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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X41
管理番号 1238308 
審判番号 不服2010-16595 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-23 
確定日 2011-05-25 
事件の表示 商願2009- 52122拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 理 由
1 本願商標
本願商標は、「IMPLANT ACADEMY」の欧文字と「インプラントアカデミー」の片仮名文字を上下二段に書してなり、第41類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成21年7月9日に登録出願され、その後、指定役務については、当審における同22年8月30日付け手続補正書により、別掲1に記載の指定役務に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、『人工歯植え込み。』(「現代用語の基礎知識2009」)の意味合いを有する『IMPLANT』の欧文字と、『学問・芸術に関する中心的な学者団体。学士院。美術院。学園。学校。』(「現代用語の基礎知識2009」)の意味合いを有する『ACADEMY』の欧文字とを結合した『IMPLANT ACADEMY』の欧文字を上段に、その表音を片仮名で表したと思われる『インプラントアカデミー』の文字を下段に、それぞれ普通に用いられる方法で表示してなるものであるから、全体として『人工歯植え込みの学術団体』又は『人工歯植え込みの学校』の意味合いを認識させるものであり、また、本願の指定役務を提供する業界において、インプラントに関する教育や手術指導等を行う歯科医師等の団体の名称の一部として、『インプラントアカデミー』の語が使用されている実情が認められるところである。そうとすると、これをその指定役務中『インプラント治療に関する知識の教授,インプラント治療に関するセミナーの企画・運営又は開催』等の役務に使用するときには、単に『インプラントに関する教育機関』において提供される役務であることを認識させるにとどまるものであるから、単に役務の提供の場所、質(内容)を表示するにすぎない商標であると認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、上段に「IMPLANT ACADEMY」の欧文字を、その下段に「インプラントアカデミー」の片仮名文字を上下二段に書してなるところ、その構成中「IMPLANT」及び「インプラント」の文字は、「人工の歯を埋め込むこと。また、その歯。」を意味し、また、「ACADEMY」及び「アカデミー」の文字は、「学問・芸術・技術等に関する公私の指導的団体、大学・研究所など学問研究の中心となる機関の総称。」(いずれも、広辞苑第六版)を意味する語である。
そして、「アカデミー」の文字は、一般に、研究機関等の団体において、研究の対象となる分野等の語を冠して、例えば「科学アカデミー」、「サイエンスアカデミー」のように、当該分野の指導、研究を行う団体であることを表す際、普通一般に使用されている実情にある。
してみれば、本願商標からは、全体として、「インプラント(人工の歯を埋め込むこと)に関する指導等を行う団体」程の意味合いを容易に認識させるものとみるのが相当である。
さらに、本願の指定役務を提供する業界においては、別掲2に示すインターネット及び新聞記事情報によれば、主に歯科医師等から構成された会員に対し、歯のインプラントに関する知識と技能の向上を図ることを目的とした教育やこれらの普及、指導等を行う団体が存在し、その団体の名称の一部として、「インプラントアカデミー」の語が採択、使用されている事実が認められるところである。
そうすると、これを本願の指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「歯のインプラント治療に関する指導等を行う団体において提供される役務」であることを理解するにとどまるものであるから、単に役務の提供場所、質等を表示するにすぎず、自他役務としての識別機能を果たさないものといわざるを得ない。

(2)請求人の主張について
請求人は、「本願商標の構成前半部『IMPLANT/インプラント』及び『ACADEMY/アカデミー』の文字は、広範な意味を持つ単語であり、そのような単語により構成された商標は、品質等の間接的表示であるとして登録された例として、指定商品『ゴム製建築または構築専用材料等』に商標『ケミカルアンカー』があり、該商標は、極めて漠然とした広範な意味を持つ為、品質表示には該当しないと判断されている(東京高裁平成10年(
行ケ)第109号)。」旨主張する。
しかしながら、本願商標は、「IMPLANT/インプラント」及び「ACADEMY/アカデミー」のそれぞれの持つ意味、並びに本願指定役務との関係、さらには、「歯のインプラント(人工の歯を埋め込むこと)に関する指導等を行う団体」の実質的な存在等、これらの蓋然性を考慮すれば、請求人が主張する「極めて漠然とした広範な意味を持つもの」とは必ずしもいえず、本願商標をその指定役務に使用しても、「歯のインプラント治療に関する指導等を行う団体において提供される役務」であること、すなわち、役務の提供場所、質等を表示するにすぎない商標といわざるを得ないものである。
さらに、請求人の主張する過去の判決例は、商標の構成及び指定商品又は指定役務との関係において、本願とは事案を異にするものであり、その判決例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは適切とはいえないことから、請求人のこれらの主張は採用することができない。

(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(補正後の指定役務)
「歯のインプラント治療に関する知識の教授,歯のインプラント治療に関するセミナーの企画・運営又は開催,歯のインプラント治療に関するビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),歯のインプラント治療に関する電子出版物の提供,歯のインプラント治療に関する放送番組の制作,歯のインプラント治療に関する興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),歯のインプラント治療に関する教育研修のための施設の提供」

別掲2(インターネット及び新聞記事情報)(なお、下線は、当合議体で付したものである。)
(ア)「日本口腔インプラントアカデミー」のサイト内「インプラントアカデミーとは?」の項に、「3i社製インプラント等を中心として、現在世界で最も進んだインプラントの臨床導入により患者の口腔機能の回復に寄与できるよう、インプラント歯科学を学ぶ臨床歯科医師の集団である。」の記載。
(http://www.implantacademy.jp/about/)

(イ)「バイオインプラントアカデミー」のサイト内「バイオインプラントアカデミーへようこそ」の項に、「いまや、歯科インプラントは欠損補綴の第1選択となりつつあります。しかしインプラントに関する大学教育は十分でなく、多くの歯科医師がインプラントを学ぶことを望んでいます。バイオインプラントアカデミーは、インプラントの教育講演、手術指導、依頼手術を行い、インプラント臨床の正しい普及に尽力しております。」の記載。
(http://www11.plala.or.jp/bioimplant/1top.htm)

(ウ)「公益社団法人 日本口腔インプラント学会指定研修施設 中部インプラントアカデミー」のサイト内「ごあいさつ」の項に、「中部インプラントアカデミーは、インプラント専門医の育成の場であるばかりでなく、インプラント情報の交換や共有、学会活動や他団体との交流活動などを積極的に行い、会員が楽しくインプラントの研鑽が積める場であり続けるように努力していく所存です。」の記載。
(http://www.jsoi-cia.com/pc/contents23.html)

(エ)「MURATA DENTAL CLINIC」のサイト内「★院長エッセイ★」の項に、「平成17年10月22日(土曜日)?23日(日曜日)パシフィコ横浜にてGOIA(グローバルオーラルインプラントアカデミー)国際学術大会が開催されます。この大会は海外、国内の著名なインプラント学者の集いで大変大きな学会です。」の記載。
(http://www.muratadentalnet.com/blog/archives/2005/06/post_75.html)

(オ)「WORLD MEETING CORP.」のサイト内「ワールドミーティングホーム」の項に、「米国歯科インプラントアカデミー会議」の記載。
(http://www.world-meeting.co.jp/med-i/travel/11neworleans09.html)

(カ)200年6月13日 毎日新聞社 地方版/北海道 19頁
「街の歯医者さん:いずみの歯科クリニック(苫小牧市川沿町)/北海道」の見出しのもと、「バイオインプラントアカデミーで勉強したり、東京で開かれるインプラントの各種講習会に毎月参加し、研さんを積んでいる。」の記事。

審理終結日 2011-03-16 
結審通知日 2011-03-25 
審決日 2011-04-05 
出願番号 商願2009-52122(T2009-52122) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 光長澤 祥子箕輪 秀人 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 大橋 良成
小川 きみえ
商標の称呼 インプラントアカデミー 
代理人 井澤 洵 

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