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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201019401 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 X18
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X18
管理番号 1238404 
審判番号 不服2010-11402 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-27 
確定日 2011-06-20 
事件の表示 商願2008- 16949拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第18類「ハンドバッグ」を指定商品として、平成20年3月6日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係からすれば、その商品の形状の一形態を表したものと容易に認識させる立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法をもって表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、ハンドバッグの立体的形状を有してなるものである。そして、本願商標の形状を子細に見れば、その特徴は、以下のとおりである。
ア 本体部分の正面および背面は、底辺のやや長い台形状であり、左右の側面は、縦長の二等辺三角形状である。
イ 背面から正面上部にかけて覆われている蓋部がある。
ウ 当該蓋部は、略凸型状となるように両サイドに切り込みを有し、横方向に略3等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みが2か所設けられ、本体背面の上端部と縫合されている。
エ 背面上部の左右の端部に縫合がなされ、左右の側面に形成されたタックの山部を貫通し、正面の上部まで延在する左右一対のベルトが設けられている。
オ 前記蓋部の略凸型状の部分と左右一対のベルトとを正面の上部中央にて同時に固定することができる、また、左右のベルトを止めるリング状の固定具が本体正面の上部中央に設けられている。さらに、前記鍵穴状の切込みの外側の位置において、前記蓋部の略凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられている。
カ 本体正面上部及び背面上部に、円弧状をなす一対のハンドルが縫合され、正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられている。
そこで、本願商標の立体的形状が自他商品の識別標識としての識別力を有するか否かについて検討するに、上記したハンドバッグにおける機能的部分である本体部分の形状、背面から正面上部にかけての蓋部分、また、その蓋部分を留めるためのベルトやその金具及びバッグの持ち手部分については、ハンドバッグの基本的な構成部分であって、たとえ、これらの部分において、デザイン化した形状の部分が看られるとしても、その特徴を含めた立体的形状にかんがみると、直ちにハンドバッグの一形態と看取し得るものであることから、本願商標を構成全体としてみた場合、ハンドバッグすなわち商品の一形態の形状として認識されるものといえる。
そうすると、本願商標は、上記のとおり、アないしカの特徴を有するとしても、ハンドバッグの一形態であり、商品の形状であると容易に理解させるものである。
そして、本願の指定商品は、「ハンドバッグ」であることから、本願商標は、その商品の一形態を表したと認識されるものであって、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単にハンドバッグの形状として認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
また、商品「ハンドバッグ」の形状は、種々多様なものが採択、使用されている事実があり、また、形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、その業界において、同種の形状や装飾が採択されている事実をも見受けられる。
してみると、本願商標の立体形状における特徴は、その採択の意図が、自他商品の識別のために施されたものであるとしても、これに接する取引者、需要者は、それが、商品の機能又は美感をより発揮させるために施されたものと理解し、当該商品の形状を表示したものであると認識するに止まるものといえる。
よって、本願商標の立体的形状は、審決時を基準として、客観的に見れば、本願商標の立体形状が、多少特徴を有しているものであっても、未だ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を脱し得ないものと解するのが相当であり、「ハンドバッグ」の形状として、需要者において予測可能な範囲内のものというべきである。
したがって、本願商標の立体形状は、自他商品の出所を表示するための識別標識として機能しているものとはいえず、また、その立体商標の形状の全体を観察しても出所標識としての立体商標識別力を有するものとは認められない。
以上からすると、本願商標は、これを、その指定商品に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表したにすぎないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3項に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人(出願人)は、「仮に、本願商標が商標法3条1項3号に該当すると認められる場合であっても、本願商標は、使用により自他商品識別力を獲得するに至ったものであるから、同条2項に該当し、商標登録が認められるべきである。」旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし第70号証(枝番号を含む。)を提出している。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて検討する。
請求人の主張及び提出に係る各号証によれば、請求人は、1837年、ティエリ・エルメスによりフランスで創業され、バッグ、高級婦人服、アクセサリー等に使用される「HERMES(後の「E」にグレイヴ・アクセントを有す。)」「エルメス」の高級ブランドは、世界的に知られているものである。そして、請求人の商品は、高級ブランド品として世界中で著名であり、かつ人気を博しているが、日本においても極めて高い人気を有しているところである(第1号証、第4号証)。
日本においては、1964(昭和39)年に、株式会社西武百貨店と提携し、渋谷、池袋を始め、名古屋、大阪、札幌等全国に合計15店舗の専門店を出店してから、請求人の店舗は年々増え、現在では札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、熊本、福岡等全国に49の店舗を有する(第50号証)。
そして、本願商標に係るハンドバッグは、1984年から販売されているものであって、我が国においても、同年以来販売されている。また、該ハンドバッグは、フランスの女優である「ジェーン・バーキン」に愛用されたハンドバッグであることから「バーキン」と称されているものであって、請求人の代表的なハンドバッグのブランドとなっているものである。
そして、当該商品の売上高については、2006年が約16.8億円、2007年が約24.5億円、2008年が約37.2億円、2009年が約52.3億円であることが認められる(52号証)。
また、世界的に著名なハンドバッグのブランドとして、ファッション雑誌、新聞等で多数取り上げられているものである(5号証ないし31号証、56号証ないし68号証)。
してみれば、本願商標に係るハンドバッグは、請求人の代表的なハンドバッグのブランドとして、1984年から現在に至るまで27年以上にわたって販売され、ファッション雑誌や新聞等に多数掲載されてきたことに照らすと、本願商標の立体的形状は、独立して自他商品識別力を獲得するに至っており、ハンドバッグの取引者、需要者がこれをみれば、請求人の販売に係るハンドバッグであることを識別することができるといって差し支えないものである。
加えて、本願商標の立体形状に類似する他社製品においては、「バーキン」が極めて高い人気及び著名性を有していることから、これを模倣した類似商品が製造されている実情がうかがえるところである(36号証、37号証、38号証及び第40号証)。
そして、模倣した類似商品は、例えば、「バーキン風」「バーキンタイプ」などとして販売されており、このことからしても、本願商標の立体形状は著名性を有しており、請求人の出所標識として、独立して自他商品の識別力を獲得するに至っていることが理解できるものである。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者間において、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、広く認識することができるに至ったものと認め得るところである。
以上の諸事情を総合すれば、本願商標は、指定商品に使用された場合、請求人の販売に係る商品であることを認識することができ、商標法3条2項の要件を充足するというべきである。
(3)むすび
したがって、本願商標は、その指定商品について、商標法第3条第2項に規定する要件を充たしているものであるから、同法同条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶すべき限りでない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲(本願商標)
第1図


第2図


第3図

(色彩については原本参照。)


審決日 2011-05-31 
出願番号 商願2008-16949(T2008-16949) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (X18)
T 1 8・ 13- WY (X18)
最終処分 成立  
前審関与審査官 黒磯 裕子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 松田 訓子
井出 英一郎
代理人 大澤 俊行 
代理人 泉 潤子 
代理人 高松 薫 

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