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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X010332
管理番号 1238475 
審判番号 不服2010-18645 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-18 
確定日 2011-06-06 
事件の表示 商願2009-50829拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第1類「食品添加剤(化学品に属するものに限る),化粧品の原料となるナノ金属白金コロイドとポリソルベート80と精製水とから構成される化学品」、第3類「化粧品」、第30類「白金コロイドを原料とする液状の加工食品」及び第32類「清涼飲料水」を指定商品として平成21年7月6日に登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における平成22年2月25日付け及び当審における同年8月18日付け手続補正書によって最終的に第30類の指定商品が削除されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4603594号商標(以下「引用商標1」という。)は、「サイ」の片仮名と「菜」の文字を2段に横書きした構成よりなり、平成10年10月6日登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として同14年9月13日に設定登録されたものである。
(2)登録第4621501号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成11年2月19日登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料(トマトジュースを除く。),乳清飲料」を指定商品として同14年11月15日に設定登録されたものである。
(3)登録第4857039号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成16年8月17日登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつげ」を指定商品として同17年4月15日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめていうときは、「引用各商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、左上部に文字をモチーフとしたと思しき図形と、その右下に「SAI」の欧文字を配してなるところ、その図形部分と文字部分は分離して配置され、また、図形部分を構成している線の形状及び太さと文字部分を構成している線の形状及び太さが、明らかに異なるものであることから、両者は、視覚上明らかに分離して認識されるものである。
そして、図形部分は、漢和辞書等に記載された文字を図案化したものではないから、特定の意味を有しないものであり、また、文字部分も、一般的な辞書には記載されていないものであるから、特定の意味を有しない造語と認識、把握されるものである。
そうとすれば、図形部分と文字部分は、視覚上及び意味上においてこれらを常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならないとする特段の事情はなく、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえるから、本願商標は、これに接する取引者、需要者が「SAI」の文字部分のみを捕らえて取引にあたることも少なくなく、該文字から、ローマ字読み風の「サイ」の称呼を生ずるものであり、また、これからは、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標1について
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「サイ」と「菜」の文字を上下2段に横書きした構成からなるところ、上段の「サイ」は、下段の「菜」の読みを表したものと認められる。
そして、「菜」は、「サイ」と読むときは「副食物。おかず。」(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)を意味することから、引用商標1からは、それぞれの文字に相応し「サイ」の称呼及び「おかず」の観念を生ずるものである。
(3)引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、中央に白線で葉を表したと思しき図形が描かれた灰色の横長長方形内に、「SAI」と「菜」の文字を上下2段に配してなるところ、図形部分は、文字を際だたせるための背景図形と認識し得るものであるから、文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められる。
そして、文字部分についてみるに、中央上方に太字で、顕著に表された「SAI」は、下段の「菜」の読みを表したものと認められるから、引用商標2からは、前記(2)と同様に、「菜」及び「SAI」の文字に相応して「サイ」の称呼及び「おかず」の観念を生ずるものである。
(4)引用商標3について
引用商標3は、別掲3のとおり、正方形の輪郭線の中に「Sai.」と表してなるところ、その構成中の「Sai」の文字は、前記(1)と同様に、ローマ字読み風の「サイ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じないものである。
(5)本願商標と引用各商標の類否について
ア 本願商標と引用商標1及び2の類否について
前記(1)ないし(3)によれば、本願商標と引用商標1及び2は、外観については相違し、観念については、本願商標が特定の観念を有しないものであるから比較することはできないとしても、「サイ」の称呼を共通にする類似の商標である。
そして、本願商標の指定商品中、「清涼飲料水」は、引用商標1及び2の指定商品中、「清涼飲料」に含まれるものである。
イ 本願商標と引用商標3の類否について
前記(1)及び(4)によれば、本願商標と引用商標3は、外観については相違し、共に特定の観念を有しないから、観念においては比較することはできないとしても、「サイ」の称呼を共通にする類似の商標である。
そして、本願商標の指定商品中、「食品添加剤(化学品に属するものに限る),化粧品の原料となるナノ金属白金コロイドとポリソルベート80と精製水とから構成される化学品」と、引用商標3の指定商品中、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」は、共に「化学品」の範疇の商品であるから、類似する商品であり、また、本願商標の指定商品中、「化粧品」は、引用商標3の指定商品中、「化粧品」と同一の商品である。
(6) まとめ
以上のとおり、本願商標と引用各商標は、類似の商標であり、本願商標の指定商品は、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
請求人は、過去の判決例を挙げて本願商標もこれと同様に登録されるべきであると主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の判決例の判断に拘束されることなく、個々の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものである。
また、請求人は、本願商標の図形部分が、「大事なものを入れる器」のイメージを表現していること等をもって、本願商標の図形部分と文字部分が不可分一体のものとして観察すべき旨主張しているが、当該図形部分は、前記(1)で認定したとおり、特定の観念を生ずるものとは認められず、また、図形部分と文字部分を一体のものとして観察すべき特段の事情も認められない。
さらに、請求人は、引用商標2及び3が使用されていないことをもって、出所の混同を生じない旨主張しているが、商標法第4条第1項第11号にいう先願の「他人の登録商標」は、後願の同一又は類似商標の出願時(査定時)において、現に有効に存在しているものであれば足り、現実に使用されていることを必要とするものではない。仮に、現実の使用の有無を取引の実情として考慮するとしても、その使用の蓋然性が否定できない以上、類似の商標を同一又は類似の商品に使用した場合に商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは否定できず、商標法第4条第1項第11号該当性を否定することはできないと解される。(平成17年(行ケ)第10418号 平成17年10月26日判決言渡)
そして、本件において、引用商標2及び3の使用の蓋然性を否定する事情を認めるに足りる証拠は無い。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(8)結語
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標


2 引用商標2

(色彩は原本参照)

3 引用商標3



審理終結日 2011-03-31 
結審通知日 2011-04-01 
審決日 2011-04-15 
出願番号 商願2009-50829(T2009-50829) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X010332)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 照美 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官
末武 久佳
大森 友子
商標の称呼 カカ、サイ、エスエイアイ 
代理人 菅野 中 

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