ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X05 |
---|---|
管理番号 | 1238490 |
異議申立番号 | 異議2010-900302 |
総通号数 | 139 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-07-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-09-27 |
確定日 | 2011-05-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5333204号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5333204号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5333204号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2008年11月11日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成21年5月11日に登録出願され、平成22年5月26日に登録査定され、第5類「カプセル状の鎮痛剤,その他のカプセル状の薬剤」を指定商品として同年6月25日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(引用「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)に掲げるとおりである。 (1)登録第3124429号商標 商標の構成:OXYCONTIN 登録出願日:平成5年3月26日 設定登録日:平成8年2月29日 指定商品 :第5類「薬剤」 (2)登録第3167162号商標 商標の構成:オキシコンチン 登録出願日:平成5年7月8日 設定登録日:平成8年6月28日 指定商品 :第5類「薬剤」 (3)登録第4502485号商標 商標の構成:OxyContin (標準文字) 登録出願日:平成12年9月11日 設定登録日:平成13年8月31日 指定商品 :第5類「薬剤」 (4)登録第4503914号商標 商標の構成:オキシコンチン (標準文字) 登録出願日:平成12年9月11日 設定登録日:平成13年9月7日 指定商品 :第5類「薬剤」 上記各登録商標は、いずれも現に有効に存続しており、以下、これらを一括して単に「引用商標」という。 3 登録異議申立ての理由の要点 (1)申立人は、1957年にスイス国バーゼルで設立され、慢性疼痛、呼吸器疾患の治療薬、消毒薬などを専門領域とする製薬企業グループのための国際貿易とライセンス関連の業務を行う会社として機能するようになり、現在、100か国以上における有力企業と業務提携を行っている。日本では、1989年に塩野義製薬株式会社(以下「塩野義製薬」という。)と業務提携して以来、持続性癌疼痛治療剤(硫酸モルヒネ徐放錠「MSコンチン」、塩酸オキシコドン徐放錠「OxyContin(オキシコンチン)」)の製造・販売を行っているほか、2002年には日本法人「ムンディファーマ株式会社」(以下「ムンディ社」という。)を発足させている。 (2)癌疼痛治療法で中心となるのは、医療用麻薬である「オピオイド鎮痛薬」(痛みを和らげる医療用鎮痛剤の総称)であり、我が国では代表的なものとしてモルヒネ、フェンタニル、オキシコドンがある。 我が国における疼痛治療の普及は世界各国に比べ立ち遅れていたが、ムンディ社と塩野義製薬による「オキシコンチン(OxyContin)」などの癌疼痛治療薬(医療用麻薬)の啓蒙・普及活動を通じて、我が国の市場規模全体の拡大が図られた。 (3)引用商標は、持続性癌疼痛治療剤(塩酸オキシコドン徐放錠)に使用する商標として採択されたものであり、我が国においては、申立人の使用権者である塩野義製薬によって、引用商標に係る「オキシコンチン(OxyContin)」(塩酸オキシコドンを有効成分として製剤化した経口徐放錠)について2003年4月16日に製造承認を受け、同年7月7日に発売開始され、各種医療専門誌・新聞等に紹介されたほか、医療関係者に対する販売促進活動やパンフレットの配布が行われている。 我が国における「オキシコンチン(OxyContin)」関連商品の売上高は年々増加し2007年度には66億円に達し、2009年度におけるオピオイド鎮痛薬全体のマーケットシェアは25.7%となっている。 以上より、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録時には申立人及びその使用権者の業務に係る商品を表示する商標として周知・著名となっていた。 (4)本件商標の「remoxy」は、中央の「o」が図案化されている関係で「rem」と「oxy」の文字を結合させたものと理解できるのに対し、引用商標「OxyContin」も「Oxy」と「Contin」の文字の結合と容易に理解できるものであり、両者は構成中に「OXY」の文字を含む点において外観上の類似性が認められる。 そして、引用商標の周知著名性、本件商標及び引用商標の指定商品の性質・用途・目的における関連性、需要者・取引者の共通性・注意力、取引実情等を併せ考慮すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、商品の出所について混同を生じ、ひいてはその品質についても誤認を生じさせる蓋然性が極めて高いといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 4 当審の判断 (1)引用商標について 申立人の提出に係る証拠によれば、申立人の日本法人たるムンディ社は塩野義製薬と業務提携をしていること、塩野義製薬によって2003年7月に持続性癌疼痛治療剤「オキシコンチン錠」(一般名「塩酸オキシコドン徐放錠」)が新発売されたこと、該新発売については日経産業新聞、日刊工業新聞、日本工業新聞、薬事日報等各種新聞に報道されたこと、ムンディ社と塩野義製薬は、オキシコンチン等の癌疼痛治療薬の適正使用や疼痛治療について啓蒙活動を行っていること、その一環として啓発テレビコマーシャルが放映されていること、持続性癌疼痛治療剤「オキシコンチン錠」(OxyContin)については、医療関係者向けのパンフレットが発行されているほか、雑誌広告、チラシ広告、雑誌・新聞記事報道等が行われていること、「オキシコンチン」(OxyContin)関連商品は、発売以来着実に売上を伸ばし、2007年度にはその売上高が66億円に達していること、などが認められる。 以上を総合すると、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人及び通常使用権者たる塩野義製薬の業務に係る癌疼痛治療薬(塩酸オキシコドン徐放錠)について使用する商標としてこの種業界における取引者・需要者の間に広く認識されていたものといえる。 もっとも、申立人提出の証拠を精査しても、引用商標を「OXY」又は「Oxy」の文字と「CONTIN」又は「Contin」の文字とを分離して表示したり、単に「OXY」、「Oxy」又は「オキシ」と省略して使用されている例は一切見当たらないから、引用商標は、あくまでも一連一体のものとして知られているものというべきである。 (2)本件商標と引用商標との対比 本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、上段に大きく顕著に表された「remoxy」の文字部分自体が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであるから、これより「レモクシー」又は「レモキシー」の称呼を生ずるものといえる。なお、下段に表された「(oxydone controlled-release)capsules」の文字部分は、指定商品との関係において、商品の品質、形状等を表したものと認識し理解され、それ自体からは自他商品識別標識としての独立した称呼は生じないものというべきである。 他方、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、いずれも「オキシコンチン」の称呼を生ずるものである。 しかして、本件商標から生ずる「レモクシー」及び「レモキシー」の称呼と引用商標から生ずる「オキシコンチン」の称呼とは、構成音数が異なるばかりでなく、構成する殆どの音を異にするものであって、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感・音調が明らかに相違し、容易に区別できるものである。 そして、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。この点に関し、申立人は、本件商標と引用商標とは「OXY」を含む点において外観上の類似性を有する旨主張するが、本件商標の「remoxy」の文字部分及び引用商標は、いずれも一連一体のものとして看取されるものであり、これらから「OXY」の文字部分のみを分離抽出して観察すべき格別の理由は見出し難いから、申立人の主張は採用することができない。 また、本件商標の「remoxy」の文字部分及び引用商標は、既成の親しまれた観念を有する成語を表したものとはいえないから、観念上両者を比較すべくもない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。 (3)商品の出所混同のおそれについて 前示のとおり、引用商標が需要者・取引者・需要者の間に広く認識されているとしても、また、本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品との関連性や需要者の共通性、取引者・需要者の注意力等を考慮したとしても、本件商標と引用商標とは、共通点のない全く別異のものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標ないしは申立人、塩野義製薬等を連想、想起するようなことはないものというべきであり、該商品が申立人、塩野義製薬又はこれらと経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2011-04-25 |
出願番号 | 商願2009-34591(T2009-34591) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X05)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 石井 千里、前山 るり子 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
内山 進 瀧本 佐代子 |
登録日 | 2010-06-25 |
登録番号 | 商標登録第5333204号(T5333204) |
権利者 | キング ファーマシューティカルズ リサーチ アンド ディベロップメント インコーポレイテッド |
商標の称呼 | レモキシー、レモクシー、オキシコドンコントロールドリリースカプセルズ、オキシコドンコントロールドリリース |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 石田 昌彦 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 加藤 ちあき |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 辻居 幸一 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 藤倉 大作 |