• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない X1639
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X1639
管理番号 1238472 
審判番号 不服2009-13565 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-29 
確定日 2011-06-06 
事件の表示 商願2008-44132拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「フリックス」の片仮名と「FLIX」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、第16類「プラスチック製包装用マット」及び第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,貨物の積卸し,引越の代行,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり,倉庫の提供」を指定商品及び指定役務として、平成20年6月6日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品及び指定役務については、平成21年1月14日付け手続補正書、同年7月29日付け手続補正書及び22年8月31日付け手続補正書により補正されたものであるが、当審において、同22年6月7日に、平成21年1月14日付け及び同年7月29日付けで補正された指定商品「プラスチック製物品固定用マット」は、要旨を変更するものとして、商標法第55条の2第3項で準用する同法第16条の2第1項の規定により補正の却下の決定をしたところ、これらの決定はいずれも確定した。
その結果、本願商標の指定商品及び指定役務は、第39類の指定役務が削除され、第16類「プラスチック製の発泡体のビーズを緩衝体に用いた包装用マット」となった。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した国際登録第876115号商標(以下「引用商標」という。)は、「FLIX」の欧文字を横書きしてなり、2005年(平成17年)5月31日に国際商標登録出願、第20類、第21類及び第43類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年12月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、前記第1のとおり、「フリックス」の片仮名と「FLIX」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「FLIX」の欧文字は、「毛皮、綿毛」(「研究社新英和大辞典第6版」株式会社研究社 2002年3月発行)の意味を有するものであるが、該語が我が国において一般に親しまれているものではなく、本願商標の指定商品に係る需要者においても良く知られた語とみるべき特段の事情を見いだせないから、一種の造語と認識されるものである。
そして、その構成中の「フリックス」の片仮名は、該「FLIX」の欧文字から生ずる読みを特定したものと無理なく認められるものである。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して「フリックス」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じないものである。
2 引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「FLIX」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、本願商標の欧文字部分と同じつづり字からなるものであるから、前記と同様の理由により、一種の造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じないものである。
しかして、一般的には、特定の意味合い又は特定の読みを有しない欧文字にあっては、これに接する取引者、需要者は、我が国において親しまれた外国語である英語読み又はローマ字読みをもって称呼するとみられるものであるところ、我が国において一般に親しまれた英語の「flip」を「フリップ」、「flicker」を「フリッカー」、「MIX」を「ミックス」、「six」を「シックス」と発音する例に倣い、引用商標は、英語読み風の「フリックス」の称呼を生ずるものである。
3 商標の類否について
前記1及び2によれば、本願商標と引用商標との類否は、以下のとおり判断することができる。
本願商標と引用商標の外観については、「フリックス」の片仮名の有無の差異を有するとしても、「F」「L」「I」「X」のつづり字を同じくするものであるから、外観において類似するとまではいえないとしても似通った印象を与えるものである。
次に、本願商標と引用商標の称呼については、「フリックス」の称呼を同じくするものである。
また、本願商標と引用商標とは、観念において比較することができないから、観念をもって類似しないということができない。
以上を総合すると、本願商標と引用商標とは、類似する商標ということができる。
4 商品の類否について
指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとい、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、それらの商標は商標法4条1項11号にいう「類似の商品」に当たると解するのが相当である(最高裁昭和33年(オ)第1104号昭和36年6月27日第三小法廷判決、同旨判決平成21年(行ケ)第10031号平成21年6月25日判決参照)。
これを本件についてみると、本願商標の指定商品は、前記第1のとおり、「プラスチック製の発泡体のビーズを緩衝体に用いた包装用マット」(以下「本願商品」という。)であり、願書に添付された「商品の説明書」には、該商品は、「上下に重ねた柔軟なプラスチックの気密シート間に、プラスチックの発泡粒状体(プラスチックビーズ)の適量を収容して周縁を気密に封止し、シートの一部に給排気栓を取り付けたプラスチック製包装用マットである。使用に際しては、マットを2つ折りにしてその間に包装すべき物品を挟み、給排気栓を通してマットのシート間を脱気する。脱気されるにしたがって、発泡粒状体の相互は密着状態となり、マットは物品の形状をかたどってマットを固化させ、マット間に物品を安定に保持する。2つ折りにしたマットの開口縁はファスナーやマジックテープなどを用いて止める。」と記載されている。
してみると、本願商品は、願書に記載された表示などからすれば、ビーズを緩衝材として用いたマット状の形状からなり、原材料を「プラスチック」とし、用途を「包装」とすることが明らかである。
他方、引用商標の指定商品及び指定役務は、別掲のとおりの商品及び役務からなるところ、その内、「boxes of plastic」及び「packaging containers of plastic」(以下、これらをまとめていうときは「引用商品」という。)は、前者が「プラスチック製の箱」、後者が「プラスチック製包装容器」と解されるものである(商品・サービス国際分類表第8版〔http://www1.ipdl.inpit.go.jp/nice/index.html〕第20類参照)。
しかして、「boxes of plastic」(プラスチック製の箱)は、通常角形の器からなり、原材料を「プラスチック」とするものであって、その商品の表示自体は、用途を特定するものではないとしても、その用途に「包装」が含まれないと解すべき合理的な理由が見いだせないうえ、プラスチック製の箱は、包装用の容器として普通に取引されているのが実情であるから、該「boxes of plastic」(プラスチック製の箱)は、用途を「包装」とする場合もあるといい得るものである。
また、「packaging containers of plastic」(プラスチック製包装容器)は、その表示自体から、被包装物を入れる器状の形状からなり、原材料を「プラスチック」とし、用途を「包装」とすることが明らかである。
ところで、本願商品と引用商品は、上記のとおり、いずれも用途を「包装」とするところ、「包装」とは、「物品の輸送、保管などに際して、その価値および状態を保護するために適切な材料、容器などを物品に施す技術および状態をいう」(「商品大辞典」東洋経済新報社 1996年4月15日発行)ものであり、その目的と機能は、流通過程で生じる物理的・化学的・生物的障害や危難(動物の危害や盗難)から内容物を保護し、品質の保全をはかる(前出「商品大辞典」)ことにある。そして、かかる目的をはかるためのプラスチックコンテナやプラスチック製緩衝材などは、同一の企業が普通に取り扱っているのが実情といい得るものであり、いずれも物品の輸送、保管などをする者を、その需要者層とするものであるとみて差し支えない。
このことは、インターネットにおけるウェブサイトに以下のような記載があることからも十分に裏付けられるところである。
(1)株式会社ヤマコーに係るウェブサイトにおいて、「プラダンコンテナ」の見出しの下、「"コンテナ"とは内部に物を納める容器のことです。プラダンコンテナは貨物輸送に使われる大型のものではなく、人が手で運べる小型の箱です。」、「緩衝材」の見出しの下、「ビーズ状発泡タイプ」の小見出しに「ビース状発泡タイプは断面はビーズ状の粒の集まりを圧縮した感じです。」、「プラダン」の見出しの下、「プラダンとは紙段ボールと同じ形状をしたポリプロピレン性の中空シートです。」との記載(http://www.yamakoh.com/box/container/index.html http://www.yamakoh.com/box/cushion.html http://www.yamakoh.com/box/pladan.html)。
(2)積水化成品工業株式会社に係るウェブサイトにおいて、「魚函 発泡ポリスチレン製魚函」の見出しの下、「魚函は発泡スチロールの代表的用途のひとつです。」、「ライトロンボード 無架橋高発泡ポリエチレンボード」の見出しの下、「軽量物の緩衝を重視したタイプの緩衝材で、適度の硬さとねばりを持ち、クッション性、断熱性、耐薬品性などの優れた特性を持っています。」との記載(http://www.sekisuiplastics.co.jp/products/gyobako/index.html http://www.sekisuiplastics.co.jp/products/lightron-board/index.html)。
(3)株式会社第一に係るウェブサイトにおいて、「物流梱包資材」の見出しの下、「物流コンテナや緩衝材、保護シート、梱包資材等、幅広く取り扱っております。」、「コンテナ・容器」の小見出しに「ダンボールプラスチックコンテナ」、「梱包資材」の小見出しに「緩衝材」との記載(http://www.d-1.co.jp/general-standard/logistics.html)。
(4)田島梱包資材株式会社に係るウェブサイトにおいて、「荷造・梱包資材」の見出しの下、「プラスチック機器」の小見出しに「プラスチックコンテナー各種」、「緩衝材・養生材」の小見出しに「発泡スチロール、ウレタンフォーム」などの記載(http://www.tajimakonpou.jp/product-01.html)。
(5)山陽パッケージシステム株式会社に係るウェブサイトにおいて、「プラスチックコンテナー」の見出しの下、「プラスチックコンテナは保管・運搬用容器として、多く業界で重要な役割を果たしています。・・・当社は多くのプラコンメーカーの登録代理店として、これらプラスチックコンテナをご提供しています。また、これらに個別製品の特性に合わせ、緩衝材を設計し、よりお客様の目的に合致した物流包装資材をご提案しています。」、「緩衝材真空トレー」の見出しの下、「商品を傷つけないよう各商品の形状にあわせ、別注で製作しご提供しています。プラスチックコンテナやプラスチック段ボール、強化段ボールと組みあわせお客様の用途、製品特性に合せたご提案をしています。」との記載(http://www.sanpake.co.jp/14/13/ http://www.sanpake.co.jp/14/15/)。
(6)株式会社タカハシに係るウェブサイトにおいて、「プラスチックコンテナ」の見出しの下、「各種プラスチックコンテナ(プラスチック製の箱)を販売いたしております。」、「緩衝材」の見出しの下、「エアーキャップ、プチプチ、バラ緩衝材、空気緩衝材、エアピロ、エコタイプ緩衝材、クッション封筒、インスタパックを販売いたしております。・・・緩衝材は商品の衝撃からのダメージを和らげ、商品の安全な輸送をするために主に使われています。」との記載(http://www.takapack.com/houzai_box/box/box_puracon.htm http://www.takapack.com/kanshozai/houzai_kanshozai.htm)。
そうとすると、本願商品がビーズを緩衝材として用い、被包装物の形状をかたどってマットを固化させて被包装物を安定に保持するものであって、引用商品と機能を異にするとしても、本願商品と引用商品とは、いずれも原材料、用途を同じくする上、流通経路、需要者層をも同じくするというべきであるから、両者は、同一又は類似の商標が使用されるときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認・混同するおそれがあると認められ、商標法第4条第1項第11号にいう「類似の商品」に該当するというのが相当である。
これに対して、請求人は、本願商品は、物品を外箱内に収容したときの詰め物(パッキン)としての「固定・緩衝」の機能を実現する、従来宅配業界には存在しなかった新商品で、既存のプラスチック包装容器の類とは全く機能が異なる商品であり、マットとマット内に充填する発泡ビーズが合成樹脂であって、同じ包装用であっても、プラスチックで一体成型されている引用商品とは明らかに物品が異なり、その原材料、機能又は用途において大きく相違するから、本願商標と引用商標がそれぞれの指定商品について使用されたとしても、その商品が同一営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認混同されるおそれはなく、両商品は類似するものではない旨主張する。
しかし、商標の類否判断に当たり考慮すべき取引の実情は、当該商標が現に、当該指定商品に使用されている特殊的、限定的な実情に限定して理解されるべきではなく、当該指定商品についてのより一般的、恒常的な実情、例えば、取引方法、流通経路、需要者層、商標の使用状況等を総合した取引の実情を含めて理解されるべきである(最高裁判第一小法廷昭和49年4月25日判決・昭和47年(行ツ)第33号、同旨判決平成20年(行ケ)第10285号平成20年12月25日判決参照)。
そうすると、本願商品は、たとえ、従来には存在しない商品であるとしても、本願商品に係る限定的な実情を基にした類否判断は適切ではない。そして、包装の目的と機能は、上記のとおり、流通過程で生じる物理的・化学的・生物的障害や危難から内容物を保護し、品質の保全をはかるものであって、本願商品と同様に「固定・緩衝」の機能を実現するといい得る緩衝材は、包装用の商品を取り扱う業界において、普通に取引されているというべきである。
ところで、願書の「【指定商品(指定役務)】」の欄に記載する指定商品は、商品の内容及び範囲を明確に理解することができる表示をもって記載する(商標法施行規則様式第2備考11イ)と規定されているのであるから、本願商品の内容及び範囲は、本願に係る願書の「【指定商品(指定役務)】」の欄に記載された表示をもって特定されるところ、本願商品は、その表示中に、「プラスチック製」及び「包装用」との記載があるのであるから、原材料及び用途において、引用商品と同じものであることが明らかである。
してみると、本願商品と引用商品とは、原材料、用途が相違する旨の請求人の主張は、前提を欠くものである。
そして、本願商品と引用商品とは、機能を異にする場合があり、形状をも異にするとしても、上記のとおり、両者は、原材料、用途のほか、流通経路、需要者層をも同じくするというべきであるから、本願商標と引用商標がそれぞれ本願商品、引用商品について使用されるときは、その商品が同一営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認混同されるおそれがあり、両商品は類似するものである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
5 取引の実情
本願商標と引用商標とは、その商品の出所について混同を生ずるおそれがないとみるべき特段の取引の実情が見当たらない。
6 小括
以上を総合して考慮すれば、本願商標と引用商標とは、称呼を共通にし、外観においても近似した印象を与えるものであるから、両商標は類似するものというのが相当であり、両商標を同一又は類似の商品に使用した場合には、その商品の出所について混同が生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
7 むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標の指定商品及び指定役務
第20類「Furniture, including stands and racks; folding, stowable, modular furniture, tables with removable table tops or serving trays; furniture, especially adapted for the catering industry, particularly for self-service restaurants; furniture, made from wood or substitutes for wood; bands of cork or substitutes for cork; screens of reed or substitutes for reed; chairs of cane and whicker or substitutes therefor; statuettes of wood, wax, plaster or plastic; boxes of plastic; packaging containers of plastic; plastic and wooden sculptures; furniture fittings, not of metal namely removable panels of wood, or plastic; furniture and furniture fittings especially detachable trays of wood of plastics; mirrors.」
(審決注:和訳)「家具(スタンド及びラックを含む。),折畳み式・収納型・モジュラー式の家具,取外し可能な天板の付いた食卓,家具、特にケータリング産業用、特にセルフサービス式レストラン用のもの,木製又は木材の代用品からなる家具,コルク又はコルクの代用品からなるバンド,葦又はその代用品製つい立て,籐及び柳又はそれらの代用品製の椅子,木製・ろう製・石膏製又はプラスチック製の小像,プラスチック製箱,プラスチック製包装容器,プラスチック製及び木製の彫像,家具用の金具(金属製のものを除く。)、すなわち木製又はプラスチック製の取外し可能なパネル,家具及び家具用附属品、特に木製・プラスチック製の取外し可能なトレイ,鏡 」
第21類「Utensils and containers for household and kitchen as far as included in this class; unworked or semi-worked glass; glassware, porcelain and earthenware (included in this class); vases, not of precious metal; candle holders, not of precious metal; candle holders, not of precious metal, for outdoor use. 」
(審決注:和訳)「家庭用及び台所用の用具及び容器(本類に属するものに限る。),未加工又は半加工のガラス(建築用のものを除く。),ガラス製品,磁器製品及び陶器製品(本類に属するもの。),花瓶(貴金属製のものを除く。),ろうそく立て(貴金属製のものを除く。),屋外用のろうそく立て(貴金属製のものを除く。) 」
第43類「Services for providing food and drink; food and drink catering. 」
(審決注:和訳)「飲食物の提供,ケータリング(飲食物)」

審理終結日 2011-03-31 
結審通知日 2011-04-01 
審決日 2011-04-15 
出願番号 商願2008-44132(T2008-44132) 
審決分類 T 1 8・ 264- Z (X1639)
T 1 8・ 262- Z (X1639)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門倉 武則 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 末武 久佳
大森 友子
商標の称呼 フリックス 
代理人 菅野 中 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ