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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X21
管理番号 1238248 
審判番号 不服2010-14839 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-05 
確定日 2011-05-13 
事件の表示 商願2009-57277拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「トルネードモップ」の文字を標準文字で表してなり、第21類「モップ,モップ絞り器,モップ絞り器付きバケツ」を指定商品として、平成21年7月29日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第5293928号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成21年6月5日登録出願、第21類「粘着式ローラークリーナー」を指定商品として、同22年1月15日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、前記1のとおり、「トルネードモップ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「モップ」の語は、本願の指定商品「モップ」の普通名称であり、また、「モップ絞り器,モップ絞り器付きバケツ」との関係においては、その用途等の品質を表示するものにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たすものではないから、本願商標に接した取引者、需要者は、構成中前部に位置し、自他商品の識別標識として強く印象づけられる「トルネード」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼をもって取引
に当たる場合も決して少なくないものというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成文字全体から「トルネードモップ」の称呼を生ずるほか、「トルネード」の文字部分より「トルネード」の称呼をも生ずるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標は、別掲のとおり、「トルネードカット」、「トルネードカットテープ」、「取るネード」の文字を上下三段に書した構成よりなるところ、これらを常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない格別の事情も存しないものであるから、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際において、引用商標に接する取引者、需要者は、その構成中で最も文字構成の短い「取るネード」の文字部分に着目し、これをもって取引に資することも決して少なくないものと見るのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成中「取るネード」の文字部分に相応して、「トルネード」の称呼をも生ずるものというべきであり、この点については、請求人も自ら認めるところである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において差異を有し、観念においては比較できないものの、「トルネード」の称呼を共通にする互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似のものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標の構成文字中の「モップ」が、指定商品または指定商品と関連する文字であるとしても、構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと理解し把握される本願商標からは、「トルネードモップ」の一連の称呼のみを生ずるから、引用商標とは称呼上も類似しないと主張する。
ところで、最高裁判所の判例(昭和37年(オ)第953号、昭和38年12月5日第一小法廷判決)は、要旨、商標はその構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定するがごときことが許されないのは、正に、所論のとおりである。しかし、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必らずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(昭和三六年六月二三日第二小法廷判決、民集一五巻六号一六八九頁参照)。しかしてこの場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一または類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である旨、判示している。
そこで、当該判示内容を本件についてみるに、本願商標を構成する「モップ」の文字は前記(1)のとおり、その指定商品との関係において自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本願商標は「トルネード」の文字部分と「モップ」の文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、「トルネード」の文字部分のみによっても簡略に称呼されるものというべきであるところ、前記(1)のとおり、引用商標から「トルネード」の称呼をも生ずるから、両商標は「トルネード」の称呼を共通にする互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
また、請求人は、インターネットの通販サイトの写し(資料1ないし7)を挙げて、本願商標が「トルネードモップ」という、構成全体として一体不可分の商標である旨主張する。
しかしながら、請求人の主張に係るインターネット通販サイトには「トルネードモップ」の表示がなされているとしても、本願商標の指定商品の取引が、当該インターネットウェブサイトの通販に限定されるとの的確な証拠もない以上、前記に説示したとおり、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際において、本願商標が「トルネード」の文字部分をもって取引に資されることも決して少なくないというのが相当である。
さらに、請求人は、商標の構成文字中に共通して「トルネード」部分を有する登録商標の併存の事例(資料8ないし10)を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、対比する両商標の具体的な構成態様及びその指定商品との関係から個別具体的に判断をすべきものであるから、例え「トルネード」の文字を構成要素とする商標が類似する商品に併存して登録されている事実があるとしても、その事実によって、本願商標と引用商標との類否判断が左右されるものではない。
よって、前記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標)


審理終結日 2011-02-28 
結審通知日 2011-03-04 
審決日 2011-03-23 
出願番号 商願2009-57277(T2009-57277) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X21)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 手塚 義明菅沼 結香子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 前山 るり子
内田 直樹
商標の称呼 トルネードモップ、トルネード 
代理人 大矢 正代 
代理人 前田 勘次 

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