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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y41
管理番号 1238227 
審判番号 取消2009-300780 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-07-08 
確定日 2011-05-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4920202号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4920202号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「オメガプロジェクト」及び「ωプロジェクト」の文字を二段に横書してなり、平成17年4月1日に登録出願、第41類「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」の指定役務を含む第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務並びに第1類、第4類、第31類、第37類、第40類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成18年1月13日に設定登録され、その後、指定役務については、第41類の「運動施設の提供,娯楽施設の提供」及び「映画の上映・制作又は配給」について取り消す旨の審決がされ、その確定審決の登録が平成21年12月7日及び同22年9月30日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第41類「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
請求人が調査したところ、本件商標は、被請求人ないしはその関連会社によって完全資源循環実現のためのプロジェクト名としてスローガン的に使用されている模様であるが、少なくともその指定商品及び指定役務中、第41類「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」については、継続して3年以上日本国内において使用されていた事実は見出せなかった。
よって、本願商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁
(1)乙各号証について
乙第1号証の1及び2並びに乙第2号証の1及び2はいずれも証拠として採用し得ないものである。以下、その理由について述べる。
ア 乙第1号証の1は、2007年11月18日に開催された「収穫感謝祭」とのタイトルの「コンサート」のチケットと見受けられるが、そもそもこれは本件役務に含まれない「音楽の演奏の興行の運営又は開催」に関するものであって、本件商標を本件役務に使用していることを証明しようとするものではない。なお、被請求人は特に発券の領収書等を提出していないため、乙第1号証の1に係るチケットが現実に印刷・配布されたものかどうかか不明であり、また、当該チケットには小さく「きなり村/ωプロジェクト」と記載されているが、当該「ωプロジェクト」(以下、「使用商標」という。)の文字部分については、上記と同様に、「きなり村」との文字部分との位置関係が不自然であり、本件審判請求後に記載を加えたものである疑いを払拭し得ない。真に本件商標を本件役務に使用していることを証明するのであれば、以下に述べるように、もっと別の証拠が提出されてしかるべきである。
イ 乙第1号証の2は、前記アの「収穫感謝祭」とのタイトルのコンサートの告知用チラシと見受けられるが、これについても、前記アと同様の理由により証拠として採用できず、特に、乙第1号証の2における使用商標の記載は、当該審判請求後に記入されているとの疑義が払拭できない。
なお、被請求人は、乙第1号証の2に「芋掘り体験」の記載があることを理由に本件商標が本件役務に使用されていたと主張するが、当該「芋ほり体験」はその実情としてコンサートに単に付随して行われたイベントであって独立した商取引の目的たり得べきものではないし、乙第2号証の2からみても「芋ほり体験」に使用商標が使用されているものとはいえない。
ウ 乙第2号証の1は、2008年11月3日開催の「収穫感謝祭」とのタイトルのイベントのチケットと見受けられるが、これについても、乙第1号証の1と同様に本件役務に含まれない「音楽の演奏の興行の運営又は開催」に関するものであって、本件商標を本件役務に使用していることを証明しようとするものではない。
また、特に発券の領収書等の添付もないため、当該資料からはこれが現実に印刷・配布されたものかどうかか不明であるし、当該チケットには小さく「きなり村/ωプロジェクト」と記載されているが、当該使用商標の文字部分についても「きなり村」との文字部分との位置関係が不自然であり、本件審判請求後に記載を加えたものである疑いを払拭し得ない。
エ 乙第2号証の2は、前記ウの「収穫感謝祭」とのタイトルのコンサートの告知用チラシと見受けられるが、これについても前記ウと同様の理由により証拠として採用できない。特に、乙第2号証の2における使用商標の記載は、不自然に枠線外に記載された態様にて表示されており、当該審判請求後に記入されているとの疑義が払拭できない。
なお、被請求人は、乙第2号証の2に「芋掘り体験」の記載があることを理由に本件商標が本件役務に使用されていたと主張するが、当該「芋ほり体験」はその実情としてコンサートに単に付随して行われたイベントであって独立した商取引の目的ではないし、乙第2号証の2からみても「芋ほり体験」に使用商標が使用されているものとはいえない。
(2)被請求人が提出すべき証拠について
現実に本件商標を本件役務に使用しているのであれば、領収書や納品書等、本件商標の使用を直接裏付ける上でより簡易・明確な資料を提出することは容易であると考えられるが、被請求人がこうした資料を用いず、あえて乙第1号証の1ないし乙第2号証の2のように不明確な資料を用いていることは、極めて不自然と言うべきである。
(3)使用調査の結果について
参考までに、請求人が本件審判請求前に、調査会社を用いて行った本件商標の使用状況に関する調査の報告書(甲第1号証)を掲げる。
当該報告書において示されているとおり、被請求人の従業者自身がコメントしていることからも明らかではあるが、ゴミや廃棄物から肥料を作って野菜を栽培する循環型農業以外の業務について本件商標が使用されているとは考え難い状況であり、こうした点を含めて考察すれば、乙第1号証1及び2並びに乙第2号証の1及び2は信憑性に欠けるものと言わざるを得ない。また、乙第1号証1及び2並びに乙第2号証の1及び2が、仮にすべて現実に使用されているものであるとしても、前述のとおり「循環型農業」に関する業務の広告目的で行われたものであって、実態的には「循環型農業の実施」に伴う付随的なイベントであって、独立して本件審判請求にかかる役務に使用されているものとも言い難い。
(4)使用されている商標の同一性について
被請求人は、特許庁編「審判便覧」の53-10の記載を掲げつつ、上下2段併記の構成からなる商標のうち、その一方を使用することで商標の使用が認められると主張している。
しかし、当該審判便覧の記載では、上段と下段とが観念を同一とすることを前提としているところ、「ω」の語は、一般的にはあまり使われない語であり、多くの需要者・取引者にとっては「なんらかの記号」程度の観念を生じさせるにとどまり、「オメガ」との意味合いを直ちに認識させるものとも認め難い。
このことは、同じく[オメガ]の語を表す記号として「Ω」が一般的に用いられている点に照らしても、理解されるところである。
以上の点からすれば、使用商標「ωプロジェクト」のみの使用態様をもって、「オメガプロジェクト/ωプロジェクト」との2段併記の態様にて登録を得ている本件商標が本件役務に使用されているものとは認定し難く、したがって、乙第1号証の1ないし乙第2号証の2が仮に真正なものであるとしても、本件審判請求による不使用取消を免れないものと判断するのが相当である。

第3 被請求人に対する審尋
平成21年9月1日付け答弁書において、本件商標の使用の証拠として提出された「芋掘り体験」の記載のある収穫感謝祭のチケットあるいはチラシのみからでは、感謝祭の一環として「芋掘り体験」が企画されたであろうことは認められるとしても、実際に開催されたかどうかの事実が確認できないから、発券の領収書あるいは収支報告書等の、「芋掘り体験」が開催されたことが確認できる証拠を提出されたい。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第8号証(枝番を含む。ただし、枝番の全てを引用するときは、その枝番の記載を省略する。)を提出した。
1 請求に対する答弁
(1)本件商標の使用について
被請求人は、本件商標のうち、下段の使用商標(「ωプロジェクト」)の部分を商標として使用している。
このことは、審判便覧(改訂第9版)「特許庁審判部編」の「53商標登録取消審判」「53-01登録商標の不使用による取消審判」の「3 平成8年改正商標法における不使用取消審判の改善」の「(2)登録商標の使用の認定に関する運用の事例」において、「エ その他社会通念上同一と認められる商標 例2」に記載があるように、上・下の二段併記の構成からなる商標のうち、その一方を使用することで、商標の使用が認められると記載されていることより明らかである。
(2)具体的使用について
被請求人は、第41類の指定役務である「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」について、本件商標の使用を、継続して三年以上、日本国内において使用しており、その使用の実体を証拠と共に説明する。
ア 収穫感謝祭(Specialconcert)〔2007年11月18日(日曜日)〕の開催
チケット(乙第1号証の1)に示すように、該チケットに使用商標が使用され、有料(3,000円)である旨の記載もある。さらに、チラシ(乙第1号証の2)にも、使用商標が使用され、被請求人の記載もあり、本件の指定役務である興行の企画・運営又は開催した「芋堀り体験」の記載がある。
イ 収穫感謝祭(演歌&Jazz Collaboration)〔2008年11月3日(祭日)〕の開催
チケット(乙第2号証の1)に示すように、該チケットに使用商標が使用され、有料(3,000円)である旨の記載もある。そして、チラシ(乙第2号証の2)には、使用商標が使用され、被請求人の記載もあり、本件の指定役務である興行の企画・運営又は開催した「芋掘り体験」の記載があり、1袋詰め放題1,000円の記載もある。
(3)以上のとおり、被請求人は、第41類の指定役務「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を行っており、本件審判請求は成り立たないものである。

2 審尋に対する回答
「芋掘り体験」が実際に開催された催しであることを証拠により証明する。
(1)「芋掘り体験」は平成18年から毎年実施しており、その中で平成20年に実施した「芋掘り体験」開催の事実を、参加申込者から被請求人宛に送付された参加申込みのFAX、「芋掘り体験」に関する収支報告、該収支報告に記載された収支額を記載した総勘定元帳及び被請求人の損益報告書などによって証明する。
ア 「芋掘り体験」への申込みのFAXについて(乙第4号証)
乙第4号証の1は、平成20年10月15日に株式会社Rから送信された参加申込みであって、4名の参加申込みが記載されている。また、乙第4号証の2は、同年10月15日にS株式会社から送信された参加申込みであって、MSの参加申込みが記載されている。さらに、乙第4号証の3は、同年10月9日にSK株式会社から送信された参加申込みであって、2名の参加申込みが記載されており、前記FAXにはそれぞれ送信された日時が印字されており、これによって平成20年11月3日に開催された「芋掘り体験」への参加者からの参加申込みがあった事実が証明された。
イ 「芋掘り体験」の収支報告に関する帳票について(乙第3号証)
平成21年9月1日付け答弁書で提出した乙第2号証の2のチラシの「芋掘り体験」の記載の箇所に「1袋詰め放題 1,000円」の記載があるが、「芋掘り体験」の参加申込みをされた参加者には、芋掘り体験会場で、掘り出した芋を入れる袋を1,000円と交換してもらい、これが「芋掘り体験」における収入である。なお、このときには領収書を発行せず、袋を現金との交換で手渡しした。
乙第3号証の4は、「2008.11 ジャズ演歌コラボレーション」の収支報告書であり、収入の欄に、「芋掘り 1,000×53袋=53,000」の記載があり、芋掘り体験参加者が1袋あたり1,000円の袋を53袋購入し、収入として53,000円が発生した事実を証明している。
乙第3号証の1は、平成22年1月14日の日付のある被請求人の総勘定元帳の雑収入を記載した1ページ目であるが、年月日欄の「201104」(平成20年11月4日)に、「111現金 0その他 11.3きなりイベント参加費(芋」が記載され、その金額として「50,477」が記載されている。なお、「(芋」は「芋掘り体験」の意味であり、「50,477」は消費税分を差し引いた額であり、この雑収入の記載から、芋を詰め込む袋代が雑収入として記録され、実際に「芋掘り体験」が実施されたという事実が証明された。
乙第3号証の2は、被請求人の総勘定元帳の雑収入を記載した8ページ目で雑収入の合計を記載したページであるが、該ページの残高の累計額と、乙第3号証の3の被請求人の「損益計算書」の「雑収入」欄に記載された額が一致している。これにより、芋掘り体験のための袋が実際に販売され、その売上げが「損益計算書」に反映されていることが明確に認められる。
ウ 芋掘り体験に関する写真等について
乙第5号証の1及び2は、芋掘り体験の会場となった「きなり村」の全景の航空写真であり、乙第5号証の3及び4は、芋掘り体験における参加者の芋掘り体験状況の写真である。乙第5号証の3には、乙第5号証の1及び2の矢印で示した建物が写っていることから、芋掘り体験の会場である「きなり村」において芋掘りが実際に開催されたことが証明された。
エ 以上により、平成21年9月1日付け答弁書において、証拠として提出した「芋掘り体験」のチラシに記載された芋掘り体験が実際に開催された事実が証明された。

3 第2答弁書
弁駁書に対し以下のとおり答弁する。
(1)弁駁書の(1)ウ「乙第2号証の1(チケット)」について
ア 請求人は、乙第2号証の1は、本件役務に含まれない「音楽の演奏の興行の運営又は開催」に関するもので、本件商標を本件役務に使用していることを証明するものではないと主張しているが、乙第2号証の1は、2008年11月3日に開催された「収穫感謝祭」のタイトルで開催された興業の一つである「コンサート」のチケットであり、該チケットは、「コンサート」と「芋掘り体験」とを同日開催することを掲載した乙第2号証の2のチラシの収穫感謝祭が実施されたことを証明するものである。
したがって、乙第2号証の1は、本件指定役務のうち、第41類「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」に該当する興業である「芋掘り体験」が「コンサート」と同日開催されたことを間接的に証明するものである。なお、乙第2号証の3として乙第2号証の1の原本を提出する。
イ 請求人は、発券の領収書等の添付もないため、当該資料からは現実に印刷・配布されたものか不明と主張しているが、乙第2号証の1のチケットは、コンサート参加者がドリンク付きの参加費を支払ったときに、領収書を発行せずに料金との交換で渡された。該チケットの半券(ミシン目で切り取る)は、ドリンク券となっており、参加者個人単位でドリンクを渡したか否かを把握し、コンサートの運営上の混乱を未然に避けるために該チケットが印刷・配布されたことは明白である。
該チケットが業として販売されたことは、収支報告書(乙第3号証の4)の収入欄の会費の記載及び総勘定元帳(乙第3号証の1)の雑収入の記載から証明され、また、コンサートが実施されたことを直接的に、芋掘り体験が実施されたことを間接的に証明される。
ウ 請求人は、乙第2号証の1のチケットにおいて、審判請求後に使用商標の文字を加えたものであるという疑いを払拭し得ないと主張しているが、乙第2号証の3として提出したミシン目を有する当該チケットの原本によれば、当初より使用商標が掲載されていたことがわかる。
(2)弁駁書の(1)エ「乙第2号証の2(チラシ)」について
ア 乙第2号証の2の「収穫感謝祭」のチラシはコンサートの告知用チラシと主張しているが、該チラシ紙面の左中央位置にはコンサートの開催時刻や参加費などが、また、右中央位置には芋掘り体験の開始時間や金額などが掲載されており、二つの興業は並列的に掲載されているから、該チラシはコンサートのみの告知用ではなく、コンサートと芋掘り体験のそれぞれ独立した興業である2つの興業を同日に開催するという告知用のチラシであることが明白である。さらに、該掲載内容には、芋掘り体験及びコンサートの参加費及び開始時刻が掲載されており、それぞれの興業ごとの参加費と開始時刻を掲載したことは、それぞれが独立した興業であるからであり、乙第2号証の2が芋掘り体験の告知用及びコンサートの告知用であることは明らかである。
イ 請求人は、乙第2号証の2のチラシにおいて、審判請求後に使用商標の文字を加えたものであるという疑いを払拭し得ないと主張しているが、乙第2号証の4として提出した原本を確認すれば、当初より使用商標が掲載されていたことがわかる。
ウ 「芋掘り体験」はコンサートの単に付随して行われたイベントであって、独立した商取引の目的ではないと主張しているが、乙第2号証の2のチラシの記載のとおり、それぞれの興業の開始時刻が異なり、かつそれぞれ定められた参加費を支払わなければ参加出来ないことは、芋掘り体験がコンサートに付随せず独立した興業であることを明確に示している。
また、乙第6号証の1及び2(参加者名簿)からすれば、芋掘り体験のみの参加者もおり、このことは芋掘り体験がコンサートとは独立した興業であることを明確に示している。
さらに、乙第5号証の3及び4の芋掘り体験の写真には子供連れの家族が多く、一方ジャズ・コンサート会場の写真(乙第7号証の1及び2)には大人の参加者がほとんどで、芋掘り体験に参加した家族の姿はほとんどみられない。二つの興業の参加者の層が異なることから、芋掘り体験とコンサートとはそれぞれ独立した興業であることを示している。
また、芋掘り体験の参加者に参加費を支払ってもらい、被請求人の収入とすることは、商取引の目的として業として開催されたことを示すものであり、該芋掘り体験の参加費が被請求人の収入となったことは、収支報告書(乙第3号証の4)、総勘定元帳の雑収入(乙第3号証の1)及び損益計算書(乙第3号証の3)に記載されている。
エ 乙第2号証の2からみて「芋掘り体験」に使用商標が使用されているとはみえないと主張しているが、使用商標の掲載及び「芋掘り体験」の興業を掲載した収穫感謝祭のチラシを頒布する行為は、標章についての使用を規定した商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告や取引書類に標章を付して頒布し提供する行為」に該当し、かつ、参加費の収入を得て、「芋掘り体験」を開催することは、「商標」の規定である商標法第2条第1項第2号の「業として役務を提供し」に該当する。
以上より、乙第2号証の2からみて、「芋掘り体験」に使用商標が使用されたことは明らかである。
(3)弁駁書の(2)被請求人が提出すべき証拠について
平成20年11月3日に芋掘り体験が実施されたことを、平成22年6月3日付け回答書に添付した参加申込みのFAX(乙第4号証)、収支報告書(乙第3号証の4)、総勘定元帳(乙第3号証の1及び2)、損益計算書(乙第3号証の3)、きなり村の全景の航空写真(乙第5号証の1及び2)、芋掘り体験状況の写真(乙第5号証の3及び4)などの証拠によって証明する。
さらに、芋掘り体験参加者による、芋掘りに体験に参加した旨の参加証明書を提出する(乙第8号証)。
(4)使用商標と登録商標の同一性について
本願商標は、「ω」が「オメガ」と発音するギリシャ語であること、広辞苑(第六版 三省堂)の「オメガ」の文字を検索すると、「ω」の文字が「オメガ」の直下に掲載されていることからわかるように、本件商標の上段の「オメガ」と下段の「ω」とは、いずれも「オメガ」であって、片仮名とギリシャ語との文字の違いに過ぎないのみであるから観念が同一である。
よって、「オメガプロジェクト」と「ωプロジェクト」とは社会通念上観念同一と認められるので、上段の「オメガプロジェクト」又は下段の「ωプロジェクト」の一方の使用は本件商標の使用となる。

第5 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第2号証の1及び乙第2号証の3(「の3」は「の1」の原本)は、「収穫感謝祭 演歌&Jazz Collaboration」のチケットと認められるところ、該チケットの上部には、「収穫感謝祭/演歌&Jazz Collaboration」の標題、そして左上部には方形枠内に「きなり村」の文字及び該方形枠の下に使用商標が表示され、また、標題の下には2008年11月3日(祝)、¥3,000などが表示され、その右手下部にはざるに盛られたサツマイモの図が表示されている。
(2)乙第2号証の2及び乙第2号証の4(「の4」は「の2」の原本)は「収穫感謝祭」のチラシと認められるところ、該チラシの上部には、「収穫感謝祭/演歌&Jazz Collaboration」の標題、そして左上部には方形枠内に「きなり村」の文字及び該方形枠の下に使用商標が表示され、また、これらの下に島梨花の写真、その右に演奏風景を配し、その下右側には「芋掘り体験 15:00開始/安納芋・なると金時・むらさき芋/1袋詰め放題 1,000円」の文字が表示され、左側には11月3日(祭)、¥3,000の文字並びに「チケットと芋掘り参加券は当日受付でお求めください」の文字が赤字で表示され、その下に出演者の紹介、会場きなり村などの表示、最下部には問い合わせ先として(株)カンサイ きなり村収穫祭実行委員会 電話番号が表示されている。
(3)乙第3号証の1の雑収入を記載した総勘定元帳の1ページ目には、年月日の201104(20年11月04日)の欄に、「11.3きなりイベント参加費(95 271,429」及び「11.3きなりイベント参加費(芋 50,477」が記載され、その累計額が表されている乙第3号証の2の総勘定元帳の8ページの累計の残高と、乙第3号証の3の損益計算書の雑収入の額は、共に「18,404,261」と記載され、一致している。
また、乙第3号証の4の「2008.11 ジャズ演歌コラボレーション」の収支報告中の収入の記載として「芋掘り 1,000×53袋=53,000」の記載があり、これは、前記総勘定元帳に記載されている「50,477」の税込み額と一致している。
(4)乙第4号証の参加申込みのFAXは、被請求人から平成20年10月吉日として出された「11月3日に収穫祭を開催する」旨の案内に、参加希望者が名前、連絡先、参加の希望等を記載して、FAXで申し込んだものであり、案内の内容として、「芋掘り」と「コンサート」を企画していること、芋掘りだけの参加もできること等が記載されている。そして、提出された申込書には、「芋掘り」のみ、あるいは「芋掘り」と「コンサート」の両方を参加する旨の記載がされている。
(5)乙第6号証の参加者名簿には、コンサートの参加者119名(内5名には「招待状」の記載あり。)及び芋掘り体験の参加者53名の記載並びに会費(当日徴収285,000)及び芋掘り53,000が記載されており、該金額は総勘定元帳、損益計算書、収支報告(乙第3号証)に記載された金額の税込み額と一致している。

2 前記1で認定した事実を総合してみれば、次のとおり判断される。
被請求人である商標権者は、要証期間内である2008(平成20)年11月3日に、広島県廿日市市において、「収穫感謝祭」として、別々の参加費を必要(乙第2号証の4及び乙第4号証)とする「演歌&Jazz Collaboration」(コンサート)及び「芋掘り体験」を開催し、それぞれ相応の収入を得たことが、総勘定元帳、損益計算書、収支報告(乙第3号証)の記載より確認できる。
また、収穫祭開催のご案内(乙第4号証)の記載内容からすれば、コンサートとは別に芋掘り体験のみへの参加が可能となっており、そして参加者名簿(乙第6号証)の記載からも、芋掘り体験のみへの参加者がいたことが確認できることからすれば、当該コンサートと芋掘り体験は、いずれも独立した興行として行われたものとみるのが相当である。
そして、前記「芋掘り体験」は、「映画・演芸・演劇・音楽の演奏・スポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競争」の興業に関するものを除く「興業」といえるものであり、該興業の開催に際しては使用商標を付したチケット及びチラシを作成し、また、そのチラシの配布やチケットの販売が行われたと優に推認できるものである。

3 商標の同一性について
本件商標は、「オメガプロジェクト」及び「ωプロジェクト」の文字を二段に書してなるところ、使用商標「ωプロジェクト」は、本件商標の下段の文字と同一のものであって、上段の文字と同一の「オメガプロジェクト」の称呼が生ずると認められるものであり、例え「ωプロジェクト」及び「オメガプロジェクト」の文字が特定の観念を生じ得ないとしても、相違する部分は、表記した「ω(オメガ)」の文字の違いのみといえるものであるから、観念おける異同はなく、社会通念上同一の商標といい得るものである。

4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定役務「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2011-03-16 
結審通知日 2011-03-17 
審決日 2011-03-29 
出願番号 商願2005-28706(T2005-28706) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y41)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小川 きみえ
野口 美代子
登録日 2006-01-13 
登録番号 商標登録第4920202号(T4920202) 
商標の称呼 オメガプロジェクト 
代理人 仲 晃一 
代理人 田村 善光 
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