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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y16 審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y16 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y16 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y16 |
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管理番号 | 1238414 |
審判番号 | 無効2009-680002 |
総通号数 | 139 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-07-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2009-09-30 |
確定日 | 2011-04-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の国際商標登録第0923317号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 国際商標登録第0923317号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 国際登録第923317号商標(以下「本件商標」という。)は、「PLATIGNUM」の欧文字を横書きしてなり、2006年(平成18年)10月26日に国際商標登録出願、第16類「Writing instruments,drawing pens,pens for use in marking charts,fountain pens,stylographic pens,ball-pointed writing instruments,pen nibs,writing sets comprising a pen and a pencil,pencils (non-mechanical),propelling pencils,refills for ball-pointed writing instruments,leads for pencils,ink (stationery),ink wells,ink blotters,blotting pads,pen and pencil erasers,drawing rulers,drawing pins,penholders,pen stands,pen trays,desk sets comprising a stand for a pen together with a pen,pencil cases and ink stands (none being of precious metal or coated therewith) and parts of the aforesaid goods;printed matter and books,stationery;adhesives (stationery);devices for dispensing adhesives (office);artists’ materials (other than colours or varnish);paint brushes;teaching materials (other than apparatus);painting boards,paint brush holders,paint brush rings,paint boxes,painting canvas,painting paper,paintings,painting utensils,palettes;kits (sold complete) of materials for painting,comprising painting brushes,paper,painting canvas and palette.」を指定商品として、平成20年2月13日に登録査定、同年5月9日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の無効の理由に引用する登録商標は、次の1ないし3のとおりであり、現に有効に存続しているものである。 1 登録第1555952号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:PLATINUM 登録出願日:昭和49年12月23日 設定登録日:昭和57年12月24日 書換登録日:平成15年12月24日 指定商品 :第16類「文房具類」 2 登録第316635号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲1に示すとおり(横長長方形内に、「PLATINUM」「プラチナ」「白金」の文字を3段に表示した構成) 登録出願日:昭和13年10月15日 設定登録日:昭和14年5月18日 書換登録日:平成21年5月13日 指定商品 :第16類「文房具類(海綿・紙製下げ札・紙製シール・紙製しおり・紙製値札・紙製はり札・紙製文房具・紙製及び布製のラベル・革ふみばこ・黒板・三角定規・定規・接着テープ・そろばん・短冊・地球儀・分度器・水引・指サック・トレーシングクロスを除く。)」 3 登録第374902号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲2に示すとおり(地球と思しき図形上に、「S☆N」及び「Platinum」の文字を配した構成) 登録出願日:昭和22年8月12日 設定登録日:昭和24年4月6日 書換登録日:平成21年5月13日 指定商品 :第16類「文房具類(海綿・紙製下げ札・紙製シール・紙製しおり・紙製値札・紙製はり札・紙製文房具・紙製及び布製のラベル・革ふみばこ・黒板・三角定規・定規・接着テープ・そろばん・短冊・地球儀・分度器・水引・指サック・トレーシングクロスを除く。)」 (以下、上記登録商標を一括していうときは、単に「引用商標」という。) 第3 請求人の主張 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第44号証を提出した。 1 請求の理由 (1)申立の根拠について 本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、本件商標は商標法第46条第1項第1号の規定に基づき無効とされるべきである。 (2)商標の類似性について 本件商標「PLATIGNUM」と引用商標1「PLATINUM」は、外観上彼此相紛らわしい形象であり、引用商標2及び3についても、「PLATINUM」の文字を含む点で引用商標1と同様であるから、本件商標と引用商標は、外観上近似した印象を与える類似の商標である。次に、称呼についてみるに、例えば「foreigner」(フォリナー)等の「g」が発音されない語の例に倣えば、本件商標「PLATIGNUM」から極めて自然に「プラチナム」の称呼をも生じ、一方、引用商標からは、その構成中の「PLATINUM」又は「Platinum」の文字に相応し、「プラチナム」の称呼が生ずるから、両商標は、称呼において、互いに相紛れるおそれのある商標であり、観念的にも、本件商標が「プラチナ若しくは白金」と把握されるものであって、引用商標から生ずる「プラチナ若しくは白金」の観念と、互いに相紛れるおそれのある商標である。 なお、仮に、本件商標の「PLATIGNUM」から、「プラチグナム」の極めて不自然な称呼を生ずる場合があるとしても、差異音「グ」は明確に聴取され難い音であって、語調、語感が近似した、互いに紛らわしい称呼であるから、本件商標と引用商標とは、称呼上近似した印象を与える類似の商標である。「グ」の音の有無における類似性の立証として、過去の審決例(甲第9号証ないし甲第11号証)を挙げる。次に、観念について検討するに、既成語である「PLATINUM」の正しいスペルを全ての取引者、需要者が把握している訳ではないことを考慮すると、本件商標が引用商標を想起させるおそれがある点で、両商標は観念上も近似した印象を与える類似の商標である。したがって、本件商標に含まれる「G」の文字に着目することなく、商標の外観、観念、称呼等によって与えられる印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察し、両商標について混同を生ずるおそれがある。 (3)引用標章の著名性について ア 1919年(大正8年)に万年筆の事業を開始した、請求人の初代社長が、請求人の前身である中屋製作所を創立し、自社製万年筆のブランド名として、「PLATINUM」を採用し、その後、現在に至るまで、90年間にわたり、営業活動を継続し、請求人商品に商標「PLATINUM」は使用され続けてきたものである。 イ 請求人は、商品「万年筆」を中心として、売上げを伸ばし、現在は、ボールペン、シャープペンシル等多種の筆記用具を製造販売し、売上高は、2006年が43.8億円、2007年が45.4億円、2008年が46.6億円であるほか、その商品について、書籍(甲第14号証ないし甲第22号証)、雑誌(甲第23号証ないし甲第33号証)、新聞(甲第34号証ないし甲第38号証)等の刊行物を中心として宣伝広告に努めている。 ウ 請求人は、万年筆の分野では、国内3大メーカーの一つとして知られており(甲第39号証)、更なる売上げの拡大に合わせて生産能力の向上にも努めている(甲第40号証)。 請求人は、国内のみならず海外においても商品の宣伝広告を盛大に行い、また、請求人の商品は外国の書籍でも紹介されている(甲第41号証及び甲第42号証)。 エ さらに、イギリスのオークションハウス「BLOOMSBURYAUCTION」のコレクターズ・デパートメント部長を勤めた経験があり、万年筆愛好家としても知られているAlexander crum Ewing(アレクサンダー・クラム・ユーイング)氏の著書「The Fountain Pen(Quintet Publishing Limitedにより1997年に発行)」の中において、請求人は一流品質の万年筆の製造業者として紹介されている(甲第43号証)。同著書の中では、請求人が数回にわたり名称(商号)を変更したこと、請求人商品のブランド名である「PLATINAUM」は、創業以来維持し続けてきたことが記されている。 オ これらの事実及び上述した諸点にかんがみれば、請求人の商標「PLATINAUM」は、国内外を問わず、万年筆を中心とした、筆記用具の分野において、遅くとも、本件商標の出願時には、高い名声、信用、評判を維持するに至った、周知・著名な商標として、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されるに至っているものであり、その周知・著名性は、本件商標の登録時においてはもちろんのこと、現在も維持されているものであるということができる。 (4)小括 してみれば、本件商標は、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている、請求人の所有に係る引用商標と、称呼、観念及び外観において、彼此相紛らわしい類似の商標であるといわなければならないので、これを、その指定商品について使用をするときには、その商品が請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかの如く、誤認、混同を、生じさせるおそれの充分にある商標であるばかりでなく、引用商標と同一又は類似の商品を含んでいるものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号の各規定に違反して登録されたものである。 2 答弁に対する弁駁 本件審判請求は、被請求人の答弁書の中で言及されているような、交渉を有利に進める目的で行ったものではない。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。 1 本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反することなく登録されたものであり、商標法第46条第1項第1号の規定によって無効とされるべきものではない。 2 請求人と被請求人とは、現在、請求人に係る商標「PLATINAUM(プラチナ)」と、被請求人に係る商標「PLATIGNAUM(プラチグナム)」の全世界的な共存契約の締結に向けて交渉を行っている最中であり、敵対関係にはない。本審判請求は、請求人が交渉を有利に進めるべく請求されたものであり、本件商標を無効にすることが目的ではなく、あくまで共存契約の締結が目的であるから、共存契約が締結され次第(あるいは、内容が固まり次第)、速やかに取り下げられるものである。 第4 当審の判断 1 引用標章の著名性について (1)請求人の主張の全趣旨及び提出された証拠によれば、次の事実が認められる。 ア 請求人は、1919年(大正8年)に万年筆の事業を開始し、その後、1928年(昭和3年)に、請求人の前身である中屋製作所は、自社製万年筆のブランド名として、「プラチナ(PLATINUM)」を採用し(甲第15号証、甲第20号証、甲第21号証)、現在に至るまで、万年筆をはじめとする請求人商品に商標を使用した営業活動を継続している。 イ 請求人の主張によれば、ボールペン、シャープペンシル等を含む筆記用具の売上高は、2006年が43.8億円、2007年が45.4億円、2008年が46.6億円となっており、具体的な証拠等の提出はないものの、相応の売上げを上げているであろうことは甲第40号証の新聞記事情報からも推認できるものである。 ウ 請求人の商品及び商標は、万年筆等の筆記用具を紹介する書籍(万年筆のはなし/昭和56年発行、世界のアンティーク万年筆/昭和60年発行、現代筆記具読本/昭和61年発行、文房具の歴史/1994年発行、華麗なる万年筆物語/2003年発行、[日本産]万年筆型録/2004年発行、頑張る日本の文房具/2006年発行、)や、ラピタ(1999年3月号)、ワールド・ムック512 万年筆スタイル(平成16年発行)、万年筆スタイル2(平成17年発行)、趣味の文具箱vol.3、4、7、8、9(2005年、2007年、2008年発行)等の雑誌に取り上げられていることが確認できる(甲第15号証、甲17号証ないし甲第23号証、甲第25号証ないし甲第31号証及び甲第33号証)。 さらに、海外においても、雑誌「Pen World」(2000年発行)において広告宣伝を行い、また、日本の万年筆として、「Fountain Pens Past & Present」(1999年)、「Tne Fountain Pen」(1997年)に紹介されている(甲第41号証及び甲第43号証)。 エ 請求人は、万年筆の分野では、パイロットコーポレーション、セーラー万年筆とともに、国内3大メーカーの一つとして挙げられている(甲第39号証)。 (2)小括 以上のことよりすれば、請求人の商標「PLATINAUM」は、日本を代表する万年筆の一つとして、万年筆を中心とした筆記用具の分野において、遅くとも、本件商標の登録出願時には、周知・著名な商標として、取引者及び需要者の間において、広く認識されるに至っていたと認められるものであり、その周知・著名性は、登録査定時においても継続しているということができる。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標は、「PLATIGNUM」の文字からなるところ、これは既成の親しまれた成語を表したものとは認められないことから、その文字に相応して、英語風あるいはローマ字風に「プラチグナム」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものといえる。 一方、引用商標についてみると、それぞれの構成文字「PLATINUM」に相応し、引用商標1ないし3から「プラチナム」の称呼を生じ、さらに引用商標2からは「プラチナ」、「白金」の構成中の各文字に相応し、「プラチナ」及び「ハッキン」の称呼も生ずる。また、「白金」の観念を生じるものである。 (2)そこで、本件商標と引用商標の類否についてみるに、本件商標から生ずる「プラチグナム」の称呼と引用商標から生ずる「プラチナム」の称呼は、比較的聴取しづらい中間における「グ」の有無の差異を有するにすぎず、さらに、該差異音「グ」は、語頭以外では鼻音となることが多い(広辞苑)、明瞭に聴取し難い音であることから、両称呼をそれぞれ全体として一連に称呼した場合には、語調、語感が近似したものとなり、互いに相紛れるおそれがあるものといえる。 次に、外観についてみるに、本件商標「PLATIGNUM」と引用商標「PLATINUM」は、その構成文字9文字中の8文字を共通にし、かつ、本件商標中に引用商標の欧文字全てを含んでいるものあって、さらに、相違する「G」の文字は紛れやすい中間に位置することからすれば、外観においても近似するということができる。 なお、本件商標からは観念が生じないことから、観念については比較し得ないものである。 (3)してみれば、本件商標と引用商標とは、観念においては比較し得ないとしても、称呼において類似し、外観において近似する、互いに紛らわしい類似の商標であって、本件商標の指定商品のうち、「Writing instruments,drawing pens,pens for use in marking charts,fountain pens,stylographic pens,ball-pointed writing instruments,pen nibs,writing sets comprising a pen and a pencil,pencils (non-mechanical),propelling pencils,refills for ball-pointed writing instruments,leads for pencils,ink (stationery),ink wells,blotting pads,pen and pencil erasers,drawing rulers,drawing pins,penholders,pen stands,pen trays,desk sets comprising a stand for a pen together with a pen,pencil cases and ink stands (none being of precious metal or coated therewith) and parts of the aforesaid goods;stationery;artists’ materials (other than colours or varnish);paint brushes;teaching materials (other than apparatus);painting boards,paint brush holders,paint brush rings,paint boxes,painting canvas,painting utensils,palettes;kits (sold complete) of materials for painting,comprising painting brushes,paper,painting canvas and palette.」については、引用商標と同一又は類似の商品である。 したがって、本件商標は、上記指定商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものというべきである。 3 商標法第4条第1項第15号について (1)上記1及び2のとおり、本件商標と引用商標は、その称呼、外観において、互いに紛らわしい類似の商標と認められるものであって、また、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、万年筆を始めとする筆記用具に使用する商標として周知著名なものといえる。 そして、本件商標中の、前記商標法第4条第1項11号該当以外の商品「Ink blotters,printed matter and books,adhesives (stationery);devices for dispensing adhesives (office);painting paper,paintings.」は、いずれも、文房具店、書店等で一般的に取り扱われるものであって、引用商標の指定商品と販売場所、需要者を共通にするものである。 そうとすれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が、周知著名な商標である引用商標を連想・想起して、これらの商品が請求人、あるいは請求人と経済的又は組織的に何等の関係がある者の業務に係る商品であると誤認するおそれがあるものと認められる。 (2)したがって、本件商標の指定商品中、前記の商標法第4条第1項第11号に該当するとした指定商品を除く、上記記載のその余の指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわなければならない。 4 被請求人の主張について 被請求人は、答弁書において、「無効とされるべきものではない。」と述べるのみで、何ら実質的な反論はおこなっていない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、他の理由(同法第4条第1項第10号)について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 2010-09-22 |
結審通知日 | 2010-09-27 |
審決日 | 2010-11-26 |
審決分類 |
T
1
11・
261-
Z
(Y16)
T 1 11・ 262- Z (Y16) T 1 11・ 271- Z (Y16) T 1 11・ 263- Z (Y16) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松本 はるみ |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 野口 美代子 |
登録日 | 2006-10-26 |
商標の称呼 | プラティグナム、プラチグナム |
代理人 | 岡野 光男 |
代理人 | 山口 現 |
代理人 | 高原 千鶴子 |
代理人 | 大塚 一貴 |
代理人 | 原 隆 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 宇佐見 利二 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |
代理人 | 土屋 良弘 |
代理人 | 田島 壽 |
代理人 | 浅村 肇 |