きチャット」について
(1)「第7回産学官連携推進会議」のウェブページにおいて、「機関名 山陰電工株式会社(ミュー太プロジェクト)」の見出しの下、「・・・またオプションとして手書きチャットがあり、双方の画面にそれぞれ双方から書き込みして文字や画像情報を共有できます。」との記載(http://www8.cao.go.jp/cstp/sangakukan/sangakukan2008/tenji/booth/30013.html)。
(2)「中国地域試作支援企業データベース」の見出しの下、「企業名 株式会社ワコムアイティ」及び「手書きチャット 教育、医療など様々な分野で指示やコミュニケーションに利用できます。」との記載(http://www.ciicz.jp/clusterhp/shisaku/kigyo/k00028.html)。
(3)「PicChatX」の見出しの下、「Palm OS 対応のチャットソフトです.文字ではなく絵を送ることができるので,手書きチャットが楽しめます.」との記載(http://lab.bmoon.jp/pen/software.html)。
(4)「10周年を迎えた『牧場物語』、DS新作からWii版まで はしもとよしふみプロデューサーインタビュー」の見出しの下、「・・・ゲームをしながら通信の出来る場所に行く事によって、自分の牧場をスクリーンショットで自慢したり、手書きチャットで話し合える・・・」との記載(http://www.inside-games.jp/interview/runefactory.html)。
(5)「WindowsAPI Programming 2001課題 ?手書きチャットプログラム?」の見出しの下、「手書き文字機能とは、1)ウィンドウ上の任意の位置にマウスを移動し、2)マウスの左ボタンを押すと『仮想のペン』が『仮想のキャンバス』のうえに下りる。3)左ボタンを押しながらマウスを動かすと、そのまま『仮想キャンバス』上にペンを滑らせる、つまり手書きの絵や文字が書ける。 という機能です。手書きチャットとはこの手書き文字機能をネットワークの上に乗せたものです。すなわちネットワーク上の複数(課題では2名)の利用者が同じキャンバスを共有しあい、お互い好きなように手書き文字を書きあえるという仮想の伝言板です」との記載(http://yonex1.cis.ibaraki.ac.jp/kadai2001.htm)。
(6)「タブレットPCレビュー(4):MSN Messengerで手書きチャット」の見出しの下、「タブレットPCを使うと、このようにMSN Messengerを使って手書きのメッセージを送れるのです。」との記載(http://e-doc.xii.jp/archives/132)。
(7)「MSN Messengerで手書きメッセージ」の見出しの下、「近頃、巷でメッセンジャーの手書きメッセージが流行っているようなのですが、Tablet PCでは普通に使える機能らしいのです、手書きチャット機能。」との記載(http://niw.at/articles/2004/07/19/msnmessenger-handwriting/ja)。
(8)「PocketPCのSkypeで台湾の人と手書きチャット」との記載(http://gohandaisuki2.jugem.jp/?eid=88)。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
本願商標を「手描き」と「チャット」の各語に分離し、各語から生じる意味合いを抽出し、その商標全体の意味合いを判断するのは妥当ではない。
「手描きチャット」の使用例について調べた前記第3の3の(1)ないし(7)は、いずれも、ブログ(個人や数人のグループで運営され、日々更新される日記的なウェブサイト)であるため、個人的に作成されたものであり、信頼性の低いものである。
本願商標の識別性を判断するに当たり、全く参酌する余地がないとまではいえないが、インターネット検索の検索結果の大半が請求人(出願人)の販売商品に関する検索結果であった事実にかんがみると、このようなごく一部の使用例をもって本願商標の識別性を否定することは妥当ではない。
本願商標は、「書」の文字を「描」にした点に独自の工夫があり、本願商標は造語であることから、商標としての自他商品識別力を有しているため、「手書きチャット」の使用例について調べた前記第3の4の(1)ないし(8)をもって、本願商標の識別性を否定することは妥当ではない。
以上のとおり、本願商標は、その指定商品に使用しても、自他商品識別力を有する商標であるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。

第5 当審の判断
1 本願商標の構成
本願商標は、「手描きチャット」の文字を標準文字で同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって表してなるところ、その構成中の前半の「手描き」の語は、漢字と平仮名で表され、後半の「チャット」の語は、片仮名で表されているから、文字の種類が相違するうえ、該「手描き」の語は、「印刷などによらず手で書くこと」の意味を有するものとして一般に知られているものであり、該「チャット」の語も、「インターネット上でリアルタイムでメッセージのやりとりをすること」の意味を有するものとして一般に知られているものである(前記第3の1及び2)。
そうすると、本願商標は、文字の種類の相違により、外観上容易に「手描き」と「チャット」の各語からなるものと認識されるとみるのが自然であり、その構成全体から「手で書くメッセージのやりとり」の意味合いを生ずるものである。
これに対して、請求人は、本願商標を「手描き」と「チャット」の各語に分離して、その商標全体の意味合いを判断するのは妥当ではない旨主張する。
しかし、本願商標は、たとえ、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表してなるとしても、上記のとおり、外観上「手描き」と「チャット」の各語からなるものと認識されるものであり、加えて、これらの語が組み合わされた構成全体から、それぞれの語が持つ意味と全く異なった意味が新たに生ずるとみるべき特段の事情を見いだせないほか、それぞれの有する意味が消滅するとみるべき特段の事情も見いだせない。
してみると、本願商標は、商標の各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできないから、請求人の主張は、理由がない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
2 商標法第3条第1項第3号該当性
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であつて、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であつて、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和53年(行ツ)第129号、昭和54年4月10日第三小法廷判決参照)。
以下、これを本件についてみるに、本願商標は、前記1のとおり、「手で書くこと」の意味を有する「手描き」の語と「インターネット上でリアルタイムでメッセージのやりとりをすること」の意味を有する「チャット」の語を表記したものである。
そして、本願商標を構成する「手描き」の語は、前記第3の1(1)及び(2)によれば、「てがき」の見出しの下に、その表記として「手書き」のほか「手描き」が記載され、「印刷などによらず手で書くこと」等と記載されていることが認められるほか、「『手描きチャット』は、手描きの文字や絵、写真を、離れた場所にいる相手とでもリアルタイムにやりとりできる、新しいコミュニケーションツール」、「手描きチャット機能・・・自由に絵を描いて会話を行う事の出来る、手書きチャットの機能が追加」、「絵を描いて会話を行う事のできる、手描きチャット機能を追加。」、「ShowDocumentはブラウザだけでリアルタイムに文書を共有できるツールだ。友達や同僚と同じ文書を見ながら『ここってなんとかならない?』といった風に手描きチャットするのに適している。」のように記載(前記第3の3(1)ないし(4))されていることからも、「手描き」の語は、「手で書くこと」の意味を有するものとして知られ、使用されているということができうえ、「手描きチャット」の文字自体も、電子計算機用プログラムなどについて使用されていることが認められる。
さらに、本願商標の構成中の「描」を「書」で表した「手書きチャット」の文字も、電子計算機用プログラムなどに、「オプションとして手書きチャットがあり、双方の画面にそれぞれ双方から書き込みして文字や画像情報を共有できます。」、「手書きチャットとは・・・すなわちネットワーク上の複数(課題では2名)の利用者が同じキャンバスを共有しあい、お互い好きなように手書き文字を書きあえるという仮想の伝言板です」、「手書きチャット機能」などのように使用されていることが認められる(前記第3の4(1)ないし(8))。
そうすると、「手描きチャット」の文字は、商品「電子計算機用プログラム」について、「手で書くメッセージのやりとり」を意味するものとして取引上普通に使用されているというべきであり、「手書きチャット」の文字も、かかる「手描きチャット」の文字と同様に、「手で書くメッセージのやりとり」を意味するものとして使用されているということができる。
してみると、本願商標は、これをその指定商品中、「手で書くメッセージのやりとりができる電子計算機用プログラム」について使用しても、これに接する取引者、需要者が上記意味を理解、把握するものといわなければならず、これが自他商品の識別標識としての機能を果たしている商標とは認識しないというべきである。
以上によれば、本願商標は、これをその指定商品中、「手で書くメッセージのやりとりができる電子計算機用プログラム」に使用するときは、商品の品質を表示するにとどまるものとみるのが相当であり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。また、本願商標は、上記商品の取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないといわなければならない。
これに対して、請求人は、本願商標は、「書」の文字を「描」にした点に独自の工夫がある造語と主張する。
しかし、本願商標の構成中の「手描き」の語は、上記のとおり、「てがき」の見出しの下に「手書き」の表記とともに記載されているばかりでなく、「手描きチャット機能」の表記とともに、「・・・手書きチャットの機能」(前記第3の3(2))と記載されている事実があることからも、「手描き」と「手書き」は、同義語として知られ、普通に使用されているというべきである。
そうすると、「書」の文字を「描」にした点に独自の工夫がある造語との主張は、前提を欠くものであり理由がない。
また、請求人は、前記第3の3の(1)ないし(7)は、いずれも個人的に作成されたブログであり信頼性が低く、インターネット検索の検索結果の大半が請求人の販売商品に関する検索結果であった事実にかんがみると、このようなごく一部の使用例をもって本願商標の識別性を否定することは妥当ではない旨主張する。
しかし、前記第3の3の(1)ないし(7)は、個人的に作成されたブログであるとしても、請求人は、これらに記載された事実について信ぴょう性がないと判断し得る証拠を提出していないのであるから、本願商標についての需要者の認識を推し量る証拠として採用し得るものというべきである。
そして、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、需要者又は取引者によって、当該指定商品の品質を表すものであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(同旨判決:最高裁昭和60年(行ツ)第68号、昭和61年1月23日第一小法廷判決参照)ところ、請求人が本願商標を使用しているとしても、前記第3の3の(1)ないし(7)によれば、「手描きチャット」の文字が請求人の取扱いに係る商品の出所を表す商標として認識されているものではなく、むしろ、商品の性状を表すものとして需要者に認識されているとみるのが自然である。
さらに、請求人は、「手書きチャット」の使用例について調べた前記第3の4の(1)ないし(8)をもって、本願商標の識別性を否定することは妥当ではない旨主張する。
しかし、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性については、上記のとおり、「手描きチャット」の文字の使用の事実があることに加えて、「手描き」の語は、「手書き」と同義語として使用されている実情を踏まえ、前記第3の4の(1)ないし(8)に表れた「手書きチャット」の文字の使用も参酌するものであるから、当該「手書きチャット」の使用事実のみをもって判断するものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 商標法第4条第1項第16号該当性
商標法第4条第1項第16号は、「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」を商標登録を受けることができない商標として規定している。
これを本件についてみるに、本願商標を構成する「手描きチャット」の文字は、前記認定のとおり、全体として「手で書くメッセージのやりとり」を表すものとして理解されているといえるものである。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品中、「手で書くメッセージのやりとりができる電子計算機用プログラム」以外の「電子計算機用プログラム」に使用するときは、あたかもこの商品が「手で書くメッセージのやりとりができる電子計算機用プログラム」であるかのように商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 むすび
以上によれば、本願商標の指定役務について論及するまでもなく、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-04-05 
結審通知日 2011-04-12 
審決日 2011-04-26 
出願番号 商願2008-68987(T2008-68987) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X0935)
T 1 8・ 13- Z (X0935)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長柄 豊 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 吉野 晃弘
末武 久佳
商標の称呼 テガキチャット、テガキ、チャット 
代理人 平井 良憲 

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