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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X0532
管理番号 1238290 
審判番号 不服2010-9771 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-07 
確定日 2011-05-19 
事件の表示 商願2008- 37264拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「品質主義」の文字と「こだわり宣言」の文字を上下二段に書してなり、第5類「薬剤,食餌療法用食品,食餌療法用飲料」及び第32類「飲料用青汁,粉末状の飲料用青汁のもと,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、平成20年5月15日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『品質主義』と『こだわり宣言』の文字を上下二段に書してなるところ、構成文字全体よりは『品質の向上を企業理念とし、それにこだわったことを外部に広く表明すること』の意味合いを認識させ、本願商標の指定商品に係わる業界においては、『品質主義』と『こだわり宣言』は、前記意味合いを構成する語句として使用されていることからすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標を製造販売者の企業理念を表示したものと理解するに止まり、顧客吸引の為の広告的語句と認めるのが相当であるから、本願商標をその指定商品に使用しても需要者が何人かの業務に係ることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋
当審において、以下の要旨の審尋を改めて通知し、相当の期間を指定して請求人に意見を求めたものである。

1 審尋の趣旨
本願商標は、平成20年11月5日付の拒絶理由通知書(以下、「拒絶理由」という。)で通知した理由(本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。)により、同22年2月10日付けで、拒絶査定されたものであるが、請求人は、同年5月7日付け審判請求書において、本願商標は「顧客吸引の為の広告的語句」ではないため、商標法第3条第1項第6号には該当するものではない旨の主張をしている。
そこで、当審において検討したところ、本願商標は、「品質主義」及び「こだわり宣言」の文字を上下二段に書してなるが、その構成中の「品質」は、「品物の性質。」を意味する語で、「主義」は、「常々もっている意見・主張。」を意味する語であり、「こだわり」は、「こだわること」を意味し、「宣言」が、「ひろくのべ言うこと。個人や団体・国家などが自己の主張や考えを外部に表明すること。また、その文章。」(いずれも広辞苑第六版)を意味する語であるから、これらの文字からなる本願商標の構成全体からは、「品質にこだる企業の主張を広く表明すること」のような意味合いを看取させるものである。
さらに、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項による証拠調べを行ったところ、インターネット検索情報や新聞記事情報において、以下の2で掲げるような取引における使用の事実が見受けられる。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標を企業理念を表示したと理解するに止まると認められ、本願商標をその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識として認識させるものというよりも、顧客吸引の為の広告的語句と認識されるものであるから,需要者が何人かの業務に係ることを認識することができない商標であるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

2 商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項による証拠調べについて
当審において、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項による証拠調べを行ったところ、インターネット検索情報や新聞記事情報において、以下(1)ないし(10)のような事実を発見したので、同条第5項に基づき通知する。

(1)「大同門」のウェブサイトにおいて「『品質こだわり宣言!』私たちが責任と自身を持って最高のお肉をご提供します。」の記載。
(http://www.daidomon.com/info/anzen.html)

(2)「楽天市場」のウェブサイトにおいて「絶対品質宣言!!! 栗山さんちの梅&梅倶楽部はちみつ」の記載、「この夏!スタミナつけなきゃ!品質と安全にこだわる!【絶対品質宣言!】」の記載。
(http://www.rakuten.co.jp/comingimari/1957436/2043028/)

(3)「キッコーマン株式会社」のウェブサイトにおける「ブランドコンセプト/マンズワインのブランドコンセプト」のタイトルの下、「マンズワインのブランドコンセプト それは『品質主義』です。」の記載及び「■マンズワインのこだわり、『ソラリス』 マンズワインの徹底した『品質主義』を体言する『ソラリス』。そのつくりへのこだわりを動画でご紹介いたします。」の記載。
(http://www.kikkoman.co.jp/manns/brandconsept/consept/index.html)

(4)「A-COOP全国Aコープ共同機構」のウェブサイトにおける「Aコープのこだわり」のタイトルの下、「国産こだわり宣言」の記載及び「※『国産こだわり宣言』とは、端境期や国内で生産できない一部品目を除いて、『生鮮野菜・牛・豚・鶏・ひき肉』は国産のみを販売するという、Aコープ独自の商品政策です。」の記載。
(http://kyodokiko.acoop.jp/proud/index.html)

(5)「中道農園」のウェブサイトにおける「こだわり宣言」のタイトルの下、「無農薬にこだわる理由」、「安全性確保へのこだわり」、「環境へのこだわり」及び「美味しいお米を育てるために」の記載。
(http://www.ocome.com/declaration/index.html)

(6)「ごちそうナビ」のウェブサイトにおける「有限会社 道丸水産」のタイトルの下「PR」の項目に、「お陰様で品質の高い魚として大好評をいただいております。<こだわり宣言>?他の養殖とはエサが違います?」の記載。
(http://gochi-navi.jp/suppliers/view/568)

(7)「株式会社トーアコーヒー」のウェブサイトにおいて「”こだわりの珈琲屋さん”トーアコーヒーはとことん原料豆の品質にこだわる会社です。」の記載。
(http://www.toa-coffee.co.jp/)

(8)「JA鹿児島県経済連」のウェブサイトにおける「ふるさと便のこだわり」のタイトルの下、「こだわり宣言」の項目に「『ふるさと便』はJA鹿児島県経済連が運営する、ショッピングモールです。鹿児島県内産農畜産物・鹿児島県内産原料を使用した加工品・特産品に絞り、鹿児島ならではの商品にこだわり、品質の安心・安全をテーマに、インターネットを通じてみなさまに産地直送でお届けします。」の記載。
(http://furusato.karen-ja.or.jp/kodawari.html)

(9)「佐藤水産株式会社」のウェブサイトにおいて「佐藤水産のこだわり宣言」の記載及び「佐藤水産は漁獲される産地、時期、鮮度、形、色など、つねに厳選した原材料だけを扱っております。美味の国・北海道から贈れる本物の美味しさです。」の記載。
(http://www.sato-suisan.co.jp/shop/product-detail.php?bid=654)

(10)「日本証券新聞」(2001年4月16日付け 4面)
「キーコーヒー トアルコトラジャ・ファーストクロップを予約販売」の見出しの下、「トアルコトラジャコーヒーは、一九七八年の発売以来、高品質主義の同社の企業姿勢を象徴するフラッグシップ製品」の記載。

第4 当審における審尋に対する請求人の意見(要旨)
前記第3の「審尋」に対して、請求人は、平成23年2月14日付け回答書を提出し、要旨以下のように述べている。
1.本願商標は「品質主義」の文字と「こだわり宣言」の文字とを上下2段に表した独特な商標である。一方、審尋で示された事例(1)ないし(10)は、いずれも本願商標と同一でない使用例である。
したがって、これらの事例が存在することは直ちに本願商標が全体として識別力がないと結論づける根拠とはならない。
2 審判請求書に記載したとおり、「こだわり宣言」の文字については平成11年に第30類を指定して商標登録されており、「こだわり宣言」の文字の上段に「品質主義」の文字を表示する独特の態様である本願商標は、(1)ないし(10)の例にかかわらず登録されるべきである。

第5 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は、第1のとおり、「品質主義」の文字と「こだわり宣言」の文字を上下二段に書してなるところ、その構成中の「品質」は、「品物の性質。」を意味する語で、「主義」は、「常々もっている意見・主張。」を意味する語であり、「こだわり」は、「こだわること」を意味し、「宣言」が、「ひろくのべ言うこと。個人や団体・国家などが自己の主張や考えを外部に表明すること。また、その文章。」(いずれも広辞苑第六版)を意味する語であるから、これらの文字からなる本願商標は、その構成全体から、「品質にこだる企業の主張を広く表明すること」のような意味合いを看取させるものである。
そして、前記第3の2で提示した使用例のように、取引の実際において、製造販売者等が、企業理念等を表示するものとして、「品質主義」や「こだわり宣言」の文字を使用している実情が見受けられるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した時は、本願商標に接する取引者、需要者は、これを、自他商品の出所標識として認識するというよりも、構成全体として、企業理念を表示したと理解するに止まるものであって、本願商標は、顧客吸引の為の広告的語句からなるものと認識するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る商標であることを認識することができないものと判断するのが相当である。

2 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
(1)請求人は、「本願商標は、『品質主義』の文字と「こだわり宣言」の文字とを上下2段に表した独特な商標であるところ、審尋で提示された事例(1)ないし(10)は、いずれも本願商標と同一ではない使用例である。してみれば、本願商標は、全体として識別力がないと結論づける根拠とはならない。」旨主張する。

しかしながら、本願商標は、「品質主義」と「こだわり宣言」の文字からなるものであり、前記1で認定したとおり、これらを構成する各語の意味から、構成全体として、「品質にこだわる企業の主張を広く表明すること」のような意味合いを認識させるものである。
さらに、製造販売者等が、「品質主義」や「こだわり宣言」の文字を使用し、企業理念等を表示するものとして取引において実際に使用されていることが第3の2で示した例から、見受けられるものである。
そうすると、たとえ、取引の実際において、本願商標と全く同一の使用例がないとしても、本願商標をその指定商品に使用した時は、本願商標に接する取引者、需要者は、これを、自他商品の出所標識として認識するというよりも、構成全体として、企業理念を表示したと理解するに止まるものであって、本願商標は、顧客吸引の為の広告的語句からなるものと認識するにとどまり、需要者が何人かの業に係る商標であることを認識することができないものと判断するのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

(2)請求人は、「『こだわり宣言』の文字は、平成11年に第30類を指定して商標登録(登録第4286634号)されており、『こだわり宣言』の文字の上段に『品質主義』の文字を表示する独特の態様である本願商標は、事例(1)ないし(10)の例にかかわらず登録されるべきである。」旨主張する。

しかしながら、出願された商標の登録の適否の判断は、その案件毎に行うものであり、過去の登録例等に拘束されるべき事情はない。
また、請求人は、商標「こだわり宣言」が、平成11年に第30類を指定して商標登録済みである旨述べるが、本願商標は、「こだわり宣言」の文字のみからなるものではなく、先登録例は、商標の構成態様において、本願とは事案を同じくするものといえない。
さらに、「こだわり宣言」の文字のみでは、具体的に「何に対しこだわりを有するのか」が明確ではないことから、該文字のみでは、直ちに、企業理念等を具体的に表示したものとは、認識し得ないところ、本願商標は、その構成中に「品質主義」の語を有するため、本願商標全体として、「品質にこだる企業の主張を広く表明すること」との意味合いを看取させるものといえるから、本願商標は、需要者が何人かの業に係る商標であることを認識することができないものと判断するのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない

(3)その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。

3 まとめ
以上からすると、本願商標が、商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-02-22 
結審通知日 2011-03-01 
審決日 2011-04-01 
出願番号 商願2008-37264(T2008-37264) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X0532)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 豊田 純一
小林 由美子
商標の称呼 ヒンシツシュギコダワリセンゲン、ヒンシツシュギ、コダワリセンゲン 

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