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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X3542
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X3542
管理番号 1238312 
審判番号 不服2010-10814 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-20 
確定日 2011-05-23 
事件の表示 商願2009- 63314拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1の構成よりなり、第35類「広告,広告用具の貸与,求人情報の提供,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,競売の運営,書類の複製,建築物における来訪者の受付及び案内」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネットに於けるホームページの作成の代行,ホームページの作成又は保守,デザインの考案,気象情報の提供,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定役務として、平成21年8月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、上段に大きく薄青色の『インスタント』の文字と、その右側にやや小さく薄青色の『ホームページ』の文字(一連の文字に下線を描き、『ホームページ』の文字部分に矢印が描かれている)を一連に書し、下段に小さく薄青色の『Instant Home Page』の欧文字を二段に横書きした構成からなるところ、その構成中の『インスタント』及び『Instant』の文字部分は、『すぐにできること、即席、即座』等の意味を有し、例えば、『インスタント食品』『インスタントくじ』『インスタント作成』のように使用されている語であり、『ホームページ』及び『Home Page』の文字部分は、『ウェブ上に構築されたURLのトップページ』の意味を有するものであり、下線と矢印の部分はありふれたもので自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない部分であるから、全体として『すぐに(作成)できるウェブ上に構築されたURLのトップページ』程の意味合いを看取させるにすぎず、これを本願指定役務中、『インターネットに於けるホームページの作成の代行,ホームページの作成』に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、『すぐに(作成)できるインターネットに於けるホームページの作成の代行,すぐに(作成)できるホームページの作成』を表示したものと理解するに止まり、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、上段に大きく薄青色の「インスタント」の文字と、その右側に前記文字に比してやや小さく同色にて「ホームページ」の文字(一連の文字に下線を付し、「ホームページ」の文字部分に「矢印」が表されている)を横一線上に表し、下段に小さく同色の「Instant Home Page」の欧文字を横書きした構成からなるものである。
そして、その構成中の「インスタント」及び「Instant」の文字部分は、「すぐにできること、即席、即座」(広辞苑第6版)等の意味を有し、例えば、「インスタントカメラ」「インスタント写真」「インスタント食品」のように、「すぐに或いは簡単に(作成)できるもの」を表す語として、広く一般に使用されているものと認められる。
また、「ホームページ」及び「Home Page」の文字部分は、「インターネットのウェブサイトの最初のページ。」(広辞苑第6版)等の意味を有する語として広く知られている。
してみれば、本願商標構成中「インスタントホームページ」及び「Instant Home Page」の文字からは、全体として、「すぐに或いは簡単に(作成)できるインターネットのウェブサイトの最初のページ(ホームページ)」程の意味合いを容易に認識し得るとみるのが相当である。
さらに、本願指定役務中、インターネットに関連する役務を提供する業界においては、「インスタントホームページ」の語が、簡単な操作で自身のホームページを作成することが可能な役務等を表す語として一般に使用されている事実を、別掲2のインターネットに記載された情報よりうかがい知ることができる。
さらにまた、本願商標構成中の「下線」と「矢印」は、コンピューターの画面上で、文字・図形等の位置情報等を指し示す下線や記号として多用されており、その指定役務中、インターネットに関連する役務との関係においては、「HTMLで、ハイパーリンクに設定される要素(タグ)」を表す「アンカー(ハイパーリンク)」(IT用語辞典バイナリ(http://www.sophia-it.com/content/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC)及び「コンピュータの操作画面に表示される、マウス入力の現在地を指し示す小さな図形や画像のこと。・・・縦長の棒や矢印、人差し指を突き出した手などの形がよく用いられる。」を表す「マウスポインタ」(IT用語辞典 e-Words(http://e-words.jp/w/E3839EE382A6E382B9E3839DE382A4E383B3E382BF.html))を容易に認識し得るものであり、それ自体、独立して自他役務としての識別標識として機能を有しないか、或いは、極めて弱いものであるといえる。
したがって、本願商標は、上記意味合いの「インスタントホームページ」及びその欧文字表記と認められる「Instant Home Page」の文字と、単に位置情報等を指し示すための下線及び矢印とを組み合わせたにすぎないものであって、全体としてみても、これらの意味合い等を超えるものではなく、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。
そうとすると、これを本願の指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、インターネットに於けるホームページの作成の代行、ホームページの作成又は保守、電子計算機用プログラムの提供」等の役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者にして、「すぐに或いは簡単に(作成)できるホームページ用プログラムの作成又は保守、すぐに或いは簡単に(作成)できるホームページの作成の代行及び同ホームページの作成又は保守、すぐに或いは簡単に(作成)できるホームページ用ブログラムの提供」であることを理解させるにとどまり、単に役務の質、用途を表示するにすぎず、自他役務としての識別機能を果たさないものといわざるを得ないものである。

(2)請求人の主張(要旨)について
ア 請求人は、「『インスタントホームページ』,『Instant Home Page』の語は、辞書等に記載のある成語ではなく、取引上普通に使用されているものではない。また、『インスタントホームページ』の語をGoogleにおいて検索した結果、約334件しかヒットしなかった。膨大な情報量を有するインターネットにおいては、ごく少量の使用例しか認められないということができる。したがって、『インスタントホームページ』の語は本願指定役務について、役務の質(内容)を示すものとして普通に使用されているとはいうことができない。」旨主張する。
しかしながら、「インスタントホームページ」の語が成語として辞書に掲載されていない語であるとしても、「インスタント」及び「ホームページ」の語は、いずれも親しまれた語であり、特に「インスタント」の語については、「インスタントカメラ」「インスタント写真」「インスタント食品」のように、「すぐに或いは簡単に(作成)できるもの」を表す語として、広く一般に使用されていることから、構成全体として、「すぐに或いは簡単に(作成)できるホームページ」程の意味合いを容易に認識させること前記(1)のとおりである。
さらに、本願指定役務中、インターネットに関連する役務を提供する業界においては、「インスタントホームページ」の語が、前記(1)のような意味合いで、一般に使用されている事実も認められるものであるから、請求人の前記主張は採用することができない。

イ 請求人は、「下線と矢印部分が本願指定役務につき、ありふれたものであるという根拠が何も示されてはいない。さらに、後掲する登録例として、矢印のみ、または矢印と簡単な図形のみからなる商標が、識別力を有するものとして存在することを考えれば、下線及び矢印からなる図形部分は本願指定役務につき,自他役務の識別標識としての機能を有するものである。」旨主張する。
しかしながら、本願指定役務中、インターネットに関連する役務を提供する業界(主としてコンピューターソフトウェア等を提供する業界)においては、例えば、コンピュータ画面上から、アプリケーション等をインストール、或いは、ダウンロードする際、ユーザーの視認性、操作性等を考慮して、文字・図形等の位置情報等を指し示す下線(アンカー(ハイパーリンク))や記号(マウスポインタ)が多用されているのが実情である。
そうとすると、これよりは、前記(1)のとおり、「アンカー(ハイパーリンク)」及び「マウスポインタ」を表したものと容易に認識されるものであるから、それ自体、独立して自他役務としての識別標識として機能を有しないか、或いは、極めて弱いものであるといわざるを得ないものである。
さらに、当該図形部分について、請求人の主張する過去の登録例は、その構成態様等において本願とは事案を異にするものであるから、請求人のこれらの主張は採用することができない。

ウ 請求人は、「インスタント」または「INSTANT」の文字を含む商標について、過去の審決例等を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、出願された商標の登録の適否の判断は、その案件毎に行うものであり、過去の審決例等に拘束されるべき事情はない。
また、該審決例等は、商標の構成態様や指定商品又は指定役務との関係、さらには、本願指定役務を提供する業界における取引の実情等において、本願とは事案を異にするものといえるものであるから、該審決例等の存在をもって、本願商標の登録の適否の判断基準とするのは必ずしも適切とはいえない。
よって、請求人のかかる主張も採用することができない。

(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)(色彩については原本参照。)


別掲2〈インターネット情報〉(なお、下線は当合議体が付与。)
(ア)「Canonet」のサイト内「インスタントホームページ作成を利用する」の項に、「『インスタントホームページ作成』とは、画面の指示にしたがって必要な情報を入力していくだけで、以下のような会社案内などのページやアクセスカウンタ、資料請求、掲示板などを備えたホームページを簡単に作成できる機能です。専門的な知識は必要ありません。」の記載。
(https://mydesk.canonet.ne.jp/mydesk/manual/admin/06_web_manual/15_instant_hp.html)

(イ)「ホームページ制作 WEBデザインのデジタルバス」のサイト内「ホームページ制作一元化」の項に、「インスタントホームページ インスタントとは、熱湯をかけるだけ、もしくは、湯で煮るだけなど、簡易な調理法で食べることができる即席の袋・カップ入りの食品ですが。デジタルバスは、ホームページ制作でインスタントを実現しました。(中略)さらにデジタルバスのホームページ制作を利用されると、ユーザのパソコンには個々のアプリケーションソフトをインストールなどの無駄な作業も不要になります。」の記載。
(http://www.dizitalbass.net/web/)

(ウ)「人力検索はてな」のサイト内「無料でホームページスペースを貸してくださるところを探してます。」の項に、「ホームページ作成知識がない方のための簡単!無料ホームページ自動作成。テンプレートを使って簡単にインスタントホームページを作ることができる。」の記載。
(http://q.hatena.ne.jp/1039874667)

(エ)「チェキ!最新ニュース」のサイト内「ワンコインでインスタント・ホームページ」の項に、「ホームページを持つことって、今は個人でもそう珍しいことではありません。ましてや企業では、ホームページを持っていることは当たり前ってイメージが、一般的ではないでしょうか。気になる企業があったとき、インターネットでまず検索してみるって人は、多いと思います。でも、社内に知識のある人がいないとか、ホームページ製作代行を頼むのは不安・・って場合に、ちょっと良さげなサービスを見つけました。それが『インスタントホームページ』。500円の激安ホームページが、簡単に作成できるサービスです。」の記載。
(http://newscheck.da-te.jp/e291169.html)

(オ)「japan.internet.com」のサイト内「Webビジネス」の項に、「インスタントホームページサービス『VC-Net Community』開始 (中略) 掲示板、日記、プロフィール画面、ログ解析、スケジュール管理などがあらかじめセットされたホームページで、ユーザーは簡単に作成できる。」の記載。
(http://japan.internet.com/busnews/20000121/13.html)

(カ)「節約やりくり生活」のサイト内「無料でホームページ作成!?」の項に、「テンプレートを使って簡単にインスタントホームページを作ることができるシステムです。簡単操作であっという間にホームページができてしまいます。」の記載。
(http://savingpig.com/homepage.html)

(キ)「株式会社PIK」のサイト内「開発・運営プログラム」の項に、「インスタントホームページ」の記載。
(http://www.pik.co.jp/company/)

審理終結日 2011-03-31 
結審通知日 2011-04-01 
審決日 2011-04-12 
出願番号 商願2009-63314(T2009-63314) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X3542)
T 1 8・ 13- Z (X3542)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 大橋 良成
小川 きみえ
商標の称呼 インスタントホームページ、インスタント 
代理人 小倉 正明 

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