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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 105
管理番号 1238230 
審判番号 取消2010-300309 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-03-26 
確定日 2011-05-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第2396093号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2396093号商標(以下「本件商標」という。)は、「WEST BEACH」の欧文字を横書きしてなり、平成元年4月12日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年3月31日に設定登録され、その後、同14年5月21日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。そして、指定商品については、同年8月21日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」を指定商品とする書換登録がなされているものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成22年4月20日になされている。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の指定商品中第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」及び第25類「被服」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
2 請求の理由
本件商標は、その取消請求に係る指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者によって使用されておらず、加えて、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用していることが確認できないから、前記指定商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
(1)答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)を提出している。
(2)答弁の理由
本件審判請求に係る登録商標は、乙各号証に示すように、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者又は通常使用権者が、審判請求に係る指定商品のうち「被服」について、現に使用している。
ア 証拠について
乙第1号証は、本件商標を表示した商品、「婦人用Tシャツ(レディースカットソー リンゴ柄Tシャツ)」の写真である。
乙第2号証は、乙第1号証に示す商品の取引書類であり、被請求人である株式会社アイ、シー、シー(以下「アイ、シー、シー」という。)が、名古屋市中村区井深町10-28の株式会社ペグに、乙第1号証に示す商品を販売した際の取引書類であり、平成20年6月21日付納品書(控)の写しである。また乙第3号証は、被請求人が乙第1号証に示す商品を大阪市福島区東野田町3-13-13日建京橋ビル302の有限会社セカンドステージに販売した際の取引書類であり、平成20年7月14日付け納品(控)の写しである。
なお、被請求人の登記上の本店住所は「大阪市中央区本町4丁目5番3号」であるが、営業上の本社の住所は「大阪府箕面市船場東3-7-10」である。
さらに、乙第4号証の1及び2は、乙第1号証に示す商品を被請求人が姉妹会社である大阪府箕面市船場東3-7-10の株式会社進和(以下「進和」という。)を介して有限会社ハンドウィンジャパンに販売した際の取引書類であり、平成22年7月3日付けの納品書(控)のそれぞれの写しである。被請求人会社と進和は、その代表取締役を共通にし、同一住所に本社機能を置く姉妹会社であるが、取引の都合上、別会社とされており、上記の有限会社ハンドウィンジャパンの取引口座は被請求人会社にはなく、姉妹会社の進和にのみ存在するため、書類上、上記取引は被請求人会社直接ではなく、進和を介して、取引を行ったものである。
乙第5号証は、本件商標を表示した商品、「婦人用Tシャツ(レディースカットソー リンゴ柄Tシャツ マリマ婦人カットソー)」の写真である。乙第6号証は、乙第5号証に示す商品を被請求人が上記有限会社セカンドステージに販売した際の取引書類であり、平成20年7月10日付納品(控)の写しである。
乙第7号証は、本件商標を表示した商品「紳士プリント柄サーフパンツ」の写真である。乙第8号証の1ないし3は、乙第7号証に示す商品を、名古屋市中区錦2-3-16、八木兵株式会社(以下「八木兵」という。)が、平成21年5月16日付けで上記進和に発注した発注書(納入指示書)の写しである。八木兵は同日付けで3回にわたり、同一商品を追加発注している。乙第9号証の1及び2は、上記乙第8号証の1ないし3に示す八木兵からの乙第7号証に示す商品の受注に対し、被請求人が、前記姉妹会社進和を介して、八木兵に納品した平成21年5月19日付け納品書(控)の写しであり、乙第10号証は、上記納品を行うにあたり、被請求人会社の商品を保管する倉庫・物流会社である株式会社マリマ物流が、被請求人の指示に応じて、同社の倉庫に保管されていた乙7号証に示す商品を運送会社佐川急便株式会社に配送を依頼した平成21年5月19日付けの伝票のお客控の写しである。(八木兵からの発注書が3枚にわたっているので、商品の梱包はそれぞれ別々に3個に分けて同時に発送している。)
乙第11号証は、本件商標を表示した商品、「紳士プリント柄サーフパンツ」の別の写真である。乙第12号証は、乙第11号証に示す商品を上記八木兵が平成21年5月28日付けで進和に発注した際の発注書(納入指示書)の写しである。乙第13号証の1及び2は、上記乙第12号証に示す八木兵からの乙第11号証に示す商品の受注に対し、被請求人が、姉妹会社進和を介して、八木兵に納品した平成21年5月29日付け納品書(控)の写しであり、乙第14号証は、上記納品を行うにあたり、被請求人会社の商品を保管する倉庫・物流会社である株式会社マリマ物流が、本件被請求人の指示に応じて、同社の倉庫に保管されていた乙第11号証に示す商品を運送会社佐川急便株式会社に配送を依頼した平成21年5月29日付の伝票のお客様控の写しである。
乙第15号証は、本件商標の使用に関し、被請求人が、神戸市北区藤原台北町5-2-7-1102、オーシャンクレストカンパニーとの間で交わした平成20年8月21日付け本件商標の通常使用権許諾契約書の写しである。
その契約書によれば、初年度は平成20年9月1日から平成21年8月31日、第2年度は平成21年9月1日から平成22年8月31日、第3年度は平成22年9月1日から平成23年8月31日とされており、現在第2年度の契約期間中である。
乙第16号証及び乙第17号証は、上記契約に従って、オーシャンクレストカンパニーが、契約の初年度に販売したカジュアルウエアーのTシャツの写真であり、本件商標「WEST BEACH」がシャツの胸にプリントされている。
乙第18号証は、本件商標「WEST BEACH」をTシャツの胸にプリントして表示した商品の写真である。
乙第19号証は、上記乙第18号証に示す商品を、千葉市美浜区ひび野1-3、イオンマルシェ株式会社が経営する多数のスーパーマーケットの店舗に平成21年4月17日付けで納品・配送した納品書(控)の写しである。このような大型チェンストアーが商品を発注する場合は、発注書と重ねて納品書の統一伝票を発注者が発行し、納品の際はその統一納品伝票を添付して納品するように指示するのが普通であり、これにより、異なる納品者が同一の統一伝票を用いて納品することにより、納品を受けた発注者が、納品伝票を電算機処理するのに好都合となるように図っている。このため、発注者が作成した納品伝票には、商品のブランド名等の記載は全くなく、品名としては、商品番号のみが記載され、「ICCフジントッカTシャツ」(「株式会社アイ、シー、シー婦人特価Tシャツ」を意味する。)の文字のみが記載されている。この納品書だけでは、これが乙第18号証に示す商品が、納品・販売されたことを充分には立証できないが、実際には本件商標を付した極めて大量の商品が流通・販売されている。
イ 使用に係る商標及び使用商品について
被請求人が使用している商標は、乙第1号証、乙第5号証、乙第7号証、乙第11号証、乙第16号証、乙第17号証及び乙第18号証の写真に示すとおり、本件商標「WEST BEACH」を商品である「婦人用Tシャツ」及び「紳士用サーフパンツ」に直接プリントし、または本件商標を表示した織ネームを商品に縫い付け、或いは本件商標を表示した下げ札を商品に添付して販売しており、本件商標がその指定商品について間違いなく使用されている。
ウ 商標の使用時期について
本件商標の使用の時期は、乙第2号証、乙第3号証、乙第4号証の1及び2、乙第6号証、乙第9号証の1及び2、乙第13号証の1及び2により、本件商標が、その指定商品について、本件審判請求の予告登録前3年以内に使用されていたことが、明確に証明されている。
エ まとめ
乙各号証によると、本件審判の請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、本件取消審判請求に係る商標の商標権者である被請求人又は通常使用権者が、指定商品中の「被服」について本件商標と社会通念上同一又は同一の範囲と認められる商標を使用していることは明白である。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
乙第7号証は、平成22年6月1日撮影の紳士プリント柄サーフパンツの商品写真(2枚)であり、同商品には、「West Beach」「LICENCED By I・C・C CO.,LTD.」などの欧文字が表示された紙製のタグが付されているほか、「West/Beach」の白抜き文字を有する赤いタグが縫い付けられている。
乙第8号証の1は、2009年5月16日に作成された八木兵から進和(大阪府箕面市船場東3-7-10)へ宛てた「発注書(納入指示)」である。そこには、「発注No.001941109」、「商品名:紳士プリント柄サーフパンツ」のほか、「納期」の欄に「2009/05/20」、「発注数量」の欄に「40」、「入り数」の欄に「30」、「仕入れ単価」の欄に「16,500」、「発注金額」の欄に「660,000」などの記載がある。
乙第8号証の2は、同じく、2009年5月16日に作成された八木兵から進和へ宛てた「発注書(納入指示)」である。そこには、「発注No.001941112」、「商品名:紳士プリント柄サーフパンツ」のほか、「納期」の欄に「2009/05/20」、「発注数量」の欄に「2」、「入り数」の欄に「30」、「仕入れ単価」の欄に「16,500」、「発注金額」の欄に「33,000」などの記載がある。
乙第8号証の3は、同じく、2009年5月16日に作成された八木兵から進和へ宛てた「発注書(納入指示)」である。そこには、「発注No.001941114」、「商品名:紳士プリント柄サーフパンツ」のほか、「納期」の欄に「2009/05/20」、「発注数量」の欄に「8」、「入り数」の欄に「30」、「仕入れ単価」の欄に「16,500」、「発注金額」の欄に「132,000」などの記載がある。
乙第9号証の1は、2009年5月19日付けのアイ、シー、シー(大阪府箕面市船場東3-7-10)から進和へ宛てた「納品書(控)」である。そこには、「伝票No.31493」のほか、「内容」の欄に「紳士プリント柄サーフパンツ(WEST BEACH)」、「数量」の欄に「1,500」、「単価」の欄に「550」、「金額」の欄に「825,000」などの記載がある。
乙第9号証の2は、2009年5月19日付けの進和から八木兵へ宛てた「納品書(控)」である。そこには、「伝票No.31493」のほか、「内容」の欄に「紳士プリント柄サーフパンツ(WEST BEACH)」、「数量」の欄に「1,500」、「単価」の欄に「550」、「金額」の欄に「825,000」などの記載がある。
乙第10号証は、2009年5月19日付けの佐川急便株式会社の宅配便の3枚の「伝票(お客様控)」のコピーである。そこには、いずれも、依頼主は「株式会社マリマ物流」と大きく表わされ、その右下に小さく「(株)進和」と付記され、お届け先は「八木兵株式会社」と記載され、受領印欄には「佐川/箕面店/21.5.19/佐藤」の受領印が押印されている。
そして、お問い合せ送り状No.「120488560581」の伝票には、「品名・荷姿」の欄に「発注No.1941109」、「個数」の欄に「40」の記載がある。お問い合せ送り状No.「120488560566」の伝票には、「品名・荷姿」の欄に「発注No.1941112」、「個数」の欄に「2」の記載がある。お問い合せ送り状No.「120488560570」の伝票には、「品名・荷姿」の欄に「発注No.1941114」、「個数」の欄に「8」の記載がある。
2 以上の認定事実及び被請求人の主張を総合すると、以下のとおりである。
被請求人であるアイ、シー、シーの営業上の住所は、「大阪府箕面市船場東3-7-10」であり、進和の住所もそれと同じである。そして、アイ、シー、シーと進和は、その代表取締役を共通にし、同一住所に本社機能を置く姉妹会社であるが、取引の都合上、別会社とされており、書類上、取引は被請求人会社直接ではなく、進和を介して、取引を行っている。
乙第7号証の商品写真によれば、商品「紳士プリント柄サーフパンツ」に「West Beach」の欧文字が表示されたタグが付されているところ、本件商標とは大文字と小文字の違いはあるものの、その綴り字を同じくし、称呼及び観念を共通にするものであるから、本件商標と社会通念上同一の使用がされているものである。
そして、乙第8号証の1ないし3の「発注書(納入指示)」、乙第9号証の1の「納品書(控)」によれば、アイ、シー、シーが、「紳士プリント柄サーフパンツ(WEST BEACH)」について、2009年5月16日に3度にわたって八木兵からの発注を受けた進和へ、発注どおりの数量、金額で、同商品を2009年5月19日に納品したことが認められる。
さらに、乙第9号証の1及び2の「納品書(控)」、乙第10号証の宅配便の伝票によれば、八木兵が2009年5月16日に作成した発注書(納入指示)における発注No.からすると、株式会社マリマ物流及び進和から本件商標の付された「紳士プリント柄サーフパンツ」が発注どおりの数量、金額で、2009年5月19日に運送会社である佐川急便により、発注者である八木兵に納品されたことが認められる。
そして、アイ、シー、シーが本件商標を使用している商品「紳士プリント柄サーフパンツ」は、「サーフィン用パンツ」であって、第25類「被服」の範ちゅうに属する商品である。
そうすると、商標権者であるアイ、シー、シーは、本件商標と社会通念上同一の商標を付した「紳士プリント柄サーフパンツ」を2009年5月19日に進和を介して八木兵に譲渡したものということができる。
なお、請求人は、前記第3の被請求人の答弁書の答弁に対し、何ら弁駁
するところがない。
3 結論
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属する商品「サーフィン用パンツ」に本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の指定商品中、第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」及び第25類「被服」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2010-12-02 
結審通知日 2010-12-06 
審決日 2010-12-24 
出願番号 商願平1-42150 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (105)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 1992-03-31 
登録番号 商標登録第2396093号(T2396093) 
商標の称呼 ウエストビーチ 
代理人 小山 義之 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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